ヴィックスヴェポラップ

アニメ『ちいかわ』にも登場することで知られる「ヴイックス ヴェポラッブ」ですが、大正製薬による販売が2025年9月30日で終了すると発表されたときは、「もう二度と買えなくなるのではないか」と心配になりました。ところが、その後、製造販売業務はイワキ株式会社が引き継ぎ、販売総代理店としてマルマンH&Bが担当することとなり、2026年4月頃から再び出荷されることが分かりました。今回の販売終了は、商品そのものがなくなるわけではなく、日本国内で販売を行っていた大正製薬と「ヴイックス」ブランドを保有するP&Gとのライセンス契約が満了したことによるものでした。大正製薬は販売を終了しますが、新たなパートナーのもとで国内販売が継続されることになったのです。発表を聞いたときは、「これはバーバリーが日本のライセンス契約終了によって三陽商会から離れたときと同じ流れなのか」と少し寂しい気持ちになりました。しかし結果的には販売が継続されることになり、長年の愛用者としては本当に安心しました。

ヴイックス ヴェポラッブは、胸や喉に塗ることで鼻づまりやくしゃみなどの風邪症状を和らげる商品です。幼い頃に親に塗ってもらった記憶がある方も多いのではないでしょうか。私にとっても代わりのきかない存在であり、これからも店頭で購入できることを素直にうれしく思います。それにしても、ライセンス契約というものは本当に怖いものです。税理士という仕事柄、会社の価値というと売上や利益に目が向きがちですが、実際には「ブランド」という目に見えない資産が非常に大きな価値を持っています。どれほど有名な商品であっても、自社でブランドを保有していなければ、契約が終了した瞬間に販売できなくなってしまうことがあります。

消費者から見れば「ずっとそこにある商品」でも、企業側から見れば契約によって成り立っている商品は少なくありません。今回のヴイックス ヴェポラッブの件は、ブランドやライセンスといった無形資産の価値の大きさを改めて感じさせる出来事でした。商品が残るかどうかは、工場や設備ではなく、一枚の契約書で決まることがある――。そう考えると、ライセンス契約の世界はなかなか奥が深く、そして少し怖いものだと思いました。