ご存じ直木賞を受賞した作品です。
私は年に何十冊か本を読んで、すぐにその本の中に入っていけるのですが、この本はなかなか入り込むことができませんでした。なんと言ったらいいのか分かりませんが、日常に溢れている暴力的な描写に目を背けたかったのかもしれません。何となく怖かったのかも・・・なかなか馴染めないまま読み進めた本です。

主人公の少年の祖父が何者かに殺されました。祖父は内紛や戦争で多くの人を殺した人物です。少年は祖父が大好きでした。少年は祖父が殺された事が心の片隅に残されたまま大人になります。少年は暴力的な少年期を経て、それなりに甘く切ない恋愛をして失恋もして、大人になり結婚をして子供ももうけます。それでも祖父は誰に殺されたのか?という疑問が常に付いて回ります。

ある写真をきっかけに犯人は分かるのですが、それは少年のよく知る人物でした。それには脈々と受け継がれる血というものを感じずにはいられませんでした。ネタバレするので言いませんが、台湾を舞台にしていますので、台湾から見た日本との関わり合いのような側面も垣間見れます。

全然関係ないですが先日テレビで、少年時代に両親を目の前で殺されその少年は捕虜として囚われて少年兵として地雷を敵地に埋め込む作業をさせられます。その少年が大人になり、自由の身になったとき、地雷除去の作業をボランティアでやっていました。自分が埋め込んだ地雷で何人もの命が失われた。 だから自分で地雷を除去しなければいけない。と言っていました。そして彼は言いました。「目の前で両親を殺されてその殺した犯人の顔を今でもはっきり覚えている。犯人を憎いと思う気持ちはある。でも、犯人を自分が殺したら、犯人の子供が僕を殺しにくるだろう。そして殺害は繰り返される。それなら、自分がそれを止めて地雷の除去をすることに決めた。」と言っていました。この言葉を聞いた時なぜか「流」を思い出しました。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

リーマンショックが起こることを予測して、それに債権の空売りや金融商品(スワップ)を組み合わせて、大儲けした実話です。一人のちょっと変わった天才が目論見書などをじっくり見て、デフォルト率などを算定し、サブプライムローンが破たんすることを予測して、空売りをしようとします。その時期、債権価格は上昇し格付けもAAAだったため、応対した銀行員などは狂った人が居たと飲み屋などでバカにします。その話を聞きつけたり、または、何らかの疑問点を持った何人かは、ある人は現地で家はちゃんと販売されて使われて住宅ローンも返済されているのか。などの調査やローンを組んだ業者に質問などをして、調査の結果、これは破たん間違いないと同じようなリスクヘッジをします。また、別なチームも資産運営会社で見た資料からその事に気が付き、有名な金融専門家の意見も聞き実行します。結局、その予測は当たり大金を手にします。

驚いたのは、サブプライムローンのデフォルト率が30%を超えても債権価額が上昇した点。そして、格付け機関もAAAの格付けを落とさなかった点です。異常です。債権価額が上昇すれはこれらの予測者たちは多くの保険料を支払わなくてはなりません。結局、ある投資会社の破産がされるまで、債権価額は上昇し続け、格付け機関も格付けを落としませんでした。これが事実だとすると(事実なのですが・・・)格付けなんて信頼できないと本当に怖くなりました。金融機関も格付け機関も国でさえ、この事実に目をつぶり、返済可能性のないローンをバンバン貸しまくりました。銀行も自社がローンを貸すのなら返済できなそうな人には貸しませんが、結局そのツケはサブプライムローンという債権にして、一般人に買わせてしまえばリスクを負うこともありません。損をするのは結局のところ債権を買った一般人なのですから・・・

あ~怖い怖い。そんな映画でした。それにしてもこれらに気が付いた4人(チーム)ですが、これが決定するまでは気が気じゃなかったでしょう。債権価値が上がれば自分たちは大損をします。しかも半端な額ではありません。実際デフォルト率が高まっても債権価格は上がり続け、格付けも落ちませんでした。私がこの人達の立場でこの情報を知ったとしてもこんな博打はしませんね。何しろ心臓に悪いし、生きた心地がしません。まぁ、この位のリスクを取らないと大金持ちにはなれないということですね。私は大金持ちにはなれそうにありません。

役員変更登記の期限切れ注意

平成18年に商法改正が行われ、取締役・監査役ともに任期が10年に延長することが可能となりました。以前は取締役2年監査役4年だったため、殆ど役員変更のない中小企業などは負担が軽減されました。ところが、次の登記が10年後なので忘れてしまいます。平成18年の改正時に行ったのであれば、もうそろそろ10年です。

役員等の変更がなかったとしても、10年ごとに重任の登記をしなければいけません。もし、任期を忘れて選任決議を行わなかったり、登記を忘れてしまった場合は、100万円以下の過料が科せられます。実際には遅延した期間に応じて数万円から10万円程度を請求されるようですが・・・

そして、最後の登記から12年経過しますと、自動的に解散登記されてしまいます。知り合いの顧問先が勝手に解散されてしまい、復活させるのが大変だったと言っていました。役員変更登記の時期と定款の内容を一度確認してみてください。

工数管理3

今年から私の事業において工数管理をやっています。2ヶ月近くやって、少しずつ各々の顧問先の状況も分かってきました。1月は償却資産税や法定調書の仕事があり、少し通常月とは異質です。また、2月も確定申告が始まるので、コンサル会社の仕事より税理士事務所の仕事の負担が多くなるので通常月とは違いますが、少しずつ課題も見つかってきています。まず、採算が悪い顧問先についてのパターンとしては、①顧問先になったばかりで顧問先の収益も良くない為、手がかかる割に収入が少ないパターン ②年末調整や法定調書や償却資産や決算など全て月額報酬込み(前税理士との関係で)で契約をしているにも関わらず毎月訪問しているケース

この2つのパターンになりました。①は早く手がかからないように当方が指導してお互いに楽になるように地道に教育していくしかありません。おそらく、経営の基本である経理をちゃんとやることによって、経営の内容が見えてきて課題も分かるので改善により経営状態も良くなっていきます。しばらく我慢です。問題なのは②のパターンで年末調整や決算業務など意外に時間を要するという点です。そして、毎月訪問しています。毎月は手がそれほどかからないものの特殊業務に時間がかかるため、それに臨時報酬が入らないと、全てそこで食われてしまうのです。これは改善しないといけません。事情を話して報酬を上げてもらうという手もありますが、相手の利益が上がっていないのにそれは難しいと思います。毎月訪問を2ヶ月に1度にしてもらうかといったところ・・・

そして、いわゆる割がいいところ。高報酬なところもそれはそれで問題です。確かに時間はかからないかもしれませんが、それなりに組織が大きかったり、取引数が多かったりするとそれに対するリスクというのもあるので一概に時間だけでは測れないのですが、より一層、顧問先が要求している以上の事をしないといけないと改めて思いました。高報酬なところは、それに甘んじることなく、常に顧問先のあらゆる状況を予測してそれに対してアドバイスをしていくということを一層強化しなくてはなりません。

不採算なところも高収益のところも課題があることが分かりました。工数管理をやらなかったら、そこまで気が付かなかったのでこれからも続けていきたいと思います。

社会保険加入者の拡大(平成28年10月~)

社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している事業者で働く70歳未満の人は、社会保険の被保険者になりますが、パートタイマーなどで労働時間と労働日数が正社員の4分の3未満の人は加入しなくても良いことになっています。ですから、労働時間や労働日数を調整しながら(配偶者の扶養の範囲内で)働く労働者が多くいます。

それが今年10月1日から改正になります。以下の4要件に該当する場合には、社会保険加入者となります。
①1週間の労働時間20時間以上
②給与月額88,000以上
③勤務期間が1年以上見込まれること
④学生でないこと
なお、この制度は501人以上の企業の従業員が対象となります。これにより新たに25万人が社会保険の対象になると言われています。500人以下の企業については今回は見送られましたが、平成31年9月30日までに検討されるので以後対象となる可能性はあります。

上記の改正に伴い、標準報酬月額表の下限が98,000円から88,000円に変更になります。また、中小企業は対象にならないから関係ないと思われがちですが、例えば、妻が大手スーパーなどで社会保険の対象になった場合、扶養から外れたりするのですが、家族手当等の適用からも外れる可能性がありますので注意が必要です。

おそらく③と④はすぐに判定できますが、①と②は2つの要件を両方満たすと適用になりますので、この改正は10月からですが、企業としてはもっと早めの対策が必要になります。従業員と話し合い、どうしても社会保険に加入したくないならば、その分①と②のどちらかを満たさなくするような対策をしなければなりません。人の追加採用も考えなければいけないかもしれません。4月から給与改定を行う企業も多いので早めの対策をお勧めします。

日曜日診療

先週の土曜日、風邪は治りましたが、少しすっきりしない為、近所の耳鼻咽喉科に行きました。10時に行きましたが10時50分時点で診療できず、11時から予定があったため1時間後に来ますと言い残して、12時過ぎに診療してもらいました。季節柄ということもあるでしょうが、とても混んでいてびっくりしました。待合室の椅子も全て埋まっている感じでした。その耳鼻科は予約システムを採用しているのですが、予約が満員になり予約システムを止めたらしく、問い合わせの電話が何本もかかってきて、その度に受付の方が「只今込み合っていまして、予約システムを止めさせていただきました。受付を12時半までに済ませていただければお待ちいただくかもしれませんが診療はいたします。」と丁寧に受け答えしていました。

土曜日ですらこんなに混んでいます。私も仕事を抱えているのでできれば平日の夜か休みの日に行きたいですね。最近日曜日診療をするクリニックが少しずつ増えています。歯科に関してはもうすでに夜間診療や日曜日診療をやって差別化を図り利益を出すクリニックがありますが、一般診療所はそこまで日曜日診療はやっていません。ちなみに私が住んでいる200m圏内には日曜日診療をしているクリニックは1件もありません。

厚生労働省が発表した「医療施設(静態・動態)調査」によると日曜日午前診療を行うクリニックは平成14年には3,956施設でしたが、平成26年には5,078施設になっています。全国のクリニックが10万施設なので大体5%位が日曜日診療を行っているという事になります。また、都道府県で一番多いのは茨城県(9.3%)つづいて埼玉県(9.1%)千葉県(8.6%)神奈川県(7.5%)東京都(7.3%)と続き関東周辺では日曜日診療を行うクリニックが10%に迫る勢いです。逆に島根県(1.8%)宮崎県(2.1%)鳥取県・高知県・長崎県(同2.3%)は少ない方ですね。

ピンクとグレー


何気に本屋で手にした本です。私は昔からピンクとグレーの組み合わせが大好きです。ピンクだけだとやり過ぎ感がありますが、落ち着いたグレーを差すことことで何とも上品な組み合わせになります。中身も見ずにタイトルを見て購入しました。本の表紙のデザインも素敵です。

内容は子供のころからの友人であった仲の良い男の子2人が成長して高校生になった頃、2人が街で雑誌のモデルにスカウトされ、その後、雑誌のモデルや撮影のエキストラのアルバイトをします。ある日2人のうち1人がプロデューサーの目に留まり、あれよあれよという間に売れっ子になるというもの。主人公は売れない方の1人です。売れっ子になった”ごっち”は売れない親友”りばちゃん”にも有名になってもらおうと、できるだけ仕事を一緒にできるように手回ししたりします。でも、りばちゃんは実力で有名になりたいのでその手回しを全て断ります。2人の間に溝ができ離れていきます。同じ環境に生きていたのに1人は超有名人になり1人は無名のまま・・・本を読む限りごっちは誠実で友人の成長も手助けして応援しています。2人で大物になろう!と・・・でもりばちゃんは、そんな手助けいらないと拒否します。これって男の嫉妬でしょうか?

ごっちは名声を手に入れお金も手に入れ、欲しいものは全て手に入れます。でも、その作られた芸能人という仮面に心は病んでいくのです。ごっちは自殺します。死後どうするかをりばちゃんに託して・・・りばちゃんはどうしたか。。。そんな本です。

お金や名声を手にしても幸福感を得られるとは限らないのです。それが良く分かる本でした。お金持ちになりたい!と言う人が居るけど、身に余るお金は逆に人を不幸にするような気がします。人生を振り返った時、お金持ちになった時より若いとき苦労した頃の想い出の方が輝いて見えるのは、やはりお金より気持ちの方が重要だからじゃないでしょうか?

身体が資本

私としたことが風邪をひきました。風邪は滅多に引かないので世の中の人は何故そんなに風邪をひくのだろう?と不思議に思っていました。先週の水曜日に熱が出て寝込み、木曜日に復活しかけたのに週末に雪山で暴走したせいでぶり返しました。というよりこじらせました。自業自得なので仕方ありませんが、病気になると気持ちまで落ちるという体験をしました。

鬱とまではいきませんが、このまま死んでしまったらどうしよう。とか、どんな死に方が良いかと考えてみたり・・・以前、私の顧問先の理事長が”私はガンで死にたい”と言っていたお話を書いたと思いますが、私もそれでいいかなぁ~などと思ったりしてました。そりゃ、誰にも迷惑かけず心も身体も健康なまま、老衰するのが一番いいのでしょうけど、心筋梗塞や脳梗塞や交通事故などで突然死ぬのは嫌だなぁと思いました。

ガンで死にたいと言っていた顧問先の理事長はガンで亡くなったので後悔はなかったと思います。ガンは嫌という人が多い中、それでも突然死よりガンが良いと思う理由は、突然死なないからです。短いか長いかは違いはありますが、それでも死までに覚悟をする期間が存在するからです。自分の覚悟と周りの人の覚悟です。

私は自分の生きたいように生きてきてやり残したことなど、あまりないけど、それでも最期には心の準備が必要です。風邪を引いたお陰?でそんなことを考えました。やはり、健康が1番。身体が資本ですね。

建物付属設備・構築物の減価償却改正

建物の減価償却方法は定額法です。しかし、建物付属設備は定率法で償却することも可能だったので、多くの法人は建物は(しかたなく)定額法。建物付属設備は積極的に定率法で償却しています。定額法の方が償却が遅く、定率法の方が償却が早いので耐用年数総額では償却費の合計額は一緒ですが、期間の利益を考えると早く償却できる定率法は有利です。

だから、建物などを建てた時は、見積書から電気設備や空調設備などの建物付属設備を除いたところで建物として減価償却を行い、電気設備や空調設備などの建物付属設備は耐用年数も建物より短く償却も早い定率法で償却するというのが実務です。

しかも建物は耐用年数が仕様や用途によって違いますが、長いものですと、事務所用鉄筋コンクリートで50年ですが、建物付属設備は電気設備、給排水設備、空調設備(22kW超)15年と建物に比べ大分短い期間で減価償却が終わります。

耐用年数も短いし償却も早いので定率法で償却してきた建物付属設備ですが、平成28年4月1日以後取得分から定額法でしか償却できなくなります。また、構築物(アスファルトなど)も定率法は使用できなくなり同28年4月1日以後取得分から定額法でしか償却できなくなります。ご注意下さい!!

ザ・ウォーク

1974年に当時世界一の高さ地上411m地上110階ワールド・トレード・センターのツインビルの屋上と屋上にワイヤーでロープを張り綱渡りするという実話です。しかも命綱なしです。こんな狂ったことをする人がこの世に存在したのです。

彼の名はフィリップ。ワールド・トレード・センターの完成予想図が載った新聞を手にした途端、これだ!と閃いたのです。その日から彼はこのビルとビルの間にワイヤーを張り綱渡りすることで頭がいっぱいです。勿論違法なので秘密裏に行わなければいけません。また、ワイヤーを張るため協力者も必要です。

何人かの仲間を集め、どのようにロープを張ればいいか。どのように工事中のビルに忍び込むか。入念に計画が立てられます。風が強い場合に備えロープを揺らしながらの練習もします。実行当日の数日前からフィリップは興奮状態になり、周りの仲間からも狂っていると言われます。

実行当日、思っていた以上に監視の目が厳しく、時間通りに事が運びません。それでも何とか早朝に間に合い実行します。3Dで見たのですが、本当に心臓に悪かったです(笑)。何かに取り付かれたような執念に羨ましさを感じるとともに、特に印象的だったのは、インタビューで「何故、死ぬかもしれないのにやるのか」という質問に対し、彼はこの綱渡りは死ではなくむしろ、僕に生を与え生を意識させてくれる。というような発言をしていた点です。命綱なしの地上110階の綱渡りといえば、殆どの人は死をイメージしてしまうでしょう。でも彼はそれこそ”生”だと言ったのです。なるほど、極めるとはそういう事なのかと思いました。