
近所のおばあさんがひったくりに合い、一緒に犯人を追いかけた2人(大学生の春風と高校生の錬)の物語と、母子家庭の子供で母が病気で働けなくなり一家を助けるために特殊詐欺に加担してしまう大学生理緒とそのボスである加賀谷に恋心を抱いている物語。その2つの物語が同時並行で描かれています。それが1つになるとき、様々な謎が解かれていきます。
この本を読んで思ったのは、悪人と善人はきっちり二分化されているものではなく、その人の中にも悪人と善人の部分があって全体的にもグラデーションのかかったものなのだということ。人はちょっとしたきっかけですぐ悪人と呼ばれる行為に及んでしまう危うさがあるのだと知りました。人は守りたい人がいると知らないうちにそちらに足を踏み入れてしまう。それが悪の道だと薄々気付いていても、守るという事を言い訳にして・・・本当に簡単に起こりそうな事でぞっとしました。
善人だと思っていた人が善人とは言えない裏の顔を持っていたり、底抜けに明るく何も悩みがないような子が陰の部分を持っていたり、人間の底知れぬ人格がそれでもこうありたいと願う感情など色々感じることができる面白い本でした。秋の夜長に最適な本です。