PERFECT DAYS

日本アカデミー賞で最優秀監督賞と最優秀主演男優賞を取った作品です。映画は声がない映像が続きます。役所広司氏の演じる平山は東京都渋谷区のトイレの清掃員です。朝早い時間に外の竹箒で履く音で目覚め、歯を磨き着替えて古いアパートから出ます。家の前の自動販売機で缶コーヒーを買い、車に乗って渋谷区内のトイレを掃除しに回るのです。夕方になり仕事が終わると行きつけの店で食事を取る。夜は古本屋で買った本を読み眠りにつく。そんな毎日を送っています。休みの日は自分の家を掃除してコインランドリーで溜まった洗濯物を洗い、たまに行きつけのスナックに行く。

そんな規則正しい毎日を送っていると姪が家出して来たり、スナックのママの涙するシーンを見てしまうだけでかなりの刺激で、それは仕事の昼休みの休憩中の公園で見上げた木洩れ日を見ても心が洗われる。その木洩れ日の写真を撮り現像してコレクションとして集めています。この映画を見て最初はどこがPERFECT DAYなの?と思いましたが、あまり音がしないこの映画を観ていると、仕事をしてご飯を食べて雨風凌げる家に住み健康でいる。そして自然の木のせせらぎや木洩れ日を見て幸せを感じるというのが当たり前でいてすごく幸せなのではないか?と思ってくるのです。淡々と過ぎる日々に感謝する気持ちが自然に芽生えてくる不思議な映画でした。

ゴールデンカムイ

この映画は元々漫画だったものが映画化されたものです。漫画は読んだことがないので新鮮な気持ちで見ることが出来ました。観終わっての感想は、まだまだ続きがありそうな予感です。主人公の杉元とアイヌの少女のアシリパが戦友としての絆を固めるまでの序章のような映画でした。食料としてのリスの捕まえ方、料理の仕方などアイヌ文化を学ぶことも出来て良かったです。リスは植物しか食べないので肉に臭みがなく美味しいのだそうです。

この映画は久々に友達と観たので友達の感想は熊が怖かったね。でしたが、私はそれを言うなら玉木宏氏が演じた鶴見中尉の方が100倍怖かったと思いました。有名どころの俳優もたくさん出ていますのでエンターテーメント性の高い映画かと思います。第2、第3と続きそうな映画ですが、次回やるのでしたらもっとアイヌ文化のことに触れてくれたらいいなと思います。

ある閉ざされた雪の山荘で

東野圭吾氏の小説が実写映画化された作品となります。東野圭吾氏の作品は小説も読んでいる場合が多いのですが、これは読んでいないので何も知らぬまま新鮮な気持ちで観ることができました。登場人物が劇団員でオーデションが行われるという設定で殺人事件が起きますが、本当に殺されたのか、芝居の設定なのか、がコロコロ変わりながらストーリーが展開します。

二転三転して真相が明らかになりますが、観た後に疑問が残りました。その1:久我君がいた意味は何なのか?全員同じ劇団員でしたが唯一部外者である久我君は一体だれが誘ったのか?久我君は劇団員を憧れで知っていましたが、劇団員の中で久我君を知っている人はいないようでした。演出家が選んだとされていましたがそうでないなら誰が誘った?しかも縁もないのに大事な場所に誘うのだろうか?
その2:久我君が事件を暴かなかったら、亡くなった3人は亡くなった前提となって過ごさなければならないのか?一般人ならともかく劇団員なのでそれは不可能ではないか?麻倉さんの無念は晴れるが未来の事は考えていたのか?と疑問が残りました。

ほかのトリックが緻密だったのでその部分の粗さを感じてしまいました。小説を読んでいたらその部分の矛盾も分かったのでしょうか?東野圭吾氏の作品はその辺は抜かりがないので何とも変な気分で観終えました。小説を読めばその辺の矛盾も分かるのかな。もしそうなら映画の作り込みをもう少しちゃんとした方が良いと感じた作品でした。

2023年 映画鑑賞

毎年12月のカテゴリーブログでは、今年観た映画BEST3を発表しています。コロナ前は年間50本くらい観ていた映画ですが、今年は何と26本しか観られませんでした。つまり26本のうちのBEST3なので大して参考になりませんが、恒例なので発表します。

1位:ミステリという勿れ・・・こちらは何と2回観てしまいました。この映画の感想は書いていませんでした。内容はちょっと重い空気が漂っていますが、随所随所で久能整君が呟く一言一言がもっともで、もう一度聞きたくなるそんな映画でした。この映画というか久能整君の発する言葉で、世の中思い込みや間違った価値観が蔓延っているけど、常に正しい目をもって生きていきたいと思ったのです。

2位:翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~・・・ご存じ、翔んで埼玉第2弾です。とにかく笑いました。愛があるブラックジョークのような映画ですが、こちらはカテゴリーブログの11月の感想で書いています。とにかく笑える。第3弾も出たらきっと観に行くそんな映画です。

3位:AIRエア・・・ミッションインポッシブルとクラブツーリズモと窓際のトットちゃんと迷いましたが、やはり、AIRエアです。こちらの4月のブログに書いています。この映画はノンフィクションとして感動的な映画です。私は企業物のテレビや小説や映画が好きです。特に弱小な企業が這い上がっていく姿に感動するのです。まさにそうでした。まだ観ていない方は一度観てみることをお勧めします。

今年も何とか映画を観ましたが、来年も映画を観たいと思います。ちょっと最近思うことは映画館で映画を観る人が減ったと凄く実感します。以前(私が年間50本くらい観ていたころ)は平日の夜もまぁまぁ混んでいましたが、最近では土日は混んでいますが、平日の夜は少ないです。この前は何と平日の夜で3人でした。(全員一人で観に来ていました)映画も半年もしないでネット映画にあげられる時代です。普通の映画館はつぶれていくのかもしれません。

翔んで埼玉~琵琶湖より愛を込めて

笑えました!前回同様笑わせていただきました。今回は埼玉近辺だけではなく、滋賀県を中心とした関西まで巻き込んでのお話でした。私は生まれてから関東以外に住んだことはないので、関西バージョンもかなり楽しめました。今回は埼玉というより滋賀県を愛のあるディスリで笑わせていただきました。埼玉県と滋賀県は何となく似ていてこの映画を観た埼玉県出身者は滋賀県に親近感を覚えたと思います。

最後には埼玉県の統計自慢もしていますが、日本の人口が減る中、埼玉県は未だ人口増加をしている県のようで、へーっという感じです。滋賀県の話と埼玉県の話が同時進行していて、元埼玉県民としては、埼玉の話に納得してしまいました。

映画でこんなに笑ったのは久しぶり。皆様も是非・・・

グランツーリスモ

グランツーリスモはプレステーションで販売されたドライビングシミュレーターゲームの名前です。このゲームでの成績優秀者を全世界から募り、練習や実際の車で運転させて、プロのレースに参加させて上位を狙うという物語。これがフィクションならあり得ます。ところがこれはノンフィクションです。実話ですよ。実話。。しかも世界的にも保守的と言われる日本のチームで起こった実話です。とても衝撃を受けました。

グランツーリスモのゲームに明け暮れる少年に父親からは、ゲームで勝っても本物のレーサーにはなれないと責される日々を送るも、選抜プログラムに参加し実際のプロの国際レースに参加して3位にまで昇りつめます。周りからは、ゲーマーなんかが通用する甘い世界ではないと言われながらも、日々のトレーニングに耐え本物のレーサーになる物語です。何もかもビックリな映画でした。

本物の国際カーレースに出場する選手をゲームで競い合わせて選抜するとか。本物のレースは時速320㎞という相当なGがかかりますからそれらを経験していない素人(ゲームはプロですが)を養成するとか。このやり方に反感する他のチームからの嫌がらせとか。実際に事故を起こして精神的に参ってしまうとか。そこから立ち直るプロセスとか。何しろビックリの連続でなんでこの映画がそこまで世間で話題になっていないのか不思議なくらいです。あり得ないことをやり遂げる力みたいなものが漲った映画です。ズバリおすすめです。

ミッションインポッシブル/デッドレコニングPART ONE

ミッションインポッシブルを国内最大のIMAX観てきました。池袋にある「グランドシネマサンシャイン」には国内最大のIMAXがあります。その大きさは何とビル6階分の大きさです。映画館に入った瞬間その大きさに圧倒されます。これだけ大きいと画面が大きすぎて画像が割れるかなと思っていましたが、さすがIMAX大きくしても画像は綺麗なままでした。大迫力のミッションインポッシブルを観ました。こちらPART ONEと付いているだけあって続きがある感じの終わり方でした。ミッションインポッシブルシリーズを観るといつも元気になります。多分年上のお兄様が不可能なことを決してあきらめず、素早い判断で行動に移し、最後には達成してしまうというお決まりのパターンが元気にさせるのだと思います。

今回もそんな元気をもらえました。池袋シネマサンシャインは国内最大IMAXのほかにも、国内最初に入った4DX with ScreenXという3面スクリーン+振動+風+水しぶきというディズニーランドのアトラクションのようなスクリーンがありますが、国内最大IMAXで初めて観たのがミッションインポッシブル/デッドイコニングで、4DX with ScreenXを初めて観たのが、トップガン/マーベリックだったので、両方ともトム・クルーズ氏の作品でした。両方とも最初に観るのに素晴らしい作品でした。トム・クルーズ様いつもありがとう!

君たちはどう生きるか

話題の映画「君たちはどう生きるか」を観てきました。なんの情報も入れずに見終わった感想は、これはブログ書くの大変だな。です。時代は戦争(太平洋戦争?)が始まってから3年目から終戦後までを東京から疎開して、母の実家で過ごす少年の話。母(久子)を火事で亡くし、新しい義母の夏子は久子の妹で、その実家の裏にある不思議な建物から地下の不思議な世界に行ってしまう話でした。その不思議な世界がまた不思議で火を操れる不思議な能力を持つ少女(ヒミ)が久子の幼少期の姿であったり、君たちはどう生きるかのポスターにも書いてあるアオサギが飛べなくなると、ただの詐欺男になったり、丸々と太った巨大セキセイインコが人間を食したり、下の世界の住民は物を殺せない定めになっていたり、不思議な世界過ぎて見終わった後も頭が混乱します。ヒミは子供だけど少年の母親で義母夏子は現世から来たから大人のままで、でもヒミの妹で・・・と頭がごちゃごちゃになります。

この映画は不思議な点が多いので見終わった後も色々考えたりします。その分、人によって様々な感想を得ると思います。なぜ、夏子は不思議な世界の産屋で少年が探しに来たにも関わらず、あなたなんて大嫌いと言ったのか?など、なかなか懐かない少年に対しての本心なのか。それともタブーを犯して産屋に入ってしまった少年を遠ざけて守るためなのか・・・映画を観ても結論はでません。不思議な世界では鳥が人間を食します。人間は捕まると妊婦以外は食されてしまいます。人間はこの世では他の動物に襲われることはあっても食されることはほぼありません。でも他の動物は人間に食されているのです。人間が逆の立場だったらどう感じるのか。私たちが今いる世界の常識から外れた世界で暮らすとしたら暮らせるのだろうかと色々余計なことまで考えてしまう映画でした。そこにこの映画の壮大さがあるのかなと思いました。

東京リベンジャーズ2血のハロウィン編-決戦

他の映画を観る予定でしたが、時間が過ぎてしまい観る事ができなかったため東京リベンジャーズを観てきました。これは前編も観ています。主人公の武道君が恋人の日向を救うため、日向の弟である直人と握手することにより過去に戻り未来を変えるというお話です。

ヤンキーものは大抵が喧嘩が強いとか強いカリスマ性があるというのが常套手段ですが、武道君はとても弱いし、強いリーダーシップ性があるわけでもありません。でも何故毎回戻る度に過去を変える事ができたのかを考えてみました。おそらく殴られても殴られても己を曲げない強い意志。武道が頑張っているのだから俺たちはもっと頑張らなきゃいけないと感じさせる能力かと思います。

今回もマイキー君に放った一言、「マイキー君は馬地君のことを何も理解していないじゃないか。なぜ馬地君がそうしたのか。」その瞬間視聴者である私にも届きました。そうだよ。馬地君が自分を刺したのは、一虎を自分を殺した殺人者にさせないため。そしてマイキーも一虎を殺して殺人者にさせないため。おー馬地くん!と心の中で叫びました。詳しくは劇場でご覧ください。

怪物

カンヌ映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した作品です。一言でいうととても深い映画です。怪物という名前の映画なので誰かとんでもない怪物(外面的には良い人で中身が怪物の人)の映画かと思って観ましたが、中身は全然違うものでした。最初シングルマザーの早織目線で映画が撮られます。そうか怪物は先生たちだと確信します。対応が棒読みで心が全くこもっていません。早織は真実が知りたいだけなのに心もなくただ棒読みに謝るばかり。早織にとって「私はが話しているのは人間?」というのも納得できます。

突然、怪物だと思っていた保利先生目線で映画が撮られだします。え?全然違うじゃない!何でちゃんと言わないの?と保利先生目線で言うと、早織は真実ではないことに言いがかりをつけてくくるモンスターペアレントに見えるし、校長はじめ上司の先生方も事なかれ主義の怪物です。あることない事書き立てるメディアも怪物です。

頭が混乱していると子供たちの目線で撮影が始まります。子供にとっては虐待をする親が怪物であったり、いじめをする学友が怪物であったり、自分自身が怪物であったりします。この様々な視点を通して描かれる中で放火である火事のシーンが定期的に出てきます。その犯人はもしかしてあのいたいけなあの子?という疑問を抱かせますが結論はでません。もしかしてそれを決めつける事で観る人を怪物にしてしまう映画なのかも・・・と想像すると怖かったです。

最後のシーンである綺麗な草むらを泥だらけになりながら笑いながら少年らが走るシーンも、え?助かったの?それとも天国なの?と分からないまま終わります。是枝監督特有の観る人によって解釈が違うというストーリーにまたしてもやられました。考えれば考えるほど深い映画でした。