月の満ち欠け

第57回直木賞作品です。人の死後の世界は誰も知らないけれど、死後の世界は死んだ人しか分からなくて、本当に全く無になってしまうのかどうかも分かりません。例えば月のように満月が三日月になり無くなってもまた満ちて三日月になり満月になるような繰り返す死があったとしたらどうでしょうか?そんなことをテーマにしている作品です。

よく臓器移植された人が臓器を提供してくれた人の嗜好を引き継ぐという話は聞いたことがあると思います。それと同じでまだ年齢的に小さな子供が前世の記憶を話し出す。もしくは生死をさまよった後、復活するがまるで別人のようになるという話もあるようです。実際に前世の記憶を持つ人の話は溢れていてこれは本人と当事者しか知らないことを別の子供が話し出すとか・・・

この本でも瑠璃という女性が4代に渡って生まれ変わるというか転生します。以前の恋人を追いかけるような出来事があります。ミステリアスでもあり、だからと言って全て否定できないそんな本。不思議の世界に紛れ込んだような本でした。直木賞を取るだけのことはあり、読み進めるとどんどん文章にハマっていきます。