税理士試験は長丁場です。5科目一度に受験するという人は皆無でしょう。従って何年も受験を繰り返すことになります。始めは3年計画で、1年目は簿記論、財務諸表論を受けて、2年目は消費税と所得税を受けて、3年目は法人税と前年までに受からなかった科目を受験し、3年計画で税理士になろう。などという計画を立てます。ところが、それが無謀であったと1年から2年後に知ることになります。何年も受からなかったりするとモチベーションが一気に低下します。それで受験自体を止めていく人も何人も見ました。今回はモチベーションを維持しながら受験生活をどう乗り切ったのか、私なりにやったことをお話します。
科目合格は大体10%位の合格率なので、1割しか受からないんだと思うと、周りの受験生がみんなライバルに見えます。ところがそこが間違いです。受験勉強を始めると分かってきますが、最大のライバルは自分自身です。今週はここまでやろうと決めていたのに、仕事が忙しかったり何かしらの事情(体調であったり、家族の事であったり)によってできなかったことをその原因のせいにしてしまうことです。つまり、自分の中で言い訳を作ってしまう自分の心の弱さです。
時間は作るものです。少しでも勉強時間を確保して、その時間しかできないのであれば、人はもの凄くその時間に集中できます。私は受験勉強時代は仕事もしていましたが、遊びを全くやらなかったわけではありません。週末に遊ぶ計画を立てたのであれば自分の中で、金曜までにこれを終わらせると決めて実行し、週末は遊びました。飴と鞭生活をすることによって、時間の大切さとモチベーションの維持を心掛けました。
また、受験仲間はライバルではなく、モチベーションを維持するのに良い影響を与えました。模擬試験結果を良い意味で競ったり、スランプに入ると励まし合ったり、環境や年齢も違ったりする人が同じ勉強をしているというのは、仕事を通じて出会う利害関係が全くありませんから、とても仲良くなれるのです。私は税理士になってもうすぐ10年受験勉強時代を通じると15年以上経過していますが、今でも受験勉強時代の友人とは年2回位会食をします。仲間の中では今も受験勉強を続けている人もいるので、励ましたりもしています。
ほかにモチベーションの維持では、手帳を大いに利用しました。手帳の隙間に自分への応援のメッセージを記入したり、後ろの方のメモ欄に自分への手紙のようなものを書いたりしました。モチベーションが下がりかけた時、それらを読むことによって再度頑張ろうと思えました。そして、理論科目の勉強に入ってからは、覚えた理論を手帳に書いたりしました。週数問しか覚えられない時期は「問○○試験研究費の特別控除」のように問題番号と題名をフルで記入し、試験前で1日に何問も回せるようになったら、「問○○、問○○」のように問番号を記入しました。理論は最初の方は覚えても覚えても忘れるので、自分は1度は覚えたんだということを記入することによって、過去の勉強を見える化してゴールに近づいている自分を常にイメージし続けました。理論は覚えても忘れるもので何回転も覚え続けることによって、体にしみ込んでくるものである。というのが分かると理論を覚えても忘れてしまう自分に落胆せずにすみます。1回目より2回目、2回目より3回目に覚えなおしたときの方が確実に短い時間で覚えられているというものが実感できます。
そうやって、長期の受験勉強を乗り切りました。最後の科目の合格発表は平成12年12月12日(2000年)でしたが、その日の夜はやっと終わった。。とお風呂の中で1人で涙したのを今でも覚えています。