ロスト・イン・トランスレーション

主人公はアメリカ人ですが、一人はサントリーウイスキーのCMを日本に撮りに来た中年俳優ボブで、もう一人は写真家の夫の仕事の付き合いで一緒に東京に来た若い女性シャーロット。東京で過ごす日常が描かれています。二人とも異国の地、東京のパークハイアット東京で偶然知り合い、慣れない異国で孤独を深めていた二人が恋愛未満の絆を深めていくお話しでした。アカデミー賞やゴールデングローブ賞などを受賞した作品ですが、特に何か事件があるわけでもなく、空虚感のある日常が過ぎていきます。

ただ、外国人が日本をロケ地として撮っているので、日本がどんな風に外国の人から映るのか分かりました。東京を中心に数々の風景が映し出されますが、渋谷や新宿のネオン街、渋谷スクランブル交差点、パークハイアットホテル、東京タワー、祐天寺でのお経シーン、浅草商店街、京都など外国人が注目すべき風景を多く撮っていました。また、生け花やお経のシーン、しゃぶしゃぶの肉が全部同じに見えるとか、カラオケシーン、病院など、外国人から見るとそういったところに注目するのだなと思いました。

2つ気になったシーンがありました。1つはパークハイアットホテルのエレベータの中の日本人が喪服のようなものを着ていましたが、襟合わせが右前でした。生け花などのシーンの着物は左前でした。喪服でも生きている人は左前なのでは?と思いました。亡くなった方に着せるときは右前なので勘違いしているのでは?と思ったのと、パークハイアットホテルの就寝シーンで夜中にいきなり奥様からファックスが入るシーンがありました。ホテルの個室にファックスあるの?それとも自前で設置?とこの2つのシーンが気になりました。主人公二人の会話で、シャーロットが日本人はRとLの発音の違いができないのはなぜ?と聞き、ボブがわざとやっているんだ。それを楽しんでいるんだというセリフには吹き出してしまいました。

カニバイシュ

ポルトガル映画の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督の古いフィルム作品を没後10年記念として、現在の4Kデジタル映画に補修復元して作られた作品です。OLIVEIRA2025として5作品復元されましたが、その1作品がカニバイシュです。私が見に行った日だけ上映後トークショーがあったので観ました。正直な感想は「なんじゃこりゃ」です。小学校5年生くらいの男の子が考えたようなそんな映画でした。

全ての言葉がオペラで歌われるので物語の展開が早いのですが、解説らしきものもオペラで歌われます。前半は1人の女性を巡って三角関係が発生しているようでした。B氏は女性を好きで、女性はA氏を好きで、でもA氏は一身上の都合でそれを拒む。それでも女性に押されて結婚しますが、結婚初日で一身上の都合を知り女性は拒絶、A氏は自殺。後半はもうハチャメチャ。どちらかというと壊しにかかっているような映画。終わってから何が言いたかったんだろう。と放心状態になっている時にトークショーが始まります。

あっ私だけじゃないんだ皆そう思っているんだと安心してトークショーを見ました。トークショーの最後にこの映画は1回観ただけでは分かりません。2回目を見てください。それでも分からなければ3回目を見てください。何かが見えてくると思いますというトークショーの締めくくりでした。いや。内容が分からないわけじゃないのです。時代背景が違い過ぎるから分からないのか。異国の地だから分からないのか。色々考えましたが何を言わんとしているのか分かりません。ただ、この映画を2回とは見たくないと思ったのが正直な感想です。

エミリア・ペレス

アカデミー賞12部門ノミネート、カンヌ国際映画祭女優賞と審査員賞、ゴールデングローブ賞4部門受賞と数々の賞を総なめした話題の映画です。内容は盛り沢山、しかも、突然歌いだしてミュージカル?という感じ。考えさせられるテーマが多く、ちょっと考えていると違う話題(これも考えさせられるテーマ)に変わっていきます。脳の処理が追い付かないくらい、次々と簡単でない話題がてんこ盛り。そして急に歌ったり踊ったり・・・とても忙しい映画でした。

主な女性が4人出てきて、それぞれが女性であるからこその悩みというか見えない敵のようなものと戦っています。あと、疑問なのはトランスジェンダーって例えば男性が女性になる場合、愛する人は男性じゃないのですか?男性から女性になってさらに女性を愛するってどういうことでしょう?トランスジェンダーにも色々種類があるようです。まだまだ知らないことが多いと感じる映画でもありました。

ライオンキング:ムファサ

日曜日に観に行きました。この映画はライオンキングの主人公であるシンバの父ムファサの物語でした。ムファサは幼少期に大雨の洪水で遠くの川に流されて、それを助けてくれたのがタカ(スカー)で2人は兄弟のように育ちました

ネタバレになるのでこれ以上書けませんが、仲の良かった2人がなぜライオンキングの世界のようになってしまったのかが明らかになります。それにしても、それって単なる逆恨みじゃない?と思ってしまいました。ムファサは誠実だったし、タカは自分勝手な考え方です。それでそこまでするか?と思いました。まぁ皆さん観てみて下さい。

それにしても映像が綺麗でした。ここまで技術は進んでいるのかと大きな画面をみてそう思いました。内容はともかく画像が綺麗という面では見る価値があるかと思います。

モアナと伝説の海2

モアナと伝説の海2を見に行きました。小さな映画館では吹き替えしかやっていなく、大きな映画館でもほとんどが吹き替えで字幕がなかったです。ということはこの映画は子供を対象にした映画なのでしょうか?私は週末にグランドシネマサンシャインでBESTIA鑑賞で字幕版を観に行きました。BESTIA鑑賞は4Kレーザープロジェクションと3D音響の映画です。つまり画像が綺麗(特に黒が綺麗)で音響も場面によっては横や後ろから音が聞こえたりします。明るくなった時、部屋をみたら至るところにスピーカーが設置してありました。

こんな環境で観た映画は何しろ画像が綺麗で引き込まれます。なんて綺麗な世界なのだろうと実写では味わえない実写以上に美しい画像でした。内容も以前は子供だったモアナが立派に成長し、リーダー的な存在になり、子供の成長を祝う母のような気持になりました。内容も分かりやすく(英語が分かる一緒に行った友達に言わせると難しい表現の英語で子供に分かるのかと言っていましたが・・・)暖かい気持ちで終わる映画です。ただ、完全に平和になったわけではなく悪の根源はまだいなくなっていないので続編があるのかなと思いました。綺麗な映像に心が洗われる映画でした。

はたらく細胞

ズバリ!とても面白かった!体の中の細胞が体の中で働くお話です。赤血球や白血球、血小板はだれでも知っているかと思います。幹細胞や、キラーT細胞やNK細胞、へルパーT細胞も顧問先の関係で知っていました。ただ、マクロファージは知らなかったのでとても興味深く観させていただきました。人間が外部で起こった反応が体の内部でどうなっているのかが良く分かります。

しかも面白おかしく、時としてほろっと来る映画です。これは老若男女にウケる映画だと思います。のりは翔んで埼玉並みの面白さですが、さらに内容がためになるのでこの映画はヒットするでしょうね。あれこれ言うより映画館で観るのが楽しいかと思います。それにしても細胞は良く働きます。自分の体に感謝し、もう少し体を大事にしようと思う映画でした。

ヤング・ウーマン・アンド・シー

1920年代、世界で初めて女性が英仏海峡を泳いで横断したという実話を基に作成した映画です。この頃の女性の身分は低く、水着を着て泳ぐことさえ、はしたない事とされていました。女性は出しゃばらず、おしとやかに、水泳なんてもってのほかという時代です。主人公のトゥルーディ・イーダリーは子供の頃、麻疹になり生死を彷徨います。その時近所の港で船が沈没して多くの人が亡くなります。そのほとんどが女性でした。なぜあんなに港から近いのに泳がなかったのか?泳がなかったのではなく、泳げなかったのです。女性は水泳なんかやるものではないと考えられていた時代です。母は自身の双子の姉妹も溺れて亡くなっていたので、娘たちには水泳をやらせようと決意します。夫は大反対。娘たちは海で泳ぎます。娘たちに才能があると確信した母は本格的に習わせようと夫に相談しますが、夫は女にそんなことをやらせるのは反対だと言います。母は自分でお金を稼ぎ娘たちに水泳を習わせます。

そんな母と、一緒に水泳をやっていた姉、そして女性コーチに支えられながらトゥルーディは頭角を現してきます。そして男性も何人もが命を落としている英仏海峡横断を達成する映画です。この頃の女性の身分の低さ、そしてそれらに負けないで戦う女性たち。男性の足の引っ張り。それでもトゥルーディを応援してくれる男性もいて、胸が熱くなります。赤クラゲの集団に合い体中傷だらけになり、極寒の寒い海の中で泳ぎ続ける彼女。最後の10キロで潮の流れが乱れ夜のためどちらが岸なのかさえ分からなくなった時は心臓がドキドキしました。それでも多くの人たちがラジオを聞き、現地にかけつけ、火を焚き、方向を示して応援する様子が映し出されます。その頃の時代背景や、それにも負けず、努力する彼女に感動する映画でした。これディズニー映画なのですよ。意外でした。「皆が望んでいるのはわきまえた女」という社会でどう女性が戦ってきたのかが分かる映画でした。イランで女性のサッカー観戦が禁止されている中で男性に変身し、観戦する女性もそのように戦っているのを思い出しました。

傲慢と善良

辻村深月氏の小説を映画化したものです。小説は読んでいませんが、細部の細かいこころの感じ方や揺れ動くこころなど見事に表現していました。誰もが結婚適齢期にここに出てくる誰かと似た感情を抱くのではないでしょうか?本の題名である「傲慢と善良」は誰のこころにも両方存在するもので、これにはとても共感しました。人は傲慢であり、善良でもある。とても意を得た表現です。

疲れた時にぼーっと見る映画ではなく、ぼーっと見ていると繊細なこころを見逃し、何だかあまり面白くない映画だと感じるかもしれません。繊細なこころの動きを逃さないように見るとこの映画の良さが伝わってきます。人が持っている繊細な感情を理解できれば面白い映画だと思います。特に誰のこころにもある傲慢さと善良さを考えるのには問題提起という意味でとても良い映画でした。

フォールガイ

グランドシネマサンシャインで観ていきました。ここの映画館は平日夜でもある程度お客さんがいます。私が以前よく見ていた109シネマズとは全然違います。この映画もそうだ!ブログ書かなきゃと思い、平日夜に池袋でやっている映画だから観に行きました。

正直全く期待しないで観に行きましたが、面白かったです。アクションあり。コメディあり。ロマンスありで盛り沢山。主人公の職業が元スタントマンというのも観てみたいと思った動機です。スタントマンって過酷そうな仕事だけど、どうなんだろうと興味もありました。

スタントマンなのでアクションは特にてんこ盛りです。コメディはもろ笑わせるというより、三谷幸喜氏的なやつです。それからロマンスは、元カノの映画監督を振り向かせるためと単純です。いやぁスカッとしました。面白い映画でした。

めくらやなぎと眠る女

昨日、グランドシネマサンシャインにて観てきました。以前の私は1カ月に2~3本映画を観ていたので、その中から1番良かった映画を感想文として投稿していましたが、今月はこの映画しかみていないため、感想を述べます。村上春樹氏の短編小説6つをアニメ化したもので、声優が豪華ということでその点も楽しみにして行きました。結論から言うと観なければ良かったという感想です。おそらくこれが芸術なのでしょうが、漫画の画質も苦手ながらストーリー的にも感動はしない感じ。

最後の最後の猫のシーンを除き、すべて暗く陰の世界。観て良かったという感想にはなりませんでした。話が暗くても得るものがあれば感動したりするのですが、そういった発展もなく、くらい世界が広がります。映画のジャンルで観て後悔するのがホラーですが、これはホラーではないけど、終止嫌な気持ちのまま話が流れていきます。こんな世界にいたくないとさえ思ってしまいます。多分これが芸術なら私は芸術は分からなくて良いとさえ思ってしまった映画でした。