キラキラ共和国

何だろう。この不思議な感じ・・・この本の主人公の女性(ポッポちゃん≒鳩子さん)の日常が描かれています。ポッポちゃんは鎌倉に住んでいて、今は亡きおばあ様(先代)の仕事を引き継いでいます。それはツバキ文具店。文具を売っているだけでなく、手紙を代書している代書屋さんです。世の中には手紙を誰かに宛てたくても自分で上手く書けずに鳩子さんを頼ってきて代書をお願いします。色々考えた末に、手紙の紙質、筆記用具、書き方や字の質などもその手紙に合ったものを考慮して代書しています。

同じく鎌倉でカフェを経営するミツローさんと結婚するのですがミツローさんは妻を亡くしていて、その子供(QPちゃん)との共同生活も始まります。特に結婚式をしなかった二人は結婚式のお知らせのお手紙を友人に送ろうと思います。そこには「このはる わたしたちは かぞくになりました。ちいさな ふねにのり 3人でうみへこぎだします どうか あたたかいめで みまもってください」この文章を読むだけで夫婦2人だけでなく連れ子のQPちゃんへの愛情も滲み出ています。

鎌倉での小さな幸せがつまった家(キラキラ共和国)のお話です。そして3人で生活をしていて鳩子さんが自分の母親やおばあ様との確執が徐々にほぐれていくのも分かる本です。何気ない鎌倉の日常を描いた作品ですが、至るところでホロっとするシーンがあり目頭が熱くなります。不思議な本です。号泣はしません。でもホロっとする。とても泣けることが書いてあるわけじゃないのです。でもいつの間にかホロっとさせられる、そんな本でした