シン・ゴジラ

ゴジラシリーズは結構見ています。ゴジラシリーズを見る理由は気負わなくていいから・・・なんとなく気楽に見れるからです。ところがこのシン・ゴジラはいつもと様子がかなり違います。ゴジラというより、日本の行政システムの脆弱さを指摘する社会問題を提起した映画でした。

ある日ゴジラが未成熟な状態で東京湾から上陸します。まだ足や手はなく芋虫みたい・・・これは何だ?何なんだ?と騒ぎます。その芋虫みたいなゴジラは街をなぎ倒し日本の政府は前代未聞の事態に資料を集めたり見識者に意見を聞いたりしている間に、ゴジラは再び海に戻ります。次に現れた時には前よりかなり大きくなっていて足や手も生えて私たちがイメージするゴジラになっています。

ゴジラはますます成長し、街を歩くだけで建物や施設が壊されていきます。捕獲か排除か。捕獲は難しいということで排除が選択され、日本の自衛隊が総攻撃をしかけますが、何もききません。 国際的にも問題になり核を使うしかないという判断がされます。でも、日本としては3度目の原爆は落としたくない!誰もがそう思っています。そこで血液凝固剤を使った作戦を日本独自でやります。そんな話です。

この映画のゴジラは海に捨てられた核の廃棄物を食べたせいで自ら放射能を放っています。しかも、現れる度に進化しています。シン・ゴジラのシンは進化するゴジラという意味なのか?それとも今までのゴジラシリーズとは異質だから新ゴジラという意味のシン・ゴジラなのか?と色々考えてしまいました。

この映画を観て強く思ったことは日本に、いや世界にも3度目の核は落とされてはならないということです。

ジャングル・ブック

今月はなんだか雑用で忙しく映画は1本しか観れませんでした。

狼に育てられた少年の話です。少年は赤ちゃんの時に森で拾われ狼の子として育ちます。道具を作ったり道具を使ったりするのは禁止で、理由は「狼らしくないから」です。ある時、人間に恨みをもつトラに出会います。そのトラは人間が大嫌いで少年を殺そうとします。親である狼は少年を救うため、少年を人間の街に避難させようとします。その途中、大蛇から少年を守った熊に恩返しをするため道具を使ってハチミツを取ったり、人間だけが持っている赤い花を狙って少年が大猿にさらわれたり・・・

赤い花は触るもの全てを消滅させ、触ることすら許されない人間だけが扱える花です。それは炎。動物たちは炎を恐れます。炎に触れたものは大やけどをし、山ですら燃えつくします。だから大猿は力もある。権力もあるので、赤い花さえ手に入れれば世界を征服できるとさえ思っています。だから赤い花を持っていると思われる少年を誘拐したのです。

こう考えると人間って自然界で特殊な生物だということが分かります。動物としては、力もないし、足が速いわけでもない、体が大きいわけでもない。生命体としてはどの動物より虚弱な感じです。だからこそ、それを補うために道具を使いこなし、時には自然界にとってマイナスになるようなこともやったりします。動物という観点での人間というのを客観的に見る機会を与えてくれた映画でした。

インディペンデンス・ディ:リサージェンス

1996年に公開されたインディペンデンス・ディの続編です。インディペンデンス・ディは私の映画歴史の中で長い間、好きな映画ベスト1に輝き続けた特別な映画です。その後2011年に八日目の蝉がベスト1になるまでの15年もの長い間、私はこの映画が大好きでした。

友人にこの映画を観に行こうよと誘われましたが、この映画は特別な映画だったため、1人で厳粛な気持ちで観に行きました。映画監督も同じだったせいか登場人物もちゃんと大人になって(20年後の設定で)繋がりがあり、続編という感じです。とても少ない可能性の中から少しの希望の光を求めて、命がけで達成しようとする行動力はあの時と同じものでした。皆が熱い気持ちになり何かの目標に向かって行動する。私はこの映画のそういう部分が多分好きだったのです。

1996年当時、私は税理士試験の受験生でした。勉強でくじけそうな気持ちにも何度もなりましたが、この映画を見て、私の夢なんてこの宇宙スケールの大問題に比べたら小さいもので、この映画の中の問題より私の勉強に対する問題の方が遥かに達成しそうな予感がして私にとってこの映画は応援映画だったのかもしれません。

この映画を見て2011年でベスト1に輝いた八日目の蝉を超えてしまったらどうしよう!と多少ドキドキしながら観ましたが、それはありませんでした。それはこれが前作に比べて見劣りするとかそういうことではありません。前作並みに良い映画でした。でも、私自身が変わってしまった。早く言うと年を取ってしまいました。今はそんな映画よりもっと、泥臭いそして人間臭い現実味のある映画が好きです。これが大人になることかな・・・と20年の歴史を感じずにはいれない映画でした。

ズートピア

ウサギのジュディは警察学校を主席で卒業します。意気揚々と大都市ズートピアという動物たちが共存する街に上京し、そこで優秀な警察官として働くことを夢見ています。ところが実際に行ってみるとそこには大きくて強そうな動物の警察官ばかり。ジュディのような小動物で女性というのはいません。警察学校での訓練はとても小さな力のない動物には無理なものばかり。それでもジュディは持ち前の機転の良さと努力でそれさえもクリアします。このシーンを見て、結果を出すとき、ある程度のプロセスは想像できるけど、結果だけ決まっているとき、そのプロセスは変えてもいいんだと気が付きました。勝手にプロセスを自分の心の中で決めて、これは力のないウサギだからとても無理だとか。そういう決めつけをしないところがジュディの良いところです。このことは例えば私たちの生きていく上での生活や仕事や趣味にも応用できることで、プロセスを決めつけるのは、やめようと思いました。プロセスを決めつけることによって、出来ない理由まで思いついてしまうからです。要は結果だけが決まっている場合、プロセスについてはもっと柔軟に考え、ありとあらゆる可能性を加味して考察する必要があるのです。

ウサギのジョディは主席で卒業したので大きな事件を扱った仕事に付きたいのですが、回ってきた仕事は交通整備。やる気をなくし、がっかりしますが、そこでも実力を発揮します。どんな環境でもどんな仕事でも前向きにやりこなすジョディ。ここらへんは新卒で優秀な成績で就職した女性にも良いメッセージになるような気がします。

そして詐欺師のキツネのニックとの出会い。ウサギの国ではキツネは悪い生き物と決めつける昔からの風習のようなものがあります。ニックと出会うことによってまた、ジュディの固定観念を払拭する考え方によってニックとも信頼関係が構築されてきます。この辺は人種差別とリンクするのではないでしょうか。

そして弱い者の味方と思っていた羊の政治家秘書が実は悪者だったと判明します。ここは常に見た目に誤魔化されず、真実の目を持とうというメッセージなような気がします。詐欺師だったニックも生真面目なジュディと触れ合うことによって、本来の才能を開花させて、最終的には警察官になります。つまり、過去に失敗しても心がけ次第で人生やり直せるのだということです。この映画は1つのアニメの中に様々なメッセージが隠されています。

グランドフィナーレ

数々の賞を受賞している映画作品です。観終わった直後に感じた感想は何と感想を書いてよいか分からない作品だと思いました。
世間で様々な分野で成功を収めた人々がアルプスの高級ホテルで過ごしています。主人公の音楽家も引退しここで過ごしています。セレブ達が集まるこのホテルではゆったりと時が流れ、皆のんびりと余暇を過ごします。中には生涯現役にこだわり撮影に没頭する映画監督もいますが・・・多分この映画は観た人それぞれが独自な感想を持つのだと思います。こんな生活してみたいと思う人もいるだろうし、こんな生活が幸せか?と疑問を持つ人も居ると思います。

何と書いて良いか分かりませんが、私がこの映画を観て感じたことは、私はまだまだ若いという事。私も多分あと30年以上は生きると思うし、その間にも私がまだ予感もしていないような出来事もあるような気がします。5年後10年後の事はたまに考えますが20年後のことまで考える人はあまりいないと思うからです。

主人公は高齢でまるで死を待っているかのようで少しうら悲しい気がしました。主人公の親友の映画監督は生涯現役にこだわり、やることや欲望がなくなったら、死んでるも同然と言います。実際、彼は時代遅れの映画監督と言われ、映画を撮り続けることが資金的にも難しくなった時に死を選びました。彼にとっては欲望がなくなったら、死んでいるも同然。ただ息をしているのと同じだったのです。

老後の余生を南の島などでお金の心配もなくのんびり過ごしたいという人を沢山知っていますが、私はそういう生き方には魅力を感じません。忙しい中に無理して余暇を過ごすのが良いのです。仕事があっての余暇です。私にとってはその位仕事が生きがいなのです。この映画を観て、何を感じるかでその人の生き方というか指向が分かるような気がします。とても奥が深い映画です。この映画を観て他の人は何を感じるのだろう?ととても気になってしまうそんな映画です。

家族はつらいよ

東京家族の映画の出演者達が出てきます。山田洋二監督というのも同じです。長男の職業は医者からサラリーマンへ、長女の職業は美容師から税理士へ、二男の職業は舞台美術のアシスタントからピアノ調律師になっていましたが、登場人物はほぼ一緒です。

結婚50周年を目前に妻から離婚を言い渡される夫・・・俺は被害者だと言います。これは一大事と子供達が騒ぎ家族会議が行われます。さて、どうなったのか。。。

とにかく面白かったです。テーマは暗いですが、観てみるとコメディになっていて、思わず笑ってしまいます。家族って、家族だからこそ必要以上に言葉で責めてみたり、酷いことを言ってしまったりしますね。家族だからこそ、日ごろの感謝の言葉も言えない。そんなの言わなくても分かっているだろと言う。それじゃ、ダメなんですね。

笑って、笑って、笑って、そしてホンノリさせられるそんな映画でした。そういえば、私も顧問先には、元気なうちに相続対策を!と言えますが、自分の親には言えませんね。まぁうちは相続税かかりませんが・・・(^_^;)

マネー・ショート 華麗なる大逆転

リーマンショックが起こることを予測して、それに債権の空売りや金融商品(スワップ)を組み合わせて、大儲けした実話です。一人のちょっと変わった天才が目論見書などをじっくり見て、デフォルト率などを算定し、サブプライムローンが破たんすることを予測して、空売りをしようとします。その時期、債権価格は上昇し格付けもAAAだったため、応対した銀行員などは狂った人が居たと飲み屋などでバカにします。その話を聞きつけたり、または、何らかの疑問点を持った何人かは、ある人は現地で家はちゃんと販売されて使われて住宅ローンも返済されているのか。などの調査やローンを組んだ業者に質問などをして、調査の結果、これは破たん間違いないと同じようなリスクヘッジをします。また、別なチームも資産運営会社で見た資料からその事に気が付き、有名な金融専門家の意見も聞き実行します。結局、その予測は当たり大金を手にします。

驚いたのは、サブプライムローンのデフォルト率が30%を超えても債権価額が上昇した点。そして、格付け機関もAAAの格付けを落とさなかった点です。異常です。債権価額が上昇すれはこれらの予測者たちは多くの保険料を支払わなくてはなりません。結局、ある投資会社の破産がされるまで、債権価額は上昇し続け、格付け機関も格付けを落としませんでした。これが事実だとすると(事実なのですが・・・)格付けなんて信頼できないと本当に怖くなりました。金融機関も格付け機関も国でさえ、この事実に目をつぶり、返済可能性のないローンをバンバン貸しまくりました。銀行も自社がローンを貸すのなら返済できなそうな人には貸しませんが、結局そのツケはサブプライムローンという債権にして、一般人に買わせてしまえばリスクを負うこともありません。損をするのは結局のところ債権を買った一般人なのですから・・・

あ~怖い怖い。そんな映画でした。それにしてもこれらに気が付いた4人(チーム)ですが、これが決定するまでは気が気じゃなかったでしょう。債権価値が上がれば自分たちは大損をします。しかも半端な額ではありません。実際デフォルト率が高まっても債権価格は上がり続け、格付けも落ちませんでした。私がこの人達の立場でこの情報を知ったとしてもこんな博打はしませんね。何しろ心臓に悪いし、生きた心地がしません。まぁ、この位のリスクを取らないと大金持ちにはなれないということですね。私は大金持ちにはなれそうにありません。

ザ・ウォーク

1974年に当時世界一の高さ地上411m地上110階ワールド・トレード・センターのツインビルの屋上と屋上にワイヤーでロープを張り綱渡りするという実話です。しかも命綱なしです。こんな狂ったことをする人がこの世に存在したのです。

彼の名はフィリップ。ワールド・トレード・センターの完成予想図が載った新聞を手にした途端、これだ!と閃いたのです。その日から彼はこのビルとビルの間にワイヤーを張り綱渡りすることで頭がいっぱいです。勿論違法なので秘密裏に行わなければいけません。また、ワイヤーを張るため協力者も必要です。

何人かの仲間を集め、どのようにロープを張ればいいか。どのように工事中のビルに忍び込むか。入念に計画が立てられます。風が強い場合に備えロープを揺らしながらの練習もします。実行当日の数日前からフィリップは興奮状態になり、周りの仲間からも狂っていると言われます。

実行当日、思っていた以上に監視の目が厳しく、時間通りに事が運びません。それでも何とか早朝に間に合い実行します。3Dで見たのですが、本当に心臓に悪かったです(笑)。何かに取り付かれたような執念に羨ましさを感じるとともに、特に印象的だったのは、インタビューで「何故、死ぬかもしれないのにやるのか」という質問に対し、彼はこの綱渡りは死ではなくむしろ、僕に生を与え生を意識させてくれる。というような発言をしていた点です。命綱なしの地上110階の綱渡りといえば、殆どの人は死をイメージしてしまうでしょう。でも彼はそれこそ”生”だと言ったのです。なるほど、極めるとはそういう事なのかと思いました。

ブリッジ・オブ・スパイ

スティーブン・スピルバーグ監督の作品で実話です。1950年~60年にかけての米ソ冷戦時代を描いています。ネタバレしていますので観る予定の方は、後で読んでくださいね。

ソ連のスパイがアメリカFBIに捕まりました。トムハンクス演じる弁護士のジェームズはスパイの弁護人になります。スパイは口を割りません。死刑も覚悟しています。ジェームズは弁護士として、ソ連のスパイ側に立ち弁護をします。国民も判事でさえも死刑を望んでいます。ジェームスはスパイの弁護をしたおかけで街の中では白い眼で見られ、家族や家も嫌がらせを受けます。それでも弁護士として真摯な仕事をして、死刑ではなく懲役30年になります。

いくら敵とはいえ国のために命を懸けて働いてきた人を死刑にしてよいものだろうか。もし、米国のスパイがソ連に捕まったら人質を交換するということで米国のスパイの命も助かるのではないかと提案したのです。

数年後、現実になります。米国の空軍のパワーズが捕まったのです。同時期にベルリンの壁ができ、東ドイツで米国の大学生も捕まります。ソ連と東ドイツの米国人2人とソ連スパイ1人を交換しようとジェームズは奮闘します。

酷い目にあいながら東ドイツに乗り込み交渉を続けます。橋の上で人質は交換されます。そんなお話しでした。

この映画で感じたことは、自分がジェームスと同じ立場だったらこの仕事を受けるかという点です。仕事を真摯にこなすことは大事です。また、私情に流されず仕事をすることにも自信があります。でも、この映画では自分だけでなく、家の中に石が投げ込まれたり、家族にまで被害がいっています。それでも、弁護士としての真摯な仕事を貫き通すという立派な仕事ぶりでした。

この映画を観た後に、私は仕事が大好きだけど命がけで仕事ができるかどうかを自問してしまいました。自分だけならやるかもしれないけど、家族に被害が及びそうな仕事はやはりできないだろうと自分の不甲斐なさを感じて落ち込みましたが、良く考えたら税理士はお金の問題はあっても命まで取られる仕事じゃないなと気付き、ほっとした次第であります。

2015年 映画観賞

毎年12月のカテゴリー映画では、私が今年観た映画BEST3を発表しています。

1位:マイ・インターン
2015.10.17のブログで感想を述べています。女性経営者の奮闘が同じ女性経営者として共感できて良い映画でした。

2位:ビリギャル
これも女性が主人公の映画です。2015.6.19のブログで感想を述べています。可能性が少ないものに真摯に挑戦し続ける主人公の頑張りに涙した映画です。

3位:エベレスト
同じく女性が主人公のスターウォーズ・フォースの覚醒3Dにしようか迷いました。3Dで観たせいか至近距離で心臓バクバクでしたが、物語として心に残るエベレストにしました。エベレストは実話です。1996年5月10日に8人もの登山家が死亡した事故を題材にしています。その中には日本人登山家の女性も含まれます。まさに命がけ登山です。エベレストは標高8848mです。富士山が標高3776mですから、とてつもない高さだということが分かります。植物が育たなくなる森林限界は寒いところで1000m、富士山で2500m、熱帯地域で3600m位です。それ以上になると植物は育ちません。7500m以上になると生命のあるものが生きられないというデットゾーンになります。居るだけで確実に生命の危機にさらされるのです。それがまざまざと分かる映画でした。エベレストに登山するためには登山に慣れている人でさえ、3ヶ月前から現地入りし、体を徐々に高山に慣らします。大体2月頃現地キャンプ場に行き体を鍛えて一番天候が安定している5月位に頂上を目指すのです。7500mから頂上の8848mはデットゾーンですから、長い時間居ることはできません。できるだけ早く登り早く下山します。まさに命がけです。この映画では多くの人が遭難し亡くなりましたが、自然の怖さと偉大さが分かった映画でした。

今年も多くの映画を観ました。エベレストのような映画を観ると体験はできないけど観れて良かったと思います。来年も多くの映画を観て感想を書きたいと思っています。よろしくお願いいたします。