本と鍵の季節

堀川次郎は高校2年生。高校では図書委員をしています。その友達の松倉詩門も同じく図書委員の高校2年生。この二人が様々な謎というか問題を解決していきます。金田一少年のような古畑任三郎のようなあるちょっとした気付きや疑問点で謎が分かります。読んでいるうちにどんどん引き込まれる本です。何が良いのかというと2人のチームワークというか気付きの観点が違うという点です。金田一少年も古畑任三郎も1人で何かを解決しますが、この物語の2人はちょっと気付きの論点が違います。上手い具合にお互いの気付きが重なり合って謎を解決しているという点がとても面白かったです。

主人公の堀川次郎君は相手を信じ相手の話から気付きを導くタイプ。どちらかというと性善説タイプです。それに比しクールでイケメンな松倉詩門君は相手を疑うことから始めます。どちらかというと性悪説タイプです。お互いのタイプが違いながらもお互い無い部分を補うためそこには友情だけでなく信頼関係も生じ最後には自分の秘密まで知られてしまうという奥の深いお話でした。

本を読んでいるとこれは物語ではなく、本当に実在する人物なのではないか?と思ってしまうほど内なる個性が、そして内なる感性の違いの細かさが表現されています。同一人物が書いたと思えないほど、2人ともあり得る人物像なのです。2人とも鋭いので言葉が無くても通じ合えたり必要以上の話をしないのですが、徐々に友情も芽生えてきます。読めば読むほど味が出る。そんな本でした。