崖っぷちの男

主人公の男ニックは元刑事、30億円のダイヤモンドを強盗した罪で禁固刑が確定します。ニックは脱獄し、高級ホテルの21階の窓の外の縁に立ち、自殺をほのめかします。警察官が説得しますが、ニックは女性刑事のリディアを唯一の交渉人として指名します。

映画の2/3くらいの時間はニックが高級ホテルの窓の外の縁に立っています。人を集め、注目され、メディアもどんどん集まってきます。何故逃げずにあえて目立つように人を集めるのか?

そう。ニックの真の目的は自分の無実の罪を晴らすこと。ダイヤモンドの持ち主がそのダイヤモンドを持っていると確信し、そのダイヤモンドを再び盗んで無実の罪を晴らそうとするのです。ダイヤモンドの持ち主の大金持ちはお金に物を言わせ、警察内部の人も操ります。何度も殺されそうになったりします。メディアの前でダイヤモンドを見せれば自分の罪は晴れるのに・・・

味方は弟と弟の恋人、父親だけです。自分意外の3人が命がけでダイヤモンドを盗み返します。何度もピンチになりますが、ニックは決してあきらめません。緻密な作戦を練っても想定外なことが何度も起こり、それにうまく対応しながら、時には運も味方につけてあきらめません。

交渉人の女性刑事はニックは飛び降りる気はない。でも何かをしようとしていると察知します。ニックが本当の事を明かすと女の感というやつでニックを信じて、裏調査をします。

ニックはこの女性刑事と見ず知らずの通行人(野次馬のひとりで金持ち優遇の世の中に反感をもつ男性)にも助けられ、最後の最後で無実の罪を晴らせるという映画でした。

映画だから結局うまくいくのだろうな。と予測は立つものの、想定外の失敗が続きます。もの凄く緻密に計画を立てたのにです。現実だったらどうだろうか?緻密に立てた計画がことごとく失敗したら、それでも自分はあきらめずに対応できるだろうか?しかも次から次へです。

まさに崖っぷち、命がけなのです。その必死さは、時として周りの知らない他人(この映画の場合、女性刑事や通行人)の心も動かします。現実でもそうですよね。どんなに緻密に計画を立てたとしても、想定外のことは起こるのです。それをリカバリーする能力は必須ですが、あきらめない心はもっと必須です。自分も頑張っていこう。と改めて思えた映画でした。

GIRL

映画の予告を観て何となく元気が貰えそうだと思って観ました。それぞれ立場が違うけど、仲の良い4人の女性(GIRL)の話です。

29才独身女性由紀子は「女の子はいくつになってもお姫様」という母の言葉を信じ今でも花柄ふりふりワンピース(ガールズファッション)を着こなす女性。30才を目前にこのままの私でいいのかと思いつつもムードのない彼やプロになりきれていない仕事に追われている。30才目前の女性の不安感みたいなものが伝わってきて悩ましい。

34才既婚子供なしキャリアウーマンの聖子は自分より年上の男性部下に仕事で足を引っ張られながらも頑張っている。夫は自分より給料が低いが優しい草食系男子。仕事でも女性管理職になりのっているところだが、子供の存在も気になる。仕事を取るか。子供をつくるか。うちの住宅ローンはどうするのか。なかなか悩ましい。。

34才独身女性の容子は恋するのが面倒になってしまっていたが、同じ会社に入社したひと回り年下の男性に惹かれていく。こんなの有り得ないと心の葛藤がまた悩ましい。

36才シングルマザーの孝子は6才の男の子と二人暮らし。仕事も育児も頑張っている。男親の役割まで全て自分ひとりで抱え込んでいる。シングルマザーを言い訳にしたくないと頑張り続けるが周りの声は、もう少し周りを頼っていいのでは?これもまた悩ましい。

どんな女性でも29才以降になったら、経験するような身近な題材が盛り込まれていて、女性であれば共感する部分も多いのではと思います。自分の人生とどこかしらかぶっているのではないでしょうか。

心に残ったキーワードは、
「男の人生足し算で、女の人生は引き算だ」
「結婚してても、してなくても、子供がいても、いなくても、女の人生半分はブルーで半分はピンク」
「女はつくづく生きにくい。それでも次に生まれ変わっても女(GIRL)でいたい」
妙に納得してしまうキーワードでした。

happy-幸せを探すあなたへ

幸せとは何かということを様々な方向から検証した映画です。ドキュメンタリーな画像と様々な分野の専門家が「幸せを感じるための説」を展開しています。不幸が測れるのだから幸せも測れるのではないか。それをどう測定するかというところから始まります。

興味深かったのは、幸せの尺度は50%が遺伝的要素(一卵性双生児は同じ感覚例えばポジティブ思考であったり、ネガティブ思考であることが同じ場合が多い)で10%が意外だと思われるかもしれないが外部環境要因(例えば、収入であったり地位であったり容姿の良さであったり)で残りの40%は簡単に言えば心の問題だというのです。

人は幸せを外部環境要因のせいにすることが多いのですが、ここ数十年の統計をとると収入は2倍以上になっているのに、幸せだと感じている人の割合は今も昔も変わらないとのことです。つまり、外部環境要因が重要なのではなく、残りの40%を鍛えることができれば誰もが幸せを感じることができるのです。

そのためには何をするか。生活に少し刺激を与えると良いとの事で、いつも走っているマラソンコースを違う道を走ってみることでもいいそうです。フローの状態(人間がそのときしていることに完全に浸り、精力的に集中している感覚―wikipediaより)を生活に与えると幸せだと感じる時間が増えるといいます。フローの状態をつくるのに一番鍛えられるのが、瞑想で禅やヨガが手っ取り早いやり方です。

反省日記ではなく良いこと日記をつけることも有効で、自分が他人のためにその日に何をやったかを日記に書くというものです。例えば道のごみをゴミ箱に捨てたでもいいし、他人の時間制パーキングにお金を入れたでもいい。自分が他人にしてあげたことを書くだけで、そのような行為を意識的にすることができるようになり、その日記を書く前と書き続けた後では幸せだと感じる比率が倍増したそうです。

その他にも様々なメッセージがこの映画には隠れています。私が一番印象に残ったのは、「自分にないものを他から求めるのではなく、自分が他人に何を与えられるかを考え、実行することが幸せになるポイント」ということでした。この気持ちの切り替えをすることが幸せになるための最大な事なんだと気付かされました。確かにないものを追い求めていてはキリがありません。限りなくその上があるからです。それより心の矛先を180度変え自分の持っている資源で他人に何をしてあげられるかということを考えた方が心が温かくなります。

心からこの映画に出会えたことに感謝します。

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

イギリスの初女性首相のサッチャー氏を知らない人はまずいないと思います。そのサッチャー氏の晩年を舞台にして、政治家時代や結婚した時や家族生活などを当時を振り返る形式で物語が進みます。晩年の主人公は夫に先立たれ、夫の幻覚を見ながら生活をしています。ここは実際に痴呆が始まっているということを言いたいのかもしれません。過去の政治家として頑張っていた頃、結婚のプロポーズを受けた時、双子の子供と海で戯れたシーン、女性蔑視の中政治家としてのぼりつめた様いろいろな思い出が走馬灯のように思い出されます。

晩年は夫に先立たれ、夫の幻想を見ながら、寂しい余生を過ごしている。思い出すことも大変だったことばかり・・・そんな風に描かれています。

サッチャー氏はイギリスで11年間女性首相として君臨しました。日本の首相の就任期間は短いので調べようとすると、何年ではなく何日と出ます。それでも就任期間が2,000日を超える人は過去に3人いて、伊藤博文氏は2,720日、吉田茂氏は2,616日、佐藤栄作氏は2,798日です。全て8年に満たない感じなのです。11年間も首相に在籍し、今から30年以上前の男性社会の中で首相になりました。日本は未だ女性首相は誕生していませんから、サッチャー氏が成しえた偉業はおそらく凄いことなんだと思います。

この映画を見て残念だと思ったのは、寂しい老人というのが前提として描かれていることです。また、過去の思い出も女性蔑視で首相になるのが大変だったとか、仕事が忙しく子供を顧みなかったとか・・・もっと違う目線から描いてほしかったと思います。おそらくサッチャー氏が11年も首相を務めたのはいやいやではなかったはず・・・それなりに達成感や充実感、家族への安心感などが必ずあったはずです。まぁこのような経験をした人は希少ですから分からなくて当然ですが、寂しいというのが前面に出すぎて、そのような部分があまり感じられなかったのが非常に残念でした。

ドラゴン・タトゥーの女

今月は確定申告などで忙しく、映画が1本しか見れませんでした。この作品を観た時、あぁこれをブログの感想として載せるのは厳しいな。「はやぶさ」あたりでも観に行こうかなと思っていたのですが、結局観に行けず、この映画の感想を書きます。

オープニングからプロモーションビデオでも観ているかのようなお洒落な音楽と映像から始まります。ポスターなどでも「誰がハリエットを殺した?」とサスペンスを匂わせるサブタイトルで楽しみにして観に行きました。結論から言うと感想を書くのが難しい重く暗い映画です。女性は特に不快感を持つ人が多いのではないでしょうか。

不快感を省いて感想を述べます。ミカエルという男性のジャーナリストが雑誌に載せた記事について相手から名誉棄損で訴えられ有罪判決を言い渡されます。その男性が主人公の1人です。仕事もなくなった彼はスウェーデンの大富豪からある依頼を受けます。40年前に親族であるハリエットが失踪した事件について調べてほしいというのです。40年間闇に葬られた難解な事件です。ミカエルは優秀なジャーナリストですが、その難解さに1人では無理だと悟り、自分の事を調べた優秀な探偵を探しだし助手として手伝ってほしいとお願いします。それがリスベットです。もう一人の主人公です。

彼女は細かい洞察能力と分析能力、そして行動力を持ちますが、彼女からは暗く重い過去が見え隠れします。二人の凄い能力によって40年前の難解な事件は少しずつ明らかになってきます。そんな映画です。真相も分かりますが、決して気分爽快にはなりません。それにしてもこの映画の中に登場する人物は変態ばかりで、こんな世界にいたらリスベットのようにおかしくなってしまうのも納得だと思いました。

麒麟の翼

東野圭吾氏の小説を映画化したものです。小説を映画化したものは、かなりの頻度で観ていますが、大体期待が大きすぎて、感想はいまいちというものが多いような気がします。ところがこの映画はとても良かったです。

日本橋にある麒麟像をご存じでしょうか?ALWAYSにも出てきましたが、日本橋にある架空の生物の麒麟に翼がついている橋の上にある像です。東海道、日光街道、奥州街道、中山道、甲州街道の五街道の起点として日本橋があり、その起点の象徴として麒麟がいる。ここから羽ばたくという意味で麒麟には翼がついているらしいです。

何故男は瀕死の重傷を負いながら麒麟の翼像まで歩いてきたのか?という謎から物語はスタートします。この映画は何の情報も入れないで観に行った方がいいのでストーリーは言いませんが、様々なところにメッセージが隠れています。それを感じることが出来ればかなり楽しめます。

先生が生徒のためにと思ってした嘘が3年後に大きな津波となってやってくるというのが軸になっています。企業のコンプライアンスの問題や男女愛、親子愛なども盛り込んでいます。私が一番強く感じたメッセージは、始めは傷つきたくなくてついた嘘が時の経過とともに大きくなってしまうということ・・・

辛いかもしれないけど、その場で解決しなければもっと大きな傷になることが世の中には多いんだなぁと実感したことです。企業のコンプライアンスもそう・・・人はもっと強くならなくてはいけないとつくずく思いました。

ALWAYS三丁目の夕日’64

2005年に公開されたALWAYS三丁目の夕日に続き、2007年に公開されたALWAYS続・三丁目の夕日も劇場で観ました。シリーズ第3弾の作品です。今回は前回までになかった3Dで観ました。

このシリーズは第1弾からずーっとそうですが、笑いあり、ほろっとするような涙ありの作品です。今回は3Dで観たので夕暮れに浮かぶ東京タワーも綺麗でした。

私が生れる前のこの時代は人々が助け合い、近所や従業員も皆家族のように全員で応援します。特に男気のあるお父さんの堤真一のなんて素敵なんでしょう。。最近、このような男性はいませんよね?強くて優しくて、そして人情があるお父さんです。

携帯電話もない、パソコンもないこんな不便な時代だからこそ、みんなで助け合って生きていたのでしょうか。生活が便利になるのはある意味こういういい部分がなくなっているのかなとも思いました。

朝日より夕日、東京スカイツリーより東京タワーが好きな人は楽しめるのではないでしょうか。

2011年映画鑑賞

今年は映画を44本観ました。その中で最も印象が残った私の好きな映画「BEST3」はこの映画です。

1位 八日目の蝉・・・2011.5.3のブログに載せた作品です。ブログにも書きましたが何しろ号泣もので女性の生命力というか力強さをまざまざと感じた作品でした。

2位 RED・・・これは今年の2月に観ましたが、2月のブログにはジーン・ワルツを書きました。なので感想は書いていません。。REDとはRetired(引退した)Extremely(超)Dengerous(危険人物)の略で、ズバリ全く期待しないで観に行った映画です。年金受給者が暴れる映画くらいにしか思っていませんでした。主演のブルース・ウィルスはじめモーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ブライアン・コックスなど魅力溢れる人間味のある人たちが沢山出てきます。特にその位の年代で唯一の女性ヘレン・ミレンの何とスタイルの良さとカッコよさに惚れ惚れした映画でした。こんな風に年を経たらどんなに素敵だろうと思わせてくれた映画でした。

3位 ワイルド・スピードMEGA MAX・・・2011.10.21のブログにも書きましたが、気分爽快になる映画でした。これも人間味の溢れる人たちが沢山出てきます。

来年も沢山の映画を観てブログに載せるつもりです。

マネーボール

アスレチックスのゼネラルマネージャーのビリーは、元メジャーリーガーでした。彼は「チームには金を持っているチーム、貧乏のチーム、その下がクズ、その下がこのチームだ」と言い、せっかく育てたチームのエースを次々と他の球団に3倍の報酬で取られてしまいます。

野球チームは初めから不平等なのです。その中で勝つためにエール大学経済学部卒業のピーターの統計を基に評判が悪いが出塁率の高い選手を集め勝利に導いていくお話です。

それは統計を取って割安株を探すのとよく似ていました。故障者、高年齢、遊び人、評判は悪いが出塁率の高い人を次々とトレードします。勿論ベテランスカウトマン達は大反対。野球は統計じゃない。長年の経験と実績だと猛反対です。それでもGMであるビリーはそれらの反対に屈せず推し進めます。味方はピーターだけです。

やっとのことで希望選手をお買い得価額でゲットしますが、今度は監督が思うように動いてくれません。メンバーは自分が決めると言い張るのです。故障者で元キャッチャーだった選手を1塁に守備させるように頼みますが、あいつは1塁は無理だやったことがない。と言って違う選手を1塁に守備させます。そうやっているうちにアスレチックスは連敗を重ねます。ビリーの作戦は間違っているとマスコミやメディアで叩かれます。ビリーは強硬手段に出て1塁の守備選手をトレードしてしまいます。他にいないので仕方なくビリーのお勧め選手を1塁にします。その後さまざまなトレードを繰り返し、実際の契約金は安いが統計上の数字(例えば出塁率など)が良い選手を集め次々に勝利していきます。

先日のカテゴリー本2011.11.23で「任せる技術」の中にもありましたが、1人のスーパーマンを求めるのではなく、3人でスーパーマンになるようなチーム作りをしたのです。スーパーマンは高いのでゲットできません。また、折角スーパーマンに育てても、高い報酬で他のチームに取られてしまいます。それならば、複数人で完成するようなチーム作りです。資金や知名度が低い中小企業の経営のようなものです。

この映画にはもう一つ山がありますが、それは観てからのお楽しみ。。物語のような実話です。落胆と喜びが波のように次々と襲ってきます。喜びより落胆の部分の方の描写が多くとても胸が痛く、苦しくなりました。

ワイルド・スピードMEGA MAX

前科者のドミニク(マッチョ)と元FBI捜査官のブライアン(イケメン)、ブライアンの恋人でドミニクの妹のミア(美女)を中心に個性のある仲間をむかえ、裏社会の黒幕から1億ドルを奪うというお話です。

イケメンとマッチョと美女が沢山登場する映画で見渡す限りこの3種類の人間しかいません。猛スピードのカーチェイス映画だと思っていましたが、そればかりでなく人間味溢れる温かい、そして気分爽快になる映画でした。

ルパン三世に似た悪党からお金を奪うという設定、それぞれ個性の強いキャストの人間味溢れる人柄、強固な仲間意識、スピード感あふれるカーチェイス、イケメン、マッチョ、美女、何を見ても明るい気分になってしまう、見終わった後の気分爽快感は今年ナンバーワンです。なんか幸せな気分にしてくれる映画でした。

すっきりしたい方、晴れやかな気分になりたい方にお勧めです。