法人契約保険の評価の見直し

保険商品と国税庁のイタチごっこは昔から何度も繰り返し行われてきました。保険会社は節税目的の保険を作り、行き過ぎると国税庁が税法や通達を改正するというものです。今回改正になったのは、法人で保険を契約して、当初は受取人が法人だったものの途中で解約返戻金相当額で受取人を役員に名義変更するという保険です。2019年7月8日以降に契約した保険(解約返戻金が資産計上額の70%未満の保険に限る)について、2021年7月1日以降に名義変更を行った場合には、評価が変わります。詳しくはこちら↓
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5364.htm

かいつまんで言うと、契約して数年は解約返戻金がとても少ない保険で、解約返戻金が少ない時期に受取人を法人から役員に名義変更します。役員は少ない解約返戻金相当額を支払い自分を受取人にします。数年すると解約返戻金が膨れ上がるという保険です。例えば資産計上額1,000万円、損金計上額600万円、解約返戻金契約後5年間は200万円だった保険があります。これを解約返戻金が200万円のうちに200万円で役員に買い取ってもらいます(もしくは退職金などにして処理します)ところが名義変更後数年したら解約返戻金が1,500万円位になる保険です。

今までの法人での処理は、退職金(もしくは現金)として200万円計上して保険積立金を1,000万円減少させます。差額は雑損失800万円として処理してきました。これを見ると役員は高い価値のものを安く自分のものに出来て、法人では800万円もの金額を損金処理できます。正に一石二鳥の節税商品です。ところがこのような保険は今年の7月1日以降に名義変更を行った場合には、解約返戻金相当額ではなく、資産計上金額で評価しなくてはいけなくなりました。つまり退職金(もしくは現金)として1,000万円計上して保険積立金を1,000万円減少させます。そうすると役員は高い金額で買い取る必要があり、また法人も雑損失という損金計上ができなくなります。また保険の節税商品封じ込みが行われました。要注意です。