災害義援金

連日の酷暑に引き続き、7月には豪雨や台風の大きな被害もありました。西日本を中心に広い範囲で災害救助法が適用されて、被災自治体への義援金以外にも日本赤十字社や中央共同募金会などに対する寄付も「ふるさと納税」として取り扱われます。

ふるさと納税にはサラリーマンなど年末調整だけで事が足りる人に限ってはわざわざ確定申告をしなくても寄付金控除ができるように「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が利用できますが、この度の災害義援金はふるさと納税に該当するものであってもこのワンストップ特例制度は利用できません。ですから災害義援金を行って税額控除を受けたい方は確定申告をする必要があります。

また、被災地の救援活動や救護活動などを行っている認定NPO法人などに対する寄付金は、ふるさと納税ではなく「認定NPO法人に対する寄付」となります。これは税金の負担を軽減することはできますが、ふるさと納税には該当しません。

仮想通貨業者からの金銭返還額

仮想通貨が不正アクセスにより平成29年には6億6240万円もの被害が出ました。仮想通貨業者は信頼を失わないために、顧客に金銭によって補償を行うケースもありました。この金銭返還は所得になるのでしょうか?

損害賠償金は通常非課税所得となりますが、このケースは損賠賠償金になるのでしょうか?こちらについては、先日、国税庁のタックスアンサーで明らかになりました。

仮想通貨業者から受けた返還金は貰った金額で仮想通貨を売ったものとみなして雑所得により課税されるということです。つまり返還額を雑所得の収入金額としてそもそもその仮想通貨を購入したもともとのお金を費用として、収入から費用をマイナスした金額がプラスなら雑所得となしますし、マイナスなら雑所得のマイナスになるので他の所得と損益通算できませんが、同じ雑所得同志であれば、内部通算することができます。ご参考までに・・・

民泊収入は何所得?

政府は2020年のオリンピックに向けて訪日外国人旅行者を受け入れる施設としてホテル等の他に「民泊サービス」が期待されています。では、これらを貸したことによって得る所得は何所得でしょうか?

一般的に不動産を賃貸することによる収入は不動産所得ですが、民泊の場合は、「一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します」としています。ですから、確定申告時には不動産所得ではなく雑所得となります。

不動産所得にしても雑所得にしても税率は同じ(所得税法による超過累進税率)ですが、不動産所得は青色申告を行うことができ、かつ、他の所得と損益通算(例えば給与所得から不動産所得が赤字だった場合給与所得から不動産所得の赤字部分を控除できる)できますが、雑所得は例え赤字だったとしても損益通算できません。

一戸建ての場合は構いませんが、マンションの場合、民泊禁止している物件もありますので注意が必要です。ちなみに私が知っているすべてのマンションは民泊禁止です。もともと年末調整だけで確定申告をする義務がない人は年間民泊収入が20万円以下の場合については確定申告をしなくても構いません。

事業承継税制1

平成30年税制改正の大きな目玉は何といっても「事業承継税制」です。今日本の中小企業の経営者は、高齢化が進み何らかの形で自分の会社を誰かに引き継ぎたいと考えていますが、子供の問題だったり税制の問題だったりしてうまく引き継ぎができなくなっています。2017年に団塊の世代が70歳代になったことにより「2017年問題」として話題になりました。中小企業のほとんどが70歳過ぎても社長を続けていて、20年前には経営者年齢の山は47歳でしたが、今は66歳になっています。2020年までに新たに70歳に達する経営者は約31万人います。最大の問題は後継者不在です。50歳代で後継者が決まっていないのは約75%ですが、60歳代でも54%、70代でも44%、80歳以上でも3分の1が後継者不在になっています。このままでは日本の多くの中小企業が潰れます。会社が無くなるということは税収も少なくなり雇用もなくなりGNPも減少します。これは国家のためにも国民のためにも大惨事なのです。

そこで今回、事業承継税制の抜本的改革が行われました。昨年10月に医療法人の事業承継税制である認定医療法人制度もびっくりするくらい画期的でしたたが、中小企業を対象にした今回の事業承継税制はそれ以上に画期的で大盤振る舞いの制度です。自社株を後継者に譲る場合通常何らかの税金がかかってきますが、事業が上手く引き継げて雇用を維持してくれたら無税にするよ!(実際には要件を満たしてくれたら無税にするので納税猶予といいます)という制度です。これは期限が決まっていて平成30年4月1日から平成35年3月31日までに事業承継計画を都道府県知事に提出して認定を受ける必要があります。今までも事業承継税制はありましたが、全株式対象ではなく総株式数の3分の2までで税金の猶予はその80%でした。ですから100%全て経営者が持っていたとしても100%×2/3×80%の53.3%しか納税猶予されなかったのが100%納税猶予となります。また後継者は1人でしたが今回の改正で最大3人の後継者が選べるようになりました。雇用確保維持要件などもゆるくなりかなり使いやすくなりました。中小企業の経営者様には是非活用していただきたい税制です。次回の税務のカテゴリーで内容を詳しく説明します。

電子申告

2016年の電子申告の割合は所得税53.5%、法人税79.3%、消費税(個人は63.2%、法人は77.3%)でした。電子申告が始まったばかりの頃は税理士も積極的に電子申告を行わず、なかなか普及しなかったのですが、紙申告だとマイナンバーのコピーも一緒に提出しなくれはならないなど、不都合が生じたため税理士業界でも急速に電子申告が広まりました。

平成32年(2020年)4月1日以後開始事業年度から、資本金が1億円を超える法人については電子申告が義務化されます。また、平成32年から所得税についても青色申告特別控除が電子申告をすればこれまでの65万円をつかえますが、電子申告をしないと65万円ではなく55万円しか控除できなくなります。

当初は電子申告をすればお礼をするよなどの税額控除などがありましたが最近は電子申告をしないと不利になるよという作戦に切り替えた頃から電子申告の普及が早まったような気がします。現在相続税は相続人が複数存在したり、提出枚数や添付書類が多いことから電子申告でなく紙申告ですが、そのうち相続税も電子申告になるのでしょうね。2019年1月からはコンビニ納付について、自宅等において納付に必要な情報をQRコードとして出力することが可能になります。税務は電子化の波が押し寄せています。
参考資料→電子申告

自己株式の取得があった場合の株式の価額

類似業種比準価額の場合
その会社が自己株式を取得した場合は、その会社の法人税の計算上、資本金等の額から取得した自己株式に対応する資本金等の額を控除します。具体的なやり方としては、取得資本金額控除後の資本金等の額より「1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数」を計算し、かつ発行済み株式数の計算上も自己株式数を控除します。つまり資本金額からも取得資本金額(自己株式のこと)を控除しますし、発行済み株式数からも自己株式数を控除するので自己株式取得前後において株価に変動は生じません。

純資産価額の場合
純資産額の計算は、原則として課税時期における仮決算における資産と負債を基に行います。課税時期における資産および負債の金額が明確でない場合において直前期末から課税時期までの間に資産および負債について著しく増減がないため評価額の計算に影響が少ないと認められるときは、直前期の資産および負債の相続税評価額・帳簿価額により計算しても差し支えありません。例えば、取得前相続税評価額が500,000千円帳簿価額が100,000千円の会社で、自己株式を10,000千円(5千円で2000株)取得したとき、現金が10,000千円減少したので資産は相続税評価額も帳簿価額も10,000千円減少して、相続税評価額が490,000千円、帳簿価額が90,000千円となります。1株あたりの純資産価額の計算においては、取得前発行済株式数が20,000株だったとすると取得後は18,000株になります。負債の相続税評価額・帳簿価額が70,000千円だとすると、取得前のの純資産価額は、評価差額に対する法人税額等相当額37%を考慮すると282,000千円になり取得後は272,000千円になります。これをそれぞれ取得前発行済株式数20,000株と取得後株式数18,000株で割ると1株当たり純資産価額は取得前は14,100千円、取得後は15,111円となり、純資産価額の計算では取得前より取得後の方が高くなります。

このように自己株式の取得があった場合には類似業種比準価額では株式の価額に変化がみられませんが、純資産価額の評価では変化するので注意が必要です。

不動産取得税の非課税

不動産取得税は土地や建物などの不動産を取得した時に1度だけかかる税金です。取得してからしばらく経って、忘れたころにやってくるし、原則として固定資産評価額の4%(軽減される場合もあり)かかるので5千万円の不動産ですと200万円ほどになりますから無視できない税金です。ある日突然何百万もの納付書が都道府県からくるのでびっくりしてしまうこともあるようです。

不動産取得税は要件により軽減されたり免除されたりします。今回は免除(非課税)とされるケースについて、お話します。社会福祉法人や社会医療法人は非課税とされるケースも多いのですが、医療法人であっても、児童福祉施設・老人福祉施設・社会福祉事業の用に供する不動産を取得した場合には非課税となる可能性があります。どのような場合に非課税になるかは参考資料を見てください。

この場合注意しなければならないのは、非課税となるための申請書を提出しなければならない点です。黙っていても非課税になるものではないので、わざわざ申請してやっと非課税になります。損をしないようにしっかりチェックして非課税にして下さい。
参考資料:不動産取得税 非課税法人

自己株式の売買

カテゴリー税務では最近、中小企業の株式を中心に株の売買等があった場合の様々なケースについてお話してきました。今回はそのA会社の株式をそのA会社が買い取った場合について考えていきます。A会社の株をA会社が買うという行為を自己株式の取得といいます。その場合その取引は売買取引ではなく、資本等取引となり、譲渡益等を把握する必要はありません。(低額譲受による受贈益も認識しません)

売主は株式の譲渡益に対する課税のほかに、みなし配当の課税もあります。この場合にはその配当について源泉所得税を徴収する必要があります。ただし、相続によって取得した株式を相続税の申告期限から3年以内に発行会社に譲渡した場合には、みなし配当課税がありません。これは譲渡所得になります。

A株式会社の発行した株式をA株式会社が買う行為を自己株式の取得といいますが、では誰がその株を売ったのかというとA株式会社の株主ですね。その株主が法人か個人かによって注意点が異なります。個人株主が売った場合はみなし譲渡所得課税(所法59)に留意しなければなりません。この件は前回の税務のブログを見てください。法人株主が売った場合には、低額譲渡による寄付金認定に注意しなければなりません。

いずれの場合もその時価は、売買実例があれば実例価格によって、なければ所得税基本通達59-6または法人税法基本通達9-1-14によって時価を算定します。

非上場株式の譲渡

売主:個人/買主:個人の場合
売主は売った金額(収入金額)から株式の取得価額及び譲渡費用を控除した金額が譲渡所得として所得税が課税されます。
買主は、低額譲渡があった場合のみ受贈益が贈与税の課税対象となります。その場合の時価は相続税評価額となります。

売主:個人/買主:法人の場合
この場合の時価は所得税法59条(みなし譲渡)における株式の時価(所得税法基本通達59-6)となります。
①個人が中心的株主である場合・・・同族会社の判定は譲渡直前の議決権の数で判定します。会社規模は常に小会社として評価し、土地及び上場有価証券は譲渡時の時価(相続税評価額ではない)で評価します。純資産価格の計算における評価益に対する法人税等を控除しません。なお、実務上は時価については相続税評価額÷0.8で差し支えません。
②個人が非同族株主である場合・・・相続税評価額(配当還元価額)で評価してよい。

売主:法人/買主:法人の場合
資産の評価替えによる評価損の損金算入における評価損の計上を行う場合の期末時価の算定(法人税法基本通達9-1-14)によります。
①売主が中心的同族株主である場合・・・会社規模は常に小会社として評価し、土地及び上場有価証券は直前期ではなく、譲渡が行われた事業年度末日の時価(相続税評価額ではない)で評価します。実務的には、相続税評価額÷0.8で差し支えませんが、評価益に対する法人税等は控除しません。
②非同族株主である場合:配当還元価額(相続税評価額)

売主:法人/買主:個人の場合
売主は法人税基本通達9-1-14の時価で判断します。
買主は所得税法基本通達59-6で判断し、これにより算定した金額が実際の売買金額より高い場合には、その金額から取引金額を控除した金額が受贈益となり一時所得として所得税が課税されます。

同族株主の判定等における議決権割合

非上場株式の相続税法上の評価では、その会社の議決権の割合に応じて、同族株主か非同族株主かに区分します。同族株主が取得した株式の価格については原則的評価によって評価しますが、非同族株主の取得した株式の価額は配当還元価額により評価します。配当還元価額は原則的評価方式よりかなり低い価額で評価されます。

注意点としては、自己株式(その会社が自分の会社の株式を取得する場合の株式)は、会社法上、議決権を有しないとされています。例えば、A同族株主グループが議決権の53%を有していて、B非同族グループが47%いる会社(残り全員Bの親族関係)で、発行済み株式の10%をA同族グループから会社が自己株式として取得した場合、そのA同族株主グループは、(53%-10%)÷(100%-10%)≒47.8%となります。B非同族株主グループは、47%÷(100%-10%)≒52.2%となります。そうなると今まで同族グループだったAグループは非同族グループとなりBグループは逆に同族グループとなります。

このように自己株式の取得がある場合、同族・非同族の判定等も変わってくることがあるので要注意です。