夢をかなえるゾウ

この本はかなり有名なので多くの人が知っているかと思います。でも読んでいなかったのでお正月に自分に活を入れるつもりで読んでみました。普通のサラリーマンの主人公のもとに突然現れたゾウのような神様ガネーシャ。最初の契約が良かった。夢を叶えたいならガネーシャの教えを乞うか?(一日一課題)ただし、課題ができない場合、ガネーシャに自らの希望を取られて夢のないまま一生を終える。取られた希望は他のやる気のあるやつにガネーシャが授けるというものでした。おっ面白そうじゃん。と思いました。

ガネーシャの課題は簡単なものばかりです。靴を磨くとか。募金をする。腹八分目にする。トイレ掃除をする。いいところを見つけて褒める。明日の準備をする。自分の得意なところを人に聞く。などです。無理難題を押し付けるのではなく簡単な課題を毎日こなしているうちに、主人公も課題をこなすことが面白くなってきます。要は行動が如何に大事かということを身をもって体験させています。ガネーシャは大阪弁で話します。性格なども完璧ではない(ヘビースモーカーだったり大食いだったりします)ところも人間性があり(神様ですが)魅力的です。

とても読みやすいし、分かりやすいので400万部売れているのも納得です。これから何かをしたいと思っている方も読むとヒントを貰えるかもしれません。気軽に読めますし、一日一課題、主人公と一緒に自分でもやってみても面白いかもしれません。そんな読み方もあるかと思います。

同志少女よ、敵を撃て

今年の本屋大賞を受賞した作品です。1943年前後のドイツ(ヒトラー時代)・ソ連(スターリン時代)戦争が舞台です。一家皆殺しにされたソ連の少女が狙撃兵になるまでと、なった後の事が書かれています。女性ばかりの狙撃兵のチームですが、狙撃兵になるまでの訓練期間の訓練内容がリアルです。また、実際に狙撃兵になってからの戦闘シーンは手に汗握る描写と息つく暇のない判断の繰り返しでとても臨場感があり本の中の世界に引き込まれて行きます。

戦争は女性の世界ではなく、どちらかというと男性主体で動きます。その中で女性として戦っている彼女らを見て同じ女性としてとても共感する部分も多く、また、普通の女の子だった彼女たちが逞しくなっていく(ならざるを得なかった)状況、選択の余地のない状況、それでも彼女たちは何故戦うのかという問いを自らに課して戦うのです。全ての女性のためにという女の子の決意からは並々ならぬ心情を感じ、敵味方関係なく女性を守るシーンでは心が揺さぶられました。

戦争が終わった30年後もエピローグで書かれるのですが、100人以上の敵を狙撃した彼女らは英雄でもあり魔女でもありという扱いです。田舎の町で静かに暮らしますが、戦争が終わり、静かな世の中になっても彼女たちからは戦争の記憶は無くなることなく、最後の最後で、戦争って何なんだろうという虚しさで目頭が熱くなりました。いやぁ、この本は戦争を知らない私たち、そして特に女性にはお勧めしたい本です。

民王ーシベリアの陰謀ー

池井戸潤氏の作品は熱い中小企業の話や銀行の話が多いのですが、こちらは異色の政治物です。政治物ですが、硬すぎず、むしろこれまでの池井戸氏の作品に見られないようなコミカルな部分もある作品でした。地球温暖化の影響により未知たるウィルスがシベリアの冷凍マンモスが溶けて古代ウィルスが蘇る。感染者が出て日本としてどう対策を取るか総理大臣の描写が現在日本で起きているコロナウィルスと重なってリアルです。また、反対派やネットで溢れる陰謀説など現実でも行われるような描写が多々あり考えさせられます。政治家の中にも日本の国のために精一杯頑張っている人もいれば保身だけに動く人、支持率だけに動く人、様々でこれも現実に近いのかなと思ってしまいました。

未知たるウィルスの対応をどうするか?ネットに広がる噂や嘘の情報の拡散。政治家の利権問題。ある企業が儲かるためだけの工作。研究成果の伝達など、様々な現代問題にも類似する問題が山積みな作品ですが、一部の人の発言のコミカルさが事の重要さを緩和する作用がある作品です。人間の愚かさ。判断の難しさなど。個人的にも考えなくてはいけないことが沢山ある作品です。この作品は小説として今でしょ!と思えるほど今読んでみたい小説です。個人個人が様々な問題に対して混沌とした時代を生き、正しい判断をするために自分はどう生きるかという事を考えさせてくれる作品でもありました。

学びを結果に変えるアウトプット大全

何とドライアイになりまして、10日くらい目薬を点したりコンタクトを止めたりしていましたが、本が読めません。パソコンでさえ長時間は痛くなる。スマホなんて無理という感じでした。その時契約したのが、オーディオブックです。一言でいうと便利。寝る前に部屋を暗くしてから眠る前まで聞けるし、朝の準備をしている時や通勤時(電車に乗っている時間だけではなく歩いている時間まで)も聞けるので、隙間時間を利用すると無理しなくても聴けます。デメリットは本の中に表や図がある場合、見られない点でしょうか。表や図が多い本には向かないかもしれません。小説などには向くのではないでしょうか。

オーディオブックで最初に読んだのがこの本です。世の中、セミナーを聞いたり、本を読んだりインプットをしている人は多いですが、アウトプットをしないと折角の情報や内容も忘れてしまうということです。いかにアウトプットをするか。アウトプットをしないと折角インプットした情報が定着しないだけではなく忘れてしまい意味のないものになってしまうということで、この本では具体的なアウトプット方法を80個も掲げています。

偶然私がやっていたのは、朝事務所に着いたら、一日の予定を箇条書きにして机の近く見えるところに紙で置いておき、できたら豪快に消すという部分でした。正に私がやっていることでビックリしました。スマホなどのアプリでTo-Doリストを使用しているという人もいますが、スマホは誘惑が多いのでそれではダメで手書きもしくはプリントアウトした紙を出力して、終わったら豪快に(二重線で)消すというのがいいらしいです。

それととても為になったのが、例えばセミナーをする時、アイディアなどを名刺よりは少し大きなメモのような紙に1つ1つ書いていく。30枚くらいアイディアが出たらそれをタイプ毎に分けてグループ化して、それを基に構成していきパソコンにまとめるというものです。本を書くなら100枚くらい書くといいようです。おーこれは使えるなと思いました。その他にもアイディア満載なので誰でも自分が欲しいと思った具体例がいくつか見つかるかと思います。

ケースメソッド教授法入門

こちらの本は感想というより紹介になります。KBS(慶応ビジネススクール)のケースメソッドは有名で私も以前から興味がありました。大学や大学院の授業には講義形式の他に討議形式の授業もあります。習う側の本は多くありますが、教える側の本は日本では皆無です。この本は討議形式の授業を教える側の立場に立って学ぶための本です。私は20年前くらいから各種セミナーの講師をやっていますが、教える側の勉強を専門的に学んだことがありません。ただ、講義形式のセミナーは伝えたいことをできるだけ分かりやすく、できるだけ簡易にでも注意点などは強調してセミナーをしてきました。ただ、討議形式の授業は日本では高校までの授業ではほとんど行われておらず、大学でも少なく、大学院(ビジネススクール)でやっとやるかなという感じです。学ぶ機会も少ないのにそれを教えるなんて至難の業です。

海外では討議形式の授業は日本より多く、1962年にKBSがハーバード・ビジネススクール(HBS)へ教員を派遣してケースメゾットを学んでそれを持ち帰って、KBSでケースメソッドをで教えていました。KBSの内部でそれを洗練し教える側に立って書かれたのがこの本です。こんな本は見たことなかったのでとても参考になりました。この本に付いている帯にはすべての「教える人」のために!と書かれています。この本を一言でいうとそうなります。特に大学院の授業は講義形式だけではなく討議形式の内容も授業に組み込まれることが多いです。でも教える側はどうやってそれを進行していけばよいか。などを学ぶ機会は皆無です。実際講師側がやりたいようになっているというのが現状だと思います。

この本には具体的な技法が載っています。講義形式に慣れている講師だと話過ぎるのが難点でケースメソッドの場合は講師の発言は意識的に3割以下にする必要があるなど、具体的かつ能動的です。理由についてもきちんと書かれていて、納得できる内容です。ケースメソッドの講義は講義形式の講義より楽だと思っていましたがとんでもないという事にこの本を読んで気付かされました。それが効果的な講義になるためには講師の技量が欠かせないという事が分かりました。全てのセミナー講師に読んでもらいたい本です。特に講義形式のセミナーに慣れている講師が討議形式のセミナーをやる場合は必須なような気がします。講義形式に慣れていれば慣れているだけ討議形式のセミナーは全く違うということに早く気が付くためにもこの本はとてもお勧めです。

フィンランド幸せのメゾット

夏休みはこんな本を読んでみました。本を読んでの感想は、日本とフィンランドは昭和時代と令和時代くらい違うなと思った点です。もちろん昭和が日本です。日本は文明としては世界目線でみて発展していますが、ジェンダー論の目線からするととても遅れているというのが本を読んでよく分かりました。この本は今後日本を担っていく若い世代や今日本を担っている政治家に是非読んでもらいたい本でした。この本からは「今は令和なのに日本のジェンダー論は昭和のままだよー」と言われているようでした。

少し紹介すると、まず、ネウボラという制度があります。ネウボラというのは妊娠期から学校に入学するまでの間、子供の成長や発達の支援や、父親や母親などを含めた家族全体の心身のサポートを行っている組織です。日本の産婦人科と保健所を足したような自治体サービス制度で女性は妊娠したらまず、全員ネウボラおばさんに相談します。相談から健診まで全て無料で日本の産婦人科より敷居が低く、ちょっとしたことでも相談に乗ってもらえます。特に初めての妊娠の場合には何もかも不安で心配です。日本の産婦人科の医師だとこんな事相談したら過保護と思われるとか、こんな些細な事相談できないといったことも相談できます。学校に入学するまでの長い間継続して相談できるのでネウボラおばさんとは絶対的な信頼関係が築かれます。子供を育てる親にとってこれ以上の安心感はありません。

もう一つ、フィンランドの学校は全て無料なのは有名な話ですが、学校における信頼は厚く、ほとんど学校以外の学習塾に通いません。技能的な塾はありますが、教育的な塾は少ないのです。授業料も給食も無料でお弁当を作る習慣はありません。日本ではどちらかというと女性の方が子供と接する時間が長いですが、フィンランドは共働き夫婦が多くほぼ同じくらい面倒をみますし、夫婦だけではなく社会全体が子供を守っているという感じです。フィンランドに住んでいたら日本の子育てよりだいぶ金銭的・精神的に負担が少なくなる感じがします。むしろ、子供を産んで育てないと損だと思うくらいです。教育費が無料な代わりに税金がとても高いですが、国民もそれを承知していて有用な使い方だと思っています。まだまだフィンランドについて紹介したい事柄が沢山載っていますが、あとは本を読んでみて下さい。

祝祭と予感

この本は以前読んだ「蜂蜜と遠雷」(2018年2月3日のブログ参照)のスピンオフ版です。蜂蜜と遠雷はその後映画化もされて、読んで観て楽しんだ作品です。その時登場した3人の主人公、風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロスの3人は登場しますがその周りの人物に焦点を当てている本です。また、いろんな角度から短編小説で〇〇と△△というカテゴリーを振って書かれています。蜂蜜と遠雷のファンにはたまらないという感じです。ただ、蜂蜜と遠雷を読んでいないと何が何だか分からないかもしれません。

本の後ろの方に番外編としてエッセイも載っています。本の本篇は縦書きでエッセイは横書きなので本篇とは違うのは分かりましたが、エッセイの方は作者目線で書かれていて、蜂蜜と遠雷を書く際の苦労した点なども書かれていました。蜂蜜と遠雷を読んだ時、何故か頭の中に音楽が流れたのは、作者が実際にピアノが弾ける人であったことの他にも本の中の誰に何を弾かせようかと試行錯誤しながら実際に音楽を聴いたり、音楽コンクールを見学したりして頭の中だけではなく、実際に体験して感じて文字として表現したから出来たのでした。こんな裏話も書かれていて何か楽しい本でした。

将来ホームレスにならないための「勝ち組」思考

MBS(明治ビジネススクール)の先輩にいただきましたので読んでみました。仕事への向き合い方などが書いてありました。10年単位での目標を立てて更に今すべきことは何かを考える。とても共感しました。また、10代、20代、30代、40代、50代、60代の仕事の向き合い方のアドバイスもあり、とても具体的で参考になります。とにかく50代までは一生懸命に働き、60代からは社会貢献や事業承継などを考える必要があると言います。サラリーマンなら年収1,000万円、経営者なら年商1億円を目指せともいい、著者の経験も記載して具体的考え方などが書いてあります。

サラリーマンも年収1,000万円を得ようと思ったらそれなりに努力をしなければハイリターンを得ることはできないし、経営者はさらにハイ覚悟ハイリターンだそうです。会社に文句ばかり言って、できるだけサボって高収入を得ることはできないし、ハイリターンを得る人はもの凄く勉強したり、見えないところで努力をしている人で当たり前ですが、真摯に仕事に向き合っています。簡単にハイリターンを得るのは詐欺行為などがありますが、それは長くは続かずいずれ捕まります。長い間ハイリターンを得るためには周りからの信頼も大事です。結局楽して大金を得ることはできないということです。

努力も必要ですが、覚悟も必要です。若者や今の仕事に迷いがある人にも読んでもらいたい本だと思います。仕事をするすべての人にエールを贈る本でもありました。最後の章では日本の向かうべき道なども書かれていて興味を持ちました。日本は技術立国として、観光立国として、農業立国として世界のリーダーになり得る可能性があると言っています。この本は9年前に発行されたものですが、今年初めて、日本は観光立国として世界一旅行に行きたい国に選ばれました。9年前から予言していたのですね。流石です。

座右の寓話

本屋で手にして気になった本です。寓話(ぐうわ)とは、 比喩 によって人間の生活に馴染みの深いできごとを見せ、それによって諭すことを意図した物語 とあります(Wikipediaより)。この本は77話もの寓話が1ページ(ものによっては2ページ)に記載してあり、それぞれの解説を寓話ごとに記してあります。1話1話完結するので夜寝る前に1つ寓話を読んで寝るというような読み方もできました。また、その性質によって数個ごとのカテゴリーに分類してあるのも読みやすかったです。

第8章に科学技術と社会のかかわりという章にドキッとしたことが載っていました。理念なき科学技術の進歩は「ブレーキもハンドルもなくアクセルしかついていない自動車」のようであり、人間喪失の危機をもたらす。というものです。確かに科学の発展は近代化には欠かせないものであったし、それによって便利な生活を手に入れました。でも人間の力では制御できないくらいの大きな脅威(例えば核)も生み出しています。おそれく開発した人々はこんなつもりで開発したのではないはずです。

寓話はイソップ寓話、仏教寓話、荘子の寓話、イエスのたとえ話、道和などがありますが、ストレートに物を言うより、寓話で話した方が聞き手がこの人は何を言っているのだろうかと考え、より深く物事を考えられるような気がします。ストレートに相手に言った方がいい例もありますが、それだと壁を作って聞いて貰えないこともあります。そのような時に寓話をネタにお話しされるのはどうでしょうか?何かのスピーチにのネタにもなりそうな本でした。

エッセンシャル思考

本屋で偶然目にしました。何故かここ1年くらい、忙しい。儲かっている忙しさではありません。むしろコロナ禍で収入はダウンしています。それなのに毎日毎日何故かやる事がいっぱいで、特に昨年の11月くらいから今年の3月くらいまでは激務で、でもお金にならないという不毛な期間を送っていました。スタッフも同じで週末に働いたり夜中にテレワークしたり、私は管理者としてこれではいけないと思いながらも目の前の忙しさに悩殺されて何もできませんでした。4月になって仕事も落ち着き、何故こんなことになってしまったのかを色々分析し、自分なりに結論を決めてアクションをしたところです。そんな時この本に出合いました。

一気に迷いが消えました。この本を読んで気が付きました。私は元々この本で言うエッセンシャル思考の持ち主でした。ところがスタッフを持って、スタッフの仕事が無くなるのが不安だったことから、いつの間にかこの本でいう非エッセンシャル思考になっていました。その結果、来た仕事は全て受ける。やることが増えすぎて、時間とエネルギーがどんどん拡散されていく。疲れるばかりですべてが中途半端になる。本当にやるべき事ができなくなる。成功したせいで、自分を成功に導いてくれた方向性を見失ってしまう。このようなパラドックスに陥っている人にうってつけの本です。

そもそも開業とは仕事の選択ややり方を自分の意思で決められるということに最大の魅力があります。それが受け身になって来るもの拒まずで自分は選択しない。そうして、やる事がいっぱいで心も体もむしばまれていく。この本では本当に大事なものに集中し見極める技術を習得して選ぶ力を取り戻しなさいと言っています。私はMBAに行った経験から何としても乗り越えるという事ばかりに集中して本質的に大事なものを見失いかけていました。乗り越えるばかりではなく手放す勇気も時には必要ということです。この本を読み終えた時、頭の中にあったモヤモヤがすーっと消えていくのを感じました。そんなモヤモヤを持った人におすすめの本です。