雇用調整助成金ー実務編①

雇用調整助成金も何回か改正がありました。改正されるごとに雇用される側が有利になっています。大きくは3回改正しましたが、2回目の改正の時に雇用調整助成金の実務を少しやりました。第2回目はちょうど5月中旬からWEB申請できるということでオンライン申請待ちでしたが、なんとオンライン申請後すぐにオンライン申請は使えなくなり、再開するも個人情報流出騒ぎでまた閉鎖され、結局書類申請しました。

雇用調整助成金のポイントは賃金台帳ではないでしょうか?パートタイマーなどは通常の業務は時給で計算しますが、それとは別に休業手当は別に計上します。正社員の場合は注意が必要です。固定給が分かるようにしないといけないので固定給は減額できません。でもそれに休業手当をつけると金額が多くなります。控除の方で同額を欠勤手当にしたいところですが、それはダメです。そうすると給与ソフトの自動計算が使えなくなるので、支給の方で欠勤控除を作り、休業手当と同額をマイナス表示します。そうすれば給与の自動計算もつかえますし、支払額総額も正しいものになります。

持続化給付金は手続き的に簡単なのですが、Q&Aが出ず、イライラすることもありましたが、雇用調整助成金は毎日のようにFAQが更新されていて、これを読めば大抵のことは分かります。こうすることによって自社努力ができるし、審査側も問合せに振り回されなくなると思います。初めFAQを見たときはあまりの多さや分量に圧倒されましたが、ポイントを絞って読めばとても便利です。是非ご活用下さい。

スタンフォードのストレスを力に変える教科書

この数ヶ月かなりのストレスにさらされていました。生涯で一番つらい時期だったかもしれません。こんな時この本に巡り合いました。とても勉強になりました。ストレスは健康にも悪いと思っている人は多いと思います。私もそう思っていました。ストレスにだらけの職場で働いている友人の愚痴などを聞くと体に悪いから転職すればいいのにとも思っていました。ところがこの本にはストレスは健康に悪いと思い込んだ場合に限ってストレスは有害になるということでした。

ストレスホルモンの中にはコルチゾールとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)という2つのホルモンがあります。両方ともストレスを感じたときに出るホルモンですが、コルチゾールは糖代謝や脂質代謝を助け体と脳がエネルギーを使いやすい状態にし消化や生殖や成長などストレス時にはあまり重要でない生物的機能を抑える働きもあるようです。一方DHEAは神経ステロイドの一つで脳の成長を助ける男性ホルモンだそうで、ストレスの経験を通じて脳が成長するのを助けコルチゾールの作用を抑制し創傷の治癒を早め免疫機能を高めるそうです。コルチゾールもDHEAもどちらも体に必要なストレスホルモンですが、コルチゾールの割合が高いと免疫機能の低下やうつ病などの症状が表れる可能性があり、DHEAの割合が高くなると不安症、うつ病、心臓病、神経変性などストレスに関連する病気のリスクが低下するそうです。コルチゾールに対するDHEAの割合はストレス反応の成長指数を呼ばれ、成長指数が高い(DHEAの割合が高い)とストレスに負けず辛い事を努力をして粘り強くやる傾向にあり成功する人が多いようです。

勝負どころで心臓がバクバクして手に汗握るという経験は誰にもあるかと思います。それは体がストレスを感じ、肝臓はエネルギー源となる脂肪と糖を血液中に放出し、呼吸が深くなり沢山の酸素を心臓に届けます。そうすると心拍数が上昇し、酸素と脂肪と糖が筋肉へ運ばれます。ストレス反応は目の前の問題に立ち向かうための準備を整えます。どうですか?つまりこのような症状は体が自分を応援している証拠でもあるわけです。ストレス反応を最大の味方にする方法なども書いてありストレスに対する見方がかなり変わりました。日頃ストレスを感じている方に是非読んでもらいたい本です。

経営者というもの

今回のコロナ騒動は、相当企業のダメージになっています。当事務所の顧問先も8割くらいは収入の減少になっています。ただ、ほとんどの会社が従業員の給与は支払っているし、中には休業させていても100%休業補償として給与を支払ったりしています。従業員からするとずーっと休んでいたのに給与はいつもと変わりがない。残業代くらいが減ったかなという人が私の周りのサラリーマンやOLなどの声です。

経営者はというと、その逆です。多くが収入が減っていて資金繰りに困ってコロナ融資を受けたり、自分の給与を未払いにして対応したり、何とか他に収入を得る道を探したり・・・今回のような未曽有の天災のようなものの場合、ダメージをいち早く受けるのが経営者です。会計事務所は関係ないでしょう?という方もいますが、そうでもありません。

これからの時期、セミナー講師の仕事が毎年何件かあるのですが、今年は予定していたセミナー講師の仕事が全て無くなりました。東日本大震災も相当な天災でしたが、ここまで酷い状態は税理士になって初めてです。当事務所の顧問先でもかなりのダメージを受けているところもあります。何とか乗り切れるよう頑張りたいと思います。

持続化給付金をもらったら

持続化給付金(法人なら200万円が限度・個人事業なら100万円が限度)を貰ったら、どう処理すれば良いのかという質問がありました。法人でも個人事業でも普通預金に入金された時点で雑収入で計上します。消費税の納税義務者の方もいるかと思いますが、消費税は対象外取引として処理して大丈夫です。

問題はフリーランスなどで事業所得として申告していない方です。この度、事業所得として確定申告していなく、雑所得や給与所得などで申告していたとしても持続化給付金の対象となりました。その方達は来年の確定申告でどうすれば良いのでしょうか?

事業所得の人は事業所得の収入金額に計上し、事業所得でなく給与所得や雑所得なのに今回、持続化給付金を貰った人は、雑所得の人は雑所得の収入金額とします。給与所得の人は一時所得として計上します。これは本来は雑所得とすべきだと思います。事業所得と雑所得の人は全額事業所得または雑所得として計上するのに、同じ持続化給付金をもらったのに給与所得で申告していたら一時所得になるというのはなんとも不公平感があります。

一時所得は貰った金額から50万円を控除して1/2しか課税されません。ですから個人事業をしていて、マックスでもらったとして、事業所得でもらった人は100万円全額課税対象になるのに、たまたま給与所得で貰っていた人は1/4の課税《(100万円-50万円)×1/2=25万円》になるというのは何とも不公平感が漂います。詳しくは下記になります↓
持続化給付金課税関係

持続化給付金―実務編②

今、3回目の再再申請中なのでそれがエラーになって戻ってこないとできないので何とも言えないのですが、私が調べた限り(確認したわけではないので確実かどうかは不明です)口座名の注意点は、ポイント1:表紙ページと見開きページのコピーを添付しますが、それがカタカナ表記にした場合要注意です。なかには表紙ページと見開きページが違う場合があります。例えば、表紙ページには代表者名が入っているが見開きページには代表者名が入っていないとか、表紙ページは一般社団法人となっているのに見開きページにはシャダンホウジンとなっているとか、そのような場合、表紙ページではなく、見開きページ通りに入力するのが当たりのようです。

ポイント2:見開きページを見て、シャダンホウジンと入力するのもダメでシヤダンホウジンと入力しなければなりません。この違い分かりますか?1番目はヤが小文字で2番目はヤが大文字です。つまり社団法人をカタカナ半角表記するときは、「しやだんほうじん」と<や>を大文字で打ってからF8を押さなければいけません。ポイント3:通帳の見開きページがカブシキガイシヤ 〇〇〇となっていて株式会社と会社名の間にスペースがあるときは、そのスペースも半角で入力しないとエラーが出ます。

ポイント4:入力文字数は30文字しか入力できないので30文字以上あるときは、入力できるところまで入力すれば良い。ポイント5:濁点も1文字として30文字まで入力する。以上5ポイントに注意して再再再申請しようと思います。とここまで調べたところで、本日夜中の2時すぎにこんなメールが着ました。
ぬぬぬ!軽微なものについては事務局で修正するだと!初めからそうして下さい。ここまで調べたのに朝から脱力しました。きっと苦情が多かったのですね。そりゃそうですよ。半角カタカナだけならまだしも、スペースも半角、濁点も1文字、小さい文字は大文字じゃなきゃダメとかおかしいでしょ。。。コピーを付けているのだからそれで充分なんじゃないかと思います。そこじゃないよ。注意点は・・・申請書に不正がないかとか怪しい団体じゃないかとかそうういうところではないでしょうか。。何だかどっと疲れました。

顛末:上記の事例はある日突然、持続化給付金のお知らせの葉書が届いたそうです。口座を確認したところちゃんと200万円振り込まれていたそうです。結局4回目の挑戦はできずに終わりました。口座名以外のエラーはなしで申請から17日目に入金されました。

持続化給付金ー実務編①

持続化給付金は今年、前年同月比で売上が50%減少した場合、最大200万円(個人事業なら100万円)貰える給付金です(詳しくは2020.5.23のブログを参照)が、この中身を見たとき、あまりの簡単さ分かりやすさに感動したのですが、実務を実際にやってみるとそうではなかったです。その感想を今日は述べたいと思います。当事務所ではあまりにも簡単なので出来るだけ顧問先に自分でやってもらうようにしています。ただ、チェックなどはしたりしているのですが、苦労した事例を1つ紹介します。

添付資料などのチェックや指導は当事務所でしたので完璧です。あとは顧問先が直接インターネットにて申込しました。苦労点①会社の銀行口座名を入れる欄があるのですが、それが半角カタカナで入力しなければならないようです。そもそも半角カタカタを入力するにはどうしたら良いのか?→まず会社名をカタカナにして文字を選択後、F8を押します。そうするとカタカナがカタカナになります。ここまではまだまだ楽勝です。それで1回目の申請をしました。何と次の日の夕方に《通帳の写しの口座名義と、申請いただいた口座情報(口座名義)が一致しておりません。口座名義を修正するか、正しい書類を添付して、再申請して下さい》という内容でした。

持続化給付金のシステムはそもそも口座名が30文字までしか入力できません。でもその法人はカタカナにすると30文字以上あったので、1回目の申請は入力できるところまで入力して申請したとの事でした。私も試してみましたが、苦労点②確かに30文字までしか入力できません。そこで相談窓口に電話するも毎回「只今電話が大変込み合っています」というアナウンスで電話が切られてしまいます。一日30回以上電話してもすべてそんな感じです。それが1週間以上続きました。スペースも半角でということでしたが、もしかしたら1回目はスペースだけ全角だったかもということで、スペースも半角にしてできるところまで入力して2回目の再申請をしました。3日後、また口座相違で返却されました。今度は通帳のコピーもつけろという指示もついていました。え?1回目の通帳のコピーは無効になってしまうの?苦労点③まだまだ電話は通じません17時までだったコールセンターが19時までになりましたが、それでも通じません。

30文字以上ある場合はどうすればよいのだろう?という疑問のまま、今度はシャダンホウジンの部分をシャ)に変更して法人名をすべて入れて申請しました。申請修正画面を見ると通帳のPDFは付いていますが、前回のエラーもあるので再度PDFを添付して申請です。なぜQ&Aを作らないのだろうという疑問があります。実務をすると様々なパターンがあるので審査する方も正しくスムーズに審査するために必要になってくると思います。同時期に始まった厚生労働省管轄の雇用調整助成金FAQが毎日のように更新されています。今では何十ページにも及ぶ大作になっています。でも持続化給付金にはそれがありません。実際には実際にやった仲間同士の情報でしか細かい情報は入手できないのです。仲間がその事例をやっていない場合、電話で聞くしか方法がないのです。エラーメッセージメールの返信に1回目も2回目も30文字以上ある場合どうすればよいかと聞いても返事がないのできっとこれは送信専用なのかと思います。審査する方もいわゆるマニュアルがなくてどうやっているのだろうか?と疑問です。(続く)

21世紀の資本

2カ月映画を観れませんでしたが、非常事態宣言が解除されやっと映画を観れるようになりましたので早速行ってきました。ただ、映画館は1席ずつ空けて通常の半分の入場制限がかけられていました。といっても私が見たときは会場には5人しかいませんでしたが・・・この映画は経済学者のトマ・ピケティのベストセラー本を映画化したものです。ピケティ自身が出演・監修していて、本の説明のような映画でした。

この映画が映画館でやっていると知った時、おぉ凄い映画がやっていると思いワクワクして会場に入りました。テーマは貧富の格差がどうして広がるのか?ということです。ピケティが監修しただけあって、本の内容が忠実に再現されています。古い歴史部分は何と他の映画のシーンをカットして解説をしています。映画作成費用はほとんどかかっていないなという映画でした。ピケティは映画作成の専門家ではないので、映画としてはどうかな?というのが正直な感想です。私が期待しすぎたせいかもしれませんが・・・

途中ある不平等ルールに則って様々な人にゲームをしてもらいます。そのゲームの内容がとても興味深いものでした。勝った人に何故勝ったのか?とインタビューすると誰一人不平等ルールだったからと答えなかったのです。自分には才能があると言い切った人までいました。そして不平等ルールで不利な役割のプレーヤーを見下すような発言もしていました。これが世界のあちらこちらで見られる現象だと思うとぞっとしました。本の方が圧倒的に楽しめますが、本を読むのが面倒な人は観ると良いかもしれません。