定額減税始まりましたが・・・

今月、顧問先様のところに訪問すると必ずと言っていいほど、聞かれるのが、「給与から定額減税はすることができました。給与ソフトが対応してくれたので、摘要欄にも定額減税額の記載があります。でも当社の〇〇さんはお子さんが3人いるので、7月、8月、9月、10月、11月、12月と年末調整をやっても引ききれないのですが、その場合、どうなるのですか?」という質問です。

あぁそれはみんなに聞かれますよ。定額減税しきれない時は、市町村から本人に確認書が届きそれに返信することによって振込されるみたいですよ。と答えます。経理の方はえぇっです。私もそう思います。どれだけ市町村に負担をかけるんだよという感じ。従業員はその書き方が分からないと言って経理に聞いてきそうと言っていました。その可能性はありますね。

経理に聞かれても困るのですが、もし聞かれたら先生にお聞きして良いですか?はい。。経理の方と二人でげんなりしてしまいました。まだまだ先は長そうです。これで市町村毎にフォーマットが違ったら最悪です。経理の方と私・・・ため息しかでない訪問でした。

混乱定額減税

6月から始まる給与所得者の定額減税については2024年1月27日のブログhttps://hy-tax.com/blog/?p=6407と2024年3月27日のブログhttps://hy-tax.com/blog/?p=6526でお話ししてありますが、いよいよ差し迫ってきて、顧問先様から質問が増える状態になっています。最近多いのが扶養人数の把握です。税務とも社会保険とも違いますと言うと混乱します。例えば税務では児童手当をもらっている16歳未満の子供などは税務上扶養控除は受けられません。でも今回の定額減税は受けられます。税務上認められている外国人の扶養も居住者でないならこの制度では対象外になります。また、社会保険では籍を入れていない内縁の配偶者なども社会保険の扶養になれますが、今回の定額減税では扶養にはなれません。

また、納税者本人が高額所得者(給与収入2000万円以上合計所得金額では1805万円超)の場合、定額減税の対象外になりますが、その同一生計の配偶者や子供などはたとえ所得が48万円以下であっても定額減税の対象になりません。対象とならないのに月の定額減税はやります。そして確定申告の時にその分を返します。ある顧問先から月の給与で減税してその分、確定申告で返すのは気分悪いから、役員である確定申告をする自分たちは毎月の定額減税をやらなくてよい?と聞かれます。気持ちは分からなくもありません。

ですからこう答えています。「法律では所得にかかわらず定額減税をやる決まりになっていますが、やらなかったとしても源泉所得税を多く払っているので罰則にはならないと思います。自己責任でそうするなら仕方ありません。でも従業員の分はちゃんとやってください。」そりゃそうですよね。元々2000万円超えて定額減税の対象にならないのに、奥様と子供が3人いたら、所得税だけでも3万円×5=15万円減額されます。でも確定申告の時、返してねってそりゃ嫌だわ。誰でも嫌だわ。税理士のせいにされそうでそれも嫌だわ。まぁ自己責任でお願いします。

その後ある情報を得ました。衆院財務金融委員会で、企業が6月以降の毎月の給与から引く手間を省くため年末調整で一度に差し引いた場合、法律違反になるのかどうかというのを質問したそうです。回答は、6月から減税を反映しない場合、税引き後の給与が本来支払われる額より少なるなるため労基法違反になる可能性があり、悪質なケースは30万円以下の罰金が科されることになるということでした。面倒でも従業員の分はやらなきゃ駄目ですよ。顧問先と会合する度に経理担当からは定額減税制度について不満が漏れています。

3月決算始まりました

3月決算は多分ほとんどの税理士が顧問先で一番多い決算月だと思います。そして3月決算から様式等が変わることが多いです、今3月決算をやっていて覚悟をしたものの、やはりかなり面倒になってきています。面倒その1:科目内訳書に相手先の適格請求書の登録番号(なければ法人番号)を記載した欄が出来たこと。今回からですからその分かなりの手間になります。面倒その2:消費税の申告書にも同様の記載が必要です。これも面倒ですが、還付なら仕方ないかと思います。面倒その3:消費税原則課税の申告が免税事業者からの仕入れがあるためチェックが大変です。

電子申告が進み通常は楽になるのではないですか?面倒になってどうするのよ。これが税理士の本音です。読者の中には自分で申告している人もいるかと思います。今回の申告からインボイスも入ったことからかなり面倒なので余裕をもって早めに取り掛かった方が良さそうですよ。以上つぶやきでした。

定額減税 嫌な予感

定額減税のパンフレットが納税者に届き、顧問先から質問を受けることが多くなってきました。定額減税の制度については2024年1月27日の「定額減税」のブログhttps://hy-tax.com/blog/?p=6407
で解説しております。それはそうと、給与所得者については6月の給与から実際の減税が始まります。1人4万円の内訳は所得税3万円住民税1万円なので、6月の源泉所得税から3万円に達するまで給与の所得税が引かれなくなります。1回の給与で充当できない場合は賞与や翌月の給与、翌々月の給与からも引かれます。12月まで控除しきれなかったら年末調整で控除される仕組みです。

それはそうと、嫌な予感しかしないことが1つあります。これは甲欄源泉の人で6月1日以前に入社している人が対象になるのですが、合計所得金額が1805万円(給与収入でしたら2,000万円)以下でないと対象になりません(つまり定額減税の恩恵は受けられません)ところが、あきらかに給与だけでもそれを超える人でもとりあえず、定額減税をするというのです。ええぇぇぇぇ!です。とりあえず定額減税をして確定申告などで定額減税なしで申告しなおすという何ともいえない処理をするということです。

社長などの場合、合計所得金額が1,805万円を超える人は結構います。その方たちの確定申告をするのは私たち税理士です。いつもは還付なのに今回は何で納付なの?と言われそうです。一度引くけど確定申告で返してねというお話です。本当に嫌な予感しかしません。納税者に送られてきたパンフレットには載っていませんが、国税庁が公開した定額減税定額減税Q&AQ&A(下記参照)にはしっかりと載っています。P4の(注3)及びP8の2-2参照。下記参考までに・・・
定額減税Q&A

相続税

国税庁から令和4年分の相続税申告実績が発表されました。それによると令和4年1月1日から令和4年12月31日までに亡くなった人は1,569,050人で前年より129,194人増え過去最高となったようです。また相続税の課税対象となった被相続人も前年より16,583人増えて150,858人となり、これも過去最高となりました。計算すると亡くなった人の9.6%が相続税の申告をしているということになります。東京局管内だけでみると課税割合は15%になるそうです。大阪局管内は9.7%(全国平均に近い)ですが、名古屋局管内は12.2%となっています。

一方相続税の税務調査をみると税務調査をしたうちの85.8%が追徴税額を取られていて相続税の調査=追徴税額の図ができそうで怖い感じです。一番多い指摘事項は申告漏れで現金預金の申告漏れが一番多いそうです。次に土地、そして有価証券だそうです。土地とかの申告漏れはちょっと?ですが、現金預金や有価証券は遺族も知らず亡くなった被相続人だけが知っていてあとで税務署に見つかるというケースも多く、これは逆に見つけてもらって良かったのかもしれません。

申告者も申告漏れも納税額も過去最高となり、ますます気を付けなければならない相続税となりました。特に都心に住む人で住宅を持っているだけで相続税の対象になるケースがほとんどです。日頃から自分が亡くなった時に遺族が困らないように資産管理しておく必要があります。何か心配なことがありましたら税理士吉田久子事務所までご相談下さい。当事務所では資産形成のご相談(CFP/1級FP在中)から成年後見人制度の手続きまで(こちらはリライアンス東京行政書士事務所で行います)幅広く対応していますので、よろしくお願い申し上げます。

定額減税

最近お客様から、給付金・定額減税についてよく聞かれます。夏に電気代等が高騰し、岸田内閣が国民に補填すると発表しましたが、ちょっと難しくて良くわからない。結局低額所得者のみに給付されて私たちは関係ないの?という質問です。いやいや関係ありますよ。でも何段階にもなっているので複雑で分かりにくいだけです。順を追って説明します。

定額減税図解
図解を見ながら読んでほしいのですが、①まず、今年の2月~3月を目途に、低所得の子育て世帯に18歳未満一人につき5万円を加算します。
②住民税均等割りのみ課税世帯には1世帯10万円を給付します。
③そして住民税非課税世帯には1世帯7万円(自治体でも3万円を夏以降支援)を先行して給付します。
④①~③は令和6年度の住民税情報(令和5年の所得をベースにしている)を基に決定しているので、実際に令和6年に住民税非課税もしくは住民税均等割りのみ課税となる世帯には1世帯10万円を給付します。
とここまでは給付の話。これから減税の話になります。

住民税非課税や均等割りのみ課税の世帯以外の世帯は給付ではなく減税になります。給与所得者は、高額所得者(合計所得金額1805万円、給与収入だと2,000万円超)は減税の対象外になります。それ以外の方は今年の6月から給与の源泉所得税から減税されます。(給与の所得税の天引きが少なくなる)金額は、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人に付き3万円です。住民税は1万円になります。つまり、所得税などを払っている人は所得税3万円と住民税1万円の合計4万円が減税となります。扶養配偶者と子供2人がいれば、本人含めて4人なので4万円×4人の16万円が減税になります。6月の給与の天引きから考慮されますが、6月分の給与で充当できなかった場合は7月、8月、9月と繰り越して、12月まででも充当できなければ年末調整で考慮されます。ここまでが給与所得者の場合です。

次に、給与所得者ではなく、不動産所得者や事業所得者の場合は、予定納税対象者については第1回予定納税額から減税ですが、予定納税額がない場合等は確定申告で減税になります。減税額は給与所得者と同じです。(@一人4万円)

年金受給者はどうでしょう。年金受給者についても6月の年金から控除される源泉徴収税額から控除されます。6月に充当できない時は次回の8月(年金は2カ月に1度なので)に充当されます。年金受給者で源泉所得税がかからない人もいるかと思いますが、その場合は住民税非課税世帯もしくは住民税均等割りのみ課税世帯だと考えられるので前半にお話しした給付になります。

注意点としては住宅ローン控除がある人は住宅ローン税額控除後の所得税から減税を実施します。また年末までに扶養親族等の情報に異動があった場合には、年末調整や確定申告で調整します。こちらの制度は様々な層の国民に丁寧に対応しながら、物価高に対応し、可処分所得を増やすことを目的としています。簡素・迅速・適切のバランスを考慮しているということですが、全然簡素じゃないですね。専門家でも複雑で説明が面倒なくらいです。今回給付と減税で対応が違うので複雑なのですね。本音を言えば6月から給与計算が大変になるな。給与ソフトはちゃんと対応してくれるのだろうか。と思っています。

金の価格高騰

金の価格が高騰しています。5年前には1gあたり5100円程度でしたが、とうとう1万円を超えました。5年間で倍になっています。昔は金よりプラチナの方が高かったですが、今のプラチナは1g5000円しないのでプラチナとの価格も倍以上となります。最近、昔から持っている金の地金を売ろうと思うのだが税金はどうなるのですか?と数人から聞かれるようになりました。例えば金を100g売ったら、100万円を超えます。1g=10,000円と仮定して計算してみます。

100g買ったのが6年前で購入価格が1g5000円だったとします。そして、売却のための手数料も必要です。手数料は16,500円とします。(田中貴金属工業HP参照)
100万円(売った値段)-〔50万円(買った値段)+16,500円(手数料)〕=483,500円これは5年以上保有していたので長期譲渡所得になります。長期譲渡所得は50万円の特別控除があるので、483,500円-500,000円≦0円となり、税金はかかりません。この50万円の特別控除は5年以上保有していないと使えません。そして毎回使えるのではなく、年間通して50万円です。

ポイントは、①金は5年以上保有してから売却する。⓶1年で100g程度の売却をする(金価格がg1万円程度の場合)③毎年分けて売る。これらを上手く活用すれば、税金を払わずに済むかもしれません。ただし、この計算はg5千円程度で買った時の計算ですので、場合によってはもっと売れる可能性もあります。よく考えながら売ってみて下さい。なお、売却業者は売却価格(業者からすると購入価格)が200万円を超えると税務署に支払調書を提出するので、必ずバレますので申告して下さい。

消費税2割特例

税務署からのお知らせ

税務署からこんなお知らせがあります。顧問先様はこれを見ても何のことか分からないと思います。これはインボイス制度を機に新たに免税事業者からインボイス発行事業者となった法人の方でインボイス発行事業者の登録申請書と消費税課税事業者選択届出書の両方を出した方が対象者になります。そして何がどうなるのかというと、消費税課税事業者選択届出書を提出した者(強制的に課税事業者となる届け出)は2割特例(売上に係る消費税の2割だけ納付すれば良いよという制度)が使えないという事です。その場合、簡易課税選択不適用届出書を提出しなければならないというものです。

実際、自分の事業所が提出した方が良いのか否かの判断は、消費税見込み額が還付になる場合(輸出免税売上額が多い場合や設備投資に係る消費税額が多額になる場合等)には課税事業者選択不適用届出書を提出してはいけません。何でもかんでも提出すればよいというものではなく、事業の消費税見積額を出したうえで売上に係る消費税の2割以上の納付額になりそうな時は提出して下さい。自分で判断できない時は顧問税理士にご相談下さい。

科目内訳書と消費税還付申告明細書

え~!!これが発表された時、また新たなる衝撃が走りました。来年の3月決算法人から科目内訳書に事業者登録番号を記載する欄が追加されます。詳しくはこちら↓
R6.3~科目内訳書
またまた決算業務が増えます。何てことでしょう。

そして、消費税還付申告明細書については来年の3月からではなく、今年の10月決算から消費税申告書のフォーマットが変わります。詳しくはこちら↓
消費税付表2-1
⑪と⑫の欄を分けて(つまり消費税の登録事業者と免税事業者を分ける)記載するということですね。まぁこれは仕方ないといえば仕方ないですね。また、会計ソフトを使っていて入力時点で正しく入力できていれば自動転記されるものと予想されます。

問題は還付申告の場合の消費税の還付申告に関する明細書です。記載例はこちら↓
消費税還付申告記載例
2枚目をご覧ください。(2)と(3)には取得業者を記載するのですが、取引先の登録番号の記載も必要です。これは税理士にとって面倒な仕事になりますが、消費税の還付申告で不正事案が後を絶たないことを考慮すれば仕方ないのかなとも思います。

科目内訳書は勘弁してくれ~これが本音です。

温度差

今回のテーマは温度差ですが、気温のことではありません。これは税務署と税理士との感覚の温度差のお話です。先日、税理士会豊島支部の幹部と豊島税務署との意見交換会が行われました。豊島税務署側の説明では、法人税の電子申告はとうとう82%になりました。これは多くの税理士が電子申告を進めることによって寄与されたものであるとの事でした。でも電子納付は13%です。税務署は令和7年までに40%のキャッシュレス納付を目指していて、e-taxで申告した納税者にはプレプリント納付書を令和6年5月から送らなくなるということでした。税務署側は電子申告ができるのだから、あとは国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書を提出して、電子納付をしてくれというのが希望のようです。

ちょっと待って!私も思いましたが、多くの税理士がこれに反対しています。税務申告は税理士の特権ですが、電子納付まで税理士が手続きをするのですか?という話です。税務署側はそれは税理士がやっても納税者がやっても構わないというでしょうが、納税者がやるわけないので結局税理士がやることになります。税理士の中では申告は税理士で、納税は納税者という意識があります。それが税理士がやってしまうと税理士はまるで税務署の下請けのような立場になり、嫌なのです。なぜ、税理士が税務署に代わって納税のことまでやらなきゃいけないのだ。多くの税理士にはそんな意識があります。

100歩譲って、確定申告のみ電子納付の手続きをするとします。決算報告はするのでその時にいくら口座振替されますので口座にお金を用意しておいてくださいと言ったとします。でも予定納税はどうでしょうか?予定納税は決算から半年後に来ます。それをいちいち税理士がすべて覚えておいて管理して、わざわざ納税のためにe-tax処理をする。これはいくら何でも違うんじゃないかと思います。今は予定納税の納付書が納税者に郵送されるから納税者も気が付くという顧問先もあります。もし、納税を忘れてしまったら誰の責任なのでしょうか?納税の管理まで税理士に押し付けるのはちょっとというか、かなり見当違いな話になります。その点を国側も理解してほしいです。