先日、税理士会の日本政策金融公庫の支店長が講演したセミナーに参加しました。日本政策金融公庫は創業支援も行っていて、創業融資を行った業種で最も多かったのは、東京地区では貸家業。全国では美容業だそうです。今は卸売業・小売業・製造業を新たに始めようとする方はほとんどいないというお話でした。
創業時の売上目標が達成できたのは48.4%で黒字になったのは65.6%との事でした。売上目標が半分以上は未達成でやはり、販路開拓が課題となっています。黒字基調になるのも創立後平均6.3カ月かかるようです。ですから、黒字基調になるまでの資金繰りも予め用意しておく必要があります。(創業時に借りておくというのも手です)創業時は何の実績もないのでお金は借りやすいのですが、赤字が続いた試算表を出されると様々な制限や不利な貸付になりがちです。やはり、キャッシュフローが大事なのですね。
それと、支店長の個人的な考えですが、心配な業種を3つ挙げていました。1つは、不動産賃貸業・・・今、東京地域で1番、全国的にも3番目に融資されている業種ですが、今後人口が減少するなかでどれほどのニーズがあり続けるのだろう。ということでした。確かに東京オリンピックまでは宿泊施設も不足することから民泊も一部解禁されたりするでしょうが、これが何十年も続いたりはしなそうですね。
次に太陽光発電業・・・これは、東京オリンピックまで資材が不足するのでそれに伴い、原材料費が上がってしまう事。また、太陽光発電システムを売る業者がかなり潰れているのでメンテナンスできない状況になっているそうです。確かに太陽光発電は以前税務でも一括で損金に落とせたり、補助金などもあったので全国で沢山作られましたね。自宅にもつけて自家発電して余ったら電力会社に買い取ってもらうという話もありました。でも買取価格が下落して当初の見込みも立たなくなったという話も聞きます。
最後に介護業者・・・ニーズは高まっているものの何しろ人が集められない。働く人がいないから業務として成り立っていかない。景気が悪い時は介護業に求人でくるが、景気が良い時は他の業種に流れるので今は人が不足していて、実際に介護経験のない事業所を中心に廃業しているそうです。そういえば、当事務所の顧問先の医療法人も介護をやっているところがありますが、介護部門ではほとんど利益が出ていません。赤字のところも多いです。それでも止めないのはニーズがあることと、医療から介護まで一貫して同組織で患者さんを診れるからです。他の部門が黒字だからできるようなものです。そういえば、だいぶ前にワタミも撤退しましたし、なかなか難しいですね。