ゴールデンウィークの課題図書として読みました。読み始めてすぐ、軽井沢の森に入り、木々を見ながら「この木には虫が集まるから、この鳥が来るだろう」「この木には実がなるから、こういう鳥が来るだろう」と語る場面があります。その瞬間、「この著者は、底知れない愛情を持って鳥と向き合っているのだ」と感じ、これは心して読まなければならない本だと思いました。読み進めると、鳥がどのような状況でどのような鳴き声を出すのかという“鳴き声の研究”が非常に興味深く描かれています。鳥の種類ごとに鳴き声が異なるのは当然ですが、どうやら異種同士でも互いの鳴き声をある程度理解し、協力し合っている節があるというのです。さらに、鳴き声には文法のような構造まで存在するのではないかという研究も行われています。長い年月をかけて積み重ねられた研究には脱帽するとともに、大きな感動を覚えました。
本書では、軽井沢の森を舞台に主にシジュウカラの鳴き声を研究しています。シジュウカラは町中でも見かける身近な鳥ですが、著者は実家の庭に巣箱を設置し、実際に住み着かせてもいます。そして、シジュウカラの生態や鳴き声の違いを両親にも教えているのですが、そのエピソードがまた微笑ましいのです。母親は猫などが近づくと、シジュウカラ語の“警戒音”を真似して鳴き、父親はほうきを持って追い払う。さらには、巣箱に雨漏りが見つかれば修理までしてしまう。その結果、軽井沢の森よりも実家の庭のほうが、卵からヒナが巣立つまでの生存率が高くなってしまったという話には思わず笑ってしまいました。長年にわたる研究の積み重ねと、鳥たちへの深い愛情に満ちた一冊で、読後には「とても良いものを読ませてもらった」と感じました。ぜひ多くの方に読んでほしい本です。
