外国投資信託(外貨建てMMF)の非課税制度

会社型外国投資信託および外国株式投資信託の売却益は20.315%の税金がかかります。ところが、外国公社債投資信託の売却益は非課税です。しかも、為替差益も含めて非課税なので恩恵はとても大きいのです。

しかし、この制度今年で廃止になり、来年からは売却益に20.315%の税金がかかります。ですから、外国公社債投資信託をお持ちの方は今年のうちに売却することをお勧めします。忙しい師走ですが、自己資産を見直してみて下さいませ。

ここからは、つぶやきです。今年ももう師走になりましたね。なんか師走って慌ただしいですね。USENからジングルベルなどのメロディが流れたりすると、何故かロマンチックな気分に浸らずに「年末調整の時期だぞ!早くやりなよ~」というメロディに聞こえてしまうのはこの業界の悲しい特徴ですね。うちでも12月に入ってからとうとう朝起きるとき暖房を入れ始めました。寒くなってきましたが、体調など壊さずに年末乗り切りましょう。

消費税改正

電子書籍やインターネット広告など電気通信回線を使って行われる取引は、提供を行う者が国内事業者であるか否かで広告料等も課税取引か否かの判定をしてきましたが、2015年10月1日から、提供を行う者ではなく、提供を受ける者が国内事業者であるか否かという判定に変わりました。インターネット回線での取引は今までの取引と全く逆の考え方となるため注意が必要です。詳しくは、下記資料2ページ目をご覧ください。
リバースチャージ方式消費税.pdf
例えば、Google AdWordsへの広告料が今まで不課税だったのか課税となるのです。課税といっても実際にはGoogleは国外企業なので消費税を賦課していません。では、どうなるのかというと、消費税を支払ったものとみなします。Googleに毎月50,000円支払っているとします。仕訳でいうと広告宣伝費 50,000円 / 普通預金 50,000円ですね。それに次の仕訳を追加します。仮払消費税 4,000円 / 仮受消費税 4,000円 この4,000円というのは、5万円に対する消費税(8%)です。課税売上割合が95%以上である事業者は仮受消費税から全額、仮払消費税を控除できるので、特段消費税の支払額に変更は生じません。ところが課税売上割合が95%未満ですと、仮払消費税が全額控除できなくなりますので、要注意です。また、免税事業者や簡易課税制度事業者には関係はありません。

輸入業者の注意点(判決)

アメリカから自動車用品を輸入して、インターネットを媒体にして日本国内で販売していた人がいました。通常であれば、この売上って税務申告しますね。ところが、その方はアメリカ人と結婚し、アメリカに出国しアメリカに住んでいました。そうなると居住者(日本に住んで日本に税金を支払う人)でなくなります。非居住者とは外国に住んでいて外国で稼いでいる人です。非居住者は原則的に日本の所得税は支払いません(相続税は支払います)。しかし、原告は日本国内に倉庫を持ち、発送指示で日本にいる従業員が商品の発送・梱包を行っていました。

非居住者の所得税は恒久的施設に該当するか否かによって課税がされます。日本にある倉庫が恒久的施設に該当すれば所得税課税になるし、そうでなければ非課税となります。この方は出国前に住んでいた賃貸アパートと出国後に商品を保管するために借りた倉庫を持っています。日本にいる従業員が倉庫にある商品を出庫し、アパートの住所が不良品等の返品先でした。しかも販売先は全て日本国内でアメリカ人の顧客はいませんでした。

判決は、この賃貸アパートと倉庫は国内における恒久的施設に該当し、日本における所得税の課税対象になるというものでした。最近、外国に住めば日本の所得税がかからないと思っている方が増えていますが、そうではないよと知らしめる判決でした。
[東京地方裁判所平成24年(行ウ)第152号 平成27年5月28日判決]

一般社団法人が作成する領収書は非課税

公益認定を受けていない一般社団法人および一般財団法人が金銭や有価証券に係る受取書や領収書等(印紙税法第17号1文書)を作成した場合には、例えそれが収益事業に関して作成するものであっても、営業に関しない受取書に該当し、非課税文書になります。つまり領収書に印紙を貼らなくてもよいのです。他にも営業に関しない受取書(印紙を貼らなくても良いもの)はあります。例えば医師が発行するもの。弁護士や税理士などの士業が発行するものなどです。詳しくは下記をご覧ください。
営業に関しない受取書.pdf

私募債の税務 要注意

少人数私募債は以前から中小企業を中心に行われた社債です。会社が私募債を発行してその引き受けを社長などが行います。会社は社長に私募債の利息を支払います。社長はこの私募債から生ずる利息は利子所得となり20.135%の源泉所得税の分離課税ですみます。私募債を発行せず、単なる金銭消費貸借契約ですとそれから生じた利息は雑所得となり、総合課税の対象となります。高所得者の場合、総合所得だと最高で55%(所得税45%、住民税10%)+復興所得税(所得税の2.1%)が課税されます。法人からすると支払う利息は全額経費となりますので、金銭消費貸借契約でも私募債でも変わりませんが、利息を受け取る方からすると20.315%で済むのかそれ以上の税金になるのかは大きく違います。

平成25年度の税制改正で平成28年1月1日以後に発行される社債については、20.315%分離課税ではなく、総合課税となるという改正が行われました。発行日ベースだったため、節税対策で駆け込み私募債を発行した会社も多いと思います。

ところが平成26年度の税制改正で平成27年までに発行された社債についても、平成28年以降の利息については、総合課税とするとなりました。節税対策で駆け込み発行した会社からすると納得いかないと思います。

ただし、この規定はその会社の株主や役員でないものが支払いを受ける利子については、平成28年以降も20.135%の分離課税となります。

マイナンバー税務申告書一覧

国税庁からマイナンバーに関して国税の申告書や届出書に必要な書類一式が公開されました。詳しくは↓こちらまで

マイナンバー様式一覧.pdf

これを見るとありとあらゆる様式が変更されるようです。従業員はともかく、外部の関係者、添付資料で言うと、Ⅷの3(P19)やⅧの4(P20)あたりは入手するのも困難が生じそうです。早めに世の中に周知させないと抵抗にあうかもしれないですね。また、年金問題でもありましたが、国としても万全なセュリティ管理が求められます。何せマイナンバー情報は年金情報以上に機密情報です。今のところ税と社会保険の一括把握を目的としてますが、これに将来金融資産など紐付けられたら、国としてサイバー攻撃の対象とされる動機づけが完全にできてしまうと思います。

税と社会保険の一括管理はこれだけ財源がなくなった今、必要なのかもしれませんが、将来の金融資産の紐付けは万全なセキュリティ管理下でないと、恐ろしいサイバー攻撃に合いそうで怖いですね。そもそも、現在もインターネットで振込出来たり便利ですが、用心深い経営者はインターネット口座の口座残高はあまり多くの残高を残しておかないようにしていると言います。

インターネット口座は便利ですが、こまめにパスワードを変えたり、残高も少なめにするなど注意が必要ですね。話は逸れましたが、今回は国税関連のマイナンバーの書類一式の変更点についての情報でした。総務や経理関係者は早めに目を通しておいて下さい。

非上場株式と上場株式の損益通算

自分の持っている非上場株式を売却して利益が出た場合、同じ年に上場株式を譲渡(いわゆる損切)して損失が出た時は、今まではその利益と損失を損益通算して利益が残った部分だけ税金を払えば良かったのです。(非上場株式が譲渡益、上場株式が譲渡損でも同じです)

例えば、非上場株式の売却で100万円の利益が出て(1,000万円で取得した株式を1,100万円で売った時など)、上場株式で80万円の損失が出た場合(例えば100万円で取得した株式が20万円に暴落したが回復の見込みがないと判断して売った時など)、100万円の利益と80万円の損失を通算して、20万円の利益の部分だけ税金を払えば良いという制度でした。

それが平成28年1月1日より非上場株式と上場株式の損益通算が出来なくなります。(非上場株式同士、上場株式同士は可能です)

従って組織改編で株式譲渡を考えている企業などありましたら、年内に行っておく必要があります。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度

直系尊属から受ける教育資金贈与については1500万円まで非課税になるというお話しは、2013.2.5のブログ「平成25年度税制改正」でお話しした通りですが、この度、平成27年4月1日から平成31年3月31日まで「結婚・子育て資金の一括贈与制度」が創設されました。

基本的な枠組みは教育資金贈与に似ているのですが、受贈者は20歳以上50歳未満の方が対象になります。この制度の非課税枠は1000万円なので、例えば、おばあちゃんからこの制度の適用を受けて1,000万円贈与された場合、自分の結婚式の費用であったり、新居の住居費、引越費用、不妊治療費、出産費用、産後ケア費用、生まれてきた子供の医療費・保育費に充てることができます。共働きなどしていると、ベビーシッターなども頼むこともあるかもしれませんが、ベビーシッター費用にも充てることができます。

受贈者本人が50歳になった時、使い残しがあれば、使い残した部分に贈与税が課税されます。また、受贈者本人が50歳になる前に亡くなってしまった場合は、その時点での使い残した残高を相続財産に加算することになります。

相続税簡易判定シート

平成27年から相続税が増税になったことは、有名なので知っている方も多いと思います。ですが、最近、相続税がかからないのに相談してくる事例も多いです。最近国税庁から相続税簡易判定シートが出されました。ここに必要な事項を入力すると簡易版でありますが(厳密な計算はできません)、相続税が発生するのか否かが分かるようになっています。心配な方は一度やってみるといいかもしれません。おためしあれ。

簡易判定シード
https://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/souzok-kanihanteih27.pdf#search=’%E7%9B%B8%E7%B6%9A%E7%A8%8E%E7%B0%A1%E6%98%93%E5%88%A4%E6%96%AD%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88′

ふるさと納税改正

今回の確定申告でふるさと納税の申告をした人も多かったと思います。もともと事業所得などを行っている人は確定申告をやっているので特に負担はないでしょうが、年末調整だけで確定申告をしない方については、このために確定申告をするのは負担だと思います。

平成27年4月1日以降にふるさと納税をした場合は確定申告をしなくても税金を安くすることができるようになります。ただし、支払先の地方自治体は5つまでという制限がつきます。それ以上ですと、確定申告をしないと戻ってきません。

また、今まで所得税で寄付金控除を行って残りを住民税で控除したのですが、住民税の控除限度額は本来支払う住民税の1割が限度額でした。これが2割までとなります。ふるさと納税の申告が面倒だけど、やってみたいという方は4月以降に5カ所までで試してみるといいですよ。