ラプラスの魔女




東野圭吾氏の本です。ネタバレしているのでご注意!

ある天才脳科学者の医者がいました。ある事故で奇跡的に命は助かりましたが自分で動くことも話すこともできなくなった少年に対し手術をします。成功する可能性は極めて低かったのですが、少年はみるみる回復し、それどころか超能力のような能力まで身に付けます。厳密には超能力ではなく、サイコロをふったとき何が出るかとか、雨がいつどこで降るとか。そういうことです。例えばサイコロにしても、手に持っている状態では何が出るか分かりません。手から離した瞬間落ちる回転や方向などを瞬時に計算して何が出るかが分かる能力です。天気についてもそうで、風の向きや湿度その他の自然現象から分かってしまいます。能力があがってくと数日前からも分かってきました。そう、コンピューター解析しないと分からないような能力を一個人が身に付けてしまったのです。これは、手術のせいなのか。それとも他の事象によるものなのか。手術のせいなら再現性があるかもしれない。それで実の娘が自ら希望して、同じ手術を受けます。再現性はありました。同じ能力を持つ人間が2人になったのです。

ある自然現象から災害が起こった事件が発生します。彼女はそれが自然現象ではなく、少年が仕掛けたものではないかと予測して少年を探します。ここから先は本を読んでください。毎度の事ですが、不思議が沢山詰まっていてどんどん引き込まれていく本でした。人間にはもともと、そうなるのではないか。という予測のような勘のようなものってありますよね?それは、「何となく」という曖昧な用語で片付けられがちですが、経験や分析によって分かるのであって、表現すると勘というものに置き換えられています。そして実現したとき、ほらね。だってあの時・・・とその根拠がスラスラと出てきたりします。でもこの本に出てくる能力はそれを遥かに超越しています。恐るべき能力。でも羨ましい能力でもあります。

著者の本は今までのパターンから必ず2つ以上のテーマが存在します。もう一つが親子愛というテーマです。人間はある可愛いものを見ると可愛いと思ったり愛しい気持ちが芽生えたりしますよね。でも、中にはそういう気持ちが芽生えない人もいるみたいですよ。どちらが正常なのか分かりませんが、私は芽生えるのが普通でそれは人間の持っている本能のようなものだと思うのです。こちらについては本をじっくり読んでみてください。