シャーロック・ホームズはみんなが知っていると思います。私はシャーロック・ホームズシリーズの映画も良く観ています。ホームズのイメージとしては、日本版で言うと、古畑任三郎や相棒シリーズの右京さんや名探偵コナンといったところでしょう。通常の人には気が付かないような些細なことから事件を解決するのです。
通常人は物を見ていても、それはただ見ているだけで、脳の中の記憶としてはあまり残っていません。ホームズは何かを見るとき、見るのではなく観察するのです。見るのと観察するのでは注意力という観点から雲泥の差があります。通常の人の行動・観察を〈ワトスン・システム〉と呼び、ホームズの行動・観察を〈ホームズ・システム〉と呼んで両者の違いをシャーロック・ホームズの過去の出典の場面に照らし合わせて、考察しています。凡人と天才の物の見方みたいなものが分かって面白かったです。
注意力が違うんだろうなぁということは薄々気が付いていましたが参考になったのは、いわゆる第一印象を敢えて除外して物を考えるという考え方です。多かれ少なかれ人は第一印象というものを無意識のうちに、脳で判別していて、第一印象が良い。もしくは、話してみて良い印象を持った人というのは、そうでない人に比べ同じ行為や行動をしても高評価なのです。それは、そうですね。好意を持つ人から頻繁にメールがあれば嬉しいですし、そうでない場合、迷惑だと感じることもあると思います。当たり前の事ですが、ホームズはその点を理解しながらも完全に除外して物を見るのです。やはり、凡人には出来ない域に達しています。
友人などと過去の話をしたりすると、自分が覚えていることと友人が覚えていることが違っていたりします。それは自分の感じる印象と友人が感じる印象が違うからで、同じものを見ていても違った印象を受けるため記憶としてもその感情を加味して記憶として残るのです。ですから、同じ出来事でも同じ場所に居ても、人の記憶は個々でバラバラになります。時には嘘をついている訳ではないのですが、記憶が脳によってすり替えられる事実も起こってくるのです。面白い観点を解説してもらった本でした。