電子帳簿保存法の実務

電子帳簿保存法が施行され、最近では以前ほど話題に上がらなくなってきました。では、実務ではどの程度対応が進んでいるのでしょうか。電子取引データの保存についても一定の対応が求められており、特にメールで送られてきた請求書や領収書、インターネット上からダウンロードした取引書類などは、電子データのまま保存することが基本となっています。

では、実際の税務調査では、電子帳簿保存法についてどの程度確認されるのでしょうか。私はここ数年、何件か税務調査に立ち会っていますが、これまで調査官から電子帳簿保存法について具体的に質問されたことは、一度もありません。もちろん、だから対応しなくてもよいということではありませんが、少なくとも現時点では、税務調査の中心的な確認事項になっているという印象はありません。

一方で、電子メールで受け取った請求書などを紙に印刷して保存するだけでは、制度上問題となる可能性があります。また、クラウド会計を利用していても、会計データの保存と電子取引データの保存は別の問題です。電子帳簿保存法への対応は、「税務調査で聞かれるかどうか」だけで判断するものではありません。自社の取引実態に合わせ、無理なく継続できる方法で電子データを適切に保存しておくことが大切です。

インボイス制度経過措置の見直し

令和5年10月にスタートしたインボイス制度では、免税事業者等からの仕入れについても一定割合の仕入税額控除を認める経過措置が設けられています。現在は令和8年9月30日まで、仕入税額相当額の80%を控除することが可能です。従来の制度では、令和8年10月以降は控除割合が50%に引き下げられ、令和11年10月以降は控除が認められなくなる予定でした。しかし、令和8年度税制改正により、この経過措置が見直されることになりました。

改正後は、令和8年10月から令和10年9月まで70%、令和10年10月から令和12年9月まで50%、令和12年10月から令和13年9月まで30%の控除が認められます。つまり、事業者への影響を緩和するため、経過措置の期間が2年間延長されることになります。一方で、経過措置の適用には新たな制限も設けられます。免税事業者1者当たりの年間仕入額について、1億円を超える部分は経過措置の対象外となります。これまでの基準は10億円であったため、大幅な引下げとなります。

インボイス制度開始から約3年が経過し、多くの事業者が制度に対応してきました。しかし、依然として免税事業者との取引は少なくありません。今回の改正は、制度への円滑な移行を図る一方で、将来的には適格請求書発行事業者との取引を基本とする方向性を維持するものといえるでしょう。免税事業者との取引が多い企業は、令和8年10月以降の控除割合の変更について早めに確認しておきたいところです。

2026年税制改正

2026年度税制改正は、「物価上昇への対応」と「成長投資の促進」を大きな柱とする改正となりました。個人所得課税では、基礎控除や給与所得控除の見直しが行われ、いわゆる「年収の壁」が引き上げられました。これにより、物価上昇下における実質的な税負担の増加を緩和するとともに、就業調整の解消を図ることとされています。また、金融・証券税制ではNISA制度が拡充され、未成年者も一定の範囲で利用できるようになりました。さらに、「1億円の壁」対策として、極めて高額な所得を有する者に対する課税の適正化が進められ、税負担の公平性確保が図られています。

法人課税では、設備投資や研究開発、賃上げを後押しするための税制措置が講じられる一方、各種租税特別措置の見直しも行われています。中小企業にとっては、賃上げ促進税制や投資促進税制の活用が引き続き重要となります。さらに、防衛力強化の財源確保を目的とした防衛特別所得税の創設や法人税の付加税導入が具体化されており、今後の税負担への影響にも注目が集まっています。今回の改正を一言で表すなら、「物価高対策と成長投資支援、そして税負担の公平性確保を同時に目指した改正」といえるでしょう。2026年度税制改正のキーワードは、『178万円の壁』『防衛増税』『NISA拡充』『富裕層課税強化』の4つとなります。

通勤手当の非課税限度額の見直し

通勤手当に関する所得税の非課税限度額が見直されます。まず、片道65キロ以上の場合の1カ月あたりの非課税限度額は、これまで一律38,700円でした。しかし今回の改正により距離区分がさらに細分化され、以下のように引き上げられます。
65キロ以上75キロ未満:45,700円
75キロ以上85キロ未満:52,700円
85キロ以上95キロ未満:59,600円
95キロ以上:66,400円

また、通勤のために自動車や自転車などの交通用具を使用している人については、新たな取扱いも追加されます。駐車場や駐輪場を利用している場合で、その場所が勤務地周辺や通勤に利用する駅周辺など、「通勤のために借りていることが明らか」である場合には、実際に負担している駐車場等の料金についても、月額5,000円を上限として非課税の通勤手当に含めることができるようになります。このほかにも改正事項がありますので、詳しくはこちらをご覧ください。こちらは令和8年4月1日以後に支払われる通勤手当から適用になります。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026tsukin/index.htm

社員向け食事提供非課税枠の拡大

昼食などの支給を会社がする場合、基本的に経済的利益となり給与課税となりますが、従業員等が食事の価格の50%以上を負担している場合や、会社負担分が非課税限度額以内であれば給与課税されません。その非課税限度額ですが、月額3,500円でしたが、令和8年税制改正により7,500円になります。

また、夜勤勤務の時の夜食は現物支給の場合は全額非課税ですが、金銭を支給す場合は1回300円でしたが、同じく改正により1回650円までが非課税になります。社員食堂や弁当補助など食事提供がある場合は内容を確認しておきましょう。また、夜食支給や夜食手当てを出しいている会社も福利厚生規約などの見直しが必要です。

これらは令和8年4月1日以降の食事等から適用なので確認お願いいたします。

税務調査のオンラインツールの活用

税務署や国税庁では、令和7年9月以降、デジタル庁が提供するGSS(ガバメントソリューションサービス)を活用しています。税務調査においては、インターネットメールの利用が進められており、まずメールでのやり取りを行うかどうかについて、電話により意思確認が行われます。税理士に依頼している場合は、税理士に対して連絡があります。ここで同意すると、登録フォームへ入力し、Microsoft Formsを用いたテストメールの送信を実施します。これらの手続きは電話で確認しながら進められ、誤送信の防止が図られています。

また、WEB会議も可能となり、Microsoft Teamsを使用して実施されます。会議はカメラ機能をオンにした状態で行われます。資料のやり取りについてはPrimeDriveを利用でき、パスワードを設定したファイルで安全に送受信する仕組みとなっています。現時点では、福岡国税局および金沢国税局での運用にとどまっていますが、今後は全国的に拡大していくものと思われます。なお、税務調査終了後には、電子データは完全に消去される運用となっているようです。

これまで書類のやり取りは郵送が中心で手間がかかっていましたが、こうしたデジタル化の流れにより、今後はより効率的な対応が可能になると考えられます。詳しくはこちら→
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/onlinetool/index.htm

マイナポータル連携

確定申告で今年から新たに生命保険契約等の支払調書・年金の支払調書や損害保険契約等の満期返戻金等の支払調書・年金の支払調書やふるさと納税以外の寄付金(特定非営利活動法人、国連、UNHCR協会、国境なき医師団、日本ユニセフ協会)などがマイナポータル連携の対象になりました。友人に確定申告楽になった?と聞かれましたが、このマイナポータル連携については全く楽になりません。これは自分の確定申告を自分でする場合には有効ですが、税理士が他の者のマイナポータルを連携はできないので全く役に立たないというのが本音です。

確定申告が簡単なお客様については国税庁の確定申告コーナーからご自分で作成することを推奨していますが、お客様もマイナポータル連携を保険料控除等でやろうと思ったがかなり面倒で途中でやめてしまったということでした。国税庁の確定申告作成コーナーは使いやすいですが、マイナポータル連携は保険会社毎に手続きしなければならずかなり面倒らしいです。一体どのくらいの人がこの制度を使っているのだろう?と思ってしまう今日この頃です。

財源

衆議院選挙が公示されました。今回は国民にとっても過去最大と言われる注目度なのではないでしょうか?まぁ各党色々政策を述べていますが、私は税理士なので税務の論点を考えます。消費税の点について各党の意見を聞くと、ほとんどの党が食料品について時限的に廃止、恒久的に廃止、食料品だけでなく全体的にに廃止という党まで現れています。それがほとんどの党なのです。今、この国に幻滅しています。そんなことをしたらどうなるのでしょう?失われた財源はどこで穴埋めするのでしょうか?そもそも政治家がそれを言わずして減税だけを言うというのは国民をバカにしていませんか?と思います。国民の事を後先考えないアホだと思っているとしか思えません。私は消費税率は下げるべきでないと思います。減税した分の税収減をどの税金で賄おうとしているのか具体的に教えてほしいです。まさか国債とか言いませんよね?今だけよければそれでいいという政策をそろそろ止めませんか?日本の未来が心配です。

今年もお世話になりました

皆さんは今年はどんな年だったでしょうか?私は仕事や引っ越しで本当に忙しい年でした。ちょっとやり方変えないとなと本気で思っています。削るものを削るか。誰かに助けてもらうかしないと来年も同じような1年になってしまうのではないかと不安です。お正月に色々考えてみます。来年は午年。飛翔の年です。皆様も良いお年をお迎えください。

日本税務会計学会2

11月18日の日本税務会計学会研究報告会の続きです。第2部は中小企業税制の在り方でした。ここでも中小企業の税制の在り方について様々な税理士たちの研究が発表されました。日本の企業の99.7%は中小企業です。中小企業の特例のような税制は数々ございます。それらの税制について、適正か否かなどを討論しています。これらの発表を聞いてすっかり自己嫌悪に陥ってしまいました。ここ1~2年くらい忙しく私はというと目の前にある仕事をこなすのに精いっぱいでまったく自己研鑽をすることなく過ごしていました。こんなんじゃダメだなぁと思いました。以前の私はもっと自己研鑽の時間を持てたはず。生活改善が必要です。