ダイアログ・イン・ザ・ダーク

先日ビジネススクール(MBS)でのプロジェクト・マネジメントの授業を持っていた先生と会食した時の話、先生が最後に「Dialog in the Dark」を体験してみるといい。と言われたのです。

調べてみると、<五感を研ぎ澄ます>とか<視覚以外の何かでものを見る>とか<みえないがみえる>などのキーワードが出てきました。

要は光が遮断された真っ暗な空間のなか何人かとグループを組んで、アテンド(視覚障害者)というその道のプロのサポートを受け、様々な体験をするらしいのです。

世の中には理論だけではなく、体験を通してではないと分からないことが沢山あると思います。この経験はきっと今後の人生にきっと役に立つ。価値観や考え方が根本から変わる可能性すらあるような気がしました。

私は正直暗闇は苦手です。暗闇はとっても怖くて不安なイメージが定着しています。体験者の手記によると、私が感じている暗闇と仲間と進む暗闇ではそもそもの質が全く違うようです。おそらくこれは体験しなくては分からないことの一つなんだと思います。一度やってみようかな・・・

賃金構造基本統計調査(平成23年)

厚生労働省では、毎年労働者の雇用形態、就業形態、職種、性別、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別に調査を実施しています。今回は性別・学歴によって初任給がどのように違うのかに焦点をあてて考察してみようと思います。

平成23年の初任給を高校卒以上の学歴別にみると、以下のとおりになっています。
男女計 大学院修士課程修了 234.5千円 (対前年増減率 4.7%)
大学卒 202.0千円 (   〃 2.3%)
高専・短大卒 172.5千円 (   〃 1.3%)
高校卒 156.5千円 (   〃 -0.8%)

男性 大学院修士課程修了 233.9千円 (対前年増減率 4.2%)
大学卒 205.0千円 (   〃 2.3%)
高専・短大卒 175.5千円 (   〃 1.1%)
高校卒 159.4千円 (   〃 -0.8%)

女性 大学院修士課程修了 237.3千円 (対前年増減率 7.3%)
大学卒 197.9千円 (   〃 2.3%)
高専・短大卒 170.5千円 (   〃 1.4%)
高校卒 151.8千円 (   〃 -0.9%)

参考ホームページ↓
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/11/01.html

これらをみると学歴が高いほど初任給が高くなっていて、大学までの学歴では男性の方が初任給が高いが、大学院修士課程修了になると、女性の方が初任給が高くなるという点です。専門性を備えた人材を厚遇し、即戦力としての働きに期待する企業の姿勢が見て取れます。しかも、女性の大学院卒は少ない(私が通っていた時も80人中女性は18人でした)ことから、女性にとっては、学歴が高い方が有利といえるでしょう。

平成24年度 診療報酬改定

診療報酬は国民健康保険・健康保険組合などが支払う医療サービスの単価で2年に1度改正され4月から適用になります。平成24年4月からの新しい公定価格が決まりました。

俯瞰してみると、薬価改正で6%下げて総額5,500億円の減額、救急医療に1,200億円増額、在宅医療に1,500億円増額、がん・認知症治療などに2,000億円増額、在宅歯科医療に500億円増額でほぼ入りと出が横ばいになり(実際は0.004%の増額)内訳の改正となりました。

主な改正点は次のとおり
①小児科救急・・・特定集中治療室(PICU)に新たな報酬として1日当たり15万5000円
②再診料・・・同じ日に同一病院で違う診療科を受診する場合、2科目の受診にも340円の再診料をとる
③在宅療養支援病院・診療所・・・緊急時・夜間の往診料を引き上げる
④在宅患者への訪問看護・・・緩和ケアなどの専門の研修を受けた看護師による訪問看護に新たな報酬を適用する
⑤がん手術・・・約1200の手術料を最大5割引き上げる
⑥土日入院・・・報酬一部引下げ
⑦全面禁煙・・・病院では原則屋内全面禁煙とします
⑦在宅歯科医療・・・通院困難患者の歯科訪問診察料の引き上げ
⑧後発医薬品・・・薬局窓口での後発医薬品の情報提供に報酬

MBA

2009年4月から2011年3月までの2年間、明治大学大学院グローバルビジネス研究科グローバルビジネス専攻(MBA)に通学しました。通学と言っても仕事をしていましたから、平日夜と土曜日全日です。

MBAは日本語では経営学修士とか経営管理学修士などと呼ばれます。ビジネススクールとも言われています。MBAは以前は海外の大学に留学しなければ取得できませんでしたが、ここ10年位で国内でも、かつ、働いていても取得できるようになりました。私も明治MBAでは6期生なので、今年の春明治MBAに入学する人は9期生ですね。

何故MBA?というと、いずれは独立したかったからです。私は最初は簿記検定から始まり、税理士試験、CFPと少しずつ関連する資格を取ってきましたが、MBAを取得することは、自分のためにも顧客のためにも役立つと思ったからです。私は法学部出身なので経営学を学問として学んだことはありません。実務のみです。しかし、税理士試験を通して、学問と実務を両方学ぶことが何よりも宝になると思いました。そこで一大奮起して、通おうと思ったのです。学問だけでも駄目、実務だけでも弱いのです。強くなりたかった。。。それだけです。

MBA取得するのを批判する実務家もいます。MBA取得者の一部は学問だけの頭でっかちな理屈だけで何もかも解決しようとするからだと思います。明治にはMBA理論を振りかざした発言をすると叱る先生もいました。実務は必ず理論どおりにはいかないのです。とても刺激を受けました。また、私の指導教授は実務家(大企業のCFO)をしていましたが、理論と実務のバランスの取れた教授でアカウンティング(管理会計中心)だけではなくマネジメントにも長けた教授でした。先日お会いした時に「統計は有用だけど、それを信じ込んではいけない。統計はあくまでも過去の実績であって未来の指針ではない。現在はリーマンショックや東日本大震災など、過去の統計だけでは計り知れない未曾有な事柄が続発する世の中になってきた。過去に常識だったことはもはや時代遅れである。」と仰っていました。そう、理論を知った上で実務にどう応用するかが最も重要なことなんだと思ったわけです。

その道のプロと言われる先生から学び、このような指導教授に巡り合えたのも、素晴らしい学友(基本大金をはたいて遊ぶ時間も惜しんでビジネススクールに通おうと思う人は意識や志が高い人たちです)と出会えたことは、今となってはお金では代えられない価値なんだと思います。

麒麟の翼

東野圭吾氏の小説を映画化したものです。小説を映画化したものは、かなりの頻度で観ていますが、大体期待が大きすぎて、感想はいまいちというものが多いような気がします。ところがこの映画はとても良かったです。

日本橋にある麒麟像をご存じでしょうか?ALWAYSにも出てきましたが、日本橋にある架空の生物の麒麟に翼がついている橋の上にある像です。東海道、日光街道、奥州街道、中山道、甲州街道の五街道の起点として日本橋があり、その起点の象徴として麒麟がいる。ここから羽ばたくという意味で麒麟には翼がついているらしいです。

何故男は瀕死の重傷を負いながら麒麟の翼像まで歩いてきたのか?という謎から物語はスタートします。この映画は何の情報も入れないで観に行った方がいいのでストーリーは言いませんが、様々なところにメッセージが隠れています。それを感じることが出来ればかなり楽しめます。

先生が生徒のためにと思ってした嘘が3年後に大きな津波となってやってくるというのが軸になっています。企業のコンプライアンスの問題や男女愛、親子愛なども盛り込んでいます。私が一番強く感じたメッセージは、始めは傷つきたくなくてついた嘘が時の経過とともに大きくなってしまうということ・・・

辛いかもしれないけど、その場で解決しなければもっと大きな傷になることが世の中には多いんだなぁと実感したことです。企業のコンプライアンスもそう・・・人はもっと強くならなくてはいけないとつくずく思いました。

海外資産がある所得税

先日、ゼミの仲間から「海外に転勤になったけれど、国内に不動産がある。これを貸したら税金がかかるの?」と質問されました。そこで、今回は海外資産を有していたり、海外に住んでいるけど国内に資産があったりする人のために、そもそも課税されるのか?ということを観点にお話しします。

まず、納税義務者は3つのカテゴリーに分類されます。
①居住者(非永住者以外の居住者)と②居住者(非永住者)と③非居住者です。
まず、居住者ですが、国内に住所があるか1年以上居所がある個人となります。居住者はさらに①と②に分かれますが、②の非永住者は日本国籍がなく、過去10年以内に国内に住所又は居所があった期間が合計5年以下である人をいいます。①は②以外の居住者です。非居住者とは居住者以外の個人をいうので、「国内に住所があるか1年以上居所がある個人以外の人」ということになります。

課税の範囲ですが、①の居住者(非永住者以外の居住者)は全ての所得です。これは、国内源泉所得だけではなく、国外源泉所得も課税対象となることがポイントです。②の居住者(非永住者)は国内源泉所得と国内払いの国外源泉所得が課税対象となります。従って国外払いの国外源泉所得は課税の対象とされません。③の非永住者については、国内源泉所得のみが課税の対象となります。詳しくは国税庁のホームページ↓を参照下さい。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2010.htm

海外で所得が発生する場合(海外投資も含みます)は、その国と日本が租税条約を結んでいるか否かが重要になります。これは所得税法より優先されるもので、日本で租税条約を結んでいるのは平成23年11月17日現在64カ国の国と締結されています。
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/joho_kokan/01.pdf
従って国ごとにその内容を調べる必要があります。

平成24年度の税制改正大綱案で海外財産を5,000万円以上有する居住者は国外財産調書を提出することを義務付ける改正案があります。適用時期は平成26年1月1日以後ですが、提出しないと罰則規定等もあるので注意が必要です。

29歳の誕生日、あと1年で死のうと決めた。


人間死ぬ気になったらなんでもできる。というけれど、私はいいのか悪いのか、悲しんだり落ち込んだりすることはあるけれど、死のうと思ったことは過去に1度もない。この作品がノンフェクションということと、自分の意思であと1年しか生きないと決めた人の生き方や考え方を知りたくて本屋で手にした本です。

彼女は明治大学を卒業し正社員で就職しました。正社員は1年で辞め、その後契約社員、派遣社員となりました。彼女は25歳で学生時代から付き合っていた東大卒の彼と結婚する人生プランを描いていた。その彼に25歳の時、振られます。それからは、父親が脳梗塞で倒れたり、ストレスが食欲となって53キロだった体重が20キロも増えたり、手取り17万円でボーナスなしの生活で1Kのアパートの電気代ですら払えない月がある。親しい友人もいない。趣味もない。そして、29歳の誕生日に1Kのアパートで苺のショートケーキを前に1人で「ハッピ―バースデートゥミー」を歌います。昨年も一昨年もその前も1人で誕生日を過ごした彼女は、29歳の誕生日に「何の取り得がなくても、いままでは若さで何とかやってこられた。30代になれば就職はもっと厳しくなる。今だって何百社も受け続け、断われ続けているのに、資格も何もない私など、もうどこも雇ってくれないのではないか」「ただでさえ、70キロ以上もある醜い容姿の自分など、誰が相手にするだろう。30代になってしまったら、存在すら無視されてしまうのではないか。」と人生は下がる一方だと考え、あと1年で、そう30歳の誕生日の日に死のうと決めるのです。

1年で死のうと決めた彼女は29歳最後の日にラスベガスのカジノで大金を使い死のうと決意するのですが、お金が全くありません。そこで、昼間は派遣の仕事で働き、夜は銀座のクラブで働き、週末はヌードモデルで働いて、1年で150万円を貯めて、ラスベガスでカジノをするというお話です。

銀座のクラブで働くといっても、彼女はどこもお断りで働けません。やっとのことで、新しい人が入るまでという条件で働くことができますが、73キロある彼女は他の人より20%安い賃金で働かせてもらえ20キロ痩せたら元の賃金にしてくれもらえるという条件で働きます。

夜銀座で働くため、派遣会社の仕事が激務なときも何とか定時に帰れるように一心不乱で働き、銀座のクラブでの名前はアマリちゃん(余りものだから)と名付け、酒も1滴も飲めない。特に気のきいた話もできない彼女は聞き上手に徹していきます。そして、週末は絵画のヌードモデル。ヌードモデルはスタイルの良さではない。そういえばヨーロッパの方の裸婦の肖像画はどちらかというとポッチャリ系ばかりだということで、ヌードモデルとしても引っ張りだことなります。

それらの経験を経て多くのことを学びます。1年後に彼女がどうなったか。それは本を読んで下さい。どん底から這い上がる人ほど強いものはない。人生死ぬ気になったら何でもできる。元気を与えてくれる本でした。