医師の働き方改革

只今、働き方改革が至るところで叫ばれていますが、医師についても例外ではなく、厚生労働省でも「医師の働き方改革に関する検討会」というのが行われています。医師に対するアンケート調査でも、A:医師には、特別の使命があるのだから厳しい勤務環境にあるのはやむを得ないと考えるのと、B:医師不足という現状においても、勤務環境は工夫次第で改善しうるし、改善すべきと考えるとするのと、で意見を求めた結果60歳以上ではAとBはほぼ半々であったのに対し、若くなればなるほどBの意見が多くなり、20歳代では約70%がBの考えに近いと回答しています。

検討会は第1回目は平成29年8月2日に始まり平成30年12月5日に第13回目を終えます。1回1回の細かい資料は厚生労働省のホームページにアップされていますので、興味がある方は覗いてみて下さい。今後は、医師の行うべき業務とそうでない業務の明確化や、女性医師等の両立支援、ICTを活用した勤務環境改善などを行い、2022年には改革を完了する目標を掲げています。

ご存知来年の4月から10日以上の年次有給休暇が付与されている労働者に対し、5日は必ず有休を与えなければならないということになっていますが、医師はどうなのか?いつからか?などが載っている表を添付いたしますので参考にして下さい。
働き方改革(医療機関版)

医療法人の経営力向上計画

先日、当事務所顧問先の医療法人が経営力向上計画の認定を受けました。もちろん当事務所は認定経営革新等支援機関としてお手伝いさせていただきました。医療法人にとって経営力向上計画の認定は有効でしょうか?知っているかどうかは分かりませんが、医療機関が取得する医療機器や建物付属設備については認定を取ったことによる税額控除等は適用されません。

ただ、赤字でもメリットがある固定資産税の軽減措置や、低利での融資や信用保証等の資金繰りの支援が受けれます。昨年は製造業の経営力向上計画の認定を行いましたが、こちらは未来の経営計画のようなものも作り大変でしたが、医療法人版は2枚の紙で済んだので楽でした。そんなに大変ではありませんので是非この機会にご活用下さい。

経営計画書は医療法人で作るのが原則ですが、数値の部分やマネジメント部分で何を書いてよいか分からない部分もあります。その点は当事務所で支援しますので遠慮なくおっしゃって下さい。

10月からの診療報酬改定

歯科診療は唾液や血液に触れる機会が多いため、院内感染が心配です。そこで院内感染防止対策に関する方針が打ち出されました。院内感染防止対策に十分な体制が整備されていることや、十分な機器が有ること。また院内感染防止対策の研修を受けていることなどが、新たな施設基準として制定され、かつ、年に1回院内感染防止対策の実施状況等を地方厚生(支)局長に報告している場合、初診も再診も3点(30円)加点されます。この届出をしないと、初診だと-8点(△80円)再診だと-4点(△40円)減らされます。

参照:診療報酬改定歯科H30

詳しくは添付ファイルの14ページから19ページをご覧ください。
最近税務でもそうですが、届出を行うとメリットがあって届出を行わないとメリットが享受できないということが頻繁にあるような気がします。きちんとしているところだけにご褒美をあげるという政策でしょうか?今後は益々早めの情報の入手と対策が必要となってきそうです。

人件費率の増加にどう対応するか?

毎年毎年、労働基準法の最低賃金の改正で医療法人の人件費率が増加しています。最低賃金の違反をするわけにはいかないですが、人件費率を抑えるためにはどうしたらよいでしょう?どうも残業時間が多い。とか不要な残業を行っている職員がいるという相談は良くあります。

全く残業をさせないという訳にもいきません。そんな場合に対応するためには、職員が残業が必要だと判断したときには、事前に申請・許可を受けるという制度を設けるという手があります。そうすることで不要な残業を排除して、必要な残業のみをさせることができます。

事前申請許可制度にすることで、職員もダラダラ残業することもなくなりますし、限られた労働時間の中で高いパフォーマンスを行う職員についても納得できる給与形態になるはずです。高いパフォーマンスを行う職員については賞与などの査定でインセンティヴを与えることも必要です。

関係事業者との取引報告制度

平成30年4月決算の医療法人から適用になる「関係事業者との取引」ですが、こちらは事業年度終了の日から3ヶ月以内に都道府県に事業報告書等とともに提出することになりました。その医療法人と一定の取引を行う一定の者について報告することになります。

この一定の取引とは、①事業収益又は事業費用の額が、それぞれ事業収益又は事業費用の総額の10%以上かつ1,000万円以上の取引
②事業外収益又は事業外費用の額が、それぞれ事業外収益又は事業外費用の総額の10%以上かつ1,000万円以上の取引
③特別利益又は特別損失の額が1,000万円以上の取引
④資産又は負債の総額が、会計年度末の総資産の1%以上、かつ、残高が1,000万円超の取引
⑤資金貸借、有形固定資産及び有価証券の売買その他の取引の総額が1,000万円以上、かつ、会計年度末の総資産の1%以上の取引
⑥事業の譲受又は譲渡の場合、資産又は負債の総額のいずれか大きい額が1,000万円以上、かつ、会計年度末の総資産の1%以上の取引 となります。ですからまず、1,000万円以上になるような取引でそれがそれぞれの割合(1%とか10%とか)になるかで判断するのが良いと思います。

この一定の者については、①医療法人の役員又はその近親者(配偶者又は二親等内の親族)
②①が代表者である法人
③①が株主総会・取締役会等の議決権の過半数を占めている法人
④他の法人の役員が医療法人の社員総会等の議決権の過半数を占めている場合の他の法人
⑤③の法人の役員が他の法人の株主総会等の議決権の過半数を占めている場合の他の法人 となります。いろいろ書かれていますが、つまり身内(またはそれに近い存在)が行っている法人・個人となります。

MS法人などと年間1,000万円以上の取引をしている場合などは要注意です。

医療法人の推移

平成30年3月31日現在の医療法人数が発表になりました。
以下参考にして下さい。
参考:医療法人の数の推移表
なんとその数53,944法人です。3年前に5万件を超えてからも右肩上がりで増えています。日本の産業でそこまで増え続ける産業は珍しいです。

その結果社団医療法人のうち、昔からある持分の定めのある社団医療法人は74.1%に減り、平成19年から新たな開設の時の法人形態である持分の定めのない社団医療法人は25.9%にまでなりました。私の予想ですと、認定医療法人制度ができたことにより今後急速に持分の定めのある社団医療法人は減少し、持分の定めのない医療法人が増えることと思います。あと数年で半々くらいになるかもしれませんね。

社会保険診療報酬80%基準改正

社会医療法人・特定医療法人は社会保険診療報酬(国保や社保など)が全収入の80%を超えるという要件があります。自費は80%の算定に入れることができませんが、この80%の範囲はその組織が社会医療法人なのか?特定医療法人なのか?によって差異がありました。(詳しくは2017.7.20のブログ「社会医療法人と特定医療法人と認定医療法人」を読んでください。特定医療法人が一番範囲が狭い設定です。

この度平成30年税制改正により、特定医療法人でも、予防接種の収入、助産に係る収入、介護保険の収入でも80%算定の基礎に入れてよいことになりました。これで産婦人科でも特定医療法人になれます。でも、今は認定医療法人というお得な制度が昨年10月から始まっていますので、わざわざ大変な特定医療法人に移行せずに、特定医療法人や社会医療法人よりも移行がスムーズな認定医療法人制度を活用する医療法人が増えそうです。

診療報酬改定H30.4

診療報酬改定は2年に一度あり、介護報酬改定は3年に一度ありますが、平成30年は同時改定の年となります。前回オンライン診療が解禁となった旨はお伝えしたので、それ以外の点をお話します。新設されたものとしては、かかりつけ医機能を有する場合の初診機能の評価です。これは大病院の外来の専門化や診療所の外来・訪問診療を強化するためのものです。そして全診療所を対象にして外来の妊婦加算もあります。

在宅診療としては在宅療養支援診療所以外の一般診療所の役割が重要視され24時間体制や在宅医療ニースへの対応に新評価が加わりました。

また、看取り推進のためにガイドラインを踏まえた評価や、特養入居者への訪問診療・訪問看護の評価を適正化するとともに強化しています。

歯科診療所においては初診料・再診料を引上げ、施設基準を新設し、外来環(歯科外来診療循環体制加算)を算定している場合、平成30年10月1日以後は実質+1点となりますが、新施設基準が見届けの施設においては、点数は大幅に下がることになります。ですから歯科診療所は今から10月までの間に新施設基準を見直し新施設基準を満たす旨の届出書を提出する必要があります。

オンライン診療が保険の対象になります

遠隔医療はこれまでは自費で行われ保険は適用されませんでしたが、平成30年度診療報酬改定で保険対象となりました。ただ、初めからオンラインではなく、初診は対面診療が必要です。医療法20条に無診療治療の禁止が謳われていますが、最低限遵守すべき事項を遵守していればオンライン診療は医療法違反になりません。

生活習慣病等の慢性疾患の定期的な診療は毎月1回診療を受け「何か変わったことはありませんか?特に何もないようなら同じ薬1カ月出しておきますね」の様に1か月分の薬を受け取るのがオーソドックスな診療方法ですが、このような診療は医師及び患者の利便性の向上を図ることから今後はオンライン診療に代替することが望ましいとされています。

オンライン診療はリアルタイムでのコミュニケーションが可能な例えばビデオ通話などの方法で行うことを必要としていますので医療法人側もそれに備えて情報通信機器の整備などをしなければなりません。これらの設備の導入はIT導入補助金の対象となりますので早速検討してみて下さい

詳しい資料はこちらから→オンライン診療の適切な実施に関する指針

医療法改正ホームページが広告規制の対象に

昨年の医療法改正で、いままで広告規制の対象外となっていた医療機関のホームページですが、平成30年6月以降はホームページも広告となり、規制や罰則の対象に加わります。

罰則付きの規制対象としては、比較広告(〇〇がんでは日本有数の実績などや著名人も当院で治療を受けましたなど他と比較してうちは優秀だとアピールする広告)や誇大広告(〇〇学会認定医→活動実績内団体の認定などや比較的安全な手術ですや〇〇手術は効果が高くおすすめですなど)や公序良俗に反する内容の広告、患者の主観による体験談の広告、治療の効果についてのビフォーアフターの写真等の広告などです。これらの内容を見るとちょっとまずいかもというホームページも世の中多いような気がします。

ただし、患者等が適切な医療機関を選ぶために自ら情報を求めて検索等をした結果ホームページやメルマガ(スポンサー広告は除く)や表示された情報について患者等が照会できるよう電話番号やメールアドレスなどの問い合わせ先が明示されている場合などは提供できる情報範囲が広がります。今年6月からの広告規制に備えて今からホームページも見直す準備をする必要がありそうですね。