72の法則

72の法則とは、元金が2倍になる期間が分かる便利な算式です。これは「72÷金利=お金が2倍になる年数」という算式です。例えば、銀行に100万円預けて金利が0.02%だった場合、72÷0.02=3,600年となります。銀行で0.02%の金利で100万円預けた場合、200万円になるまでには3,600年かかるということです。もう死んでいますね。では金利3%の運用資産に預けた場合は、72÷3=24となり、24年で2倍になります。まだなんとか生きています。ただ、24年間のインフレに対応できる環境かどうかも問題になります。

これは借金をする場合にも計算できます。法律上の上限金利は18%ですが、これを算式に当てはめたら72÷18=4となり、100万円借りてそのまま元金を返済しなければ4年で200万円に膨れ上がるということになります。ですから、お金を借りる時にも参考になります。この算式を知っていると、お金を借りる時にも慎重になるのではないでしょうか。

また、何年で2倍にしたいという希望がある場合にも活用できます。例えば100万円を10年で2倍にしたいという場合、72÷Ⓧ=10になればよいので、72÷10にすれば良いだけです。そうすると72÷10=7.2となるので年利7.2%で運用する必要があります。この算式は全て利子にも利子が付くことを前提とした複利計算が前提となります。是非活用してみて下さい。

公開研究討論会

公開研(公開研究討論会)とは、全国15の税理士会を7グループに分けて税理士の日頃の研究結果の発表と質疑応答を行う研究討論会で毎年秋に行われる行事です。7グループとは、①東京会、②東海会・名古屋会、③九州北部会・南九州会・沖縄会、④東京地方会・関東信越会・千葉県会、⑤北陸会・近畿会、⑥北海道会・東北会、⑦四国会・中国会、のグループです。東京会だけ人数が多いので東京税理士会だけで1グループですが、他は他の会と連携して行います。東京税理士会連合会と共同で行われます。7年に1度の輪番制で、今年は10月7日に行われましたが、東京税理士会が担当でした。テーマは、第1部が「税制の歪みを糺(ただ)す」で第2部が「人生100年時代における資産形成と税制のあり方」です。

東京税理士会連合会と共同して行い、東京税理士会では調査研究部の部員の一部が中心となり発表しました。6時間にも及ぶ大討論会で聞いている方もちょっと疲れますが、なかなかためになる発表でした。日本は他の先進国に比べてデジタル化が遅れており、国も早急にデジタル化を目指しています。デジタルインボイスの話、EUを中心に30ヵ国が利用するPeppol(ぺポル)の話、EDIシステムの話、全て新鮮で刺激的な話でした。EDI(電子データ交換)とは企業間取引で発生する契約書や請求書などの帳票をインターネットなどを用いて電子データとしてやり取りするシステムですが、そんな話を聞いているだけで未来の会計や企業間取引がイメージできました。

また、最近ではシェアリングエコノミーの取引が増えており、それに伴う税務の問題なども多発しています。それを税理士としてどう考えていくか。どう不正のない明確な取引とするかなどが問題として提起され、なかなか考え深いテーマもありました。問題点を挙げるだけでなく、それに向けた解決方法(例えばプラットフォーマーに源泉徴収義務を課す)なども提案していて色々考えさせられました。GEEO(不動産販売価格予測サイト)などの活用などで国が持っている情報と個人レベルで持っている情報の非対称性を是正する案なども挙げられて、とても有意義な討論会でした。

医療版事業承継税制(認定医療法人制度)

各省庁が令和5年度の税制改正要望書を提出してきました。それがこちらです↓
/>https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/request/index.html
法務省や外務省は1つしか挙げていませんが、他の省庁は何個か挙げています。今回、財務省はかなりマニアックなところを責めているなとか、それは文部科学省にしか提言できないわなぁと感心してみたり色々です。一通り見てみると各省庁が何を目指しているのかが垣間見れてちょっと楽しいです。

会社経営をしている方は経済産業省や財務省を見てみると面白いかもしれません。また、医療法人だったら是非厚生労働省の要望書を見てみる事をお勧めします。厚生労働省は今回、来年の9月30日で終わってしまう医療版の事業承継税制の延長を要望しています。医療法人累計は以前医療法人社団について持分ありが98%、持分なしが2%弱しかありませんでした。平成19年から持分なし医療法人しか設立できなくなり、かつ、医療版事業承継税制を普及させたことにより持分なしが34%(令和4年3月現在)にまでなりました。でもまだ多数派は持分あり医療法人なので、医療版事業承継税制を継続させて持ち分なしを普及させたいようです。

ちなみに厚生労働省の医療版事業承継税制の延長・拡大要望は下記となります↓
厚生労働省令和5年税制改正要望
令和5年9月30日までの期限のものを令和8年9月30日までにすることを要望しています。要望理由や内容も分かるので確認してみて下さい。

パート従業員の社会保険料適用拡大

今年の10月からパート・アルバイトの短時間労働者の社会保険への加入義務が段階的に広がることになります。9月までは従業員501人以上の事業所で加入が義務付けられていましたが、今年の10月(今月です!)からは従業員101人以上、2024年10月からは従業員51人以上の事業所はパート・アルバイトの短時間労働者も社会保険に加入させる必要があります。

具体的には、①週の所定労働時間が20時間以上、②月額賃金が8.8万円以上、③2カ月を超えて雇用する見込み、④学生ではない、この4つの要件に該当した場合、社会保険に加入させないといけません。③は9月までは1年を超える雇用の見込みだったのが2カ月になったことにより多くの短期労働者に対して加入義務が生じます。今月の社会保険の適用拡大では新たに65万人の労働者が加入対象になると言われています。厚生労働省と日本年金機構は2024年までを、集中対策期間に設定して加入の強化を図ろうとしています。

今回、国は本気で加入を強化しています。1つ目の取組として、2015年より国税庁から源泉徴収に関する情報提供を受けていて、違反が疑われる事業者に立ち入り検査を強化する予定です。また、2つ目の取り込みとして雇用保険加入者の情報を基に調査先を選定して立ち入り検査を強化する予定です。いずれにせよ面倒な目に合わないためにも早めの対策をした方が良いかと思われます。顧問の税理士や社会保険労務士に相談してみて下さい。

ケースメソッド教授法入門

こちらの本は感想というより紹介になります。KBS(慶応ビジネススクール)のケースメソッドは有名で私も以前から興味がありました。大学や大学院の授業には講義形式の他に討議形式の授業もあります。習う側の本は多くありますが、教える側の本は日本では皆無です。この本は討議形式の授業を教える側の立場に立って学ぶための本です。私は20年前くらいから各種セミナーの講師をやっていますが、教える側の勉強を専門的に学んだことがありません。ただ、講義形式のセミナーは伝えたいことをできるだけ分かりやすく、できるだけ簡易にでも注意点などは強調してセミナーをしてきました。ただ、討議形式の授業は日本では高校までの授業ではほとんど行われておらず、大学でも少なく、大学院(ビジネススクール)でやっとやるかなという感じです。学ぶ機会も少ないのにそれを教えるなんて至難の業です。

海外では討議形式の授業は日本より多く、1962年にKBSがハーバード・ビジネススクール(HBS)へ教員を派遣してケースメゾットを学んでそれを持ち帰って、KBSでケースメソッドをで教えていました。KBSの内部でそれを洗練し教える側に立って書かれたのがこの本です。こんな本は見たことなかったのでとても参考になりました。この本に付いている帯にはすべての「教える人」のために!と書かれています。この本を一言でいうとそうなります。特に大学院の授業は講義形式だけではなく討議形式の内容も授業に組み込まれることが多いです。でも教える側はどうやってそれを進行していけばよいか。などを学ぶ機会は皆無です。実際講師側がやりたいようになっているというのが現状だと思います。

この本には具体的な技法が載っています。講義形式に慣れている講師だと話過ぎるのが難点でケースメソッドの場合は講師の発言は意識的に3割以下にする必要があるなど、具体的かつ能動的です。理由についてもきちんと書かれていて、納得できる内容です。ケースメソッドの講義は講義形式の講義より楽だと思っていましたがとんでもないという事にこの本を読んで気付かされました。それが効果的な講義になるためには講師の技量が欠かせないという事が分かりました。全てのセミナー講師に読んでもらいたい本です。特に講義形式のセミナーに慣れている講師が討議形式のセミナーをやる場合は必須なような気がします。講義形式に慣れていれば慣れているだけ討議形式のセミナーは全く違うということに早く気が付くためにもこの本はとてもお勧めです。

電子処方箋管理サービス

来年1月から電子処方箋の運用が始まりますが、医療機関が導入するにあたってはシステム改修などが必要になります。その費用を助成する補助金制度があります。電子処方箋の概要について詳しく知りたい方は下記の厚生労働省のHPへアクセスしてください↓
https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/post-11.html
電子処方箋が良いか悪いかは別にして、いずれかは近い未来には電子処方箋に移行していくものと思われます。ですから早めに知識を取得してご自分の所属する医療機関にとって一番良い方法で導入されるのが良いかと思います。こちらのサイトにアクセスすると電子処方箋とは何?から始まってしかもyoutubeで説明されています。とうとうお国のシステムもyoutubuで説明する時代になったかとビックリしました。

電子処方箋管理サービスの導入をする場合、オンライン資格確認等システムを導入した上で、電子処方箋管理サービスを導入する場合、導入時に必要な費用の一部が補助される補助金があります。補助対象となる費用はHPKIカード等のICカードリーダー等の購入や電子処方箋管理サービス導入に必要なレセコンや電子カルテシステム等の改修。電子処方箋管理サービス等の導入に付随する保険医療機関等職員への実地指導等に係る事業などです。2023年3月31日までに導入した場合、病院は1,086,000円(費用の1/3)を補助金として貰えます。診療所や薬局の場合は194,000円(費用の1/2)を補助金とて貰えます。2023年4月1日以降ですと、補助金の額がそれぞれ少なくなって病院815,000円(費用の1/4)診療所・薬局129,000円(費用の1/3)となります。導入を考えているなら来年3月までの導入をお勧めします。細かい内容は次のPDFをご覧ください。→電子処方箋管理サービス補助金

クラウドファンディング注意点

クラウドファンディングには主に支払者に対して商品やサービスなどのリターンを提供する購入型と、リターンがない寄附型があります。受け取り側は法人の場合もありますし、個人(個人事業主を含む)の場合もあります。まず、購入型ですが、入金があった後にリターンを返しますから、期間がずれます。法人の場合決算日にまたがって入金とリターンがある場合、どちらの期の収入にすれば良いのかという問題が生じます。これはリターンをした日の属する期の収入とします。ですから仮受金などの会計処理で受けておいてリターンを返した時に費用と収入(売上もしくは雑収入)を計上します。サイト運営者に手数料を支払う場合、手数料を控除した残額が振り込まれますが、残額だけを収入計上するのではなく、総額で収入と費用(手数料)を計上します。購入型の場合、売買契約と扱われるため消費税も課税取引となるので総額で計上しないと簡易課税の場合、売上計上漏れになりますので注意が必要です。

次に寄附型ですが、寄附型はシンプルで貰った金額を受贈益(雑収入)に計上すれば良いのです。受け取ったのが法人ですと、雑収入処理で終わりですが、受け取るのが個人ですと少し複雑になります。購入型で個人事業業にかかるクラウトファンディングであれば、事業所得の収入としなければならないし、個人事業にかかるものでなければ雑所得として申告します。また、寄附型の場合、出してくれた人が個人か法人かによって取り扱いが異なります。出してくれた人が個人で貰ったのも個人の場合、贈与税の対象となりますが、その年の贈与の金額が110万円以下であれば贈与税の申告は必要ありませんが、110万円を超えると贈与税の申告が必要になります。出してくれた人が法人なら貰った金額はその個人の一時所得の対象となり、50万円の特別控除を超えると課税されます。色々税務では複雑なクラウトファンディングです。

インボイス申請注意点

インボイスの申請が始まっています。当事務所でも何件か申請をいたしました。申請の正式な名称は「適格請求書発行事業者の登録申請書」です。e-taxか郵送で行います。記載事項は少なくあまり間違えないように思います。ただ、個人事業者の場合、注意が必要です。「適格請求書発行事業者の登録申請書」だけ提出すると、インボイス申請の検索をした時、個人名(例えば吉田久子)だけが載ってきます。もし屋号も載せたければ「適格事業者の公表事項の公表申出書」も併せて提出する必要があります。

これを提出すると、検索をかけた時、屋号(例えば税理士吉田久子事務所/リライアンス東京行政書士事務所)や事務所の所在地(例えば東京都豊島区西池袋5-5-21ザ・タワーグランディア701)も表示されるようになります。個人で事業を営んでいる場合はできれば屋号表示したいですよね。その場合、忘れずに「適格事業者の公表事項の公表申出書」も提出して下さい。国税庁のe-tax申請の場合、それを促すシステムになっているのですが、紙申請だとうっかり忘れそうです。ご注意下さい。

アキラとあきら

御存じ池井戸潤氏の小説を映画化したものです。池井戸氏の作品は企業ドラマものが多く私も好きな作品だらけです。この小説は珍しく読んでいなったのですが、映画だけ観ました。感想は一言でいえば相変わらず面白かったです。銀行と企業の駆け引きのような部分も感じましたが、こんなに親身になってくれる銀行員もいるのか?いるなら会いたいとさえ思いました。物語の解決方法も高額なコンサルタントファームがやりそうな手法で銀行がここまでしてくれるのならコンサル会社は必要ないなと思うような解決方法でした。

映画の最初の方で新人研修で優秀な2チームが銀行側(貸すか貸さないかを判断)と企業側(借りられる書類を作る)に分かれて、対決するのですが、企業側が粉飾決算を行い、銀行側が見事それを見破るという展開でした。この粉飾決算に使われた手法が棚卸資産の割増し(他社所有の金型を自己所有棚卸として計上)と現金の過大計上でした。この結果だけ聞くと会計を知らない人は何が何だか分からないと思いますので説明すると、棚卸資産は多いほど売上原価が少なくなります。売上原価の計算は(期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高)なので、本当は期首棚卸100億円+当期仕入高1,000億円-80億円だったとしたら、売上原価(費用)は1,020億円になります。でも期末の棚卸を多くして120億円と架空計上したとしたら、100億円+1,000億円-120億円で980億円になります。売上原価は費用項目ですから棚卸を架空計上するだけで利益が40億円増えることになります。利益が沢山出ているからお金貸してねと言うのです。

会計をちょっと知ってる人ならすぐ分かりますが、最後の物語の解決方法も会計を知っていれば、そうか!その手があったかーを唸るような手法でした。勿論会計を知らなくても、粉飾決算だったのかとかは分かるので充分楽しめます。でも会計を知っていればより深く楽しめるそんな映画でした。

雑所得改正1

雑所得の改正が行われそうです。「事業所得」と「業務に係る雑所得」は違いが不明瞭だからです。でも税務上の差異ははっきりしていて、事業所得の場合、損益通算ができます。つまり、給与所得がある人が事業所得もあって、事業所得が赤字の場合、給与所得から事業所得の赤字を控除して税金の計算ができます。その他事業所得で青色申告の場合、更に様々な税金特典があります。業務に係る雑所得は令和2年の確定申告から雑所得の区分に新たに加えられた区分で令和元年までの確定申告書には雑所得の区分は①公的年金等と②その他しかありませんでした。それが令和2年から雑所得の区分は①公的年金等②業務③その他になりました。

税法上取扱にかなりの差異がある事業所得と業務に係る雑所得ですが、同じような所得でも事業所得とすれば税務上かなり特になり、業務に係る雑所得とすれば赤字でも損益通算できないという大きな違いがあります。規模も大きくない副業を事業所得として申告して給与所得として損益通算するという事例も多くなってきたようで、改正が行われそうです。改正案の内容は下記の通り→雑所得改正これで問題になるのは、フリマアプリでのプレミアム販売、フリマアプリを使った反復同製品の販売や、給与所得がある人の副業のような事業所得ではないでしょうか。

まず、フリマアプリでの販売は通常家庭にあった不用品の売却が主なものなので購入価格よりかなり低い価格で売買されています。これは問題ないかと思います。ところが買った価格よりもかなり高い価格での販売(いわゆるプレミアム商品)の売買は要注意です。生活に通常必要な資産の譲渡は非課税ですが、その非課税から除外されそうです。また、フリマアプリですが、実際には決まったものをどこからか仕入れて複数販売している事例もあります。これは元々課税対象ですが、実際には申告をしていない人も多いのではないでしょうか。

次に、会社員が副業するのも多くなってきました。節税対策として副業分を事業所得として申告し赤字にして本業の給与所得と損益通算するというのが危険になるということです。ただ、ここでの改正で危険だと思うのが300万円判定です。収入が300万円ないと反証のない限り業務にかかる雑所得と取り扱って差し支えないとあります。そこで300万円以上でないから雑所得にしなければならないと考えるの早計です。年間300万円なくてもそれが副業でなく細々とやっている事業なら事業所得として扱えますし、例え給与所得があったとしても退職後の事業のために会社員時代から起業するのもあり得るからです。ですから単に300万円判定とするのではなく、実情を加味して事業所得として申告することもできるのでその辺は要注意です。今回、改正案について意見を言える機会(パブリックコメント募集)が与えられたので、金額判定(300万円基準)で単に判定するのは断固として反対!の意思を伝えました。