マリカの永い夜・バリ夢日記

この本は2本の小説から成り立っています。1本は「マリカの永い夜」マリカという多重人格の少女とその専属女性医師の物語。マリカの別人格は何人かいてそれぞれ役割があったけれど、10年かけてマリカの中に統合していきました。最後に残った少年の人格のオレンジと一緒に女性医師がバリ島に旅に行く話です。オレンジは以前からバリ島に行きたがっていました。その旅を通して、マリカがマリカだけになるまでの旅の物語です。

多重人格の本は何本も読んだことがあります。その多くは辛い事からの逃避。つまり生きるための防衛反応でした。この本もそうでしたが、私は多重人格者を見た事はありませんが、こんなに本が出ている以上世の中には結構な数の多重人格者がいるのだと思います。専属女性医師ジュンコ先生の目線で書かれた医師としてだけではなく、半分身内のように長期間診ている優しい物語でした。

もう一つの物語は「バリ夢日記」です。これは吉本ばなな氏が小説を書くための取材としてバリ島を旅した時の物語。吉本ばなな氏の他にも写真家、コーディネーター通訳、画家、編集者、吉本ばななの事務所スタッフで旅をします。小説を書くのって大変なんだなと思う内容でした。(旅はかなり楽しんでいましたが・・・)こういった小説は読んだことないので為になりました。この本は表紙だけではなく、本の途中で絵や写真が散りばめられており、それを観るのも楽しかったです。