かかりつけ医機能報告制度

かかりつけ医機能報告制度が2025年4月から始まります。患者が適正な医療を受けられるようにするため、医療機関に対して専門性等の情報開示を求める制度です。対象は病院だけでなく、有床診療所、無床診療所も含まれますが、歯科診療所は除かれます。

医療機関を受ける場合、診療科は分かりますが、疾病名(例えば糖尿病)からどこの診療科に行けば分からないケースもあります。そういったケースに備え疾病名からも医療機関を探せるようになります。医療機関は対応できる診療内容や疾病を都道府県に報告し、都道府県はそれを審査し公表します。公表結果は一般市民が見ることが出来てその疾病に対応できる医療機関を探せるようになります。

今までそういった症状がある場合、インターネットで検索しホームページがあるような医療機関は検索にひっかかってきましたが、自宅から近くてもホームページがない医療機関などは口コミしかありませんでした。それがこのような制度ができることは、お墨付きマッチング制度のようで便利な制度と言えますね。詳しくはこちら↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123022_00007.html

今年もお世話になりました。

皆様にとって今年はどんな1年だったでしょうか?私は正に忙殺な一年でした。プライベートで家を売ったり買ったりしたこともありますが、本当に休む暇がないというのはこの事だと言うくらい次から次へとやる事が降ってくる1年でした。直前まで実務に追われているのでやっつけ仕事のようなこともあり、少し後悔しています。

来年はもう少し余裕をもって物事に取り組めたらと思っております。本年も1年お世話になり、また、ブログを読んで下さりありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。

再雇用制度

多くの会社が人手不足ですね。ですから定年後の再雇用をする会社も多くなっています。例えば定年が60歳で定年後は65歳まで1年ごとの有期労働契約により再雇用するケースなどです。65歳になった時点でも本人が希望すれば引き続き再雇用することができますが、これにはちょっとした落とし穴があります。原則として同一の施設で通算5年を超えて有期労働契約が更新された場合、有期労働契約の他、契約社員やパートタイマーであっても、本人からの申し込みにより、6年目からの労働契約を無期労働契約に転換できることになっています。これを無期転換申込権といいます。

定年後でなければこのルールが適用されます。ただし、定年再雇用者の場合には、対象となる職員に関して適切な雇用管理に関する計画を作成して労働局で認定をとれば定年後に引き続き雇用する間は、無期転換申込権が発生しません。これはその会社で定年を迎えた従業員だけに認められる特権となります。人手不足で年齢にかかわらず良い人材がある場合は、この制度を利用するのも手ですね。私も多くの社長や理事長を見ますが、60代で引退するには若過ぎます。当事務所の顧問先も70代の社長も多くいますが今の70代は昔の70代と比べ物にならないくらい元気です。

FORTH(フォース)

厚生労働省が面白いHPを立ち上げました。それがこちらです。https://www.forth.go.jp/news/20190917.html

最近やっと海外に行く方が増えてきたような気がします。コロナ禍から見えないウィルスに対する関心も深まってきています。そこで厚生労働省が海外に行かれる方に向けてこんなホームページを立ち上げたのです。これを見るとどの地域でどんな病気がはやっているのかが分かります。予防接種がある場合はその接種も促します。ホームページの構成も見やすく有意義な情報です。海外に行かれる方はこちらで一度チェックして出かけることをお勧めします。

医療DX推進体制整備加算

2024年10月から医療DX推進体制整備加算が3段階に再編されます。医療DX推進体制整備加算は次の3段階に再編されます。詳しくは下記をご覧下さい。
医療DX加算概要

簡単に説明すると、マイナンバー保険証の利用実績と利用期間によって診療点数を変えようとするものです。全ての診療の何パーセントがマイナンバー保険証を利用しているのかによって診療報酬の点数が変わってきます。また、点数の算定が複雑になります。

最近税務も診療報酬もやたら細かくて、実務をする方の負担を考えていないような気がします。法律を作る方も大変ですが、複雑にしすぎると作る方も、受ける方も労力の無駄遣いではないでしょうか?もっと建設的な事にエネルギーを使った方が良いと思うのですが・・・国力が低下しそうで不安になります。

経営情報等の報告

昨年8月決算の医療法人から経営情報の報告が義務化されています。過去何回もブログにも記載しましたが、経理が多くいる医療法人では自分のところで苦労しながら作成して提出しているようです。当事務所では小さなクリニックの顧問先も多いのですが、当事務所が会計入力も請け負っているようなところですと、当事務所に併設されている行政書士事務所で決算届の提出も請け負っています関係で経営情報の報告書も作成しています。

こちらはG-MISという医療機関等情報支援システムにも対応していますので、紙ではなくシステムで提出しようと思っていました。行政書士事務所が代行する場合、行政書士事務所としてG-MISを登録するのではなく、それぞれの医療機関ごとに設定しなくてはならない点、そして、決算届と経営情報の報告はG-MISで提出できますが、毎年行う純資産の登記(2年に1度の役員重任登記)に係る登記事項変更登記完了届についてはG-MISに対応していなく、結局紙で押印して提出しなくてはならないという何とも二度手間な手続きに当事務所でもG-MISではなく全て紙提出にすることにしました。

登記事項変更登記完了届は押印が必要だからということですが、それならPDFで電子提出できれば(できればG-MISと一緒に提出できれば)やる気になるのですが、中途半端な電子化で逆にやる気を失せてしまいました。何度も言っていますが、お役所側だけの利便性ではなく、やる方の利便性も考慮して制度改革をしてもらいたいと思っています。当事務所でも当所はの決算届と経営情報等の報告もG-MISシステムでやる気満々でした。そうすれば郵送料が削減できるからです。でも結局、登記事項変更登記完了届を郵送しなければならないなら、削減できないので、全部郵送した方が良いと判断しました。

医療DX推進体制整備加算

2024年の診療報酬改正で医療DX推進体制整備加算が創設されました。これはマイナ保険証の利用、電子処方箋、電子カルテの3つの普及を目的としています。こちら6月からマイナ保険証の施設基準は始まっています。これについては①マイナ保険証での取得情報を診察室でも利用できる体制になっているか?②マイナ保険証の利用勧奨を掲示しているか?です。

①と②が満たされていれば今年9月まで初診に8点(歯科6点、調剤4点)算定することができます。その後今年9月末までに③マイナ保険証の利用実績による算定が始まり10月から実施されます。そして来年3月末までに、⓸電子処方箋の導入が必要となってきます。さらに来年9月末までに⑤電子カルテ情報共有サービスの導入です。なんだかんだで1年以上かけて3ステップで医療をDX化せよとの事です。さてどこまで進みますか見物です。

医療のDX化

医師の労働時間上限規制が始まり、看護現場でもDX化を促進しようという動きがあります。この度厚生労働省は、看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション促進事業を開始し、只今実施団体を公募しています。私も先日ITパスポートの資格を取得し、これからはすべての業種でDX化は避けられないと実感しております。何でも始めが肝心です。税務では急ぐあまり、インボイスも電子帳簿保存法も中途半端な電子化で国側はいいかもしれないが、納税者側には相当な負担になっています。DX化は本来国側だけでなく、国民側にも有用でなくてはならないと思います。便利で楽にならないといけない。でもインボイスも電子帳簿保存法も現場側は以前より手間が多くなり、てんやわんやであるというのが現状です。

これから医療でも必ずDX化が進行していきますが、どうか働く側の人間にとって有益なDX化になるように祈っております。医療側のDX化が失敗して現場がこれ以上激務になったら医療は崩壊します。どうか間違った方向にいかずにお願いします。要は国側だけでなく、国民側も便利で楽になる制度です。重ね重ねお願いします。そして定額減税のような悪法を作らないでください。定額減税は一括給付で良かったはずです。すでにマイナンバーに紐づいている人は1カ月以内に給付。そうでない人は3カ月かかりますのでと言えば、口座を紐づける人も多くなったと思います。一体何をしたいのか。健康保険もそうです。マイナンバーを紐づけろといっておきながら、マイナンバー保険証を保有していない場合には資格確認書が交付されるとなればそれでいいやとなる。この国のDX化はすべて中途半端です。

院内ポスター

院内は患者さんが診察を待つ待合室があるのが普通です。最近は歯科などではなくても予約制を採用するクリニックが多くなってきました。それでも待つクリニックはあります。空きスペースにこんなものを掲示してみてはいかがでしょうか?ちょっとクリニックらしくなりますね。
感染症対策_A4縦

これらのポスターは定期的に取り換えると良いかと思います。こちらは何と厚生労働省がデータで提供しています。こちらにありますのでダウンロードしてご活用下さい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/qa-jichitai-iryoukikan-fukushishisetsu.html#h2_4

他科診療の消費税

DPC算定病棟に入院している患者が例えば眼科などの診療を受ける場合、入院している病院では眼科がなかったとします。そのような場合他の病院の診療を受けるのですが、眼科側で保険請求ができません。従ってその場合の費用は、入院している病院で患者に請求して、診療を受けた医療機関と入院している病院との間で合議によって請求します。合議とは話し合いですが、通常は行った診療が保険診療だったと仮定して点数に10円や11円を乗じて算定することが多いようです。この取り扱いについて、厚生労働省が事務連絡として通知しています。厚生労働省 事務連絡こちらの「DPC-26」ページのQ11-9 に下記の文章があります。

『問 11-9 DPC算定病棟に入院中の患者に対し他医療機関での診療が必要
となり、当該入院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機
関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等の
やむを得ない場合に限る。)の他医療機関において実施された診療に係る
費用は、入院医療機関において請求し、この場合の医療機関間での診療報
酬の分配は、相互の合議に委ねるものとされているが、当該分配により他
医療機関が得た収入には消費税は課税されるか。
(答)健康保険法等の規定に基づく療養の給付等は、消費税が非課税となる(消
費税法第6条)
質問のケースの場合、他医療機関が行う診療にあっては、社会保険診療で
あるから、当該療養の給付に係る診療報酬は入院医療機関との合議で受け
取ったものについても非課税となる。(当該合議により得る収入については、
診療報酬に照らして妥当であればよく、必ずしも他医療機関が行った診療
に係る診療報酬と同額である必要はない。』

えーこれ非課税なの?自費診療(消費税課税)じゃないの?保険証を忘れて自費診療になった場合は保険診療だったと仮定して診療点数に10円(もしくは10円×1.1)をかけた金額を自費として患者に請求します。でも医療機関同士の場合、ましてこのケースでは保険が使えないなら非課税でいいの?えー本当?厚生労働省が勝手に決めたんじゃなくてちゃんと財務省の承諾とっているの?患者と医療機関なら課税で医療機関同士なら非課税になるの?税務上は保険が使えれば非課税、保険が使えなければ課税だけれど、医療機関同士だと保険が使えなくても非課税なの?しかも説明の()書きに、合議により得る収入は・・・必ずしも他医療機関が行った診療に係る診療報酬と同額である必要はないって書いてあります。それでも非課税??

この取引は保険が使えない=消費税課税取引でしょ。非課税にしたいなら合理的理由(例えば合議であれば何でも良いのではなく、ちゃんと保険請求と一致した金額にするなど)が必要だと思うし、消費税法上も社会保険診療等は非課税とされていますが、社会保険診療報酬等でなくても社会保険請求したいけど入院中だからできないので社会保険診療報酬とみなす規定を作り金額も合意といった適当なものもOKとすべきではないと思います。それが法律だからです。なんじゃこれ!と思った通知でした。