住民税定額減税

住民税の定額減税は昨年行われた制度です。年収制限がありましたが、一人に付き所得税3万円と住民税1万円を減税しようというものです。住民税は本来翌年に課税される税金ですが、前年2023年の所得を基に予想で引かれました。控除対象配偶者や所得のない子供などがいればその分減税されます。(扶養配偶者と子供2人)の場合、本人分も含めて所得税3万円×4人=12万円、住民税1万円×4万円=4万円が減税されました。所得税については年末調整で控除して還付されました。

年末調整で所得税0円になってもまだ減税額がある場合、住民税も本来徴収するべき税金で控除不足が生じる場合、その金額を定額減税補足給付金(不足額給付)というのですが、それが各市町村でこの夏から還付が始まりそうです。市町村によって違うのですが、定額減税補足給付金(不足額給付)の対象者であると判断できた方については市町村から支給決定通知書または受取口座確認書が送られてくるということです。

昨年の定額減税制度については経営者や経理担当、税理士や市町村に不評でした。なぜなら手間がかかりすぎるからです。勤務先でも控除できなかった分については市町村にも手間が及びます。昨年の雑務が未だかつて影響しているということになります。溜息だらけの制度でしたが、もう二度とこんなに面倒な制度を発動しないでほしいものです。

隅田川花火大会

東京では7月の最終土曜日に隅田川花火大会が行われます。この行事の話になると私は必ず税理士試験を思い出します。税理士試験は毎年8月の上旬に行われ今年は8月5日6日7日に行われます。ですから隅田川花火大会は試験まであと10日の合図だからです。受験勉強中はもちろん花火大会を悠長に見学しているゆとりはありませんから、隅田川花火大会の話題になった途端、もうすぐ税理士試験だ!ラストスパートだと思ってしまうのです。

私は税理士試験2000年合格ですからもう25年も経つのです。それでも隅田川花火大会の話題が出ると税理士試験で頑張っていたころを思い出してしまうのです。そしてあの頃は頑張っていたな。今は頑張っているか?と自問自答するのです。この感覚はいつまで続くのでしょうか?おばあさんになってもボケるまでは続くのでしょうか?皆さんにもこのようにその行事が全然違う行事を連想させてしまうものってありますか?

出産費用無償化へ

厚生労働省は2026年度をめどに出産費用の無償化を検討しています。それは良いことだと思いますが今までも出産育児一時金が引き上げられてきたこともあります。その後も出産費用は上昇していて妊産婦の実質的な経済的負担を削減するということが主な目的らしいですが、産婦人科を経営する産婦人科医からは、毎年毎年最低賃金が値上がりし、人件費が増大している。例えば今回の出産費用無償化とは自費を保険診療にするということであれば収入が落ちるような気がする。今でも多額な人件費でやりくりが大変なのに、保険化されたら経営を継続させられるか自信がないという意見です。

確かに妊産婦側から見たら無償化は大変喜ばしい事です。でも低額な保険でカバーされてしまうなら産婦人科経営は成り立たなくなります。どうか、妊産婦にとっても医療機関にとってもお互いに良い制度設計になることを願っております。私の事務所は様々な診療科の顧問先がおりますが、私が実感するに一番ハードな診療科目は産婦人科だと思います。特に個人クリニックレベルだと、常勤医師は一人だけでたまに非常勤医師が対応しているという環境ですと、常勤医師はほぼ365日24時間拘束です。計画出産でもしなければいつ生まれるか分からないためです。以前産婦人科医の奥様がおっしゃっていました。結婚してから海外旅行に行ったことがない。いつ、お産で呼び出されるか分からないからです。とおっしゃっていました。どうか妊産婦にも医療法人にもお互いにメリットがある制度設計になりますように。

国際電話詐欺

皆さんのメールアドレスにも様々な詐欺メールが届いているかと思います。純粋な方はそれを信じ、実際にひっかかってしまったという話もよく聞きます。国際電話詐欺も流行っているようです。予防方法はあるのでしょうか。まず、メールですが、誤字脱字が多かったり、何月何日までに処理しないと○○になると緊急性を装ったり、送付アドレスが正式アドレスと違う。などがあります。URLが添付されていることもありますが、これは開けない方が無難です。内容もクレジットカード情報や個人情報を求めますが、これも危険です。メールであれば迷惑メール設定を強める必要があるでしょう。私が仕事で使っているメールはセキュリティを強めているので怪しいメールは勝手に迷惑メールに飛ばされていることが多いですが、私用で使っているクラウドメールは迷惑メールが多いので頻繁に同じところから迷惑メールがくる場合は迷惑メール設定をしておけば以後届かなくなります。

国際電話詐欺については国際電話がかかってくることがない方は国際電話の着信拒否設定をすることをお勧めします。WEB申込だけでなく、電話申し込みもできるようですので是非お勧めします。実験として電話で当事務所の電話番号とファックス番号を着信拒否依頼しました。NTT東日本の116に電話します。6番その他を押します。長い事待たされますのでハンズフリーで待ちました。その後担当者が名を名乗って出て、着信だけにするか発信もするか聞かれますので両方とも手続きしました。約1週間かかるという事でしたが無事手続きできました。最後に電話がかかりにくかったか聞かれハイと答えると0120373116の方がかかりやすいと教えてくれました。国際電話詐欺について詳しくはこちらに載っています。ご参考までに
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/international-phone/
NTT東日本もこの事態を重大に受け止め、国際電話の利用休止手続きを行ったりしています(2025年6月24日開始)また、特殊詐欺対策サービスを無償で提供しています。これは特殊詐欺に利用されていると警察から指摘・要請のあった番号を利用停止にしたり、悪質な転送事業者への新規の番号提供を拒否しています。NTT東日本の詳しい情報はこちら
https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20250610_01.html
面倒くさいことに巻き込まれないためにもやっておくことをお勧めします。

株主優待

NISAなどの制度が出来てから株を購入する人も随分と増えた印象です。会社によっては配当だけでなく、株主優待制度を利用して自社製品などを株主に送る企業もいてなかなか楽しんでいるようです。

その株主優待も変わり種が出てきました。株主優待は廃止する企業が多い中、トヨタ自動車が2025年3月31日を基準日として株主優待制度を初めて導入しました。トヨタ自動車と言えば日本を代表する企業ですが、株主の長期保有を目的として100株以上保有する株主にQUICPayの電子マネーをプレゼントしました。これはスマホ決済アプリ「トヨタウォレット」をインストールして株主番号などを入力し取得するものです。最初の設定が面倒ですが一度設定すれば意外とQUICPayを使えるお店も多く有難い優待です。

楽天グループも数年前から楽天モバイルの1年間無料の株主優待をしております。実は私も楽天グループの株を持っていてこのお知らせももらっていたのですが、スマホはソフトバンクで移行が面倒なので無駄にしていました。ところが最近ソフトバンクのスマホをディアルSIMにして楽天モバイルも入れられることを知りました。この優待、1年間毎月30GB+無料電話プレゼントです。太っ腹です。ソフトバンクなんて5ギガくらいしか使っていないのに1カ月1万円以上かかりますからこれは凄いです。トヨタにしろ楽天にしろ最近変わり種の株主優待ができました。これも時代の流れですね。

国宝

小説を読んだ後居ても立っても居られなくなり、映画「国宝」を鑑賞しました。鑑賞する前に思っていたことはあんな壮大な小説をどうやって3時間で表現するのであろうか?という疑問です。小説最初の100ページくらいはすぱっと飛ばされて、いきなり父親が抹殺されるお正月の宴のシーンから始まります。当たり前ですが、細かいことはどんどん切られ最初の10分くらいで小説200ページくらい進んだのではないでしょうか?私は小説を読んでいるから分かるけど、映画だけ観ている人は分かるのかなと思いました。少年期の喜久雄から青年期の喜久雄に移り変わるシーンでは背中のミミズクの刺青が最初に出ます。これでそれが青年期の喜久雄と分かります。上手い演出だなと感心してしまいました。ちなみにミミズクの刺青は亡き父の刺青と同じでミミズクは恩を忘れず世話になった人に鼠や蛇をもってくるということを小説の方で書いていました。小説では喜久雄が自分が不利になっても義理を守るということも描かれていますが、映画はやはり見せるものなので舞台のシーンに多くの時間が費やされていました。まさに映像美でした。こんな文化が日本にあったのだと再確認できるほど素敵でした。

その分、内容は削られるわけです。話の早い展開にどんどん行くなと思ってみていました。この映画は小説「国宝」の特に映像美を生かしやすい舞台に焦点をあてて描かれています。小説が壮大すぎてスピンオフ映画が沢山できそうです。喜久雄中心に話は進むわけですが、喜久雄にとって俊介以上に重要な役が子供の頃から喜久雄を坊ちゃんと呼ぶ2歳年上の徳次です。小説では喜久雄の娘覚せい剤でおぼれた綾乃を救うために指を詰めて暴力団から取り戻します。常に喜久雄の盾となり喜久雄を守ります。そんな徳治の出番がないのが残念でした。やはり見る順番は小説見てから映画を観るのが良いですね。映画では内容がどんどん飛ばされていくのでその一言にも奥があると気が付きづらいですが、小説を読んでいると痛いほどその一言一言に意味があるのが分かります。ただ、舞台のシーンはやはり映画は圧巻でした。小説で描いていた細かな描写を映像にするとこんな感じなんだと感動します。是非、小説を読んでから映画を観ることをお勧めします。

国宝

今、映画でも公開されている国宝ですが、小説国宝を上下巻読みました。上下800ページ超えの大作です。主人公喜久雄は任侠一家に生まれ母は病死、父はお正月の宴で殴り込みに合い亡くなります。その後、梨園の道に入り精進し三代目花井半次郎を襲名して一生を終えるまでを描いています。波乱万丈な一生でした。極道の親分の家の長男(しかも一人っ子)として生まれ、早くに両親を亡くし、梨園の世界に入り、良いときは本当に運と実力が実り開花し、悪いときはどん底までたたきつけられる、そんな人生です。物語が長かったので、何日もかけて読みましたが、悪いときはこちらもプライベートで落ち込むほど落ち込み、良いときは生きることに喜びさえ感じる。それほどに入り込んだ小説でした。

芸を磨いて精一杯生きていても、任侠一家の出だから報道でのいじめにあったり、二代目半次郎が亡くなった後は後ろ盾がなくなり、実力があるのに舞台に出してもらえない。出してもらえても端役しか与えられない。凄惨ないじめに合うなど。それでも生きていくために舞台とは言えないような地方巡業の仕事をしたり。梨園の血を求めてその娘と結婚しても親には許されず苦虫を嚙み潰したような生活。恩人の極道に宴会芸を頼まれ、周りの人の反対にあうも踊りその場に警察が入り週刊誌の格好の餌食。でも、恩がある相手には自分の立場が悪くなると知っていても義理を押し通す。それは梨園で育て上げてくれた花井家の借金を自分が引き継ぐというところにも表れます。人生の半分くらいが悲惨な人生。あとの半分がスポットライトを浴び無形文化財の国宝に認定されるほどの華やかな人生。人の人生とは一生おしなべるとプラスマイナス0なんだと感じるような小説でした。ブレが大きいか小さいか。ブレが非常に大きい人生です。

この小説に出てくる女性の逞しさにも考えるものがあります。早くに亡くなった極道親分の妻の母は次の義母マツに喜久雄は極道にしないでほしいと頼み、義母のマツはそれを守ります。マツは家業が無くなり自分の生活も苦しいのに喜久雄を預かって貰っている花井家に毎月大金を送っています。梨園側の花井半次郎の妻の幸子も自分の子である俊介ではなく、半次郎の代役に喜久雄を選んだ夫に腹を立てながらもそれはそれで納得し喜久雄を世話します。幼馴染の春江は喜久雄の恋人だったはずだったが俊介と駆け落ちし落ちぶれた俊介をささえます。舞妓の市駒はまだ無名の喜久雄に妻にはならなくて良いから2号3号にしてくれと言い実際に喜久雄の子を産み一人で育てます。彰子は喜久雄の妻ですが愛されていないと知っても喜久雄を愛し支えていきます。曽根松子は彰子の親戚ですが後ろ盾のない喜久雄を助けます。何ともこの時代に生きる女性の逞しさをも感じた作品でした。