社会保険診療報酬80%基準改正

社会医療法人・特定医療法人は社会保険診療報酬(国保や社保など)が全収入の80%を超えるという要件があります。自費は80%の算定に入れることができませんが、この80%の範囲はその組織が社会医療法人なのか?特定医療法人なのか?によって差異がありました。(詳しくは2017.7.20のブログ「社会医療法人と特定医療法人と認定医療法人」を読んでください。特定医療法人が一番範囲が狭い設定です。

この度平成30年税制改正により、特定医療法人でも、予防接種の収入、助産に係る収入、介護保険の収入でも80%算定の基礎に入れてよいことになりました。これで産婦人科でも特定医療法人になれます。でも、今は認定医療法人というお得な制度が昨年10月から始まっていますので、わざわざ大変な特定医療法人に移行せずに、特定医療法人や社会医療法人よりも移行がスムーズな認定医療法人制度を活用する医療法人が増えそうです。

税務関係知識上書き

ご存知、税金は毎年改正があります。何とか付いていっていますが、こんな事いつまで続けられるのだろうか?と不安になることがあります。税理士会でも毎年税制改正のセミナーがあって、昨年から税理士会でも1年間の研修を36時間以上受講するのが義務になり、昨日さっそく税制改正のセミナーに行ってきました。そこに行くとどう考えても私より年上のお兄様、お姉様方が沢山いて、私なんてまだまだだ!と勇気を貰えます。

ところで最近の税制は特徴があって、何しろ面倒くさい!2018年3月11日のブログ「認定支援機関のお仕事」にも書きましたが、何しろ1つの優遇や税額控除をしたりするのにやたら手続きを要するのです。税務署だけではなく、財務省や厚生労働省や県や市役所を巻き込んで申請をしなければなりません。申請をして認められれば税額控除や優遇税制が受けられるというそんな感じの税制が多いです。

以前はそのようなことがあった時は業者の証明を貰い、税理士が別表を1枚追加して記載すれば済む程度でした。ところが事前に沢山の書類を書かせたり公の場所に提出して認定を取ったり、1つの優遇を受けるために相当な労力を使う優遇ばかり・・・なんでや?と疑問に思っていました。税理士いじめとしか思えないのですが、そこには国の財源がない!という事実があります。つまり、労力を使った人だけが認められる優遇に代わってきています。助成金ぽい感じです。おかげで決算業務にやたら時間がかかります。何とかしてください(涙)

浮世絵版画

外国人に浮世絵が売れています。浮世絵は版画で作ります。浮世絵は絵師が薄い紙に下絵を描く事から始まります。それを版木に移して、彫師が構図を色ごとに分解して版木を掘ります。それを摺師が版画毎に色を変え絵柄を摺ります。大まかに言うとこんな感じですが、もっとちゃんと言うととてつもなく膨大な作業になります。

色ごとに分解して版木を摺る。色ごとに分解して色を載せていく。考えただけでも気が遠くなる作業です。また、色は重ねて一枚一枚摺っていくので、少しでもずれたりしたらその絵は不良品となってしまいます。一寸も狂いもなく色を重ねなければなりません。それをピタッと合わせるために版木の右下の角には「見当」という目印があります。そこに紙の右下を合わせて紙を載せていきます。

見当違いという言葉がありますが、語源はきっと浮世絵版画の目印の見当ですね。そう考えると見当違いというのは、相当重罪な気がします。浮世絵版画で言えば、最後の一摺りだったとしてもそこで見当を間違えてしまったら今までの苦労が全て水の泡になってしまうのですから・・言葉の奥深さを感じます。

万引き家族

ご存知カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した作品です。お父さん、お母さん、お母さんの妹、子供、おばあちゃんが5人で暮らしています。お父さんは日雇い、お母さんはクリーニングのパートをやっていますが、おばあちゃんの年金とそして万引きで生計を立てています。そこに虐待を受けていた少女を保護して6人家族になります。本当は血が繋がっていない6人家族です。

少女を保護した時寒い冬で少女は寒い中傷だらけで飢えていました。ほんのちょっと暖かいところで保護して食事を取らせて帰らせるつもりでした。でも、送りに行ったら男女の争う声が聞こえてきて「生みたくて産んだんじゃない!」と叫んでいた声を聞いて、この子を保護しようと決めたのです。3カ月経ったある日テレビでその子がいなくなったことが報道されていました。何故3カ月もいなくなったのに警察に届けていなかったのか?非難は両親に向けられます。そこから徐々に6人家族に困難が襲ってきます。

本当の家族でないので、おばあちゃんが死んだときも公にできませんし、子供が入院した時も保険証とかないのです。社会から逃げるようにして生きていた家族に不都合が生じてきます。身代金も請求していないから誘拐じゃないと家族は思っています。虐待から小さな子供を保護しただけと・・・でも捕まった時、世間では誘拐犯になります。また、不器用に生きてきた家族なのでその辺もうまく表現できません。しかも万引きをしていたり、過去に死体遺棄をしたりしたこともあってとても不利に状況が進みます。

この映画の凄いところは押し付けがないこと。誰が悪いとか誰がいいとかそのような決めつけがない点です。少女は本当の親の元に帰りますが、母親に怒鳴られ、お兄ちゃんもいなく一人で遊んでいるシーンがなんとも切なくなります。本当の親と住むこと=子供の幸せではないというところも考えさせられて、だからと言って万引き家族の良い部分もクローズアップされることなく何となくモヤモヤしたやりきれない気持ちで映画が終わります。そのリアルさがパルムドール賞を取ったのだと思います。

民泊収入は何所得?

政府は2020年のオリンピックに向けて訪日外国人旅行者を受け入れる施設としてホテル等の他に「民泊サービス」が期待されています。では、これらを貸したことによって得る所得は何所得でしょうか?

一般的に不動産を賃貸することによる収入は不動産所得ですが、民泊の場合は、「一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します」としています。ですから、確定申告時には不動産所得ではなく雑所得となります。

不動産所得にしても雑所得にしても税率は同じ(所得税法による超過累進税率)ですが、不動産所得は青色申告を行うことができ、かつ、他の所得と損益通算(例えば給与所得から不動産所得が赤字だった場合給与所得から不動産所得の赤字部分を控除できる)できますが、雑所得は例え赤字だったとしても損益通算できません。

一戸建ての場合は構いませんが、マンションの場合、民泊禁止している物件もありますので注意が必要です。ちなみに私が知っているすべてのマンションは民泊禁止です。もともと年末調整だけで確定申告をする義務がない人は年間民泊収入が20万円以下の場合については確定申告をしなくても構いません。

司法取引H30.4.1スタート

司法取引制度は、自分や他人の犯罪について警察等に情報提供することで本人の刑罰を軽くしてもらう制度です。アメリカなどでは以前からマフィアの犯罪などの解明に役立てられていた歴史があります。

司法取引した本人は、①不起訴になる ②軽い罪で起訴される ③起訴後に軽い罪に変更される ④即決裁判という簡単な手続きで処理される ⑤略式命令で処理される ⑥求刑が軽くなる などのメリットがあります。

司法取引の対象となる犯罪は、贈収賄、詐欺、組織的犯罪、覚せい剤取締法、銃刀法、などの刑事訴訟法に明記された犯罪の他に、特別背任などの会社法違反、粉飾決算などの金融商品取引法違反、無登録営業などの貸金業法違反、特許権侵害などの特許法違反、談合・価格カルテルなどの独占禁止法違反、そして脱税などの租税に関する罪などの経済犯罪も対象になっています。例えば社長の指示で脱税した場合などはやった本人は起訴免除になるかもしれません。これは今月6月1日からスタートします。

カラヴェル深紅色の少女

ご存知2018年の本屋大賞受賞作品です。翻訳小説部門で第1位を取りました。威圧的な権力者である父に育てられた姉妹の冒険ファンタジー小説です。父から逃げるように船乗りのジュリアンの手助けでカラヴァルに向かうスカーレットとテラ、そこでテラとはぐれてしまい、ジュリアンとスカーレットはカラヴェルを実行しながらテラを探します。カラヴェルとはレジェンドの島で行われる夢のイベントで、何が真実で何が偽りかわからない魔法に満ちたゲームで5夜に渡って繰り広げられるものです。優勝者には願い事を叶える権利が与えられます。

ハリーポッターシリーズに似たような謎と魔法に満ちた本でした。ワクワクするようなそれでいて怖いような不思議な感覚。表現のすべてにどうなっているんだ?と想像することができます。ディズニーランドにいるようなUFJにいるようなそれに怖さと魔法をプラスしたようなそんな本でした。

奥手なスカーレットは野蛮なジュリアンと一緒に過ごすうちにそこに好意も生まれてきたりして恋に冒険に満ちた本でした。頭の中で色彩豊かな世界観が広がる感じです。日本人が書く本とはなんか異質な感じがします。不思議な世界に満ち溢れる本でした。