配偶者居住権

昨年4月に配偶者居住権が施行されて1年経ちました。こちらが施行されて税理士として最初に思ったのは、相続が面倒くさくなるな。ということと、上手く使えばもの凄い節税になるな。ということでした。でも実際に1年経つと色々とメリットだけでなくデメリットも出てきました。そう。何でもそうなのですが、税務を複雑にすると、実務に落とし込んだ時様々な問題が吐出してきます。

まず、メリットとしては、自宅の評価が高い時、配偶者が全て相続してしまうと、遺留分の請求から今後の生活費である現金預金を相続できなくなる恐れがありましたが、その可能性が低くなり、配偶者も現金預金を相続できるゆとりができること。自宅の所有権を子供に設定して配偶者は配偶者居住権を設定することによって第二次相続の相続税が安くなること。

デメリットも出てきました。例えば何年かして配偶者が介護施設に入居せざるを得ない状況になった時、配偶者居住権を設定していない自宅を全て相続していたら、自宅を売って入居費用に充てる事ができましたが、配偶者居住権は売却できないので、病気を患って老人ホームに入りたくても自宅を売却して入居金に充てるという選択ができなくなります。配偶者居住権は親子の仲が悪くても配偶者に自宅に居住する権利を与えるという良い面だけでなく、親子の仲が悪ければ勝手に所有権を売られてしまう危険性すらあります。税務って難しいと感じる今日この頃です。

事業再構築補助金

今年は様々な補助金や助成金がでましたが、ほとんどの補助金はコロナ対策だったり、売り上げ減少分の充当だったりしました。ところがこちらの事業再構築補助金は責めの補助金です。この補助金は税理士などの認定経営革新等支援機関とともに、新しい分野への進出や業種転換などに取り組む中小企業の支援をするもので、補助額は100万円から6,000万円で補助率は2/3となります。さらに資本金や従業員数を増やすことで最大1億円までの補助金を受け取れるという凄い制度です。注意しなければならないのは、まず、自己資金又は銀行からの借入資金で投資をしなければならないということです。全部で6,000万円かかって2/3補助されるから2,000万円を自己資金で投資してあとは補助金でという訳にはいきません。まず6,000万円投資して、結果を出して約1年後に補助金が支給されます。

こちらの補助金は2021年度全5回公募予定ですが、先日第1回目の結果が出ました。応募は22,231件、書類不備がない申請が19,239件、採択は8,016件(採択率36.1%)でした。採択率の内訳は売上が30%以上減少した特別枠が55.3%で最も多く、通常枠は30.1%となっています。採択された業種別割合は製造業が最も多く31.7%、次いで宿泊業・飲食業で21.8%、卸売業・小売業で12.4%でした。採択された企業や内容が下記に載っています。第2回目の申請締め切りは7月2日です。どのような事例が採択されたのか研究すると良いかと思います。ご参考までに
https://jigyou-saikouchiku.jp/result.php

ワクチン接種を行う医療機関への支援制度

ワクチン接種を行う医療機関に対し支援を強化すると発表されました。

診療所への支援は、①週100回以上摂取を7月末までに4週以上行った場合には、摂取回数に対して1回当たり2,000円の支援
②週150回以上の摂取を7月末までに4週以上行った場合には、摂取回数に対して1回当たり3,000円の支援③①と②に該当しないものの、1日当たり50回以上摂取を行なった場合には、一日当たり定額で10万円支給となります。

病院への支援は、①1日50回以上の摂取を行なった場合には、一日当たり定額で10万円の支給。②特別な摂取体制を確保した場合(通常診療とは別に摂取のための特別な人員体制を確保した場合)で1日50回以上の摂取を週1日以上達成する週が、7月末までに4週間以上ある場合には、集団接種会場と同様の扱いとして、①に加えて下記を追加で交付する。
医師1人1時間当たり7,550円、看護師等1人1時間当たり2,760円

該当する医療機関は手続きお願いします。以下参考資料です。
ワクチン接種

ボクたちは、みんな大人になれなかった

何だかね懐かしい感じの小説です。43歳の主人公の男性がフェイスブックで昔の恋人を見つけ、間違って友人リクエストを送ってしまい、昔の事をあれこれ回想するお話です。その彼女との出会いが若い頃アルバイトをやっていたときに求人誌に文通コーナーがあってそこの自己紹介を見てピンときて会ったのが最初です。ラフォーレ原宿で最初のデートをしたとか、Hot-DogPRESSを見てデートの仕方を学んだりとか、うる星やつらだの1999年恐怖の大王だの、懐かしいフレースが色々出てきます。これらフレーズを聞くだけでそういえばそんな時代だったなとこの作者と同世代の人であれば感じると思います。現在に戻るときはLINEが出てきたり・・・

小説ってその時代で、出てくるアイテムが違うからそのアイテムが出てきた瞬間、特にいつと言わなくても大体の時代背景は分かるものなのですね。そんなアイテム使いが上手な小説でした。若い頃は貧乏で、どの道に行くか迷いながらそれでも今とは比べ物にならないくらいブラックな環境で齷齪働いて、それでも彼女と過ごした日々はそれを救うだけの価値がありました。中年になってから若い頃を思い出すとみんな多少内容は違くてもそんな感じ。そんな風な思い出になるもので、現在はある程度社会的にも自立していて、幸せじゃないわけでもないけど、何故か若い頃の貧乏でそれでいて充実していた日々を懐かしく思う感じの小説です。そして甘く切ない余韻をも残す小説でした。

HOKUSAI

久々に映画を観てきました。北斎の青年期から晩年期を描いた作品です。北斎については以前、六本木ヒルズで新・北斎展をやっていて観に行きました(その時のブログがこちら→http://hy-tax.com/blog/?p=2802)今回は映画なのでちょっと違う角度から北斎を観ることができました。美人画で有名な歌麿や歌舞伎絵で有名な写楽が売れているときも、北斎はくすぶっていました。それでも挿絵などをしていて生計を立てていました。北斎が生きていた江戸時代は小説や絵などは風紀を乱すものとされ、特に歌麿などは捕まったり絵が役人によって焼かれたりしていました。

絵師はなぜみんなが喜ぶものを描くことがダメなのか理解できず、いつか絵が世の中を変えるであろうと期待して生活しています。北斎の映画の中での主な仕事は小説に挿絵をする絵師で、物語を書く人と絵を書く人でタックを組んで仕事をしているという感じでした。北斎が70歳の時、脳卒中で倒れて命は助かったものの右半身に麻痺が出て、絵が描けなくなり旅に出ます。山々などを歩くうち目に留まったものを動かない手で書いているうちにリハビリになったのか麻痺は治ったようでした。

その旅に出た時の経験から書いたのが有名な富嶽三十六景です。何と私たちが知っている有名な絵は70歳過ぎてからの作品なのです。歌麿も写楽も50代で亡くなっている時代に90歳まで生きました。そして作品は年を追うごとに極めていきます。凄い人です。平日夜の映画館は空いていました。私が見た日はレディースディだったにもかかわらず、10人しか居ませんでした。まぁ少ない方が安心ですが、映画館の経営が心配になります。久々に映画を観てやはり映画っていいなとつくづく思いました。

業務内容の変化

税理士事務所の主な仕事は税務申告書の作成ですが、この1年はそれだけでなく、今までにあまりやっていなかった仕事もやっています。例えば、当事務所は行政書士事務所も併設していますが、行政書士事務所での定款変更認可申請(これは以前からやっていました)の他にも、内容証明郵便だったり、遺産分割協議書の作成、それから建設業認可申請、特定技能在留資格業務、時効援用通知書の作成など色々やりました。それと平成25年に経済産業省から経営革新等支援機関としての認定も受けていますので、様々な補助金や助成金、借入金のサポートも行いました。

会計事務所は6月から10月くらいまで暇な時期があります。通常年ですとこの時期にセミナー講師などをやるので、資料作りや準備そして講師業にエネルギーを使うのですが、昨年からセミナー講師業も無くなりました。そこで今年は下記に力を入れたいと思っています。
それは早期経営改善計画策定事業。詳しくはこちら↓
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/kaizen/souki.html

と経営改善計画策定事業(405K)です。詳しくはこちら↓
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/kaizen/405.html
必要とあれば是非ご用命ください。

同一労働同一賃金

2021年4月より中小企業においても同一労働同一賃金の法律が施行されています。実際にやってみると疑問点などが多く出てきます。私が現場の声で多いと感じることは中小企業の社長から「うちはパートさんで持っているんだよ。パートさんに社員並みの給与を払ったらうちなんか潰れちゃうよ」という意見が多いという事です。そう社員と同等の給与を払わないといけないと思っている社長が多いのです。

ただ、この制度は何が何でも社員並みの給与と言っているのではなく、社員と同じ労働なら社員と同じ給与ですよ。と言っているのです。例えば社員並みの時間働いていて、社員並みに責任を与えているといった場合は該当します。逆に言うと社員並みの時間は働いていない。責任もない。といった場合はこの制度に該当しません。ただ、実際に行動してみるとこれはどうなんだろう?という疑問が沢山出てきます。それが実務なのです。

これにマッチしたパンフレットが商工会議所から出ていました。それがこちらです。↓【同一労働同一賃金まるわかりBOOK】
http://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1023430
これ何と60ページの大作です。様々なケースに対応していますので、疑問があったらこちらで探してみて下さい。