医療法人財務諸表統計

社会保険の財源も厳しくなってきたこともあり、医療法人も何も考えないで運営していたら赤字になる時代になっております。医療法人の財務諸表分析には様々な手法がありますが、その一つに他院比較があります。同じような規模の病院やクリニックと比較することで当院はどの部分の収入が強いのか、またどの部分の経費が嵩んでいるのかが分かる場合があります。でもそれってどうしたら比較できるのでしょう?という質問をいただきました。医療法人は決算届(事業報告書等)を都道府県知事に提出しますがその中身が細かくなったことにより統計が取りやすくなっています。あと数年もしたらもっと厳密な統計を公開するかと思いますが、今のところは下記が参考になるのではないでしょうか。是非おためしあれ。

厚生労働省:医療経済実態調査
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/iryoukikan.html

内閣官房:医療経済実態調査のデータ分析
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kouteki_kakaku_hyouka/dai7/sankou2.pdf

一般社団法人:日本病院会
https://www.hospital.or.jp/pdf/06_20231127_01.pdf

独立行政法人福祉医療機構:医療法人のデータベース
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/iryojigyoresult/top.html

マイナ保険証

皆さんはマイナ保険証を利用していますか?3月の厚生労働省の発表によると、まだ健康保険証の利用の方が多いようです。健康保険証の利用は、病院は56.6%、クリニックは76.2%、歯科は61.3%、薬局は78.4%でした。一方マイナ保険証の利用は、病院43.4%、クリニック23.8%、歯科38.7%、薬局21.6%です。まだまだマイナ保険証は少数派ですね。ただ、昨年12月以降新規の保険証発行は原則としてなくなりましたからこれからは少しずつ、マイナ保険証になっていくとは思います。ただ、窓口でもエラーになっているのもよく見るので、普及はスローペースになりそうです。

いよいよDX化本番

今まで経過措置で医療のDX化が行われてきましたが、4月からさらに細分化して本格的に始まります。特に電子処方箋に関して顕著で、電子処方箋を発行する体制を有していること、と、電磁的記録をもって作成された処方箋を受け付ける体制を有していることの明確な施設基準が要求されています。この要件を満たすか否かで2点の診療報酬点差が変わっています。つまり電子処方箋要件がないと2点分報酬がもらえないことになり、経営は厳しくなります。医療のDX化は避けては通れない道になってきています。

働き方フレキシブル対応

どの業種でも働き手不足で、どうやったら人が集まるだろうか?という相談が絶えません。外国人労働者の就労ビザの申請も絶えません。でも働き手側からすると就職先が全然ないという声も聞きます。どうして企業側と働き手とで上手くマッチングしないのでしょうか?特に子育て中とか介護中の方は、全日働くのは難しい。時短で働くとか、週2~3日働きたいとかの要望はかなりあるらしいのです。人が足りない場合、そういったフレキシブルな対応も必要かと思います。完全週休二日制9時ー18時のような働き方はもう古いのかもしれません。慣習でやってきたことを一つ一つ見直していく時期にきているのかもしれません。

また、生涯学習が流行っていますから仕事をしながら大学院に行ったり、資格取得を目指したりする人も多いようです。大学院側はそれらを考慮して平日夜と土日に授業を設ける社会人のための大学院なども多く開設しています。でも企業側はどうでしょう?そういった従業員の要望に耐えられる労働環境になっているでしょうか?そのような方達が残業なしで学校に通えたり、資格取得後には資格手当を与えたりしているでしょうか?そういったきめ細やかな配慮をしていく企業に人は集まるのだと思います。

かかりつけ医機能報告制度

かかりつけ医機能報告制度が2025年4月から始まります。患者が適正な医療を受けられるようにするため、医療機関に対して専門性等の情報開示を求める制度です。対象は病院だけでなく、有床診療所、無床診療所も含まれますが、歯科診療所は除かれます。

医療機関を受ける場合、診療科は分かりますが、疾病名(例えば糖尿病)からどこの診療科に行けば分からないケースもあります。そういったケースに備え疾病名からも医療機関を探せるようになります。医療機関は対応できる診療内容や疾病を都道府県に報告し、都道府県はそれを審査し公表します。公表結果は一般市民が見ることが出来てその疾病に対応できる医療機関を探せるようになります。

今までそういった症状がある場合、インターネットで検索しホームページがあるような医療機関は検索にひっかかってきましたが、自宅から近くてもホームページがない医療機関などは口コミしかありませんでした。それがこのような制度ができることは、お墨付きマッチング制度のようで便利な制度と言えますね。詳しくはこちら↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123022_00007.html

今年もお世話になりました。

皆様にとって今年はどんな1年だったでしょうか?私は正に忙殺な一年でした。プライベートで家を売ったり買ったりしたこともありますが、本当に休む暇がないというのはこの事だと言うくらい次から次へとやる事が降ってくる1年でした。直前まで実務に追われているのでやっつけ仕事のようなこともあり、少し後悔しています。

来年はもう少し余裕をもって物事に取り組めたらと思っております。本年も1年お世話になり、また、ブログを読んで下さりありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。

再雇用制度

多くの会社が人手不足ですね。ですから定年後の再雇用をする会社も多くなっています。例えば定年が60歳で定年後は65歳まで1年ごとの有期労働契約により再雇用するケースなどです。65歳になった時点でも本人が希望すれば引き続き再雇用することができますが、これにはちょっとした落とし穴があります。原則として同一の施設で通算5年を超えて有期労働契約が更新された場合、有期労働契約の他、契約社員やパートタイマーであっても、本人からの申し込みにより、6年目からの労働契約を無期労働契約に転換できることになっています。これを無期転換申込権といいます。

定年後でなければこのルールが適用されます。ただし、定年再雇用者の場合には、対象となる職員に関して適切な雇用管理に関する計画を作成して労働局で認定をとれば定年後に引き続き雇用する間は、無期転換申込権が発生しません。これはその会社で定年を迎えた従業員だけに認められる特権となります。人手不足で年齢にかかわらず良い人材がある場合は、この制度を利用するのも手ですね。私も多くの社長や理事長を見ますが、60代で引退するには若過ぎます。当事務所の顧問先も70代の社長も多くいますが今の70代は昔の70代と比べ物にならないくらい元気です。

FORTH(フォース)

厚生労働省が面白いHPを立ち上げました。それがこちらです。https://www.forth.go.jp/news/20190917.html

最近やっと海外に行く方が増えてきたような気がします。コロナ禍から見えないウィルスに対する関心も深まってきています。そこで厚生労働省が海外に行かれる方に向けてこんなホームページを立ち上げたのです。これを見るとどの地域でどんな病気がはやっているのかが分かります。予防接種がある場合はその接種も促します。ホームページの構成も見やすく有意義な情報です。海外に行かれる方はこちらで一度チェックして出かけることをお勧めします。

医療DX推進体制整備加算

2024年10月から医療DX推進体制整備加算が3段階に再編されます。医療DX推進体制整備加算は次の3段階に再編されます。詳しくは下記をご覧下さい。
医療DX加算概要

簡単に説明すると、マイナンバー保険証の利用実績と利用期間によって診療点数を変えようとするものです。全ての診療の何パーセントがマイナンバー保険証を利用しているのかによって診療報酬の点数が変わってきます。また、点数の算定が複雑になります。

最近税務も診療報酬もやたら細かくて、実務をする方の負担を考えていないような気がします。法律を作る方も大変ですが、複雑にしすぎると作る方も、受ける方も労力の無駄遣いではないでしょうか?もっと建設的な事にエネルギーを使った方が良いと思うのですが・・・国力が低下しそうで不安になります。

経営情報等の報告

昨年8月決算の医療法人から経営情報の報告が義務化されています。過去何回もブログにも記載しましたが、経理が多くいる医療法人では自分のところで苦労しながら作成して提出しているようです。当事務所では小さなクリニックの顧問先も多いのですが、当事務所が会計入力も請け負っているようなところですと、当事務所に併設されている行政書士事務所で決算届の提出も請け負っています関係で経営情報の報告書も作成しています。

こちらはG-MISという医療機関等情報支援システムにも対応していますので、紙ではなくシステムで提出しようと思っていました。行政書士事務所が代行する場合、行政書士事務所としてG-MISを登録するのではなく、それぞれの医療機関ごとに設定しなくてはならない点、そして、決算届と経営情報の報告はG-MISで提出できますが、毎年行う純資産の登記(2年に1度の役員重任登記)に係る登記事項変更登記完了届についてはG-MISに対応していなく、結局紙で押印して提出しなくてはならないという何とも二度手間な手続きに当事務所でもG-MISではなく全て紙提出にすることにしました。

登記事項変更登記完了届は押印が必要だからということですが、それならPDFで電子提出できれば(できればG-MISと一緒に提出できれば)やる気になるのですが、中途半端な電子化で逆にやる気を失せてしまいました。何度も言っていますが、お役所側だけの利便性ではなく、やる方の利便性も考慮して制度改革をしてもらいたいと思っています。当事務所でも当所はの決算届と経営情報等の報告もG-MISシステムでやる気満々でした。そうすれば郵送料が削減できるからです。でも結局、登記事項変更登記完了届を郵送しなければならないなら、削減できないので、全部郵送した方が良いと判断しました。