デットエクイティスワップ

デットエクイティスワップ(DES)とは、Ded(債務)とEquity(株式)をSwap(交換)することをいいます。債務である借入金を株式化すると言えば分かりやすいと思います。

例えば、債務超過に陥った企業に対し、借入金を有する金融機関が債務免除をしたとします。金融機関は借入金全額について丸々損をします(貸倒損失)企業側は債務を免除してもらったので、(借方)借入金 ○○○/(貸方)債務免除益 ○○○という仕訳が生じます。債務免除益は収益になるので、有税(税金の対象となるという意味です)となります。

では、この借入金についてDESした場合はどうでしょうか。借入金が減って、株式となるので、会社側の仕訳は(借方)借入金○○○/(貸方)資本金○○○となります。

企業側にとっては、債務超過が解消され財務状態がすこぶる良くなります(自己資本比率の上昇)また、金融機関は債務免除にしていたら、丸々大損だったのが、株式に変換されたので、利益が出るようになったら配当を受取れますし、株式の時価が上昇すれば、株式を売却して利ザヤを稼ぐこともできます。

この方法はしばし中小企業の役員借入金についても応用されています。社長や理事長はご自身の法人が経営不振に陥った時しばし身銭を切って法人に貸付けます。しかも無利子で貸したりします。どうせ返ってこないのならと財務状態を良くするためにDESが利用されることもあるようです。

生命保険の個人活用

沢山の方の確定申告をしていると、年間で何百万円も個人で生命保険を支払っている事例が見られます。本当にそんなに保険が必要でしょうか?

独身時代、結婚、子供の誕生、自宅の購入、子供が独立後、老後、それぞれのライフプランの段階によって生活に必要な金額は変化します。例えば子供が誕生してから独立するまではある程度の保障も必要ですし、住宅の借入金の返済についてもある程度計画が必要です。

住宅を購入するのなら本来25歳位で住宅を購入しないと定年退職時(60歳)までに借入金が完納できません。最近では晩婚化が進み40歳を超えてから住宅を購入するケースも見受けられます。退職時までに住宅借入金が返済できない場合には、その分のキャッシュも必要になります。

ですから、必要な保険金の額はその方の生活スタイルや借入金の有無などによって違ってきます。

相続税の観点からみると保険金の非課税枠を活用するのが良いと思います。現金や預金で財産を残すと丸々相続税の対象となりますが、保険金は非課税枠があるからです。保険金の非課税枠は相続人1人当たり500万円です。配偶者と子供2人の場合、相続人が3人ですので、500万円×3人=1,500万円までは税金がかかりません。

また、死亡退職金についても相続人1人当たり500万円まで非課税なので、その個人がオーナー企業をお持ちの時は、法人に保険料を支払ってもらい、死亡時に死亡退職金の現金がなくて死亡退職金が支払えないといったことも回避することができます。

会社を経営されている方は個人で支払う保険金と法人で支払う保険金のバランスを考えることにより、個人も法人もベストな方法というのが必ずあります。ですから、ライフスタイルの変化によって保険を見直す必要があるのです。

リバースモーゲッジ

2010年の独身率は20代後半男性で71.1%女性で59.9%、30代前半男性で46.5%女性は33.3%、50歳(生涯未婚率というらしい)で男性19.4%女性は9.8%になっています。今や30代で男性は約半分、女性は1/3の人が独身、生涯結婚しない人も男性で5人に1人、女性でも10人に1人という時代です。

結婚のテーマは重いので今回はリバースモーゲッジについてお話しようと思います。相続人のいない独身者には有効な手段だと思います。

リバースモーゲッジとは、金融機関から自宅を担保に借金(年金という形で受取ります)をして、最終的に自宅は金融機関のものになるというものです。相続人のいない単身者は活用してみるのもいいかもしれません。しかしリスクもあり、受け取る年金は死亡時を予測して設定するのですが、予定を超えて生きてしまった場合や、年金が満額になる前になくなってしまう場合などもありますので、リスク管理も必要です。

ただ相続人に財産を残す必要がないのであれば有効な手段でしょう。




浴衣7回目です。浴衣のネタがなくなったので実は夏着物です。グレーの着物は何色とも相性が良くてびっくりしました。地味な着物ですが、帯によって雰囲気が変わります。

2011年度税制改正2

今回は6月下旬に国会で成立した法案のうち金融取引や年金、贈与に関することについてお話します。

・証券優遇税率
上場株式等に係る譲渡益や配当金については、現在10%の軽減税率が課されています(上場企業等でなければ20%)この10%の軽減税率が2013年まで延長されることになりました。

・デリバティブ店頭取引
デリバティブ店頭取引は今まで総合課税だったので、高所得者は50%の税率が適用されてきましたが、2012年からは20%の申告分離課税になり、損失が出れば3年間繰り越すことができるようになりました。

・地金の売却
地金や金貨を取引業者に売却する場合で売却額が200万円を超える場合、「支払調書」が税務署に提出されるようになりました。これは、どういうことかというと、200万円を超える地金取引があった場合、確定申告書を提出しないと、税務署からお尋ね(確定申告書を提出する義務があるのではないですか?という通知)が来るということです。確定申告書の提出期限は翌年の3月15日ですから、それを過ぎて提出した場合、延滞税等の余分な税金がかかることになります。

・年金受給型生命保険金
こちらについては2011年1月5日のブログでお話したことですが、
http://www.hy-tax.com/blog/2011/01/post-58.html
2000年から2005年分の納め過ぎの所得税についても2012年6月29日までの間であれば還付請求できることになりました。

・住宅取得資金の贈与の特例
父母・祖父母等から住宅購入資金の非課税はあくまでも住宅という建物に係るものでしたが、アイホームの新築に先だって取得する土地についても対象になります。ただし、贈与の年の翌年3月15日までに新築する必要があります。

雇用調整助成金

東日本大震災の影響で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持するために休業などをした場合、休業手当などの負担相当額の2/3(中小企業の場合は4/5)が助成されます。

事業所倒壊などの直接的な影響によるものや避難勧告などの法令上の制限を理由とするものは対象外です。それらについては助成金ではなく、労働者が離職していなくても労働者に対し失業手当が支払われるからです。

雇用保険助成金の上限は1人1日当たり7,505円です。

支給要件
1.雇用保険の適用事業主であること
2.生産量または売上高などが最近3カ月間の平均値がその直前または前年同期に比べ5%以上減少していること
(1)青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、長野県、新潟県の災害救助法適用地域に所在する事業所の場合、以下の特例があります。
①最近3カ月としている生産量または売上高を最近1カ月で判定できる。
②震災後1カ月の生産量または売上高が直前の1カ月または前年同期と比べ5%減少する見込みであっても対象とする(平成23年6月16日まで)
③事前に届け出る必要のある計画届の事後提出を可能にする(平成23年6月16日まで)
(2)以下の事業主についても上記①及び②の特定を適用します。
※(1)の特定の対象地域に所在する事業所と一定規模以上(助成金を受けようとする事業所の総事業量などの1/3以上)の経済的関係を有する事業所の事業主
※計画停電の実施地域に所在する事業所において、計画停電により事業活動が縮小した事業主

健康保険(現役並み所得者について)

病院やクリニックで診療を受けた場合、通常、健康保険組合や国民健康保険から7割負担が出て、残りの3割が自己負担になるのは有名な話だと思います。例えば、医療費が10,000円だった場合、7,000円は健康保険組合(社会保険や国民健康保険)が出して、3,000円だけ個人で窓口負担金を支払うのです。

小学校入学前の子供については、健康保険組合や国民健康保険が8割、自己負担が2割です。もう少し小さいと市区町村などによって年齢の違いがあったりしますが、全額公費負担だったりします。

高齢者の場合70歳から75歳までは健康保険組合や国民健康保険が9割自己負担が1割ですが、現役並み所得者については、現役と一緒の7割:3割になります。75歳以上のなりますと、保険制度自体が変わって後期高齢者医療制度になります。それでも負担額は70歳から75歳までと同様に9割:1割ですが、現役並み所得者は7割:3割です。

それでは現役並み所得者とはどの位の所得をいうのでしょうか?これは下記の区分によって分けられています。

1.70歳から75歳未満の健康保険組合加入者
標準報酬月額(給与)が28万円以上の場合。ただし、所得ベースで145万円、年収ベースで520万円(単身者は383円)未満の場合は申請することにより一般と同じ9割:1割になります。

2.70歳から75歳未満の国民健康保険加入者
1月から7月までは前々年、8月以降は前年で判断しますが、課税所得が145万円以上である場合。ただし、年収の合計が1人の場合は383万円未満、2人以上の場合は520万円未満であるときは、申請することにより9割:1割になります。

3.75歳以上の後期高齢者医療制度加入者
同一世帯に属する75歳以上の被保険者の所得と収入により判定されます。75歳以上が同一世帯に2人以上いる場合に1人でも課税所得額が145万円以上の人がいれば同一世帯の75歳以上の人は全員7割:3割になります。

ここでの違いは1は給与のみで判定されるため、その人に年金や家賃収入があってもその分は除外されますが、2や3の場合は課税所得で判定されますので、年金や家賃収入も含めたところで判定されます。

また、標準報酬月額や課税所得が基準以上であっても、所得ベースの基準はもう少し少なくなる場合がありますが、その場合申請が必要だということです。

労災保険

サラリーマンが入っている社会保険というのは、健康保険・厚生年金・雇用保険・そして労災保険です。え?最初の3つは給与から天引きされているけど、労災保険は払っていないなと疑問に思う人もいると思います。確かに健康保険と厚生年金と雇用保険は原則、雇用主と折半なので従業員も支払っています。労災保険は全額雇用主負担なので、従業員は支払っていませんが加入しているのです。

労災保険の給付は療養給付が有名です。業務中けがをした時や通勤中事故にあった時など、治療代の自己負担金が0円になるというものです。健康保険を利用すると、健康保険組合が7割を負担し、自己負担が3割ですが、労災保険を使うとこの自己負担3割も支払わなくて良いのです。ただし、申請が必要です。

労災保険の療養給付は有名ですが、その他の給付もあります。休業給付は上記の理由により労働できず、給与の支払いを受けなかった場合に平均賃金相当額の60%が給付されます。また、その療養が1年6カ月しても治らないで仕事ができない場合で一定の等級に該当する場合には、傷病年金がもらえます。1級から7級に該当する障害が残ったときには障害年金がもらえます。8級から14級に該当する障害が残ったときは、障害一時金がもらえます。また、上記理由により死亡した場合には、遺族に遺族年金が支払われ、遺族がいないときは障害一時金が支給されます。また、その場合死亡した人の埋葬をしたときは埋葬料・埋葬給付が受けられます。

損害保険の補償内容


火災保険などの損害保険に加入している方は多いと思います。ただ、それが、どのような補償なのか覚えている方はほとんどいないと思われます。今日は保険の種類の名前でおおよその補償があるかどうかが分かる表を作ってみました。細かい契約書を見なくても保険の種類でおおよその補償内容が分かります。表の中で○のものは補償があるもの。×のものは補償がないものです。参考にして下さい。

なお、表のなかにある地震火災費用とは、地震・噴火・津波を原因とする火災によっての損害が生じた場合、それによって臨時に生じる費用に対して、地震保険の契約とは関係なく地震火災費用保険金が支払われます。地震保険に入っていなかったからと諦めずに是非契約内容をご確認下さい。

資金係数(減債基金係数)


X円をY年後に貯めるには、毎年いくら積み立てなければならないか?を計算するための係数が減債基金係数です。

例えば、10年後に1,000万円貯めるために2%運用で毎年いくら積み立てなければならないか?

1,000万円×0.0913=913,000円

つまり、10年後に1,000万円のお金を貯めるためには、2%運用だと、毎年913,000円積み立てる必要があるということです。

資金係数(年金終価係数)


一定の金額を毎月積み立てると、X年後にいくらになるか?を計算するための係数が年金終価係数です。

例えば毎月5万円を金利2%で毎月積立てた場合、

5万円×12=60万円(年ベースにする)
60万円×10.95=6,570,000円

つまり毎月5万円を10年間積み立てた場合(金利2%で)10年後には657万円になるということです。