医療系税制改正要望

平成27年度の税制改正で厚生労働省と日本医師会から提出された要望について、お話ししたいと思います。

厚生労働省
①医療器械(高額医療機器や医療安全機器)を購入した場合の特別償却制度の延長
②非営利ホールディングカンパニー型医療法人制度(地域連携型医療法人制度)の創設等に税制措置の検討
③消費税率引上げに伴う医療に係る消費税課税のあり方(医療法人損税問題)の検討
④社会医療法人認定制度の見直しおよび非課税措置の継続
⑤社会保険診療報酬の事業税非課税の存続
⑥医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続
⑦サービス付高齢者住宅の供給促進税制の延長

日本医師会
①社会保診療報酬制度等に対する消費税の非課税制度、医療保険制度における補填の仕組み
②社会保険診療報酬等に対する事業税非課税および事業税の特別法人としての軽減税率の存続
③医療承継時の相続税・贈与税制度の改善
④医療機関が取得した耐震構造建物、防災構造施設等に係る特例措置創設
⑤医療法人の法人税率引下げ、特定医療法人の法人税非課税化の実施

共通しているとことは、消費税損税問題の解決、社会保険診療の事業税非課税・軽減税率の存続、減価償却資産の優遇といったところです。どこまで認められるか注目ですね。

白熱教室

MBAカテゴリーはしばらく、私がコンサルタント業を営む上でのセミナーを受けた内容についてお話ししてきましたが、ちょっと休んで今回は、NHKのEテレで金曜日の23:00~23:54まで放送されている白熱教室の内容についてお話ししたいと思います。白熱教室は以前から何回か見たことがあります。各国の大学の有名講座を収録したものですが、これがとても面白いのです。

今はソウル大学のキム・ナンド教授の授業です。第1回と第2回を観ました。第1回のテーマは「あなたの全盛期は何歳?」というものです。現在の韓国の就職事情について日本のロスジェネ世代と同じような問題を抱え、就職浪人さえ出ている状況でどう生きるかということがテーマになっています。第2回のテーマは「人生で一番楽しいことは?」で、韓国の収入格差の問題にも触れ就職してから仕事にやりがいを感じているもののあまりにも低所得なので辞めるべきか辞めずにいるべきか。などの悩みに答えています。1・2回を振り返ってキム・ナンド教授は、こんなことを言っていました。

若者は大学を卒業すると周りと比べ、自分は周りの人より遅れているのではないか。とか取り残されているのではないかという不安を抱えている人があまりにも多い。自分が変わろうとしないで周りの環境のせいにしてしまったり、比較して落ち込んだり・・・例えば35歳にもなってこんな低所得で自分は遅れているからもう自分の人生終わりだと思ったとしても、人生80年と考えて24時間を人の人生と考えた場合、35歳なんて朝の10:30なのです。朝の10:30の状態で残りの人生もうダメだと考えるのはあまりにも早計だということが、24時間という時間を経験している自分たちには分かります。

就職に関しても親や周りの人はできるだけ安定している大手企業などや公務員などを勧めますが、はたしてそれさえ出来れば一生ハッピーに過ごせるだろうか。多くの起業家にインタビューしてきて、ある起業家が大企業よりも一番信じられる自分を信じて起業したと言って成功した話などを踏まえ、人生でいちばん楽しいと思えることは成長していると実感することだと言っています。ですから仕事などもお金や安定や周りの意見よりも、その仕事で自分は成長できるのかどうか。ということが重要だと言っています。

また、ある事情によって夢が敗れ去った時、例えばチェロ奏者が身体の事故によりプロのチェロ奏者になる夢が閉ざされてしまった時どう生きるか。などもお話ししています。実際キム教授も当初の夢は村長になることでした。当時は村長になるために試験がありましたから何年も試験を受け続け、それでもダメで仕方なく大学で教員の仕事をしたことが教授になるきっかけだったと言います。よくよく考えてみたら自分は村長になることがやりたいことというより、多くの人にいろいろ教えたいということが夢だったのだと気付き、村長の試験に受からなくて良かったと今では思っていると言っていました。

成功者の多くは過去に挫折を抱え、その挫折があったからこそ今の自分があると実感している人が多いといいます。挫折があった時、それで腐らず諦めずその後どう生きるかの方が挫折という事実より重要なんだと悟っています。なんか勇気がもらえる授業です。3回目は「名前をなくした女性たちへ」というテーマです。興味ある人は是非観て下さい。1回目も2回目もとても勇気をもらえる授業でしたよ。

資格業というもの

資格業は年々厳しくなっていると言われています。今から50年前の税理士の1社当たりの顧問料は女子経理従業員の給与相当額だったと言われています。今は、大きな顧問先でない限りそんな顧問料はもらえませんね。また、弁護士や公認会計士などの花形資格でも今ではノキ弁、イソ弁、浪人会計士という名前まで有名になってしまうほど、誰でも資格さえ取れれば後は明るい未来が待っていますというものでもありません。行政書士などは国家資格でありながら、資格を取っても独立することさえ困難とまで言われています。資格業の未来は明るくないと言われます。そんな中、一人で2~3000万円稼ぐ行政書士2人の話を聞きました。

1人目はバスの運行計画書を作成して役所に提出するのを専門に扱っている行政書士です。バスは道路交通法に則って計画しなければならず法令が変更される度に提出しなくてはならないため、法律も熟知していなくてはできません。各バス会社と契約していますが、提出時期が重なるのが玉に傷だと言っていましたが、何かに特化して専門的にやれば行政書士でも充分稼ぐことができます。

もう一人はどこの国かは忘れましたが英語でも、中国語でも、イタリア語やドイツ語でもない、あまり聞いたことのない言語を扱う国の帰化申請や法令手続を専門に扱う行政書士です。その方はその言語を3年かかって習得し、ほぼ国内のその国の法令手続はその方がやっているようです。マイナーな国の国内居住者はほぼコミュニティが出来ていて、1件やればあとは芋吊式だと言います。やはり外国人の方もその国の言語を話せる方の方が安心できますしね。

行政書士の扱う業種は多岐に渡ります。この2人に言えることは業務を広げず1つの分野に対し、圧倒的に他者を引き離す豊富な知識量を持つことです。それには努力がつきものです。ここまでやられたら、周りの行政書士は畏れ入りました。と頭を下げるしかないと思います。資格業を行う者はある程度の覚悟が必要なんだとつくづく実感しました。

アップルソング


この本は茉莉江という一人の女性の出生から終わりまでを綴っていますが、茉莉江の周りにいた様々な人を通して描かれています。その中で一番初めに描かれる美和子と茉莉江の関係が全く分からずにいました。何となく雰囲気からして茉莉江の生き別れた子供かなとも思いましたが、途中で茉莉江が流産した事を知り、えっじゃあ誰?と益々気になりました。茉莉江と美和子は血が繋がっていませんでした。それなのに何故美和子は渡米してまで茉莉江の足跡を辿ったのか・・・最終数ページでその謎が解けました。

茉莉江はB29の戦火の中から拾われた赤ん坊で、成長して戦争などを扱う報道カメラマンになりました。その茉莉江の一生を様々な視点から描かれていくのですが、これ本当にフィクションなの?というのを超えて、これは本当に経験しなければこんな風には描けないのでは?と思う位リアリティに溢れ、ぞくぞくする小説です。生まれたばかりの赤ん坊から50代後半位までの茉莉江が描かれていますが、それは私が理想とする女性の成長でした。茉莉江という女性は成長するたびに魅力的になっていくのです。30代の茉莉江より50代の茉莉江の方が明らかに魅力的です。

最後に美和子が渡米先で聞いた茉莉江のボストン大学での講演のテープに録音されていた茉莉江の言葉が特に印象的でした。「この会場にいる人たち全員が、望むと望まざるとにかかわらず、戦争にかかわっている、~省略~ 人の本質は、悪なんだと、私は思っています。それは歴史が証明しています。人類の歴史は、戦争の歴史なのです。・・・・・悪を持たないのは、動物だけです。しかし、私は信じています。悪を包み込む善があれば、悪を塗り替えてしまえるほどの美があれば、人は悪を孕みながらも、平和に幸せに、生きていけるはずなのだと。私は信じたいのです。必要なのは善と美です。これは、私たちが努力していけば創造していけるものなのです。そうなんです。創り出していけるのです。意識して、努力をすれば、平和も幸福も実現できるし、得られるのです。人として為すべきことは、悪を包み込む善と美を、それぞれの人間が、それぞれの能力を使って、日々、創造することではないかと私は思っています。・・・・・」

事業用の預金管理(納税準備預金)

前回のカテゴリーFPのブログでは、事業用の預金管理の方法として決済性預金のお話しをしました。今回は、もう1つ事業を行う上でお得な口座を紹介します。

それは「納税準備預金」です。通常利息は勝手に税金が引かれて預金口座に入ります。20.315%も税金が取られます。つまり1,000円の利息の場合、手取りは800円にも満たないのです。でも、納税準備預金なら丸々1,000円もらえます。つまり、利息にかかる税金が非課税になる口座なのです。ただし、要件があって、引出は納税に限ります。目的外引出(納税以外の引出)があった時点で課税になります。つまり、税金を払うための引出を行う分には非課税ですが、税金以外のもののてめに引出を行うと通常の普通預金と変わらないことから利子に係る税金が取られてしまいます。

うちはそんなに税金払っていないから関係ないやと思わないで下さい。これは赤字でも支払わなくてはいけない均等割や固定資産税、消費税、給与に係る源泉所得税の支払もできます。従業員が10人超える法人であれば、毎月の源泉所得税もある程度支払っていると思います。ですから意外と使えます。

是非おためしあれ。

マイカー通勤手当の非課税枠拡大

マイカーおよび自転車通勤手当について所得税法上非課税となる限度額が平成26年10月20日に改正されました。



この改正はH26年4月1日に遡って改正されます。しかし、10月19日までに給与所得として源泉徴収されたものは、源泉徴収の計算のやり直しはしません。4月1日から10月19日まで旧制度により給与課税としてしまった分については、年末調整で非課税の再計算を行い精算することになります。退職者で年末調整できなかった場合は確定申告をすれば戻ってきますが、職場からの源泉徴収票交付の際の支払金額の欄は改正後になるように記載してもらい、源泉徴収税額は実際に徴収された金額にします。

不動産投資バイブル


明治MBAの友人からいただきました。せっかくなので感想を書きたいと思います。
一般的に不動産と株は景気によって変動します。オリンピックと株の関係図が書かれていて、1996年アトランタと2000年シドニーは開催地に決定してから株価は上がり続け、オリンピックを開催してもなお上がっています。2004年アテネと2008年北京は開催地に決定してから急激に株価が上昇しすぎて開催時には株価は下がっています。それでも決定時よりは開催時の方が上がっています。2012年ロンドンは緩やかに上昇した後3年後に一度開催決定時より下落しながらも徐々に上昇して開催時には決定時より株価は上がっています。過去5回のオリンピックの共通パターンは多少紆余曲折しながらも、オリンピック決定時より開催時の方が株価が高く、また、オリンピック終了後も上昇し続けるという点です。著者はそれらを例に上げ、景気に連動する不動産への投資をしたらどうか。と勧めています。

では、都心と郊外はどちらが良いでしょう?何となく都心かなと思う方も多いと思います。その理由として、都心は土地が余っていないので新しい物件が建つスペースがなく競争力はそれほど落ちません。郊外はまだまだ土地が開発される可能性があるので、そのエリアに1000棟あった建物が2000棟まで増える可能性があります。現在ちょうど真ん中くらいの人気の物件(つまり500番目の人気)だったとしても、新築が多く建てば通常新築の方が人気が高いですから、10年後には2000棟中1500番目の人気まで落ちる。つまり家賃を相場より下げないと借りてもらえなくなります。このような理由から競争力が下がりづらい都心の物件を進めています。

それから購入を4つのセグメントに分けどのカテゴリーの物件を買えば良いのかというのを提案しています。その4つとは①住居系/大型、②住居系/中・小型、③事業系/大型、④事業系/中・小型、です。この中で不動産投資として買っていけないのは②です。一番お勧めなのは④だそうです。その理由もほう。と納得できるものでした。理由は多分この本で一番力を入れている部分だと思いますので、興味のある方は読んでみて下さい。

猿の惑星:新世紀(ライジング)

初代猿の惑星は再放送にて見ました。前作の猿の惑星:創世記(ジェネシス)は映画館で観ましたが、何よりも今回の新世紀(ライジング)は一番楽しめました。予想以上の作品です。

舞台は2020年代の地球。猿インフルエンザが蔓延し人類の90%が死滅していました。それでも生きながらえた人類はサンフランシスコに小さな町を作って暮らしています。ある時町の電気が足りなくなり森にあるダムの修理に行きます。そこで人間とエイプ(猿)は鉢合わせてしまい、びっくりした人間はエイプを銃で撃ってしまいます。銃の音を聞きつけ仲間のエルプたちが大勢来ます。人間5~6人はすぐに周りをエイプで囲まれますが、そこにシーザー(主人公の猿:幼い時に人間に育てられた)が現れて二度と森に立ち入るなと言って人間を解放します。

エイプの中には人間に囚われ化学実験につかわれて、人間に対し嫌悪感を持つものも居ます。いわゆる内部の思想の相違が人間と関わったことにより露わになります。反逆心が高まり一番弟子のコバはシーザーを撃ちます。シーザーを銃で撃って失脚させたコバはシーザー亡き後の支配者となりますが、仲間であっても従わないものは殺します。シーザー派のエイプは牢屋に入れられます。シーザー殺しも銃があったということで人間の仕業に仕立て上げ人間の町に戦争を仕掛けに行きます。

殺されたと思われたシーザーですが、瀕死の状態でしたが人間が見つけ看病して復活します。人間の中にもエイプ(猿)と共存していこうとする人々と猿の強靭な肉体と知能におびえ殺そうとするものもいます。つまり、どちらの世界にも共存派と攻撃派がいるのです。

攻撃派が取った行動が相手側に全体の裏切りとして映ります。何ともやり切れない感じです。。シーザーの息子も人間でいう中二症状のような反抗期があり攻撃派に付きそうになったり、猿の世界も人間の世界に似ています。

ある時シーザーが言います。「エイプ(猿)は人間より上だと思っていた。(何故ならエイプはエイプを殺さないから)でも、エイプは人間並みに成り下がってしまった(何故ならエイプなのにエイプを殺すようになったから)」という言葉が特に印象的でした。この映画の人間と猿の世界は、どこかの国と国にも置き換えられると思います。何故人間は人間を殺すのでしょう。何とも考えさせられる映画でした。

事業用の預金管理(決済性預金)

法人でも個人事業でも事業を始めると必ず預金口座を持つと思います。預金保険制度ってご存知ですか?元本1,000万円とその利息について例え銀行が潰れたとしても保護してくれる制度です。これは個人だけではなく、法人も元本1,000万円とその利息しか保護の対象になりません。1つの金融機関ごとなので、同じ銀行の違う支店に1,000万円ずつ入れていたとしても、それは名寄せされ、つまり、同一銀行なら支店合計で1,000万円までとなります。

個人レベルで1,000万円なら兎も角、法人でも1,000万円です。その対策としていくつかの銀行に分けておくということも必要ですが、だからといって10行も20行も取引するわけにはいきません。そこでお勧めなのが、「決済性預金」の開設です。決済性預金は全額預金保護の対象になります。決済性預金は取引銀行に言えばすぐに作ってくれます。特徴としては、①無利息(利息が残高に関わらず1円もつかない)②要求払い(いつでも払戻を請求できる)③決済サービス(電気代などの自動引落や社会保険診療報酬の受取などの決済にかかるサービスが利用できる)の3要件を満たすものをいいます。

病院などの預金は社会保険診療報酬の受取口座などは億単位の預金があることも良くあります。1%に満たないわずかな利息を受け取るより全額元本保証してもらった方がよっぽど安心ですね。事業口座で残高が常に1,000万円を超えるような場合、検討してみる価値があります。

是非おためしあれ。

中古物件の住宅ローン減税

中古住宅を購入し自分好みにリノベーションをするのが流行っていますね。新築物件で合計所得金額が3,000万円以下だと住宅ローン減税ができますが、中古だとどうなのでしょう?と質問を受けるようになりました。

中古物件ですと原則築20年(耐火建築物25年)までとなりますが、「耐震基準又は経過年数基準に適合するもの」又は「適合しないけれど耐震改修工事の申請等をして耐震改修工事を行い基準に適合すれば」住宅ローン減税の対象になります。この場合、耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明を受けることになるのですが、この一定の証明って具体的には何でしょう?

これを比較的簡単に取得する方法として「既存住宅売買瑕疵保険」に加入する方法があります。この保険は中古住宅の検査と保証がセットになった保険です。特徴としては中古物件の性能や状態を検査機関が調べてくれるのです。問題がなければ保険に入れます。問題があればその部分を修繕し、再検査を受けて合格し保険に入れば、築年数に関わらず住宅ローン減税の対象になります。

購入前に検査をするには売主の承諾が必要ですが、本気で購入したいのであればこの検査機関に調査してもらえば、住んでからも安心ですし、住宅ローン減税もできるので一石二鳥ですね。中古物件を購入する際は耐震基準がどうなっているのか確認する必要がありますね。