ディズニーサービスの神様が教えてくれたこと


私は本屋さんに行くとあまり中身は見ずに言わば感覚で本を買います。この本もそんな本でした。サービスマネジメントの内容か。人材育成マネジメントか。もしかしたら、マーケティング関係の内容かとそんなイメージを持ってこの本を買いました。

読んでみると、私の持っていた印象と全く違うものでした。MBA的な要素はほとんどなく、4つの物語から構成されています。物語の主人公は全員ディズニーランドで働くスタッフです。そのスタッフがある体験を通じて成長していく様子が書かれています。

1つ目の話は舞浜駅の終電をゲストに聞かれたスタッフが東京行きの最終を教えて感謝されたが、乗り換えの駅の終電が間に合わなくてタクシーで帰ったと言われてしまうスタッフの話。2つ目はガイドとして働くトレーナーのスタッフがガイドに最適なプランを立案してガイドしたところ、ゲストから自分たちにも選ばせてくれと言われてしまうという話。3つ目はどうみても4歳以上だと思われる子供を抱える夫婦が大人分のチケットだけを買おうとしたため、年齢証明の提示を求めたら怒って帰ってしまう話。4つ目は、大きな病を抱える子供がディズニーランドで遊べたら手術を受けるというので、リスクを承知で受け入れる話。

4つの話の共通点は、ゲストはサービスの神様だとういうこと。ゲストの声は成長できるチャンスを貰っているということ。どの話もほろっとさせられるそんなお話でした。



たまには後ろ姿で撮ってみました。黄色の浴衣の方の結び方は、恋文という帯結びです。リボンの上に文が乗っています。分かりますか?もうひとつは絞りの浴衣、赤みが少し入った落ち着いた浴衣です。

断捨離



断捨離ここ数年でこの名前の本は本屋さんに溢れかえっています。その中でフィーリングがピンときたものを購入し読んでみました。

断捨離とは、単なる整理収納術ではなく、「断」で要らないものは買わない。必要なもののみ入手し買い物を吟味する力を養い、「捨」でガラクタを片づけ、物を売ったりあげたりして、お気に入りを絞ります。最後に「離」で執着から離れて自分を理解し好きになるという手法です。

だから主役はモノではなく自分で、最終的にはモノを人間関係に例えて今を知ることを目標とします。また、生きるとは選択の連続で選ぶ力を鍛えていくためにも断捨離は有効だと言っています。そのための具体的ノウハウがこの本には書かれています。確かに人間関係も広げ過ぎても中身が希薄になるような気がします。本当に大事な数人の人と如何に親密に分かりあえるかというのが大事なのかもしれません。

断捨離を読んだあとは何故かすっきりします。私は20代の頃は人の目というか評価(自分がどう見られているか)というのがとても気になりました。誰にでも嫌われないように行動していたような気がします。でも大人になって、人の考え方はそれぞれで自分と違う考え方をする人がいて当たり前で八方美人でみんなに理解してもらう必要なんてないんだと思えるようになってから、とても生きるのが楽になりました。自分が信頼している人だけに理解してもらえればそれでいいと思えました。今思うと自分で断捨離してたんですね。

免疫細胞治療



免疫細胞療法をご存じだろうか?私も5年前くらいまで知りませんでしたが、この治療に関連する顧問先もあることから知りました。

がんは有名な病気ですが、そもそも何故がんになるのでしょう。この本によると人間の体は60兆個の細胞からなっていて、常にその細胞が分裂と増殖を繰り返しています。あるとき遺伝子に何らかの異常(タバコや科学物質、自然界に普通に発生する放射能が原因になったりする)が起こり、突然変異が起こり細胞は死なずにとめどもなく分裂を繰り返すこの死なない細胞ががん細胞です。

がん細胞は健康な人でも1日に5000個もできますが、免疫細胞(リンパ球)が攻撃して死滅させています。しかし、免疫細胞が弱くなるとこれを死滅させることができなくなり、がんになってしまうのです。ですから、がんは一種の体の老化とも言われています。日本人は世界一平均寿命が長い国ですから、がんで亡くなる人も多いのです。

がんの三大治療は、外科手術と放射線治療と抗がん剤治療ですが、自分の免疫細胞自体を強くしていく最新医療が免疫細胞療法です。その免疫細胞治療について詳しく書かれているのがこの本です。がん専門医19人が事例などを用い分かりやすく説明しています。医療って常に進歩しているのですね。

結婚のずっと前



私の知り合いの人はこの本を見てびっくりするでしょう。私らしくないからです。そう、この本は頂き物なのです。
きれいな表紙とそれぞれのページにも小さな写真が付いていて、宝箱のような本です。小説というより詩集で、短い文章で的を射たポエムのような構成です。

気にいったものを何点か紹介します。

凜とひとりになれる って 強さ その強さに ひとは 惹かれるんだと思う

辛い時って、実はすごく貴重 一番色んな事を吸収してる きっと心が(スポンジみたいにふわふわな)状態なんだよね

まわり道をたくさんしなさい あなたが尊敬する素敵な人は 何かを簡単に やり遂げたわけじゃないでしょう?

失敗したり 間違えたり 正しくないとわかっても 気持が止められなかったり まわり道したり でも その時々で それでも誠実であろうと もがいているのが 大事なんだと思う

自分を超える方法



この本は本屋さんでタイトルを見た時、題名に惹かれて手にした本です。巷には1億円貯める方法や年収○○を稼ぐ方法などありますが、目標を高く設定することは大切ですが、それより何より今の自分を超える方が大事だというか現実的だと思います。長期目標は大きくても構いませんが、現時点での自分の目標は手の届きそうな範囲に抑えておいた方がより現実的で達成の可能性も高い。その上で一段一段ステップアップしていくのが確実に上昇するはずです。以前、明治大学のキーワードが「前へ」だったのが「世界へ」になってしまったのと似ています。

関係ないことをお話してしまいました。いよいよ本題です。キャリアアップに関する自己啓発の本だと思って読み始めました。読み始めるとすぐに起業家(したい人)へのメッセージを感じます。

人には6つの欲求(シックス・ヒューマン・ニーズ)があり、それは「安定感」「不安定感」「重要感」「愛とつながり」「成長」「貢献」です。多くの人は何かを決める時、安定感を基準にしています。安定感とは例えば大企業で働きたいなどの欲求です。しかし、人間は変化が欲しいという不安定感も心のどこかで求めていて例えば起業したいなどと思うのだそうです。しかし、多くの人は両方の欲求がありながら、安定感の欲求を重要視して起業できないのだそうです。

ただ、著者は人生の質は居心地の良さを感じられる不安定の量に正比例すると言っています。そして、歴史は常にリスク(不安定感)を取る人の味方をするとも言っています。

また、安定感と不安定感に意識が集中しやすいですが、本当に重要な欲求は成長と貢献であるとも言っています。人生を豊かにするニーズはこの二つから生まれるのです。

お金を得る方法は5つあり、①盗む②ギャンブル③時給で稼ぐ④相続する⑤起業する を掲げていますが①は法的に問題があり、②は確率学的にかなり困難な事③は1日は24時間しかなく限度があり④は坂道を転げ落ちるような人生を歩み⑤以外の方法はないと言っています。具体的に1円も使わずに起業する方法やリーダーシップを高める方法、文章能力を高める方法などを伝授しています。

起業しようと思っている人、起業したばかりの人にエールを送っているようなそんな本でした。

100円のコーラを1000円で売る方法



主人公は会計ソフトウェア会社で10年間営業をしてきて数々の武勇伝を残してきた女性です。セールスはもう十分で今度は商品企画をやりたいと本人が希望して異動します。商品開発は初めてでした。自信あるコンペで自分が提案したものは100%顧客の要望を満たし、価格でも一番低く抑えたのに、ライバル社(そこでの提案者も女性)は顧客の要望を一部満たしていなくて価額も高いのに負けてしまいます。そこがスタートです。

100%要望に応え価額も安いのに何故??卑怯な手を使った?と疑いますが、何故顧客がそちらを選んだかの理由を知り愕然とします。ライバル社は顧客の要望で間違っているものは間違っていると否定し、それの上をいく提案をしていたのです。

主人公はライバル社に勝つために価額を半額に下げて一気に売上を伸ばして会計ソフトの世界を変えるという提案をします。それを聞いた与田(マーケティングのプロである上司)は、やる前から負けることが確実な最悪な勝負だと言い放ちます。ライバル社の市場シェアは32%、自社は10%なのです。つまりライバル社はマーケットリーダーで自社はマーケットチャレンジャーなのです。低価額戦略が取れるのはマーケットリーダーだけで、チャレンジャーがそれをすると自社が苦しむだけでなく、そのマーケット全体も低迷するのです。チャレンジャーが低価額戦略を取る場合、初めは多少チャレンジャーの方に顧客は流れ込みます。ただ、リーダーが低価額に合わせたらおしまいなのです。コストリーダーシップ戦略が使えるのは市場シェアが1番大きいライバル社だけだということを上司の与田から学びます。成熟市場においてチャレンジャーがコストリーダーシップ戦略を取れば確実に薄利多売になり業界全体を衰退させます。(コストリーダーシップ戦略については2010.3.9のカテゴリーMBAの戦略 ブログ参照)

そこから市場志向と製品志向を学び、ブルーオーシャン戦略、チャネル戦略、Win-Winの関係、値引きの怖さやバリューセリングを学びます。

この本は「ザ・ゴール」(2010.4.22のカテゴリー本のザ・ゴール参照)に似ています。ザ・ゴールは物語形式でTOC(制約条件の理論)を教えるものですが、この本は物語形式でマーケティングの基礎を教えるものです。主人公が女性というのもいまどきで引き込まれるように読むことができます。

本とは関係ないですが、ここに書いてあることは殆んどビジネススクールでU教授から教えて貰いました。当時の授業を思い出し授業を聞いてワクワクした気持ちさえ再現できました。マーケティングの基礎を学ぶにはとても良い本だと思います。

29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。


人間死ぬ気になったらなんでもできる。というけれど、私はいいのか悪いのか、悲しんだり落ち込んだりすることはあるけれど、死のうと思ったことは過去に1度もない。この作品がノンフェクションということと、自分の意思であと1年しか生きないと決めた人の生き方や考え方を知りたくて本屋で手にした本です。

彼女は明治大学を卒業し正社員で就職しました。正社員は1年で辞め、その後契約社員、派遣社員となりました。彼女は25歳で学生時代から付き合っていた東大卒の彼と結婚する人生プランを描いていた。その彼に25歳の時、振られます。それからは、父親が脳梗塞で倒れたり、ストレスが食欲となって53キロだった体重が20キロも増えたり、手取り17万円でボーナスなしの生活で1Kのアパートの電気代ですら払えない月がある。親しい友人もいない。趣味もない。そして、29歳の誕生日に1Kのアパートで苺のショートケーキを前に1人で「ハッピ―バースデートゥミー」を歌います。昨年も一昨年もその前も1人で誕生日を過ごした彼女は、29歳の誕生日に「何の取り得がなくても、いままでは若さで何とかやってこられた。30代になれば就職はもっと厳しくなる。今だって何百社も受け続け、断われ続けているのに、資格も何もない私など、もうどこも雇ってくれないのではないか」「ただでさえ、70キロ以上もある醜い容姿の自分など、誰が相手にするだろう。30代になってしまったら、存在すら無視されてしまうのではないか。」と人生は下がる一方だと考え、あと1年で、そう30歳の誕生日の日に死のうと決めるのです。

1年で死のうと決めた彼女は29歳最後の日にラスベガスのカジノで大金を使い死のうと決意するのですが、お金が全くありません。そこで、昼間は派遣の仕事で働き、夜は銀座のクラブで働き、週末はヌードモデルで働いて、1年で150万円を貯めて、ラスベガスでカジノをするというお話です。

銀座のクラブで働くといっても、彼女はどこもお断りで働けません。やっとのことで、新しい人が入るまでという条件で働くことができますが、73キロある彼女は他の人より20%安い賃金で働かせてもらえ20キロ痩せたら元の賃金にしてくれもらえるという条件で働きます。

夜銀座で働くため、派遣会社の仕事が激務なときも何とか定時に帰れるように一心不乱で働き、銀座のクラブでの名前はアマリちゃん(余りものだから)と名付け、酒も1滴も飲めない。特に気のきいた話もできない彼女は聞き上手に徹していきます。そして、週末は絵画のヌードモデル。ヌードモデルはスタイルの良さではない。そういえばヨーロッパの方の裸婦の肖像画はどちらかというとポッチャリ系ばかりだということで、ヌードモデルとしても引っ張りだことなります。

それらの経験を経て多くのことを学びます。1年後に彼女がどうなったか。それは本を読んで下さい。どん底から這い上がる人ほど強いものはない。人生死ぬ気になったら何でもできる。元気を与えてくれる本でした。

折れそうな心の鍛え方


昨年は東日本大震災などがあったりして多くの命や大切なものを失った方も多いのではないでしょうか。新年になり気持ちを新たに何とか奮起しようと思うけれど喪失感と脱力感に苛まれなかなか現状を抜け出せないで居る方に読んでいただきたい本です。

この本では、「人は自分で越えられる悩みや落ち込みしか抱えない。」と言っています。例えばお金の失敗といっても3億円なくすことができる人は限られているし、3000人もの部下を全滅させたという人は少数です。そう「自分のキャパを超えない範囲の不幸しか、自分には訪れない」のです。

底が見えないプールをずぶずぶず沈んでいくのは根拠なき不安と同様におそろしいものだけど、「絶対に底はある。しかもそれは自分の耐えうる底なのだ」と思っていれば、潔く沈んでいくことができると言っています。

では具体的にはどのように乗り越えればいいでしょう?松の木ではなくマングローブの様に生きろと言っています。私も昨年マングローブを見ましたが、水際にタコの足のような根が沢山張り巡らせた不思議な植物でした。台風がきたときに松のように一本が巨大でずば抜けた樹木ではなぎ倒されるけど、マングローブは1本1本は弱い木です。でも弱い木が多少は風にたわみながら寄り添って生えている方が嵐に耐えて生き延びることができます。

一発逆転を狙わずやれることは全てやる総力戦で、小さなガス抜きをすることが大事らしいです。
1.時間の経過
2.自分の状況を客観的に見る
3.周囲の力を借りる
4.できるだけたくさん泣き、笑う事に罪悪感を抱かない
5.多少でも代償を求めること
6.解決すること(向き合う事)

この中でも最も大事なのは3の周囲の力を借りることみたいです。話を聞いてくれる人の力を借りて、毒を吐き出すということが一番効果的だと言っています。本当にどん底の時は誰にも何も言えず、心の中でどんどん不安感や喪失感が溢れてきます。それでも周りの信頼できる人に少しでも話すことができるようになったら進歩だと思うのです。

最後の章で「大人たちよ、映画を観てもっと泣こう」という章があります。泣ける映画を見るのは心のデトックス効果があり極めて効果的みたいです。どのような映画で泣けるのかはその人の感性によって多少違うと思いますが、泣ける映画も紹介しています。

私は先日、マイウェイという映画を観ました。登場人物は皆自分の意志とは別に行動を制限され、心も踏みにじられ、生と死の狭間で何年も劣悪な環境の下生きていました。私は毎日お風呂に入り、体も行動も制限されていないし、自分でも天職だと言い切れる素敵な仕事を持っている。これ以上何を求めるのだろう?欲張りにも程があると思いました。映画はたった2時間で自分のキャパを超えた体験をさせてくれます。これからも多くの映画を観ていこうと思いました。

起業家・ベンチャー企業 支援の実務


ベンチャー企業とはどのような企業でしょうか?早稲田大学院松田教授によると「成長意欲の強い起業家に率いられたリスクを恐れない若い企業で、製品や商品の独創性、事業の独立性、社会性、さらに国際性を持ったなんらかの新規性のある企業」といっています。また、この本では「革新性という特徴をもった(又はもつための努力をしている)中小企業」と定義しています。

このようなベンチャー企業の定義から始まり、法制度、支援制度、IPOのメリットデメリットなどが書かれています。そして、開業前の事業計画や開業支援、会計や税務、資金調達や人事・労務について書かれています。
終盤になると企業評価の方法(DCF法や税務上の評価)や株式公開、資本調達、ストック・オプション、持ち株会、事業承継、M&Aにまで及びます。

ベンチャーではなくても起業しようとしている人は目を通しておくと良いかもしれません。

今年も一年お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
それでは、良いお年を・・・

任せる技術



タイトルを聞いてドキっとした方多いのではないでしょうか?私もそうですが、中小企業の社長や医療法人の理事長など、仕事を他の人に任せられない人が多いです。なぜなら、自分でやった方が早くて確実。教えるのはとても労力がいる。自分が思ったような結果にならない事が多い。やらせるには、まだ早い。など、理由付けはいくらでもあります。そう。任せられるのは技術なのです。任せられないのは技術がないから・・・自分を含めて反省です。この本の中で特に心に響いたものをいくつか紹介します。

1.無理を承知で任せる・・・できるようになってから任せるのではなく、任せるからできるようになると考える。
2.作業でなく責任を任せる・・・ 人は責任を負い、責任を果たすことで成長する。だからといって放ったらかしにしてはいけない。
3.任せると伝える・・・任せるといって自分流を押し付けてはいけない。任せると言う事は自分と違うやり方も受け入れるということ。
4.自分に矢印を向けるように指導する・・・「目標達成ができないのは不景気のせい」「期限内に提出できないのは仕事量が多いから」「チーム達成率が低いのは人事部が人員を補充してくれないから」このようにすべては相手が悪いと思っている人は成長しない。問題をすべて他人のせいにすることで自己正当化するようにさせてはいけない。問題は全て自分が変わる必要があるということを理解させる。
5.口出しを我慢する・・・これはかなり根気がいることですが、じっとこらえて我慢する。魚を与えるのではなく取り方を教えるということ。
6.定期的なコミュニケーション・・・上司からレベルの高い仕事を任されてストレスにさいなまれている部下にはどうしたら良いだろうか。技術的なアドバイス?励まし?叱責?そうではなく、この本では存在承認(アクノリッジメント)が必要だと言っています。達成したら誉める、しなければ誉めないという成果承認だけではなく、存在を認めて見守っているということを言葉で表すということです。これって、映画のカテゴリー「インビクタス 負けざる者たち」2010.3.23ブログのネルソン・マンダラ大統領の手法だと思いました。
7.スーパーマンを作ろうとするな・・・任せたいけど任せられる部下がいないよ。と嘆くのではなく、組合せのマッチングをうまく利用する。

任せる技術・・・必要ですね。。