蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷は2017年本屋大賞と直木賞をダブル受賞した作品です。これを読まないわけにはいかないでしょ。ということで早速読んでみました。様々な背景を持つピアニスト達がピアノコンクールに臨む姿が描かれています。読み始めはなんとなく退屈な感じがしましたが、読んでいるうちにハマってしまい、夜中の2時まで読んでしまってしまった!早く寝なきゃという日もあった本です。ピアニスト達が奏でるメロディーがなんか頭の中でイメージできてワクワクするような感じ・・・この前、生のオーケストラを聞いた時のような感動が本なのに感じられました。

この本の不思議なところは、主人公がいないこと。というか数人がそれぞれ主人公なところです。通常の小説では誰か1人が主人公でその人の目線で物語が綴られていきますが、この本は数人の主人公がその場面になると主観的に描かれるところです。主人公がコロコロ変わるので初めは感情移入しづらく読みづらかったのですが、読んでいるうちにその人の個性を深く知ることができ、人によってこんなにも感情というのは変わるのだなぁと思えました。そして深みにハマっていく。そんな本でした。

それと天才ピアニストと呼ばれる人達の共通して持っている才能はとにかく耳が良いことみたいです。そういえば、実在する盲目のピアニスト辻井伸行氏も楽譜が見えなくても耳だけで音を覚えるらしいです。そのことを思い出しました。この本は音がページから溢れてくるような本です。

人工知能と経済の未来

最近、人工知能(AI)の技術が発達し、10年後に無くなる職業などがインターネットなどでも話題になっていますね。そこで新年早々未来を少し覗いてみようと思い、こちらの本を読みました。

すでに10年後には私の仕事に関係のある会計入力業務などは仕事がなくなると言われていますが、この本は2030年の予測、つまり、12年後の予測をしています。私の予想では、この仕事は残ってこの仕事は無くなるみたいな内容だと思っていましたが、全く違うことが書いてありました。この本によると人間がやっている殆どの仕事9割位が無くなるそうです。人間に残る仕事は新しい技術の研究や新商品を開発するようなクリエイティブな仕事。マネージメントやホスピタリィに関わる仕事も残される可能性があるそうです。

第四次産業革命は、生産活動が純粋に機械化され、労働の必要がなくなりAIやロボットなどの機械のみが直接的な生産活動を担うそうです。これは2030年ころから進展し、2045年くらいにはおよその純粋機械化経済の形を作り上げるようになるそうです。この本を読む前は税理士業はそもそも存続するのかどうかが気になっていましたが、この本に書かれていることはそんなレベルの話ではなく、殆どの仕事が無くなると予言しているのですから本当にびっくりしました。

9割の仕事がなくなった場合の収入源はどうなるのか?クーポン型市場社会主義の可能性があると言っています。今の生活保護のようにある基準を満たした場合のみ国庫から金銭が配布されるのではなく、1人に定額の金品、例えばはじめに政府がすべての成年市民に一定数のクーポンなりバウチャーなりを配布してそれを正規の通貨ではなくクーポンで価格表示されている企業の株式の購入に用います。そこから配当をもらい生活するというもの・・・つまり、全国民がどこかのロボット企業の株を得ることになります。つまり資本家を撲滅させるのではなく国民全員が強制的に資本家(株主)になり資本家をやめることはできず、死亡時にクーポン株式は国庫に返還されるというもの。

想像以上にインパクトのある内容でした。そうすると、私の仕事も短くて12年、長くても27年ですね。生涯現役を目指している私としては、あと12年というと短いような気がしますが、産業は50年くらいで歴史的にも変化しているので仕方ないといえば仕方ないですね。

陸王

今テレビでも放映されているご存じ「陸王」です。埼玉県行田市の老舗の4代目足袋屋が、業績先細りの業界で新たな業界に参入しようと画策します。それは、足袋の良い点を生かしたランニングシューズ。名前も陸王です。人間本来の走り方に着目し、フィット感であったり、軽さであったり、足袋の良さを生かして、怪我の少ない走り方を助けるシューズです。

最近のシューズは踵が少し高くなっているものが多く、そうすると着地するときどうしても踵から着地してしまいます。踵から着地すると膝や関節や筋肉に負担になり怪我が多くなるそうです。人間の本来の走り方はミッドフィット着地、つまり踵からではなく足裏全体で着地して走ること。それを助けるシューズの開発です。その辺の記述がテレビより小説の方がより細かく書かれています。

小説が映画やドラマになることって多いですよね。小説→映画(ドラマ)、映画(ドラマ)→小説 という順番で見ることはよくありましたが、今回は同時進行で読んでみたので、小説とドラマの相乗効果が得られて、より楽しむことができました。細かい描写などは小説には敵いませんが、ドラマや映画には視覚からの情報や効果音など五感からの情報をより楽しめます。こうやって同時進行で楽しむというのもより楽しむ方法だと思います。

結局すぐやる人がすべてを手に入れる

行動力がいかに大事かを説いた本です。何かを実行しようとしても思っているだけで実行しないといつまでもモヤモヤすることってありますよね。私も本格的に独立するとき、今までの場所の居心地の良さに本当に完全独立して良いのだろうか?こんなに居心地の良い空間を捨ててまで完全独立すべきだろうか?と悩みましたが、結局行動するまで、つまり、完全独立するまでモヤモヤは続きました。不安は沢山ありましたが、今ではあの不安な気持ちは何だったのだろうと思うくらい完全独立して良かったと思っています。

この本にもこんなことが書いてありました。「考えるだけで行動しないと不安が生じます。」「行動し、自分と環境を変えていくと、すでに不安となっていた状況が変わります。新しい自分と環境においては、新しい課題が現れるので、元の不安は解消されます。新しい課題に対して、行動をしていけば、不安に陥って悩むこともありません。不安の解消には、行動することが一番なのです。」全くその通りだと思いました。大学院で行動力は重要だと教わりましたが、この本を読んでそのことは確信へと変わりました。何かに悩んでいる方はとりあえず、考えすぎず行動することをお勧めします。

羊と鋼の森

ご存じ本屋大賞で大賞を取った作品です。羊と鋼?そして森?謎だらけの題名でしたが、これはピアノの事です。羊の毛からできたフェルトのハンマーで、鋼である弦により音を鳴らすと森の中にいるようなメロディーを奏でることができます。

主人公である少年が高校生の時に体育館にあるピアノの調律をしている場面に出くわし、その森の中にいるような感覚にさせられる音に魅せられて、調律師になりたい。と思います。そこで実際に調律をしていた調律師に弟子入りさせてくれと頼んだところ、調律の専門学校に行くように諭され専門学校に行き、あこがれの調律師がいる会社に入社します。

それぞれ個性のある先輩達に支えられながら調律師として成長していく少年の生き方みたいなものが描かれています。本文の中に彼の覚悟のような文章が書かれています。
僕には才能がない。そう言ってしまうのは、いっそ楽だった。でも、調律師に必要なのは、才能じゃない。少なくとも、今の段階で必要なのは、才能じゃない。そう思う事で自分を励ましてきた。才能という言葉で紛らわせてはいけない。あきらめる口実に使うわけにはいかない。経験や、訓練や、努力や、知恵、機転、根気、そして情熱。才能が足りないなら、そういうもので置き換えよう。もしも、いつか、どうしても置き換えられないものがあると気づいたら、そのときにあきらめればいいではないか。怖いけど。自分の才能のなさを認めるのは、きっととても怖いけど。

そんな彼に先輩が答えます「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れない執念とか、闘志とか、そういうものと似ている何か。俺はそう思うことにしてるよ」

私から言わせれば少年はとても才能があると思います。何故なら高校の体育館で調律を行っていた調律師は世界的にも有名なピアノの奏者に調律の指名を受けるほどの名手です。その音を何の情報も得ずに聞き分けられていたのですから・・・でも少年の自信のなさ、立派な調律師になりたい。という夢は少年をひたむきに努力する行動へ駆り立てました。きっと将来、有能な調律師になるでしょう。とても読み終わった後に余韻が残る本でした。メロディーの描き方も見事で読んでいるのに頭の中に音とイメージがはっきりわかる素敵な本でした。

ハーバードでは教えない実践経済学

著者はイェール大学のロースクールを出ています。法学修士やMBAは実務に役立つと教わりましたが、その考えは正しいと確信しました。しかし、どちらも実社会での効果には限界があり、ビジネスの入門資格として取得する価値はあるものの一生涯続く学習の一環としてみればよくても基礎、悪ければ驕りに過ぎないと言っています。

読み進めてみると結局は全てケースバイケースでしかも相手の動きや相手の性質や求めていることなどを早く見極め的確に対応することのような気がしました。第1章は「人の心を読む」というテーマですが、まさにこのことで何となくこれは気付ける力であって習得できるものではないような気がします。私はその気付ける力を人より多く持っているので事業が上手くいくのだと思っています。第2章は「印象づける」第3章は「優位に立つ」ですが、1章が守りだとすると2章・3章はまさに攻めの姿勢で、ここの部分は私は弱くもっと頑張らなくてはと思いました。

その他にも戦略や市場性・仕事術など幅広く1人の起業家として様々な経験を述べています。最後の方には「起業家たちへ」というメッセージのような章もあります。1人の起業家としての様々な思いを書いた本でした。

危険なビーナス

主人公は男性で獣医さんをしています。ある時、疎遠だった半血兄弟の弟の嫁だという女性が訪ねてきます。夫が失踪したので一緒に見つけて欲しいと・・・もう何十年も会っていないし半血だからと迷いましたが、一緒に見つけることにします。

東野圭吾氏の作品は複雑に何個かの問題が提起されることが多い中、今回の作品は至ってシンプルで分かりやすかったです。弟の魅力的な嫁の正体、兄弟の共通の母の事故死とされていた謎の死の真相など最後にすべて分かります。題名の割に危険ではありませんでした。(笑)

金魚姫

夏らしい表題と表紙の絵に惹かれ購入しました。屋台で取ってきた金魚がたまに女の子になって主人公の生活が変わっていくというお話です。そんな現実離れした話・・・と多少軽く見て読み始めましたが、読んでいくうちにハマってしまい、寝る前に読み始めたが気が付いたら3時になっていて焦って寝たなんてこともあった本です。

怖くて、せつなくて、可愛くて、それでいて遠い昔と現在の奥行も感じられる本です。突然何千年も前の怖い話になるのでビックリしますが、人の思いというのは何千年経っても生き続けるのだとつくづく思いました。

主人公もブラック企業で堕落した日々を送っていましたが、ある日亡くなった人が見えるようになって、その人から声をかけられ、亡くなった人の思いを残された人に伝えるうちに仕事であるお仏壇のセールスの売上げが伸びたりします。何のために生きているのか分からなかった主人公の生活も金魚の世話をしなくてはならないという使命感から徐々に変化していきます。主人公の人としての成長も感じられる本でした。

写真の朝顔は今年自宅のベランダで種から育てたものですが、ハートの葉っぱと、金魚の尾のようなヒラヒラした八重の花びらが可愛い朝顔です。蛇足ですが、金魚は様々な品種改良を行ってあんなに特徴のある姿になったのだそうです。朝顔も江戸時代に様々な品種改良を行って色々な変わり朝顔ができたそうです。うちの朝顔は西洋朝顔ですが・・・・金魚と朝顔ってちょっと似ていますね。

イスラム教徒の頭の中

皆さんはイスラム教についてどの程度ご存じでしょうか?イスラム教というとアラブ人というイメージがありますが、アラブと言っても20か国以上あり全てイスラム教ということでもなく、全体の80~90%がイスラム教徒(ムスリム)だそうです。イスラム教も大きく2つスンニー派とシーア派に分かれ、スンニー派の一部がイスラム過激派となっており、ムスリムの1%にも満たない過激派の活動が大多数のスムリムのイメージとして定着してしまっています。

この本では、結婚などの女性の事情とビジネスなどの男性の事情が多く書かれています。イスラム教はお酒を飲まない。一夫多妻制。未婚の女性は顔をベールで隠し、結婚は一種の商談でマハルという結婚金をいくらにするかということから始まるらしいです。女性は未婚だと半人前と判断され、結婚して子供を産んでそして男の子を生んで一人前とされるのだそうです。男性は4人まで妻を持つことができ、妻と子供を扶養する義務を持ちます。妻が多くいて(マハルの支払は多額なので多いほど裕福)子供も多くいる事(特に男の子を多く持つこと)が男として生殖的にも社会的にも出来る男とされるのだそう。

驚きエピソードが書いてありました。一人しか妻を持たない社会的地位が高い男が今のままで満足なのでということで1人しか妻を持たなかったら、その妻が「夫は第二の妻をもらうべき」と訴えを起こしたそうです。理由は第1に子供の問題。夫は地位が高いのでより多くの男子をもうけなければないが出産に伴う女性の苦労は並大抵ではない。自分としては2~3人の子供を産むことが理想なのだが、夫はもっと多くの子供を持つべきなので、他の妻を迎えもっと子供を産ませたら良いという。2つ目の理由は話し相手となる友人がほしい。外部の人との交際もままならないのだからせめて内部に自分と対等に付き合える友人がほしいという。3つ目の理由は夫ほど地位のある者のテントに妻が1人しかいないのは威厳を損なうし、一切の家事が1人の妻にのしかかっている状態は妻にとっても夫にとっても不自然だからとのこと。判決の結果は、夫はラマダーン(断食月)の終わりに第二の妻を迎えよ。ということでした。

妻からそんなことを言い出すなんて日本人にとってはビックリ発言ですね。でも夫は妻を迎えたら、どの妻にも平等に扱い扶養する義務が生じます。ですから未亡人が生じにくくなり、子供が産めない女性や他に妻がほしくなった夫からも別れなくてすむ未亡人救済制度とも言われています。日本のように不倫が盛んになったりすることもなく、愛人や妾などというのもなくなるある意味健全に社会的に保障されて妻という座に居続けられるということです。

その他にもアラブ商法は得して得とれ。という精神だったり、神にさえ嘘をつかなければ人に嘘をついても良いとか、返事はYES。できるとしか言わないがその努力はしない。とか、なかなかビジネスでは手強そうです。なんか日本人が考える常識はイスラム教にしてみれば常識ではないという事が良く分かった本でした。

話し方の教科書

お借りした本です。先日出張した際の新幹線の中で一気に読みました。この本によると声は洋服と同じでTPOに応じて変えていくべきでそれは練習によって習得できるそうです。大勢の前で話す時は高い声、電話で話す時は低い声など。具体的には、腹式呼吸をする。共鳴させる。活舌よくする。だそうです。腹式呼吸と活舌は何となく分かりますが、共鳴させるってちょっと分かりづらいですよね。

共鳴とは、肺に送り込んだ空気を吐くとき声帯を通過させ、その時声帯が震えて空気を振動させると原音(声の源)が生まれます。この原音を口腔や鼻腔、頭蓋骨内の腔で増幅させることが共鳴だそうです。共鳴トレーニングのやり方も載っていて、人差し指と中指を鼻先に触れて口を閉じて「ムー」と言って指先が振動するのが共鳴です。その高さの音が一番聞き取りやすい声らしいです。低音の聞きやすい音の見つけ方は同じく指を喉において震える音域で、高音の聞きやすい音の見つけ方は同じく指をおでこに添えて見つけるようです。

その他にも間の取り方や抑揚の付け方なども書いてあります。一番良い練習方法は朗読だそうです。話すのに自信のない方はこの本を読んでみると、とても具体的なので分かりやすいと思います。