ゲーム論(ミニマックス戦略)

誰かが勝つと誰かが負けるゲームをゼロサムゲーム(ゼロ和ゲーム)といいます。これは成熟した産業で市場が飽和した状態では、既存のパイをみんなが取り合って競争が激しくなるというものです。市場シェアが飽和した状態になると、全体の和は一緒なので誰かがシェアを取るとその分誰かのシェアが減るという和がゼロ(プラスとマイナスが相殺される)になるということでゼロサムゲームと呼ばれます。

ゼロサムゲームに効果的な戦略としてミニマックス戦略というものがあります。ミニマックス戦略とは、マックス(最大)の損失をミニ(最小)にするというものです。



自分はa1.a2.a3という手があるとします。相手はs1.s2.s3という手があるとします。表に記されている数字は自分側の利益です。自分の数字が少ないほど相手側が多くの利益を得ているという設定です。ミニマックス戦略を考えた場合、自分はどの手を使うべきでしょうか?

答えは、a3です。
a1の場合相手の出方によって(相手がs1の手を選んだら)自分は15の利益が得られます。また、a2の場合でも相手の出方によって8や7の利益が得られます。それなのに何故a3を選ぶべきなのでしょうか?これは、a3が一番損失が少ない(相手が何を選んでも3の利益が得られる)だけではなく、相手はs3しか選ばないのです。相手にとってはどの場合でもs1よりs2の方が有利(数字が少ない方が相手にとっては有利です)でS2よりs3の方が有利です。つまり相手はs3以外の手は選択しません。目先の利益に目がくらみ相手の手も考えずにa1を選択していたら、-6の損失を被るところでした。

なぜ損失を最小にすることが重要なのでしょうか
例えばあるギャンブルで、勝ったら持ち金が1割増え、負けたら1割減るとします。当初掛け金は100万円3回勝って3回負けたら当初掛け金はいくらになるでしょうか?

3回勝って3回負けたから100万円?
違います。100万円×1.1×1.1×1.1×0.9×0.9×0.9=970,299円

私は最初に3回勝って次に3回負けるという算式で示しましたが、3回負けて3回勝っても同じ結果になります。また、勝や負けがランダムでも同じ結果になります。つまり、順序は不同でも3回勝って3回負ければ、100万円の元金は3万円近くも損をすることになります。ですから、勝負では勝つことより、負けないことが大切なのです。

ゲーム理論(合理的なブタ)

ゲーム理論で有名な話として前回、囚人のジレンマのお話をしましたが、今回は合理的なブタと名付けられているゲームのお話をします。

大きなブタと小さなブタが1つの檻の中にいます。檻の中にレバーがあってそのレバーを押すと餌が出てきます。でも餌が出る場所はレバーの反対側です。レバーを押したブタは反対側まで走らなければなりません。しかし、押さなかったブタは餌場で待ち受けていて、先に餌を食べることが出来ます。

小さなブタがレバーを押すと大きなブタが先に全て食べ尽くしてしまいます。しかも小さいブタは体力を消耗します。
大きなブタがレバーを押すと小さいブタが先に食べ始めますが、全て食べる前に大きいブタが駆けつけて大きいブタも食べることができます。(独り占めはできませんが・・・)
両方のブタが同時にレバーを押すと、2対1の割合で大きいブタの方が沢山食べれます。
両方のブタがどっちもレバーを押さないといつまでも食糧にありつくことはできません。

その時の利益を表にした場合、下記のようになります。




どちらのブタがレバーを押すでしょう?

答えは、大きなブタがレバーを押します。

小さいブタの表を見て下さい。小さいブタは押すを選ぶと相手が押したら1の利益、相手が押さなかったら-1です。それに比して待つを選ぶと相手が押したら2の利益、相手が待ったら0です。相手がどちらのパターンで来ても小さいブタにとっては、自分が押すより待つ方が有利です。ですから小さいブタはひたすら待つ方を選択します。大きいブタは自分も待っていると永遠に餌にありつけないため自分が押すしかないのです。

このように小さいブタは大きいブタを利用して最良の方法を手に入れています。

この小さいブタが大きいブタに勝つ方法は、しばし、中小企業が大企業に勝つ方法に比喩されます。では、中小企業が大企業より優れている点は何でしょうか?

1.大企業は会議や稟議を経ていないと実行されないが、中小企業は社長の一存で物事が実行できるためスピードがある。
2.大きな企業は過去の実績にとらわれ固定概念に執着する恐れがありますが、中小企業は実績もないので斬新で画期的なやり方(イノベーション)が出やすい。
3.大企業は予算に縛られることがあることから、モラルハザードを起こすこともあるが、中小企業は管理者がしっかりしていればその点は他の従業員にも浸透しやすい。
4.大企業は合理的に考えるのが得意だが、合理的に考えているという自負が災いし失敗することがあるが、中小企業はその時に応じ臨機応変にできることがある。
5.大企業は成熟産業で競争している場合が多く、利益率が低い場合が多い(コストリーダーシップ戦略)が、中小企業はだれもやらないそもそも狭い産業で争っている場合(ニッチ戦略)があり、利益率が高い場合がある。

どうですか?中小法人も捨てたものじゃありません。自らの強みを生かして体力のある組織を作ることは大小問わず可能なのです。

ゲーム理論(囚人のジレンマ)

ゲーム理論で有名な話「囚人のジレンマ」についてお話します。

囚人AとBはある犯罪の共犯者であると疑われ逮捕されました。今2人は別々に拘束されているので、相棒がどんな対応をするのかお互い分かりません。

検事が2人に示した条件は下記の通りです。実はまだ証拠が不十分な状態なのです。

①2人とも黙秘すれば、懲役1年ずつである。
②2人とも自白すれば、懲役2年ずつである。
③1人が自白し、1人が黙秘すれば、自白した者は釈放、黙秘した者は懲役3年

どれが有利か?

これを図にあらわすと下記のようになります。



Aが自分でBが相手だと思って考えて下さい。

まず、相手が黙秘した場合、自分が黙秘なら1年、自白なら0年なので、自白の方が自分にとっては有利です。

相手が自白した場合、自分が黙秘なら3年、自白なら2年なので、自白の方が自分にとっては有利です。

相手が黙秘を選択しても、自白を選択しても自分にとっては自白の方が有利なので、ゲーム理論的には、自分にとっては自白を選択した方が有利になります。

では、本当に自白が最良でしょうか?

損なはずの黙秘を2人とも選ぶと、2人の刑期は1年ずつで、自白の場合(2年)より有利なのです。ただし、相手が自白を選択したら、自分は3年になってしまいます。これが、囚人のジレンマです。得だと思って選んでも損だと思っていた選択の方がまだ良かったという訳です。

ちなみに私がビジネススクールでこの授業を受けた時、この問題を出され、自分ならどうするか?と聞かれ紙に書いて提出させられました。私は「ゲーム理論的には、反するかもしれないが、自分は黙秘を選択します。なぜなら、自分が自白して相手が黙秘した場合、自分は0年になるが、相手が3年になってしまう。相手は私に裏切られたという思いで3年過ごすことになる。そんな思いを相手にさせるくらいなら、その逆の方がまだまし。」と答えました。

このように、個人には感情や信念があるので、ゲーム理論的に正解だと知っていたとしても、そちらを選択しない場合もあるのです。カテゴリー映画のSP-革命編-でもお話しましたが、人間は、特に個人は必ずしも合理的選択をするとは限らないのです。したがって、ゲーム理論はもう少し、集団的なもの、例えば企業レベルや国家レベルで使われています。

ゲーム理論

ゲーム理論というのを聞いたことのある人は多いと思います。ゲーム理論は相手とのゲーム(戦い)に勝つための理論(手法)です。ゲーム理論は行動科学のひとつで相手がいることに意味があります。例えば自己啓発などは己との戦いなので目的達成は比較的可能ですが、相手がいる場合、必ずしも自分が理想とする方向に行くとは限りません。もしかしたら、相手の出方によって自分にとって最悪の結果になることも充分ありうるのです。

例えば、自分の会社は自分を含め他の2人のパートナーと一緒に経営をしているとします。他のパートナーをAさんBさんとします。それぞれ引退の時期になり、それぞれが自分の推薦する候補者を各1人ずつ連れてきます。Aさんは山田さんを推薦しています。Bさんは鈴木さんを推薦しています。自分は齋藤さんを推薦しています。それぞれが違う人を推薦するので話になりません。そこでAさんが言います。「まず、鈴木さんと齋藤さんで多数決を取って、勝者と山田さんでまた多数決をしましょう。」自分は少し不満ですがAさんに文句を言えないので同意します。そうするとどうなるのでしょうか?それぞれの優先順位が図のようになるとして考えてみて下さい。


まず、鈴木さんと齋藤さんです。Bさんは鈴木さん、自分は齋藤さんに挙手しますね。Aさんは齋藤さんと鈴木さんなら齋藤さんの方がいいので、齋藤さんに挙手します。

2回戦目です。勝者の齋藤さんと山田さんです。Aさんは山田さん、自分は齋藤さんに挙手します。Bさんはどうでしょうか?Bさんは自分の第一候補が敗れてしまい山田さんと齋藤さんなら山田さんの方がいいと考えています。従って山田さんが次期社長となります。

自分はどうすれば良かったでしょうか。「みなさんは鈴木さんと山田さんが次期候補にふさわしいと思っていますね。なら最初にこの候補で決めましょう」と言い決戦に持ち込めば1回戦目は鈴木さんが勝者、2回戦目は2回戦目は齋藤さんが勝者となり、自分の推薦する候補者を次期社長に就任させることができます。



浴衣4回目です。今回は前回のカテゴリー本で紹介した本を参考に浴衣を着物風に着てみました。


ブレインストーミンク(集団思考法)

ブレインストーミンクとは、会議方法の技法のひとつで、集団でアイデアを出し合うことによってよりよい新たな発想を生み出すことを誘発する技法です。

3人集まれば文殊の知恵というように、1人では出なかった発想が集団で会議することによって、よいアイデアが生まれるということがあります。その際、ブレストの4原則を守ることによって、よりよいアイデアが生まれると言われています。

ブレストの4原則
1.批判しない。
→他人の案を批判しないことです。これはとても重要な原則で自分がそれはちょっと・・・と思っても絶対に批判してはいけません。部下が言った意見を「それはこれこれだから現実的じゃないよ。」などと批判したりしたら、二度とその人は意見を言わなくなるでしょう。そこから何か生まれることもあるので、決して批判してはいけません。

2.量を求める
→とにかく沢山の意見を出すというものです。質にこだわるよりまず量です。量を出すことによって今まで見えていなかった間口が広がってきます。

3.自由奔放
→常識にとらわれず前提条件など無視して様々な意見を出すことが大切です。多少現実離れしているくらいの意見がないとダメです。イノベーションの発見は大抵常識外れな発想から生まれます。

4.他人の意見に相乗りする
→他人が言った意見に別のアイデアを結合させたり、変化させたりすることによりより深いアイデアが出ます。これは一番やりやすい方法で、あの意見はちょっと足りなかったけど、こうすることによりもっと良くなると考えるといいでしょう。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは論理的思考のことで、イメージとして論調打破して相手を打ちのめすというイメージを持っている方もいると聞きましたが、本質的には、難しいものを単純に誰が見ても(聞いても)分かりやすくして相手に納得し、または協調してもらうための思考方法のことです。

プレゼンテーションを例にとって説明しますと、まず、結論を言い、次に理由をいいます。そして具体例を述べて、締めとしてまた結論を言うのです。

これを口語的に言うと下記のようになります。

1.結論から申し上げますと・・・・→結論を先に述べて聞いてる人に最終的に何を言いたいのかを知ってもらう。
2.なぜならば・・・→結論の理由を述べて結論を納得してもらう。
3.具体的には・・・→具体例を述べてそれが現実味のあることだと理解してもらう。
4.再度結論を申し上げますと・・・→これで締めます。1で聞いた時には半信半疑だった方も4で聞くときには納得しているはずです。

難しいことをいかにも賢そうに難しく言うことは実は簡単です。専門用語を並べまくれば良いのです。それを出来るだけ分かりやすい語句で論理付けて相手に納得してもらうのはプレゼンテーション能力を高めるためには必要な技術だと思います。

リーダーシップ論

どんなリーダーが理想でしょうか?

こう聞かれた時、何て答えますか?意思決定能力が高い。責任感がある。従業員思いである。明確なビジョンがある。適切な指示を与えることができる。etc…たくさん挙げることができます。それで完璧でしょうか?また、それは全ての人に万能でしょうか?

リーダーシップ論の切り口はとても多いので今回は、状況対応リーダーシップについてお話します。上司と部下との関係において、部下の能力と意欲の高いか低いかで上司の対応を変えるというものです。

能力が低く意欲も低い場合、指示命令口調型で接します。能力が低いが意欲が高い場合、説得型で接し、説明を加えて納得してもらいます。能力が高いのに意欲が低い場合は、参加型で接し、何かの役を任せるというのもいいかもしれません。能力も意欲も高い場合には、委譲型で接し、完全に任せるようにするといいのです。

よくテレビドラマなどで、劣等生ばかりの高校の教師に熱血型の教師がいて、ヒーローになったりしたり、逆に名門校の教師が生徒に殆ど口を出さないのは、ある意味状況対応リーダーシップを発揮しているのかもしれません。

リーダーシップというのは、決まったものではなく、フォロワー(今回は部下)の習熟度によってリーダーシップのあり方も変化するのです。

マインドマップ



マインドマップとは、トニー・ブザンが発明したもので、頭の中のアイデアやイメージをそのまま描写したノートのようなものです。上記の図は1冊の本をマインドマップにより描写したものです。

①まず、大きな紙を用意します。私は大きめなスケッチブックを使いました。

②次に中心に本題のイメージ図を書きます。今回は本だったので本の題名からイメージできる図を書きました。この部分は簡易なマインドマップもどきですと、本の題名をズバリ書いたりしますが、正式なマインドマップは必ず絵で描きます。このセントラルイメージとなる図はできるだけ、多色で多彩に描いた方が後のマップが豊かになると言われています。

③真中から放射線状に枝を描いていきます。まるで木から枝が伸びるように自由に描いていきます。

④枝の上には単語を載せます。1ブランチ、1ワードで文章ではなく、単語にすることがポイントです。

⑤たくさんのカラーペンで自由に描いてみます。楽しんで脳を遊ばせながら描くことが大切です。

私は本を読むときマインドマップを使います。例えば、1つの論文などを書く時、同じような参考文献を何冊も読むときってありますよね。読んでいるうちに3冊前に読んだ本の内容をあまり覚えていないという経験はありませんか?そうなのです。似たような本を何冊も読んでいると分からなくなってくるのです。活字で読んだものは印象に残りにくく、忘れやすいものです。それに比べてイメージで読むと忘れにくいのです。小説などは自分でイメージを付けながら読んでいるので忘れにくいですよね。ですから、読んだらすぐに、まだイメージが残っている段階でマインドマップに書いてしまうと、あの本の内容は??と思った時にマインドマップを見ると不思議と内容が蘇るのです。まるで忘れかけていた箪笥の引き出しをあけるかのように・・・

私はマインドマップは主に本を読むとき活用しています。しかも実用書や啓発本などのとき威力を発揮します。ただ、小説にはあまり向きません。まぁ、小説はイメージしやすいので必要ないとは思いますが・・・

その他にもビジネススクールで授業ノートをマインドマップで書いていた方も何人か知っていますし、突然の閃きメモのようなものも、マインドマップで描くことが多いです。

イメージで描くのは活字で覚えるより、記憶に定着しやすいです。活字を覚えるのは左脳の仕事で、イメージなどは右脳の仕事なので、双方を使うことによってより記憶が確かなものになるのだと思います。

バランス・スコアカード


経営の数値だけ見ていても、全く経営がよくならない時ってありますよね。財務的視点は勿論大事です。経営状態が悪いと企業の存続も危ぶまれるからです。でも、経営成績だけがすべてでしょうか?

財務的問題がどうにもならない時、他の視点で経営を見るというのが大事です。

バランス・スコアカードはキャプランとノートンがあみだした戦略的マネジメント手法です。それは、短期的に企業を見るのではなく、短期的にも長期的にも企業の成長を促し、トップの経営戦略を現場に落とし込むといった手法です。

財務的視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点のそれぞれの視点から企業を見つめ、組織力をUPし結果的に財務的にも良くなるという方法です。

ここで最も大事なのが、経営者自らの経営理念です。全従業員が一丸となって企業のあるべき姿に邁進すれば良くなることは目に見えています。

ただでさえ、ルーチンワークで辟易している現場に余分な仕事が増えたと感じさせずに、わくわくした未来を与えることができれば、成功への道を掴んだようなものです。

バランス・スコアカードのマネジメント手法は上記の図のように行います。

思考プロセス

思考プロセスは、根本的な原因を把握し解決するための問題分析手法です。

改善にあたって
①何を変えるか→現状問題構造ツリー:抱えている問題(UDE)を6~10個挙げます

②何に変えるか→対立解消図:UDEを3つ選択しそれぞれの対立図を作る。その後1つの中核対立図にまとめる。そして根本原因が明確な対立解消図を発見する。→未来問題構造ツリー:対立解消図をシュミレーションしてみます。

③どのように変えるか→前提条件ツリー:実行のためのロードマップ→移行ツリー:どのように変えるかを具体的に描くこと

企業に潜む問題はこれらを順序立ててやる方が効果が上がるようです。なぜなら企業の問題は根強く、様々な問題が絡み合っているからです。また、改善にあたって障害になるのは悪しき慣習であったり、方針又は思い込みであったりもします。

これらは、独立して使うこともできます。個人の問題であったり、単純な問題であるような場合は対立解消図が効果的です。数人のメンバーにおいて、考えや方針が違ったりする場合があります。それでも結論はチームを良くしたいだったりする訳です。プロセスの違いに差異がある場合、自分が支持するプロセスを下に書いて、相手の支持するプロセスを上に書いてみます。なぜ??を繰り返し、検討することでお互いの妥協点というかお互い納得する結果が導かれたりします。

私はビジネス・スクールでこの手法を学んでから、自分の中の葛藤をこれで確認したりしています。自分は今とりあえず、下の行動を支持してるけど、こうやりたいという気持ちもあるんだということを上に記載して、頭の中のモヤモヤを打ち消すのにとても役に立っています。