押印の必要性

最近、様々な書類の押印が必要なくなったという話を聞くと思います。そこで全ての書類について押印はいらないのでしょうか?という質問を受ける事があります。特に会社の議事録においてどうなのか?という質問です。そこで具体的な事例を挙げて説明します。

株主総会議事録:これは押印不要です。ただし、登記が絡む場合で株主総会議事録の添付が必要な場合は押印が必要です。代表取締役の登記の場合は議長及び出席取締役が実印で押印するか、代表取締役が会社の実印を押印して他の取締役は認印で押印します。

取締役会議事録:これは出席した取締役及び監査役が署名又は記名・押印します(会社法369条3項)
署名すれば押印の必要はありませんが、署名ではなく記名(パソコンなどであらかじめ印刷したもの)の場合は押印が必要です。登記の際に必要な書類になる場合は、署名ではなく、株主総会議事録と同じ実印押印もしくは代表者会社実印+認印が必要です。

合同会社の総社員の同意書:これは押印不要です。ただ、法令上は押印が不要であってもちゃんと会を行い同意したという証拠のためにも各社員が押印しておくのが望ましいです。

ChatGPT

最近巷で騒がれているChatGPTですが、とうとう自治体でも活用され出しました。神奈川県横須賀市が業務に活用を開始しましたが、今の課題は個人情報の流出だそうです。また、イタリアではプライバシーに関する懸念を理由にして利用禁止にしています。日本では禁止になっていないので早速ですが利用してみました、ChatGPTに「チャットGPTを簡単に説明して」と聞くと下記の回答がありました。

ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模言語モデルの1つです。GPTは、Generative Pre-trained Transformerの略であり、自然言語処理タスクを行うためにトレーニングされたニューラルネットワークです。ChatGPTは、多数のオンライン文章を学習して、自然な対話や文章生成を行うことができます。 これにより、ユーザーがChatGPTと対話することで、自然な言語による応答を得ることができます。ChatGPTは、様々な用途に活用されており、例えば、カスタマーサポートや人工無脳として使用される場合があります。

どうでしょう。なかなかスムーズな日本語ですよね。今までもスマホで「Hey!Siri」や「アレクサ」などは音声認識での人工知能的なものはありましたが、ChatGPTは音声ではありませんが文章でかなり精密に答えてくれるので、今後様々な場所や職業で利用されそうです。もしかしたら10年後はこの世の中は様変わりしているかもしれません。楽しみなような怖いような・・・見守っていきましょう。

年金繰り下げ受給

年金制度改正法では昨年4月より繰り下げ受給が従来の70歳から75歳に延長されました。これは原則65歳で受け取れる年金を繰り下げることにより(つまり支給を遅らせることにより)1カ月あたり0.7%が上乗せされるので、3年遅らせて68歳より支給することにすれば0.7%×36ヶ月の25.2%の増額となります。これまでの繰り下げる年齢の上限は70歳だったため42%の増額がマックスでしたが、75歳になったことにより最大で84%の増額となります。

つまり長生きする人は75歳まで繰り下げ受給した方が得しますが、短命な場合、例えば70歳まで繰り下げたが実際には68歳で亡くなったりすると1円も貰えずに亡くなるという事になります。その場合でも増額なしの金額が遺族に一括支給されます(遺族の一時所得になります)最終的に何歳まで生き続ければ繰り下げ受給が得になるのか?については、何と厚生労働省が目安を示しています。65歳で支給するよりも受給総額が多くなるタイミングとして70歳開始なら81歳まで生きれば多くなり、75歳開始なら86歳まで生きれば多くなります。長生き家系の人は考えてみてはどうでしょうか?

それ以外の注意点としては、厚生年金の家族手当と呼ばれる加給年金というものがあります。これは厚生年金に20年以上加入している人が65歳になった時に高校生までの子供がいたり65歳未満の配偶者(扶養されている配偶者のみ)がいると、1人当たり223,800円が支給されます。つまり受給年齢を遅らせて子供が高校を卒業してしまったりしていたら上乗せ支給も受け取れなくなります。ですから働いていない自分より若い妻がいたり、子供が遅い年齢で生まれた人などは計算が複雑になります。相談する士業は社会保険労務士ですが、年金事務所なども相談に乗ってくれます。是非ご活用下さい。

遺言書の保管制度

遺言は公正証書遺言が一番おすすめですが、公正証書にするほどではないけど、残しておいた方が良いかもという人のために、自筆証書遺言書の保管を法務局に申請することができます。自筆証書遺言は手軽ですが、紛失リスクや改ざんなどのリスクがありますし、遺言書が見つかった場合、裁判所の検認手続きが必要となります。例えば自宅から遺言書と書かれた封筒が見つかった場合、勝手に開封したりすると5万円以下の過料に処されます。ですからそのような封筒が見つかった場合、裁判所に検認の申立てをします。

検認の手続きは意外と面倒です。しかも相続人が行わなくてはならないため相続人に迷惑をかけたくない場合は、自筆証書遺言保管制度を利用しましょう。この制度は法務局が自筆証書遺言を死後50年間預かってくれるものです。画像データであれば死後150年間預かってくれます。自筆証書保管制度には通知制度があり、遺言者があらかじめ死亡時通知を希望している場合は、その通知対象とされた方に対して、遺言書保管所に保管されている旨のお知らせが届きます。また、相続人等の誰かが遺言書保管所において遺言書を閲覧したりすると、その他の相続人等全員に対して遺言書が遺言書保管所に保管されている旨のお知らせが届きます。

注意点としては、公正証書遺言と違って遺言書の有効性を保証するものではないため、できれば専門家に見てもらった上で保管することをお勧めします。遺言書保管制度についてはこちらの資料が詳しく載っています。⇒自筆証書遺言保管制度

残業60時間超要注意

2023年4月より中小企業も含めたすべての企業において1カ月60時間を超えた法定時間外労働の割増賃金率が50%に引き上げられます。例えば、時給1200円の人に残業代を支払う場合、今までは1.25倍の1500円でしたが、今後は60時間を超えた部分については1800円支払う必要があります。なお、深夜労働は今までも1.5倍でしたが、60時間超が深夜労働に及んだときは1.75倍になります。

残業が多い企業は今の内から対策に取り組む必要があります。今の内からやれることといえば、まず、60時間超の残業をしている人がどのくらいいるのか。また、3月までの金額と4月以降の金額の把握(差額がどれくらいになるのか)。残業超過者が一部の人に集中している時は、付き合い残業はないか。仕事がその人に集中していないか。などを検討し、3月までに人員体制などを見直す必要があります。

割増賃金率の引き上げは人件費の増加にもなりますので、1年間の時間外労働が同じであったとした場合、年間で人件費がどのくらい増加するのかも試算して経営会議にかけ時間外労働の削減の必要性を企業内で共通認識しなければなりません。もうあまり時間がないので早急に始める必要があります。

デジタル改革関連法案

デジタル庁が設置されて昨年施行されたデジタル改革関連法は6つの法律で構成されています。その法律は、①デジタル庁設置法、②デジタル社会形成基本法、③デジタル社会形成整備法、④公金受取口座登録法、⑤預貯金口座管理法、⑥自治体システム標準化法です。この中で今のところ税務に関連してくるのは、公金受取口座登録法と預貯金口座管理法です。

公金受取口座登録法はコロナの給付金を国民に支払った時に、各々の口座を市役所が把握していなかったことからスムーズな入金が確保されず入金されるまで何ヶ月もかかった人などもいたことから発足しました。登録はマイナポータルや金融機関の窓口でも申請可能です。登録されると行政機関から講座情報の提供が求められます。

預貯金口座管理法は、マイナンバーによって複数の預貯金口座の所在を確認できる仕組みを作るもので、相続時などに預貯金口座の所在を行政が確認できる仕組みです。金融機関は預貯金者に対してマイナンバーでの口座管理を希望するかどうかを確認することになっています。2018年から預貯金口座のマイナンバーの紐づけはできていますが、希望するかどうかの確認は今までなかったので、今後は確認が義務化されたことで口座とマイナンバーの紐づけを選択するかどうかの判断が必要になります。

FIRE

FIREという言葉をご存じだろうか?FIREとは「Financial Independence,Retire Early」の略で、早期退職をして経済的自立を目指すというものです。簡単に言うと早期退職を実現した後に資産運用などの所得で一定の収入を得る生活形態の事です。本屋さんに行くと分かりますが、FIREに関する書籍は山ほどあります。若いころから少しずつ資産形成して早期リタイアして資産運用だけで生活する方法であったり、完全リタイアせず、副業をしながら資産運用の副収入で暮らすやり方など、様々です。その中でも私がしっくりいった提案が、榊原正幸氏が推奨するFIREです。60歳までは嫌じゃない仕事を行い、ある程度のお金をためて株で運用するというものです。

若い頃(例えば30代くらい)から何もしないで資産運用だけで暮らすのはろくなもんじゃない(人間には社会生活も重要だから)が、嫌な仕事をやめて嫌じゃない仕事について、少しずつ株式投資をして60歳くらいまでに1億円(人によって違います)を投資資金にして年4%~5%で運用することができれば、年間400万円~500万円を元本を目減りさせることなく使えます。それで嫌じゃない仕事で年間100万円~200万円稼げば、年間500万円~700万円使えるというものです。年間生活費が300万円位であれば、嫌じゃない仕事で100万円稼いで株式投資で200万円稼げばよいわけです。4%運用なら5,000万円の元金、5%運用なら4,000万円の元金をためればいいわけです。

何となくリタイア後の生活は今までの貯蓄を取り崩すと考えるからリタイア後のイメージが暗くなってしまいますが、好きな事をして好きなように過ごせて、資産も目減りせず暮らせると思うとちょっと明るい気分になりますよね。そのために一番重要なのは、若い頃は好きな仕事か嫌じゃない仕事に就く事が重要と言っています。その中から少しずつ資産運用に回して、1年間に自分がどのくらいの生活費を使うのかを判定してその金額Ⓧを4%で割り返すと資産運用に必要な元金が分かります。60歳目指してその金額を投資して溜めるというものです。60歳までは投資運用益は元本に繰入て複利で運用してセミリタイア後は僅かな副業と運用益で生活するというものです。こんな生き方もあるのですね。参考になりました。

パート従業員の社会保険料適用拡大

今年の10月からパート・アルバイトの短時間労働者の社会保険への加入義務が段階的に広がることになります。9月までは従業員501人以上の事業所で加入が義務付けられていましたが、今年の10月(今月です!)からは従業員101人以上、2024年10月からは従業員51人以上の事業所はパート・アルバイトの短時間労働者も社会保険に加入させる必要があります。

具体的には、①週の所定労働時間が20時間以上、②月額賃金が8.8万円以上、③2カ月を超えて雇用する見込み、④学生ではない、この4つの要件に該当した場合、社会保険に加入させないといけません。③は9月までは1年を超える雇用の見込みだったのが2カ月になったことにより多くの短期労働者に対して加入義務が生じます。今月の社会保険の適用拡大では新たに65万人の労働者が加入対象になると言われています。厚生労働省と日本年金機構は2024年までを、集中対策期間に設定して加入の強化を図ろうとしています。

今回、国は本気で加入を強化しています。1つ目の取組として、2015年より国税庁から源泉徴収に関する情報提供を受けていて、違反が疑われる事業者に立ち入り検査を強化する予定です。また、2つ目の取り込みとして雇用保険加入者の情報を基に調査先を選定して立ち入り検査を強化する予定です。いずれにせよ面倒な目に合わないためにも早めの対策をした方が良いかと思われます。顧問の税理士や社会保険労務士に相談してみて下さい。

インボイス申請注意点

インボイスの申請が始まっています。当事務所でも何件か申請をいたしました。申請の正式な名称は「適格請求書発行事業者の登録申請書」です。e-taxか郵送で行います。記載事項は少なくあまり間違えないように思います。ただ、個人事業者の場合、注意が必要です。「適格請求書発行事業者の登録申請書」だけ提出すると、インボイス申請の検索をした時、個人名(例えば吉田久子)だけが載ってきます。もし屋号も載せたければ「適格事業者の公表事項の公表申出書」も併せて提出する必要があります。

これを提出すると、検索をかけた時、屋号(例えば税理士吉田久子事務所/リライアンス東京行政書士事務所)や事務所の所在地(例えば東京都豊島区西池袋5-5-21ザ・タワーグランディア701)も表示されるようになります。個人で事業を営んでいる場合はできれば屋号表示したいですよね。その場合、忘れずに「適格事業者の公表事項の公表申出書」も提出して下さい。国税庁のe-tax申請の場合、それを促すシステムになっているのですが、紙申請だとうっかり忘れそうです。ご注意下さい。

池袋経済新聞

先日、こんなサイトを見付けました。その名も「池袋経済新聞」です。以下参照↓
https://ikebukuro.keizai.biz/

このサイトは池袋の情報が満載です。池袋に事務所がある身としてはこれは押さえておかないといけない情報です。見る・遊ぶというコーナーでは池袋で行われるイベントなどの情報も記載されていてとても有用です。買うコーナーでは新店舗情報。暮らす・働くコーナーでは音楽のまちづくりプロジェクトの発足や草津までの高速バスができたことなどの情報が書いてありました。学ぶ・知るでも各種イベント情報や展示会などの情報が書いてありました。

早速ブックマークを付けたところですが、サイト右上にAREASのロゴがあったので、クリックすると何と池袋だけではなく、23区内は29ケ所、私が住んでいる文京経済新聞もありました。それだけでなく、北海道から沖縄まで様々な地域の〇〇経済新聞がありました。今まで知らなかった・・・旅行などに行く時もこれを見てから行くといい事ありそうです。皆さんのなじみの街もあるかもしれません。是非おためしあれ。