

神の子上下巻を読みました。この本は先月感想を書いたブレイクニュースを書いた薬丸岳氏が著者です。ブレイクニュースの時もそうでしたが、神の子も戸籍のない子供や、捨てられた子供、虐待を受けた子供という社会問題が根柢にあります。そしてブレイクニュース同様に池袋をはじめ私に馴染みのある町が沢山出てくるところからも親近感を持って読むことができました。主人公は戸籍を与えられなかった知能指数が高い子供の半生を描いています。
子供は生まれた場所や環境を選べないですが、なかなか劣悪な環境で育ち14歳にして一人で生きていくことを決めた少年、町田博史。彼は生きるために何でもやってきました。人殺し以外は・・・感情がなく無表情で何を考えているか分からない少年。そんな少年が徐々に人間らしい感情を取り戻していく物語。それでも人はなかなか変われないから表面的には愛想もない冷淡な印象は変わらないまでも彼の芯の部分が徐々に、そう北極から持ち込まれた長い間固まっていた氷が徐々に溶けるようなそんな本でした。
表面的には不愛想で冷淡ですがその中身は周りの人を救おうと奮闘しています。しかも助けようとしている周りの人にばれないように・・・なぜ良心を隠すのか。それは貸しを作りたくないから。彼は芯の部分では善良です。最後の章で半年前まで見ていた夢と今の夢は違うと言っていたのが印象的でした。今まで見ていた夢は悪夢の事で、今の夢は未来を思う夢なのだと思います。そして町田の最後の言葉を聞いた瞬間、涙が出ました。そこで終わるのかよ。ずるいと思いました。良本です。