めぐるの選択

この作品は、大雨の日のたった一つの選択が、その後の人生を大きく変えていくという興味深い物語です。主人公のめぐるは、市役所職員の採用試験の二次試験当日、大雨に見舞われます。そのときの行動によって三つの異なる人生が描かれます。一つは試験に間に合い、市役所職員として働く人生。二つ目は、雨宿り中に再会した同級生に車で送ってもらったことが縁で結婚し、二児の母となる人生。そして三つ目は、就職がうまくいかず、元恋人の借金を背負って水商売の世界へ進む人生です。

三つの人生はまったく異なるものであり、成功や幸せの形もそれぞれ違います。しかし、どの人生を歩んでも、めぐるの心の中には「童話作家になりたい」という夢が残り続けています。そして最終的には、子どもたちに物語を読み聞かせるという形で、その夢につながる活動をしているのです。この作品を読んで感じたのは、人生は偶然や選択によって大きく変わる一方で、その人の本質や本当に大切にしているものは簡単には変わらないということです。

もし違う選択をしていたらどうなっていただろう、と誰もが一度は考えたことがあると思います。しかし、どの道を選んだとしても、自分らしさを失わずに生きることができれば、その人生には意味があるのだと教えられました。読後には、自分自身のこれまでの選択やこれからの人生について考えさせられました。人生の不思議さと希望を感じられる、とても温かい作品でした。