スタンフォードの自分を変える教室



はじめに「誘惑や依存症に苦しんだり、物事を先延ばしにしたり、やる気が出なかったりして、困った経験のある方々(つまり、すべての人)に本書を捧げます。」とあります。そう、この本は自分の目標達成のためにやるべきことを何故途中で挫折してしまうのか。ということをあらゆる側面から検証しています。みんななりたい自分ややりたいことがあって、そのためには何をしたらよいかを考え実行しかけるも長続きせず挫折する。人間であれば誰しも体験することだと思います。

この本は「意志力」についてスタンフォード大学の超人気講義を日本語訳し本にしました。様々な角度から意志力について研究しており、そう言われるとそうだよな。と納得することばかりです。

ひとつ例にあげると、人は良いことをするとその逆の悪いこともしたくなるそうです。だから、ダイエットをしようと決意した人が数日間それを実行して、たまたま久しぶりに会う友達にケーキバイキングに誘われ、まぁ、今日だけはいままで頑張ったご褒美と山ほど食べてしまうのはごく当たり前の衝動だそうです。そう言えば、私も受験勉強中、勉強漬けになると、その反動で普通の人以上にアクティヴに遊んだような気がします。

自制心は筋肉に似ていて、怠けようと思えばいくらでも怠けることができ、鍛えることもできるそうです。様々な角度から考察しているので飽きずに読むことができます。

この本によると、出世も勉強も寿命も「意志力」が決めるそうですよ。10年後今より輝きたい方、是非読んでみて下さい。

売れないものには共通する「ない」ものがある

先日上記テーマのセミナーに参加しました。売れない商品は下記の何かがないといいます。

a 商品そのもの(機能)
b 価格(値ごろ感)
c 品質(質感)
d デザイン(感性)
e 売り方(マーケティング)
f 売る市場(アプローチ)
g提供企業と競合(バランス)
h 販売(物語性)
i 接客・流通(温かみ)
j 時期(タイミング)

商品そのものがあまり機能的にすぐれていなければ売れませんし、値ごろ感がなければ売れません。この値ごろ感というのは単に安ければいいのではなく、品質やデザインが優れていれば高くてもいいものと消費者が感じることが大事です。いくら素晴らしい商品でも誰も知らなければ売れないのでマーケティングも大事です。また、適切な市場にアピールすることが大切になってきます。競合会社は少ない方が売れますし、「どこどこ産の〇〇という生産者が無農薬で作りました」のような、物語性や温かみも必要でしょう。また、真夏にウールのセーターなどは売れませんので販売時期も売れる時期のちょっと前に商品が仕上がっていないといけません。

ここに書いてあることはごくあたり前のことですが、売れない商品の在庫を多くかかえている場合、上記を一つ一つ見直してみるときっと発見があります。

判例 養老保険契約の満期保険金にかかる税務

この判例は平成24年1月13日最高裁(平成21年(行ヒ)404号)(一部破棄自判)(一部破棄差戻し)Z888-1625

養老保険契約の契約者はB個人が役員をするA法人、保険料支払者はA法人とB個人で半々(1/2ずつ)で満期保険料はB個人が受け取った。B個人は確定申告でこの満期保険金について一時所得で申告した。一時所得の収入金額は満期保険金、そこから収入を得るために支出した金額を控除するのであるが、その金額をA法人とB個人が支払った保険料の合計額としたところ、収入を得るために支出した金額はB個人が負担した金額のみであると指摘を受けた。裁判の結果、納税者敗訴であったという判例です。

この判例をみれば当たり前じゃないかと思うと思います。私もそう思います。納税者の主張は、所得税法34条2項の条文では一時所得から控除できる金額はその収入を得るために支出した金額の合計額としている点。そして基本通達34-4では保険料又は掛金の総額には、その一時金又は満期返戻金等の支払を受ける者以外の者が負担した保険料又は掛金の額としている点を主張している。つまり、税法の欠陥部分をついた合法的なやり方であった。ただ、今回は税法の欠陥部分の合法的なやり方は負け、常識が勝訴しました。法が欠陥な場合は常識が勝つというのがよく分かった判例です。この判例がでて、所得税法基本通達34-4そのものも改正になりました。

(一時所得)第34条
 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。
2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。

所得税法基本通達34-4(旧)
必要経費にできる「保険料又は掛金の総額には、その一時金又は満期返戻金等の支払を受ける者以外の者が負担した保険料又は掛金の額(かっこ内略)も含まれる」

所得税法基本通達34-4(新)
34-4 令第183条第2項第2号又は第184条第2項第2号に規定する保険料又は掛金の総額(令第183条第4項又は第184条第3項の規定の適用後のもの。)には、以下の保険料又は掛金の額が含まれる。(平11課所4-1、平24課個2-11、課審4-8改正)
(1) その一時金又は満期返戻金等の支払を受ける者が自ら支出した保険料又は掛金
(2) 当該支払を受ける者以外の者が支出した保険料又は掛金であって、当該支払を受ける者が自ら負担して支出したものと認められるもの
(注) 1 使用者が支出した保険料又は掛金で36―32により給与等として課税されなかったものの額は、上記(2)に含まれる。
 2 相続税法の規定により相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなされる一時金又は満期返戻金等に係る部分の金額は、上記(2)に含まれない。

医療法人の判例 債務免除

大阪地裁平成24年2月28日判決(平21[行ウ]201)(全部取消し)(確定)Z888-1636の判例です。

これは、個人事業で病院を営む原告がA機構とB事業団から約24億円の債務免除を受けて、その債務免除益を事業所得の収入金額に入れないで申告したところ、そのうちの約10億円について、債務免除益として事業所得に算入するよう更正処分を受けました。

原告側はこの債務免除は合理的なA機構企業再生スキームに準じたスキームに基づいて行われ、債務免除を受ける直前において資力を喪失していたとして基本通達36-17が適用されると税務訴訟を行いました。

結論から延べますと原告が全部勝訴です。本件債務免除は合理的なA機構企業再生スキームに基づいていたこと。ちゃんと第三者による監査を受けていたことがポイントとなって勝訴した事例です。

(債務免除益の特例)所得税基本通達 36-17
 債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものについては、各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入しないものとする。ただし、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれ次に掲げる金額(次のいずれの場合にも該当するときは、その合計額)の部分については、この限りでない。 (1) 当該免除を受けた年において当該債務を生じた業務(以下この項において「関連業務」という。)に係る各種所得の金額の計算上損失の金額(当該免除益がないものとして計算した場合の損失の金額をいう。)がある場合  当該損失の金額 (2) 法第70条《純損失の繰越控除》の規定により当該免除を受けた年において繰越控除すべき純損失の金額(当該免除益を各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入することとした場合に当該免除を受けた年において繰越控除すべきこととなる純損失の金額をいう。)がある場合で、当該純損失の金額のうちに関連業務に係る各種所得の金額の計算上生じた損失の金額があるとき。 当該繰越控除すべき金額のうち、当該損失の金額に達するまでの部分の金額

遺体 明日への10日間

先週末は仕事にやる気満々で空けていたのに、資料が届かずできませんでした。したがって映画を観に行きました。この映画は東日本大震災を題材にした映画で3月11日でちょうど2年経ったところです。

舞台は岩手県釜石市で廃校になった中学校の体育館が遺体安置所になり、そこに津波の被害にあった人々の遺体が次々と運ばれています。この映画の感想を書くなど烏滸がましくてできませんが、私が知らない世界がいっぱい詰まっていました。

そこで働く人たちは悲しんでいる暇もないくらい忙しく、色々な人たちの気持ちも気遣いながら頑張っていました。私は身内やごく親しい人を亡くした経験がないので遺体というものをあまり知りませんでした。

助けを求めるような手をしたまま亡くなると死後硬直でそのままになります。それを無理やり直すと骨折します。そのような場合、優しく声掛けしながら、筋肉をほぐしてやるようにマッサージすると折らずにもとに戻すことができます。また死後何日か経つと顔の色が黒ずんできます。特に目の周りは紫色に変色します。きれいな顔でお棺に入れたいと思ったときお化粧をするのですが、遺体にはファンデーションがのりません。そのようなときはまず、クリームを塗ってからファンデーションを塗るそうです。行方不明になった人を探しに遺体安置所には沢山の人が訪れます。遺体は地元の医師や歯科医師が検死します。身元が判明しない場合も多く、例えば独居老人や家族丸ごと亡くなってしまった場合などです。いつまでもそのままにしておけないので、DNA鑑定と歯型鑑定を残して火葬場に向かいます。遺骨は地元の住職が預かり、あとで身内らしき人が現れたときにはDNA鑑定と歯型鑑定で照合して引き渡すそうです。

全部知らないことばかりでした。途中、住職が遺体安置所にお経を唱えにくるのですが、そのお経の声に何とも救われた気持ちになったのは私だけではないと思います。

東日本大震災での死者・行方不明者は19,009人 日本人として忘れてはならない。後世に残すべき映画でした。この映画を見ると、私たちは生かされているのだということが実感できます。

税理士・司法試験・公認会計士合格者推移



税理士業界は今最も忙しい時期でいわゆる繁忙期を迎えています。12月の年末調整から始まり、1月の法定調書・償却資産税の申告、そして2月から3月は確定申告で忙しいのです。4月にちょっと一息ついて5月は最も忙しい3月決算申告です。最も忙しいを3月と5月の2回使ってしまいましたが、それは事務所によって違います。3月が一番忙しい事務所もあれば5月の方が忙しい事務所もあります。私の事務所は5月の方が忙しいです。

こんな季節労働者のような税理士業務ですが、以前繁忙期に習い事をすすめられた時に 今は繁忙期なので6月になったらと断ったら「お仕事はイベントコンパニオンかなにかですか?」と言われたことがあります(笑)

そんな税理士業界ですが、ここ数年の主な国家資格の合格推移は上記のようになっています。税理士試験は私が合格した年もそうでしたが、1000人ちょっとで安定しています。ところが司法試験と公認会計士試験は平成18年・19年ころから急増しています。

合格者数が高くなったから受かりやすいと思う人もいますが、その頃から弁護士になっても食べられない(いわゆるイソ弁、ノキ弁)、会計士合格しても監査法人の就職先がないという会計士浪人が増加しました。税理士は今のところそのような事にはなっていません。むしろ、国家資格5科目合格者は今でも引っ張りだこです。

特に仕事をしながら税理士の資格取得を目指されている方は、今の時期仕事との両立が厳しくなっている時だと思いますが、この忙しさは6月まで続くわけではありません。もうひとふんばりです。

民間給与実態統計調査 H23年分

国税庁ホームページで統計情報というのがあります。そこで平成23年分の民間給与統計調査が明らかになりました。

それによると1年を通して勤務していた給与所得者(平均年齢44.7歳男性44.6歳・女性44.8歳)は4,566万人でうち男性が2,731万人、女性が1,835万人です。平均給与は409万円(男性504万円、女性268万円)です。給与と賞与を別にみると給与が350万円(男性428万円、女性233万円)で賞与が59万円(男性76万円、女性35万円)です。平均的な感じは男性で月給35万円、女性で19万円で、ボーナス1回が男性38万円、女性18万円というところでしょうか。

女性と男性でこんなに性差による給与格差がある国も珍しい(特に先進国では)ですが、おそらく女性は結婚や出産で仕事を中断する人が多いからじゃないか。つまり、勤続年数そのものが少ない人が多いからかと思いましたが、そうではありませんでした。

勤続年数30年~34年というラインが男女共給与が最も高いのですが、その平均が男性719万円、女性は375万円です。なんと勤続年数30年を超えても男性と女性は2倍近い開きがありました。

給与収入が1,000万円を超える人は男性では全体の6%ですが、女性では0.7%です。また、1,500万円を超える人となると男性では1.5%、女性だと0.1%ともはや1,000人に1人という確率になります。このようなデータをみると、日本はまだまだ遅れているなぁと実感します。