陸王

今テレビでも放映されているご存じ「陸王」です。埼玉県行田市の老舗の4代目足袋屋が、業績先細りの業界で新たな業界に参入しようと画策します。それは、足袋の良い点を生かしたランニングシューズ。名前も陸王です。人間本来の走り方に着目し、フィット感であったり、軽さであったり、足袋の良さを生かして、怪我の少ない走り方を助けるシューズです。

最近のシューズは踵が少し高くなっているものが多く、そうすると着地するときどうしても踵から着地してしまいます。踵から着地すると膝や関節や筋肉に負担になり怪我が多くなるそうです。人間の本来の走り方はミッドフィット着地、つまり踵からではなく足裏全体で着地して走ること。それを助けるシューズの開発です。その辺の記述がテレビより小説の方がより細かく書かれています。

小説が映画やドラマになることって多いですよね。小説→映画(ドラマ)、映画(ドラマ)→小説 という順番で見ることはよくありましたが、今回は同時進行で読んでみたので、小説とドラマの相乗効果が得られて、より楽しむことができました。細かい描写などは小説には敵いませんが、ドラマや映画には視覚からの情報や効果音など五感からの情報をより楽しめます。こうやって同時進行で楽しむというのもより楽しむ方法だと思います。

結局すぐやる人がすべてを手に入れる

行動力がいかに大事かを説いた本です。何かを実行しようとしても思っているだけで実行しないといつまでもモヤモヤすることってありますよね。私も本格的に独立するとき、今までの場所の居心地の良さに本当に完全独立して良いのだろうか?こんなに居心地の良い空間を捨ててまで完全独立すべきだろうか?と悩みましたが、結局行動するまで、つまり、完全独立するまでモヤモヤは続きました。不安は沢山ありましたが、今ではあの不安な気持ちは何だったのだろうと思うくらい完全独立して良かったと思っています。

この本にもこんなことが書いてありました。「考えるだけで行動しないと不安が生じます。」「行動し、自分と環境を変えていくと、すでに不安となっていた状況が変わります。新しい自分と環境においては、新しい課題が現れるので、元の不安は解消されます。新しい課題に対して、行動をしていけば、不安に陥って悩むこともありません。不安の解消には、行動することが一番なのです。」全くその通りだと思いました。大学院で行動力は重要だと教わりましたが、この本を読んでそのことは確信へと変わりました。何かに悩んでいる方はとりあえず、考えすぎず行動することをお勧めします。

羊と鋼の森

ご存じ本屋大賞で大賞を取った作品です。羊と鋼?そして森?謎だらけの題名でしたが、これはピアノの事です。羊の毛からできたフェルトのハンマーで、鋼である弦により音を鳴らすと森の中にいるようなメロディーを奏でることができます。

主人公である少年が高校生の時に体育館にあるピアノの調律をしている場面に出くわし、その森の中にいるような感覚にさせられる音に魅せられて、調律師になりたい。と思います。そこで実際に調律をしていた調律師に弟子入りさせてくれと頼んだところ、調律の専門学校に行くように諭され専門学校に行き、あこがれの調律師がいる会社に入社します。

それぞれ個性のある先輩達に支えられながら調律師として成長していく少年の生き方みたいなものが描かれています。本文の中に彼の覚悟のような文章が書かれています。
僕には才能がない。そう言ってしまうのは、いっそ楽だった。でも、調律師に必要なのは、才能じゃない。少なくとも、今の段階で必要なのは、才能じゃない。そう思う事で自分を励ましてきた。才能という言葉で紛らわせてはいけない。あきらめる口実に使うわけにはいかない。経験や、訓練や、努力や、知恵、機転、根気、そして情熱。才能が足りないなら、そういうもので置き換えよう。もしも、いつか、どうしても置き換えられないものがあると気づいたら、そのときにあきらめればいいではないか。怖いけど。自分の才能のなさを認めるのは、きっととても怖いけど。

そんな彼に先輩が答えます「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れない執念とか、闘志とか、そういうものと似ている何か。俺はそう思うことにしてるよ」

私から言わせれば少年はとても才能があると思います。何故なら高校の体育館で調律を行っていた調律師は世界的にも有名なピアノの奏者に調律の指名を受けるほどの名手です。その音を何の情報も得ずに聞き分けられていたのですから・・・でも少年の自信のなさ、立派な調律師になりたい。という夢は少年をひたむきに努力する行動へ駆り立てました。きっと将来、有能な調律師になるでしょう。とても読み終わった後に余韻が残る本でした。メロディーの描き方も見事で読んでいるのに頭の中に音とイメージがはっきりわかる素敵な本でした。

ハーバードでは教えない実践経済学

著者はイェール大学のロースクールを出ています。法学修士やMBAは実務に役立つと教わりましたが、その考えは正しいと確信しました。しかし、どちらも実社会での効果には限界があり、ビジネスの入門資格として取得する価値はあるものの一生涯続く学習の一環としてみればよくても基礎、悪ければ驕りに過ぎないと言っています。

読み進めてみると結局は全てケースバイケースでしかも相手の動きや相手の性質や求めていることなどを早く見極め的確に対応することのような気がしました。第1章は「人の心を読む」というテーマですが、まさにこのことで何となくこれは気付ける力であって習得できるものではないような気がします。私はその気付ける力を人より多く持っているので事業が上手くいくのだと思っています。第2章は「印象づける」第3章は「優位に立つ」ですが、1章が守りだとすると2章・3章はまさに攻めの姿勢で、ここの部分は私は弱くもっと頑張らなくてはと思いました。

その他にも戦略や市場性・仕事術など幅広く1人の起業家として様々な経験を述べています。最後の方には「起業家たちへ」というメッセージのような章もあります。1人の起業家としての様々な思いを書いた本でした。

危険なビーナス

主人公は男性で獣医さんをしています。ある時、疎遠だった半血兄弟の弟の嫁だという女性が訪ねてきます。夫が失踪したので一緒に見つけて欲しいと・・・もう何十年も会っていないし半血だからと迷いましたが、一緒に見つけることにします。

東野圭吾氏の作品は複雑に何個かの問題が提起されることが多い中、今回の作品は至ってシンプルで分かりやすかったです。弟の魅力的な嫁の正体、兄弟の共通の母の事故死とされていた謎の死の真相など最後にすべて分かります。題名の割に危険ではありませんでした。(笑)

金魚姫

夏らしい表題と表紙の絵に惹かれ購入しました。屋台で取ってきた金魚がたまに女の子になって主人公の生活が変わっていくというお話です。そんな現実離れした話・・・と多少軽く見て読み始めましたが、読んでいくうちにハマってしまい、寝る前に読み始めたが気が付いたら3時になっていて焦って寝たなんてこともあった本です。

怖くて、せつなくて、可愛くて、それでいて遠い昔と現在の奥行も感じられる本です。突然何千年も前の怖い話になるのでビックリしますが、人の思いというのは何千年経っても生き続けるのだとつくづく思いました。

主人公もブラック企業で堕落した日々を送っていましたが、ある日亡くなった人が見えるようになって、その人から声をかけられ、亡くなった人の思いを残された人に伝えるうちに仕事であるお仏壇のセールスの売上げが伸びたりします。何のために生きているのか分からなかった主人公の生活も金魚の世話をしなくてはならないという使命感から徐々に変化していきます。主人公の人としての成長も感じられる本でした。

写真の朝顔は今年自宅のベランダで種から育てたものですが、ハートの葉っぱと、金魚の尾のようなヒラヒラした八重の花びらが可愛い朝顔です。蛇足ですが、金魚は様々な品種改良を行ってあんなに特徴のある姿になったのだそうです。朝顔も江戸時代に様々な品種改良を行って色々な変わり朝顔ができたそうです。うちの朝顔は西洋朝顔ですが・・・・金魚と朝顔ってちょっと似ていますね。

イスラム教徒の頭の中

皆さんはイスラム教についてどの程度ご存じでしょうか?イスラム教というとアラブ人というイメージがありますが、アラブと言っても20か国以上あり全てイスラム教ということでもなく、全体の80~90%がイスラム教徒(ムスリム)だそうです。イスラム教も大きく2つスンニー派とシーア派に分かれ、スンニー派の一部がイスラム過激派となっており、ムスリムの1%にも満たない過激派の活動が大多数のスムリムのイメージとして定着してしまっています。

この本では、結婚などの女性の事情とビジネスなどの男性の事情が多く書かれています。イスラム教はお酒を飲まない。一夫多妻制。未婚の女性は顔をベールで隠し、結婚は一種の商談でマハルという結婚金をいくらにするかということから始まるらしいです。女性は未婚だと半人前と判断され、結婚して子供を産んでそして男の子を生んで一人前とされるのだそうです。男性は4人まで妻を持つことができ、妻と子供を扶養する義務を持ちます。妻が多くいて(マハルの支払は多額なので多いほど裕福)子供も多くいる事(特に男の子を多く持つこと)が男として生殖的にも社会的にも出来る男とされるのだそう。

驚きエピソードが書いてありました。一人しか妻を持たない社会的地位が高い男が今のままで満足なのでということで1人しか妻を持たなかったら、その妻が「夫は第二の妻をもらうべき」と訴えを起こしたそうです。理由は第1に子供の問題。夫は地位が高いのでより多くの男子をもうけなければないが出産に伴う女性の苦労は並大抵ではない。自分としては2~3人の子供を産むことが理想なのだが、夫はもっと多くの子供を持つべきなので、他の妻を迎えもっと子供を産ませたら良いという。2つ目の理由は話し相手となる友人がほしい。外部の人との交際もままならないのだからせめて内部に自分と対等に付き合える友人がほしいという。3つ目の理由は夫ほど地位のある者のテントに妻が1人しかいないのは威厳を損なうし、一切の家事が1人の妻にのしかかっている状態は妻にとっても夫にとっても不自然だからとのこと。判決の結果は、夫はラマダーン(断食月)の終わりに第二の妻を迎えよ。ということでした。

妻からそんなことを言い出すなんて日本人にとってはビックリ発言ですね。でも夫は妻を迎えたら、どの妻にも平等に扱い扶養する義務が生じます。ですから未亡人が生じにくくなり、子供が産めない女性や他に妻がほしくなった夫からも別れなくてすむ未亡人救済制度とも言われています。日本のように不倫が盛んになったりすることもなく、愛人や妾などというのもなくなるある意味健全に社会的に保障されて妻という座に居続けられるということです。

その他にもアラブ商法は得して得とれ。という精神だったり、神にさえ嘘をつかなければ人に嘘をついても良いとか、返事はYES。できるとしか言わないがその努力はしない。とか、なかなかビジネスでは手強そうです。なんか日本人が考える常識はイスラム教にしてみれば常識ではないという事が良く分かった本でした。

話し方の教科書

お借りした本です。先日出張した際の新幹線の中で一気に読みました。この本によると声は洋服と同じでTPOに応じて変えていくべきでそれは練習によって習得できるそうです。大勢の前で話す時は高い声、電話で話す時は低い声など。具体的には、腹式呼吸をする。共鳴させる。活舌よくする。だそうです。腹式呼吸と活舌は何となく分かりますが、共鳴させるってちょっと分かりづらいですよね。

共鳴とは、肺に送り込んだ空気を吐くとき声帯を通過させ、その時声帯が震えて空気を振動させると原音(声の源)が生まれます。この原音を口腔や鼻腔、頭蓋骨内の腔で増幅させることが共鳴だそうです。共鳴トレーニングのやり方も載っていて、人差し指と中指を鼻先に触れて口を閉じて「ムー」と言って指先が振動するのが共鳴です。その高さの音が一番聞き取りやすい声らしいです。低音の聞きやすい音の見つけ方は同じく指を喉において震える音域で、高音の聞きやすい音の見つけ方は同じく指をおでこに添えて見つけるようです。

その他にも間の取り方や抑揚の付け方なども書いてあります。一番良い練習方法は朗読だそうです。話すのに自信のない方はこの本を読んでみると、とても具体的なので分かりやすいと思います。

困難な成熟

困難な成熟?この本を目にした時、どういう事??という疑問が生じました。以前読んだ「たのしい不便」を手にした時と同じような感覚です。どうしても気になってしまい買ってしまいました。

この本は物事を考える際の本質が何なのかと考えるのに役立ちます。読んでいると、そうか。そういわれてみるとそうだな。と納得できます。自分が今まで過ごしていた当たり前の基礎事項が、このような考えがあるのかと非常に勉強になります。

例えば、表象の非対称性。正義と悪者の表現ですが、大抵、正義は個体性豊かに描かれ、悪者は個体識別できないように平べったく記号的に描かれます。悪者側についても個人史的な精査を行った場合、悪者側の主観的な正当性というのが生まれてしまいます。ですから、正義には個体性豊かで悪者は記号的に描かれ表象の非対称性がおこるのだそうです。

他には、労働とは何か?ということ。生物は消費からはじまりました。生物が生きてこれたのは、自然界からの圧倒的な贈与があったからです。人間の消費する量が自然からの贈与分を超えたから、人間はこれを制御する必要がありました。それが労働です。仕事でもモノを作り出す部門と管理部門があります。実際にモノを作り出す部門よりなぜか何も仕事をしないで管理する部門の方が給料が高かったりします。それは仕事の本質が制御だからだそうです。

どうですか?かなり新鮮な考え方ですよね。その他にも様々なメッセージが書かれています。物事の本質を見るためのヒントになるのではないでしょうか。

日本でいちばん大切にしたい会社

あまりにも有名な本なので名前だけでも知ってる人も多いのではないでしょうか。この本は法政大学の教授が全国6000社以上を訪問し、いい会社には共通点があると気が付きます。第1部では経営者が心すべき5人の人に対する使命と責任を掲げています。第2部では、いい会社として5社を厳選して紹介しています。5人に対する使命と責任を果たすための行動のことを、経営と定義しています。5人の1番目は社員とその家族を幸せにすること。2番目は外注先や下請先の社員とその家族を幸せにすること。3番目は顧客を幸せにすること。4番目は地域社会をしあわせにし活性化させること。5番目は株主、出資者を幸せにすることです。そして、業績ではなく、継続する会社を目指すべきだと言っています。業績や成長は継続するための手段にすぎないとも言っています。企業を継続させることこそ社会的使命だそうです。

第2章では、多くの会社を訪問した著者がこれぞ、いい会社だと思う会社を5社紹介しています。その中の2番目に紹介した寒天メーカーの会社は48年間増収増益で50年間一度もリストラをせず、100年カレンダーを作り遠くを見通す経営をしてきました。寒天の市場は決して成長マーケットとは言えません。実際寒天の生産量は右肩下がりです。でもこの会社は寒天をベースにしながらも時代に合った付加価値をどんどんつけながら、同業者と戦わない経営を行い商品価値を高めています。経営方針は3つ「無理な成長は追わない」「敵をつくらない」「成長の種まきを怠らない」ということ。

ここでビックリエピソードが書かれていました。この会社は「かんてんぱぱ」という商品を売っており、この一種類を大手スーパーが「是非うちで売らせてほしい」と言ってきました。北海道から九州まで展開している大手スーパーの注文を受ければ、1年間で何億円、何十億円にもなりますが、それをすべて断ったといいます。それは経営方針の一つ「無理な成長は追わない」という信念に基づいた判断でした。景気や流行を追うと好況のときには設備投資などにお金をかけたり人を雇ったりします。しかし不況になるとそれが過剰投資になりリストラしたり商品の値段を下げたりして苦しむからだといいます。私もどちらかというとこのような信念を持っていますが、通常売上は来るもの拒まずなのではないでしょうか。それをブームはいつか去る。その時のダメージを考えると売り上げも取らない方が良いという経営判断はなかなかできるものではありません。なんだか凄い会社でした。その他にも、リスクのある仕事は、あえて断るなど、短期の業績に着目せずに100年の長いスパンで会社を発展させていこうという理念は「おみそれしました」という感じでした。