トレードオフ



この本では、事業の戦略は上質をとるか手軽を取るかしかないと言っています。両方を取ろうとすると、たちまち不毛地帯へ突入します。

上質とは、経験とオーラと個性で成り立っていて、この3つの足し算によって上質度は決まるのだそう。手軽とは、入手しやすさと安さで成り立っていて、上質か手軽かのどちらかを追求することによって、事業が発展するといいます。簡単にいうと上質とは愛されることで、手軽とは必要とされることだといいます。

どちらも兼ね備えるのがいいのでは?と思いがちですが、兼ね備えることはできず、それは幻影だと言い切っています。どちらも兼ね備えようとした事例も挙げていて、かつてCOACHやティファニーはラグジュアリーブランドであったが、COACHは2004年くらいから店舗やアウトレットを多店舗新規オープンし価格も落としてた。ティファニーも以前は世界のラグジュアリーブランドの中でもひときわ高級感があったが、1990年代の終わりに顧客層を拡大することに戦略を移しシルバーのブレスレットチャームを110ドルで売り出した。その結果どうなったか?一時的にCOACHとティファニーは売り上げを伸ばし大成功したように見えた。しかし、その後今まで買ってくれていた上級顧客は誰でも買えるようになったCOACHとティファニーからは購入しなくなったという。これらの事例を挙げて上質と手軽は共存しないと言っている。どっちつかずのその戦略は幻影であり事業を衰退させる戦略であるという。

ですから、上質か手軽かを決めたらそちらを限りなく極めることに尽力することが重要でどちらかを捨てることが大切だと言っています。第13章(最後の章)は「あなた自身の強み」というテーマですが、この考えは事業だけではなく個人レベルにも当てはまり、何でもある程度できる人より、他は何もできないがこれ1つは誰にも負けないという強みを持つ方が絶対的に生きる上で有利だと言っています。そこでも基本的に上質か手軽かを選択しなくてはいけないようです。

社会医療法人認定状況

平成25年1月18日に本年1月1日現在の社会医療法人認定状況が発表されました。それによると認定数は全国で191法人になります。

平成19年の医療法改正時に創設された社会医療法人ですが、平成21年3月31日には36法人、平成22年3月31日には85法人、平成23年3月31日には 120法人、平成24年3月31日には162法人、そして平成25年1月1日には191法人と創設から6年で200法人になる勢いです。

社会医療法人と通常の医療法人との違いは2011.5.12のカテゴリー医療で「社会医療法人」として載せてありますのでご覧ください。

社会医療法人は僻地医療や救急医療、そして周産期医療など不採算医療を担うことが要件となっている代わりに税金がかからないので、今後は赤字の公立病院の担い手となっていくでしょう。

日本版ISA

日本版ISAをご存じだろうか?
日本版ISAとは、英国のISA(Individual Savings Account:個人貯蓄口座)を参考にして、日本版として創設された制度です。英国でのISAは1999年に10年の期間限定でスタートしましたが、その後2007年に恒久化されました。その英国ISAを参考にして2008年に金融庁が貯蓄から投資へのお金の流れを促進させるための一環として、平成21年の税制改正要望の中に組み入れ日本版ISAの創設につながりました。概要は2014年1月から3年間、毎年100万円を上限に(3年間で300万円)株式の配当や譲渡益を非課税とする制度です。投資するのは毎年100万円の今後3年間ですが、非課税期間は10年間です。

創設されたばかりの制度ですが2013年度の税制改正案で改正されそうです。まず、投資期間ですが、2014年1月から3年間だったところ、5年以上になりそうです。
それに伴い投資額も100万円×5年以上の500万円以上になりそうです。
現在の非課税対象は上場株式や公募株式投資信託ですが、公社債まで拡大しそうです。
ただし、現在非課税期間は10年ですが、こちらは5年に短縮されそうです。

英国は、公的年金の給付が高くないにも関わらず、多くの国民が退職後の資金の備えが乏しかったため、資産形成を促すためにこの制度を創設し、将来の年金を補てんするためにこの制度が恒久化されました。日本でも金融庁などがこの制度の恒久化を求めています。これは将来の年金減少への布石なのでしょうか?

プロの解釈

2012.11.13にカテゴリー税務で復興特別所得税について書きました。その中で個人に支払う報酬等についての復興特別所得税について誤った解釈をする専門家が多いので、ここに書きたいと思います。税理士や弁護士などの個人事業の報酬については、昨年の12月までは10%の源泉所得税を控除した残額を支払っていました。例えば元の契約が222,222円の報酬について22,222円の源泉所得税を控除し、200,000円を支払うということはよく行われていたことです。これについて、国税庁のホームページでも例示を挙げて示しています。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/fukko/pdf/02.pdf#search=’%E5%BE%A9%E8%88%88%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E’

これによると、Q6の回答は222,222円から22,688円(復興特別所得税を含む)を控除した199,534円を支払うことになります。しかし、Q10の回答では200,000円(手取り)÷(100-10.21)%=222,741円となるので、222,741円から22,741円を控除した200,000円を支払うことになります。

優秀な経理マンからはどちらの解釈が正しいのか?という質問を受けます。これは、復興特別所得税とは誰が負担すべき税金か。というのを考えれば分かります。所得税なので所得を受ける人、つまり受け取る側(税理士や弁護士など)です。それとは逆に今後消費税率が上がった場合は、負担すべき人は最終消費者なので、支払う側となります。これを混合して、受け取る側が手取り金額を変えず、実質顧問料を増やす請求書を出す人がいるらしいです。プロなら誰が負担すべきかは一目瞭然です。実質値上げの請求書が送られてきたら要注意。復興特別所得税は誰が負担すべき税金ですか?と聞いてみましょう。今月分の給与から源泉所得税は復興特別所得税も一緒にひかれるので給与をもらっている人も手取り金額が少しだけ減ったと実感できると思います。そう、受け取る側(所得を受ける人)が負担するのが復興特別所得税なのです。

レ・ミゼラブル

ミュージカル仕立ての映画です。ミュージカル仕立ての映画は初めて観ましたが、何しろ分かりやすい。表情や微妙なしぐさで物事を判断する要素は全くなく、かなりオーバー目な表現の歌で展開されます。テンポも早く通常の映画でしたら、3部作に分かれるくらいの内容を2時間半位で終わらせます。逃げているときにいきなり大きな声で歌いだした時には、思わず「おいおい、見つかっちゃうよ」と突っ込みを入れたくなりました。細かい微妙な表現がない分、分かりやすくかつ、ダイナミックです。

キリスト教を意識した考え方もかなり取り入れられていて、善か悪かもはっきりしています。世の中実際には善か悪かはっきりしないことも多いのに、ここでは善は善、悪は悪です。善の中、悪の中に大小はなく、悪であれば少しの悪も大きな悪も悪というカテゴリーに入れられます。例えば、妹の子供が飢えで死にそうだったのでパンを盗んだ主人公のジャンバルジャンは、理由はどうであれパンを盗んだという悪のため19年間も牢獄に入れられます。

内容を少しだけお話しすると19年間牢獄に入っていたジャンバルジャンは服役後、司教の深い慈悲にふれ改心する。徳を積み市長になるがフォンティーヌという自分の工場で働く女性を間接的に解雇してしまい彼女の死間際に彼女の一人娘であるコゼットを自分が育てると約束します。コゼットを引き取り自分の本当の子供の様に育てます。コゼットもジャンバルジャンを本当の父のように慕います。コゼットが大人になり、一人の青年に恋し、その青年もコゼットを愛していると知ったジャンバルジャンは、本当の父のように愛娘を手離す寂しさを覚えますが、それでもコゼットの意思を尊重し、青年が革命で命を落としそうになったとき、命がけで青年を助けます。

ジャンバルジャンがコゼットに注いだ愛情は男女の愛情ではなく、もっと大きな無償の愛でした。コゼットの幸せだけを考え行動します。これこそ究極の愛です。

この映画は観たときに号泣したという人が続出した映画ですが、私は観ているときは全く泣けませんでした。多分展開が早すぎてかつ、大胆すぎて圧倒されていたのだと思います。でも、観終った後、ジワジワと良さを実感するそんな映画でした。

開廃業の場合の均等割の計算の仕方

法人地方税(都道府県民税と市町村民税)は、所得割という所得が出ている場合のみ支払う税金と、均等割という所得が出ているか否かに関わらず支払う税金があります。

均等割の金額は資本金と従業者数によって決まっています。ですから、単年度決算で赤字になったとしてもこの均等割は納付する必要があります。

ただ、この均等割の金額は年額で定まっているので、例えば東京都で資本金等が1000万円以下で従業者数が50人以下の場合は年70,000円ですが、12か月間事業をしていた場合は70,000円となります。

では、年の途中、例えば開業した場合や廃業した場合はどうでしょう?5月2日に開業して12月31日が決算の場合は、7か月と30日ですので1月未満の端数は切り捨てて7か月になります。3月決算法人が10月6日で廃業した場合は4月1日から10月6日の6か月と6日になるので1月未満の端数は切り捨てて6か月です。

ではこの場合7か月ないし6か月の計算方法は70,000円に7/12ないし6/12を乗じることになりますが、割ってから乗じるのか。乗じてから割るのかが問題になります。答えは乗じてから割ります。これは地方税法312(4)、52(4)に定まっていますが、法人税額の分割基準の計算は割ってから乗じるのでやり方が違いますので注意が必要です。乗じてから割った金額に100円未満の端数が出たときは切り捨てます。したがって納税額は何百円という金額はでますが、何十円までは出ないことになります。

参照:地方税法312(4),52(4)
税率を適用して得られた均等額に対して、この事業年度中において事業所等または寮等が存在した月数を乗じて得た額を12を除して計算する。

あけましておめでとうございます


今年もよろしくお願いいたします。ここ数年お正月には着物を着ています。ちょっと面倒ですがお正月から着物を着ると気が引き締まります。最近のマイブームは縦じまの着物です。

さて、一年の計は元旦にありと言いますが、これは何か事を始める時は初めにきちんとした計画を立てるのが大切だということらしいです。そういえば税理士試験受験時代も12月に発表があるので今年何を受験するかをじっくり考えたのもお正月でしたし、MBA取得のための大学院進学も決めたのはお正月でした。たまに人生を振り返りそれで今後の目標を立て実行するのを決断するにはお正月は最適です。さて、今年は何をやりますか。。今年のお正月休みは6日までで少し長いので、今後の人生プランもじっくり考えたいと思います。