他科診療の消費税

DPC算定病棟に入院している患者が例えば眼科などの診療を受ける場合、入院している病院では眼科がなかったとします。そのような場合他の病院の診療を受けるのですが、眼科側で保険請求ができません。従ってその場合の費用は、入院している病院で患者に請求して、診療を受けた医療機関と入院している病院との間で合議によって請求します。合議とは話し合いですが、通常は行った診療が保険診療だったと仮定して点数に10円や11円を乗じて算定することが多いようです。この取り扱いについて、厚生労働省が事務連絡として通知しています。厚生労働省 事務連絡こちらの「DPC-26」ページのQ11-9 に下記の文章があります。

『問 11-9 DPC算定病棟に入院中の患者に対し他医療機関での診療が必要
となり、当該入院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機
関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等の
やむを得ない場合に限る。)の他医療機関において実施された診療に係る
費用は、入院医療機関において請求し、この場合の医療機関間での診療報
酬の分配は、相互の合議に委ねるものとされているが、当該分配により他
医療機関が得た収入には消費税は課税されるか。
(答)健康保険法等の規定に基づく療養の給付等は、消費税が非課税となる(消
費税法第6条)
質問のケースの場合、他医療機関が行う診療にあっては、社会保険診療で
あるから、当該療養の給付に係る診療報酬は入院医療機関との合議で受け
取ったものについても非課税となる。(当該合議により得る収入については、
診療報酬に照らして妥当であればよく、必ずしも他医療機関が行った診療
に係る診療報酬と同額である必要はない。』

えーこれ非課税なの?自費診療(消費税課税)じゃないの?保険証を忘れて自費診療になった場合は保険診療だったと仮定して診療点数に10円(もしくは10円×1.1)をかけた金額を自費として患者に請求します。でも医療機関同士の場合、ましてこのケースでは保険が使えないなら非課税でいいの?えー本当?厚生労働省が勝手に決めたんじゃなくてちゃんと財務省の承諾とっているの?患者と医療機関なら課税で医療機関同士なら非課税になるの?税務上は保険が使えれば非課税、保険が使えなければ課税だけれど、医療機関同士だと保険が使えなくても非課税なの?しかも説明の()書きに、合議により得る収入は・・・必ずしも他医療機関が行った診療に係る診療報酬と同額である必要はないって書いてあります。それでも非課税??

この取引は保険が使えない=消費税課税取引でしょ。非課税にしたいなら合理的理由(例えば合議であれば何でも良いのではなく、ちゃんと保険請求と一致した金額にするなど)が必要だと思うし、消費税法上も社会保険診療等は非課税とされていますが、社会保険診療報酬等でなくても社会保険請求したいけど入院中だからできないので社会保険診療報酬とみなす規定を作り金額も合意といった適当なものもOKとすべきではないと思います。それが法律だからです。なんじゃこれ!と思った通知でした。

医療機関繁忙期

わが税理士業界は11月くらいから5月くらいまでは忙しいですが、6月~10月までは暇なのです(当事務所だけかもしれませんが・・・汗)医療機関にも診療科目によっては繁忙期があるようです。脳外科などは寒くなると脳疾患を発症する患者が増えますから忙しそうです。また、今の時期は花粉症のシーズンで眼科や耳鼻科が忙しそうです。もう少し経つと自治体の検診が始まり健康診断対象のクリニックなどでは忙しくなります。1年中ならしてもらいたい気持ちもありますが、繁忙期を終えた後の解放感も何ともいえないので繁忙期があった方が良いのかもしれません。人生メリハリは大事ですからね。2月より3月の方が寒く桜の開花が遅れていますがもう少しで私の好きな春がきます。春になるとやる気がみなぎるというか心が晴れます。皆様も春をお楽しみください。

医療法人の収益費用等報告を忘れていませんか?

昨年8月から決算届(事業報告書等)だけではなく「収益及び費用等の経営情報」を都道府県知事に報告することが義務付けられました。詳しくは、2023年9月29日のブログ↓
https://hy-tax.com/blog/?p=6161
に記載した通りです。また、手続き関係のブログでも2023年10月29日に書いております。詳しくは、こちら↓
https://hy-tax.com/blog/?p=6232
医療法人として法人化したものに提出義務ができましたが、多くの法人が未提出らしく厚生労働省が呼びかけています。

当行政書士事務所に作成の依頼をしている法人様は大丈夫ですが、法人内でやっている方は毎年だからということで、決算届(事業報告書等)だけを提出して安心してしまって収益及び費用等の経営情報を都道府県に提出し忘れていませんか?今一度ご確認くださいませ。

医療サービス向け補正予算

只今、医療・介護に対する補正予算が1,016億円充てられています。次のようなことに対して支援されますので該当する医療機関の方は手続きしてください。
①マイナ保険証普及のための支援・・・オンライン資格確認導入支援や顔認証付きカードリーダー増設支援
②電子処方箋普及のための支援・・・オンライン資格確認システムを導入した医療機関等に導入費用の助成や電子処方箋導入済の医療機関等に新機能(リフィル処方箋等)の導入費用の補助等
③サイバーセキュリティ対策支援・・・オンライン・バックアップ体制の支援
④看護補助者の処遇改善・・・賃上げを補助
⑤食材料費・光熱費高騰への支援・・・入院時の食費について診療報酬改定にて2024年度予算で検討
⑥医療設備等の耐災害性強化・・・耐震化に伴う修繕等や非常用自家発電設備等の改修支援
⑦医療設備等への災害復旧支援・・・被災施設の早期復旧のための支援

以上の支援策が出ています。これらは随時決定・発表されますので下記HPを参考にして下さい。
厚生労働省「令和5年度厚生労働省補正予算案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/23hosei/index.html

年末サプライズ

事務所でバタバタと年末調整をやっていたら大きな荷物が届きました。中を開けたらこれまた大きな花束。何?何?いったい何?と思いましたら、以前、医療法人の件で一緒に仕事をしていた方からでした。かなり優秀な経理でその方と苦労しながら決算を終わらせたのを思い出しました。顧客でしたが言わば戦友のように思っていました。

右側が当事務所が定期的に取っている花束ですが、それがとても小さく見えるくらい大きな花束で、当事務所で一番大きな花瓶でもギリギリ入る大きさでした。これだけ大きいと花の良い香りもします。早速会議室に飾りました。夕暮れ時に見たらとても綺麗だったので写真を撮りました。ほっと癒しの瞬間です。

私もこのバラの花束のように癒される税理士になりたいなぁと思いました。棘も持っているので私にぴったりです。今年もお世話になりました。本日で本年の業務は終了となります。来年もよろしくお願いいたします。今年もブログを読んでくださりありがとうございました。

文京学院大学大学院福祉医療マネジメント研究科(専門職大学院)開校

専門職大学院は、社会人がよりキャリアをアップさせるための大学院で働きながら勉強できるように平日の夜や土曜日に授業を行っています。私も税理士になってから明治大学の専門職大学院で学んでMBAを習得しています。来年の4月から専門職大学院では珍しい福祉医療に特化した専門職大学院が開校します。私も専門職大学院に通って知識として得たものもありますが、一番の宝は友人です。10歳年上、10歳年下の人も同期ですから何の利害関係もなく親しくなれます。また、違った職種の人と触れ合うことで自分の価値観も少し変わることができます。今からでも遅くありません。学びなおししませんか?詳しくはこちらです。まだ入試間に合います。
https://www.bgu.ac.jp/graduate-college/welfare-healthcare/
医療機関で働いている方は日々実務に追いやられ本当にこのやり方で良いのかとか更なるキャリアを積むにはどうしたら良いかなど悩まれている方も多いかと思います。そんな時この学びが役に立つことと思います。実質授業料が世帯収入の1割程度になる奨学金も用意されているようです。詳しくはこちら↓
福祉医療マネジメント研究科学生募集要項

医療法人手続き変更のお知らせ

今回は医療法人の手続き変更について4つお伝えします。①医療法人は令和5年8月1日よりすべての医療法人は事業報告書とは別に経営情報を報告することになりました。これは以前にブログでもお知らせしましたG-MISでも対応可能です。⓶医療法人の定款や事業報告書については都庁(県庁)に来訪することで閲覧が可能でしたが、令和5年10月30日12時からはオンラインで閲覧可能となります。それには都道府県ごとの情報支援システムにアクセスする必要がありますが、アクセスできればPDFで閲覧可能となりました。

③医療法人は各種手続きに押印が必要でしたが、令和5年9月29日より例えば医療法人設立認可申請などについて押印廃止となりました。ただ、社員総会議事録や就任承諾書などは押印が必要です。詳しくは下記をご覧ください。④これらに伴い各種様式も変更になります。事業報告書等については令和5年7月31日より。押印廃止に伴う申請業務の様式については令和5年9月29日から変更になりました。参考までに↓

医療法人に関する各種情報提供について

医療法人の報告義務が始まります

医療法の改正によってMCDB(経営情報に関するデータベース)が施行され、医療法人に対して病院やクリニックの経営情報の報告が義務化されます。2023年8月決算の医療法人からスタートします。医療法人は今までにも事業報告書等を毎年決算から3カ月以内に都道府県に報告していましたが、それとは別に経営情報も報告することになりました。

こちらについてはG-MIS(医療機関等情報支援システム)もしくは郵送で行います。これからは職種別給与なども報告しなければならないようです。報告に用いる様式は、下記厚生労働省のホームページでダウンロードできます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177753_00005.html
リーフレットもありましたのでPDFしたものをアップしておきます。↓
経営情報報告書

JMIP推進オンラインセミナー

医療機関向けの情報です。厚生労働省では、外国人患者に医療機関が対応できるように、下記セミナーを開催することになりました。セミナーに自治は2023年9月22日(金)の15時~16時50分までで、オンラインセミナーなので地方からも参加できます。また、無料ですので外国人患者が多くなってきた医療機関、これから外国人患者を受け入れようとしている医療機関は是非ご参加下さい。

詳しくはこちら→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202921_00027.html
申し込みはこちら→オンラインセミナー申し込みは前日までとなります。

事業報告書等

医療法人の事業報告書等についてとうとう電子化されるといことを4月のブログ(2023年4月3日医療法人の事業報告書等の提出)で書きましたが、当事務所が毎年事業報告書等の提出も行っている医療法人に許可を得て早速やってみました。4月のブログに書いたように最初に顧客のIDを作らなきゃと思いアクセスしたところ、こちらの表示です。↓
https://www.g-mis.mhlw.go.jp/user-Registration-Form

出鼻をくじかれたとはこのことです。11月まで申請できないとの事。おそらくやってみたけれど、何か不都合が生じたのだと思います。それにしても11月までって・・・まだまだ紙でやらないといけないようです。11月までは時間があるので今度こそ完璧なシステムをお願いします。できれば行政書士のIDも作ってほしいです。今は顧客のIDを行政書士が変わって作成して代理申請するようですが、そうなると今後何となく不都合が生じそうです。

将来的には事業報告書等だけではなく他のシステムも連動させるなら顧客は顧客のIDを持ち、特例で行政書士が行政書士としてのIDで顧客の事業報告書等の提出をした方が良いかと思います。そこまで検討してくれるかしら・・・良いシステムになることを願っています。