医療法人向けIT導入補助金

補助金は中小企業対象で行われることが多く、医療法人や一般社団法人などは対象外にされることが多いです。でもIT導入補助金は医療法人も対象です。ただし、常勤従業員300人以下が対象となっています。医療法人は人も地方を中心に足りなくなってきていますので人でなくても出来る仕事はどんどんITに任せていかないと生き残っていけなくなっています。従って、是非活用して業務の効率化を図っていただければと思います。

詳しくはこちら⇒https://www.it-hojo.jp/
次の申請期限は7月31日までとなっています。例えば、電子カルテシステムや電子カルテ対応レセコンの導入、ソフトウエア購入費、クラウド利用料(2年分)、サイバーセキュリティサービス料は1/2の補助、ハートウェア(PC.複合機、レジなど)も1/2の補助ですが上限額が10万円~20万円と低め。デジタル化基盤導入枠は会計システム、受発注システム、決済システム、ECサイトの導入などのITツールですが、こちらは補助率が高く、ものによって3/4か2/3になります。

是非、補助金を活用して医療法人内のIT化促進にお役立て下さい。

情報の非対称性

情報の非対称性について、これは例えば患者と医者や、納税者と税理士など、前者より後者の方が圧倒的その分野に対して知識を有している場合の情報の格差があることをいいます。まぁその情報格差があるからこそ、そこに商売が成り立っているということも言えます。ここで注意しなければならないことは、情報を多く持っている方は情報を持っていない方に分かりやすく、説明する義務が生じるということです。説明義務を怠るとあとでトラブルになりますし、依頼をする側も納得感が得られません。私たち税理士や行政書士も、いかに分かりやすい言葉で説明するかがこれからの経営の上で大事な事かと思います。今はパソコンも普及していますので、調べればほとんどの事が分かりますが、ただ内容が難しすぎたり、個別には対応していなく微妙に違うケースなど、応用力が試されます。相手の情報のレベルにより説明の仕方も変わってきます。私たち専門家の意義はそういったところ。つまり時代とは反する部分にあるのかと思うのです。

委嘱書

東京税理士会から委嘱書が届きました。所属は調査研究部です。この部は日本の税制のあり方を研究する部で税制改正の要望なども考えています。現在、世の中では産業の革命を感じている方も多いと思います。コロナ禍になってそれが急速に浸透しつつあります。政府もデジタル庁が発足され、税務にもデジタル化の流れが着ています。電子申告はもうほとんどの税理士が行っている申告の仕方で、今年の10月からはインボイス制度も始まります。来年の1月からは電子帳簿保存法が始まります。急速に発展する中では問題点も多く発生します。それを専門家として提言していけたらと思います。

調査研究部は2期目(1期で2年の任期になります)です。部員は23名位いますが、様々な支部から構成されています。少しでも良い税制になるように他の部員と協力しながら提言していけたらと思っています。2年間頑張ります!

怪物

カンヌ映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した作品です。一言でいうととても深い映画です。怪物という名前の映画なので誰かとんでもない怪物(外面的には良い人で中身が怪物の人)の映画かと思って観ましたが、中身は全然違うものでした。最初シングルマザーの早織目線で映画が撮られます。そうか怪物は先生たちだと確信します。対応が棒読みで心が全くこもっていません。早織は真実が知りたいだけなのに心もなくただ棒読みに謝るばかり。早織にとって「私はが話しているのは人間?」というのも納得できます。

突然、怪物だと思っていた保利先生目線で映画が撮られだします。え?全然違うじゃない!何でちゃんと言わないの?と保利先生目線で言うと、早織は真実ではないことに言いがかりをつけてくくるモンスターペアレントに見えるし、校長はじめ上司の先生方も事なかれ主義の怪物です。あることない事書き立てるメディアも怪物です。

頭が混乱していると子供たちの目線で撮影が始まります。子供にとっては虐待をする親が怪物であったり、いじめをする学友が怪物であったり、自分自身が怪物であったりします。この様々な視点を通して描かれる中で放火である火事のシーンが定期的に出てきます。その犯人はもしかしてあのいたいけなあの子?という疑問を抱かせますが結論はでません。もしかしてそれを決めつける事で観る人を怪物にしてしまう映画なのかも・・・と想像すると怖かったです。

最後のシーンである綺麗な草むらを泥だらけになりながら笑いながら少年らが走るシーンも、え?助かったの?それとも天国なの?と分からないまま終わります。是枝監督特有の観る人によって解釈が違うというストーリーにまたしてもやられました。考えれば考えるほど深い映画でした。

トッカン特別国税徴収官

この本は税理士として読んでおかないと!と思い読んでみました。税理士は税務署の税務調査員や特別国税調査官はなじみがありますが、特別国税徴収官はあまりなじみがなかったです。調査員や調査官は税務調査をする仕事ですが、徴収官は税金の滞納をしている人から税金を徴収する仕事です。税金は改正が頻繁にあるので内容が少し古い部分もありましたが小説として楽しめる本でした。

当事務所の顧問先は税金を滞納している事業所がないので知らなかったのですが、結構な割合で税金を払わない人がいるらしいです。でもそれには理由があって、本当に資金繰りが苦しくて払わない人や、国の政策に納得いかなくて払わない人など色々です。納税者の言い分、徴収側の言い分も色々あります。

我が国の憲法において定められた納税の義務について色々考えさせられました。どうしても払わない場合は財産の差し押さえをしますが、最低限の生活ができる程度の金品や事業に必要な財産などは差し押さえできません。小説なので調査官がやるような事もやっていましたが、若手女性徴収官が奮闘する様子が面白かったです。

コロナ倒産

コロナ禍や物価高騰を受け倒産件数が増えています。東京商工リサーチによると、2021年は政府の資金繰り政策が功を奏し年間1718件の倒産にとどまりましたが、2022年は年間2282件と増加しました。さらに今年になって連続で月間最多を更新しています。2020年にコロナ禍のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の恩恵もそろそろなくなり、本格的に借入金の返済が始まります。

コロナ禍から政府の助成金や優遇借入金などがあり、何とか生き長らえてきた会社も、借入金返済が始まり、水道光熱費の増加、人件費の増加でこの夏はさらに倒産が増える予感がします。最近ではリスクが高い企業には政府系金融機関でも融資をしなくなっていて、それが益々倒産に拍車をかけるでしょう。この夏は日本経済最大の倒産数を記録するのではないでしょうか。暑い夏に寒い経済が訪れそうです。

インボイス制度注意点その3

前回(2023年5月2日のブログ参照)インボイス制度注意点その2で請求書作成の際の端数処理の仕方についてお話しました。今回自己システムを利用している消費税原則課税の顧問先から質問が着て、ハッとしたことがございます。前回の添付資料をご覧ください。請求書を発行する側は、8%と10%に分けた合計額に消費税を加算するやり方で請求書を発行することは前回述べた通りです。でも請求書を受け取る側はどう会計処理をするのでしょうか?

例えば添付書類を例に取ると、同じ10%消費税に花と肥料があります。花が交際費で肥料が雑費の場合、どういった会計処理をするのか?この場合、交際費(税込)4,827円(消費税438円)と雑費(税込)26,145円(消費税2,376円)と仕訳するしかないと思います。この仕訳の消費税の合計額は、インボイス請求書の消費税の合計額2,815円と1円の差が出てしまいます。インボイスはそもそも売り手と買い手の消費税額の一致を目指しているはずなのに勘定科目が違うと別に入力しなければならず、結局一致しなくなります。

その顧問先の優秀な経理担当者が国税庁に聞いても、ソフト会社に聞いてもその点ははっきりしない回答だったそうです。ソフト会社はどちらでも良いと答えたそうです。なんじゃそりゃ!だから紙でのインボイスは無理があるのです。ちゃんとやりたくてもちゃんと出来なくなっています。結局手作業のインボイスはどこかで不都合が生じます。デジタルインボイスに移行するしかないのではないでしょうか。