以前ブログでキャッシュ化速度のことをお話しました。売掛金のサイトを縮め、買掛金のサイトを延ばし、棚卸資産を減らすと財務内容が改善するというお話です。
棚卸資産、つまり在庫を少なくするというのは言葉で言うのは簡単ですが、具体的にどうすればよいのでしょう?在庫を少なくしすぎると品切れを起こしあれば売れたのにという機会損失を招きます。適正在庫とは何なのか?ということが読んでいるうちに分かってくる本です。
何が、いつ、どこで、どれだけ売れるかを正確に教えてくれる水晶玉が「クリスタルボール」です。そんなものがあればいいのに・・・というのが起発点となっています。
まず、物語は店舗の地下にある倉庫が水道管破裂のため、長い期間使えなくなるというハプニングから始まります。それまで、その店舗では4か月分の在庫を地下倉庫で管理していました。倉庫が使えなくなることから20日分の在庫を残し、あとは地域倉庫に引き取ってもらいます。売れた分だけ毎日地域倉庫から品物を補充し、20日分の在庫になるように管理しました。その結果、売上高が20%から30%Upし利益率は3.2%から17.4%にUpしたのです。それで、何故そんなに数値が良くなったのかというのを分析しながら、どんどん改善していきます。売れ筋商品の品切れはその店舗だけではなく、その他の店舗の在庫も地域倉庫へ集めることで改善されていきます。各店舗の販売予測のズレを1箇所に集約することによって、売れ筋とそうでないものが相殺され集約できるからです。そして、売れ方にスピードがあることにも気が付きます。売れ筋の商品は品物の減少のスピードが早いので、他の商品と同じ仕組みで発注しても届くまでに在庫切れを起こす可能性があることを知り、商品ごとに赤、黄、青というスピード別に分けて管理します。それから各地域ごとのクロスシッピングを始めますが、同時に不都合さも覚え、中央倉庫管理を思いつきます。そして、究極はサプライヤーにまで協力してもらい、小ロット化に成功します。これも自社だけに有益な方法ではなく、サプライヤーにも有益になるようサプライヤーにとって現金化が早まり、納期厳守をすればバックマージンを与えるなど、Win-Winの関係を構築できるやり方です。そうしてサプライチェーン改革を起こすというものです。
物語形式になっているので読みやすく、かつ、体系的にロジスティックの基礎からサプライチェーンまで学ぶことができます。