マネーボール

アスレチックスのゼネラルマネージャーのビリーは、元メジャーリーガーでした。彼は「チームには金を持っているチーム、貧乏のチーム、その下がクズ、その下がこのチームだ」と言い、せっかく育てたチームのエースを次々と他の球団に3倍の報酬で取られてしまいます。

野球チームは初めから不平等なのです。その中で勝つためにエール大学経済学部卒業のピーターの統計を基に評判が悪いが出塁率の高い選手を集め勝利に導いていくお話です。

それは統計を取って割安株を探すのとよく似ていました。故障者、高年齢、遊び人、評判は悪いが出塁率の高い人を次々とトレードします。勿論ベテランスカウトマン達は大反対。野球は統計じゃない。長年の経験と実績だと猛反対です。それでもGMであるビリーはそれらの反対に屈せず推し進めます。味方はピーターだけです。

やっとのことで希望選手をお買い得価額でゲットしますが、今度は監督が思うように動いてくれません。メンバーは自分が決めると言い張るのです。故障者で元キャッチャーだった選手を1塁に守備させるように頼みますが、あいつは1塁は無理だやったことがない。と言って違う選手を1塁に守備させます。そうやっているうちにアスレチックスは連敗を重ねます。ビリーの作戦は間違っているとマスコミやメディアで叩かれます。ビリーは強硬手段に出て1塁の守備選手をトレードしてしまいます。他にいないので仕方なくビリーのお勧め選手を1塁にします。その後さまざまなトレードを繰り返し、実際の契約金は安いが統計上の数字(例えば出塁率など)が良い選手を集め次々に勝利していきます。

先日のカテゴリー本2011.11.23で「任せる技術」の中にもありましたが、1人のスーパーマンを求めるのではなく、3人でスーパーマンになるようなチーム作りをしたのです。スーパーマンは高いのでゲットできません。また、折角スーパーマンに育てても、高い報酬で他のチームに取られてしまいます。それならば、複数人で完成するようなチーム作りです。資金や知名度が低い中小企業の経営のようなものです。

この映画にはもう一つ山がありますが、それは観てからのお楽しみ。。物語のような実話です。落胆と喜びが波のように次々と襲ってきます。喜びより落胆の部分の方の描写が多くとても胸が痛く、苦しくなりました。

任せる技術



タイトルを聞いてドキっとした方多いのではないでしょうか?私もそうですが、中小企業の社長や医療法人の理事長など、仕事を他の人に任せられない人が多いです。なぜなら、自分でやった方が早くて確実。教えるのはとても労力がいる。自分が思ったような結果にならない事が多い。やらせるには、まだ早い。など、理由付けはいくらでもあります。そう。任せられるのは技術なのです。任せられないのは技術がないから・・・自分を含めて反省です。この本の中で特に心に響いたものをいくつか紹介します。

1.無理を承知で任せる・・・できるようになってから任せるのではなく、任せるからできるようになると考える。
2.作業でなく責任を任せる・・・ 人は責任を負い、責任を果たすことで成長する。だからといって放ったらかしにしてはいけない。
3.任せると伝える・・・任せるといって自分流を押し付けてはいけない。任せると言う事は自分と違うやり方も受け入れるということ。
4.自分に矢印を向けるように指導する・・・「目標達成ができないのは不景気のせい」「期限内に提出できないのは仕事量が多いから」「チーム達成率が低いのは人事部が人員を補充してくれないから」このようにすべては相手が悪いと思っている人は成長しない。問題をすべて他人のせいにすることで自己正当化するようにさせてはいけない。問題は全て自分が変わる必要があるということを理解させる。
5.口出しを我慢する・・・これはかなり根気がいることですが、じっとこらえて我慢する。魚を与えるのではなく取り方を教えるということ。
6.定期的なコミュニケーション・・・上司からレベルの高い仕事を任されてストレスにさいなまれている部下にはどうしたら良いだろうか。技術的なアドバイス?励まし?叱責?そうではなく、この本では存在承認(アクノリッジメント)が必要だと言っています。達成したら誉める、しなければ誉めないという成果承認だけではなく、存在を認めて見守っているということを言葉で表すということです。これって、映画のカテゴリー「インビクタス 負けざる者たち」2010.3.23ブログのネルソン・マンダラ大統領の手法だと思いました。
7.スーパーマンを作ろうとするな・・・任せたいけど任せられる部下がいないよ。と嘆くのではなく、組合せのマッチングをうまく利用する。

任せる技術・・・必要ですね。。

ゲーム論(ナッシュ均衡)

ナッシュ均衡とは、自分以外のプレイヤーが均衡点の戦略を取る時、自分もそれを取らないと得にならない。という状態のことです。それは互いに最高の努力をしているという状態なのですが、下記の3つの注意点があります。

1.片方だけが最高の状態ではだめです。
2.自分だけがずれても、自分の得にはなりません。
3.自分がずれると、他人の得点が上がる場合が多いです。

非協力ゲーム(プレイヤー同士が協力し合わないゲーム)では少なくとも1つのナッシュ均衡点が存在するといわれています。その点で非協力ゲームの基礎理論としてナッシュ均衡は存在します。

囚人のジレンマはナッシュ均衡の代表例です。

エシカル消費

エシカル消費とは、倫理的に正しい消費のことをいいます。最近の消費者の間ではCSR(企業の社会的責任)を重視する人が増え、ただ安いだけの消費ではなく、社会的にためになる消費をしようとする傾向があります。例えば売上の一部を義援金にしますというのはその最たるものでしょう。

最近はインターネットが普及し、価格が低いものを探そうと思えばいくらでも出てきます。この前、私の顧問先ではありませんでしたが、町の印刷屋さんのお話を聞きました。近くの同業者が景気が悪い(赤字が続く)や後継者不足でどんどん潰れていって、自分の工場に注文が殺到しているので夜も寝ずに働いているが、単価が安くてやればやるほど赤字になると言うのです。8,000円位の注文で印刷ミスをして紙代の損害を補償して40,000円支払ったという話もされていました。町工場で夫婦2人でやっているような感じでした。

睡眠不足で死にそうになりながらやって、やればやるほど赤字だなんて・・・もしかして、自分の会社の損益分岐点や1つ当たりの原価も把握せずに注文があれば、やみくもにやっているのではないか。と思いました。

100円でものを仕入れて、90円で売ったら、赤字になることは明白です。でも製造業ですと、30円で材料を仕入れて90円で売ったら一瞬黒字になるような気がしますが、実際はそれに加工賃や人件費やそれに伴う付加価値に対して経費がかかります。その経費が80円かかるとしたら、90円-(30円+80円)=-20円 つまり1個当たり20円の赤字です。そうやればやるほど赤字なのです。顧問税理士はちゃんとそのことを伝えなくてはいけません。

このような法人は1個当たりの原価を把握させ、○○円以下では注文は取らないと断る勇気が必要です。このように採算無視で注文をどんどん取る法人が増えると、採算を考えてわずかな利益を取る法人の注文も取られてしまいます。そろそろ激安重視の消費はやめ、エシカル消費に移行する時かもしれません。

医療法人の出資の評価

医療法人は医療法によって配当が禁止されているため、含み益が法人内部に蓄積される傾向にあります。従って理事長に相続が発生した場合、多額の相続税が発生する可能性があります。平成19年以降この出資の評価が必要な持分の定めのある社団医療法人の新規設立はできなくなりました。従って将来的には医療法人の出資の評価で相続税に悩む医療法人も減るのでしょうが、平成23年3月31日現在で医療法人の総数は46,946法人、そのうち相続税評価が必要な持分の定めのある社団医療法人は42,586法人です(厚生労働省調べ)そう考えますとまだまだ90.7%の医療法人が相続税の心配が必要であり、私が知っているだけでも、数千万円の出資金が何十億円もの出資評価になっている医療法人が多数あります。

相続は突然やってきます。突然でなくても相続開始前3年以内の贈与は相続税額に加算されますので注意が必要です。医療法人は現在、事業承継税制の対象にはなりませんので逃げ道がありません。

出資の評価が無税になるためには特定医療法人への移行が有効ですが、特定医療法人への移行は多くの要件をクリアしなければなりません。できれば特定医療法人への移行を進めたいところです。しかし、それができない場合、例えば赤字で評価が下がった時に事業承継人に出資持ち分を譲渡することや、課税されるのを覚悟して持ち分の定めのない社団医療法人へ移行するなどが考えられます。どうすればよいのかは、その医療法人を将来的にどうしたいのかという考えによって変わってきます。ただ、無計画に相続の発生を待つのではなく何か準備しておくのは大事だということです。

ふるさと納税

ふるさと納税とは、自分の故郷の市町村等に寄付して本来の税金を安くしてもらう制度と思っている方も多いと思います。何となく合っていますが完璧ではありません。ふるさと納税の対象は自分の過去に住んでいた場所(故郷)でも可能ですが、そうでなくても(例えば、お世話になった町や応援したい村などでも)可能です。

ふるさと納税創設の際、個人の住民税を直接ふるさとに希望を出せば納税できるのが検討されましたが、市町村等の事務作業が膨大になること等から、税額控除になりました。

支払った寄付金は所得税額だけではなく、住民税も控除できます。具体的には下記の金額が控除されます。

所得税
(寄付金-2,000円)×所得税率(0%~40%)

住民税
①基本控除額
(寄付金-2,000円)×10%
②特別控除額
(寄付金-2,000円)×(90%-所得税率)
③ ①+②

ちなみに所得税率10%の人が3万円寄付するとすると、所得税が2,800円住民税①が2,800円②22,400円で合計28,000円
所得税率20%の人が3万円寄付すると、所得税が5,600円住民税①が2,800円②が19,600円で合計28,000円
所得税率40%の人が3万円寄付すると、所得税が11,200円住民税①が2,800円②が14,000円で合計28,000円になります。つまり所得税率が0%でない限り、支払った寄付金-2,000円が税額控除となります。

地方自治体の中にはふるさと納税をするとその地域の特産品を贈答してくれる市町村もあります(お米やラーメン、海の幸など市の特産品など)ので、それらの特産品があるところにふるさと納税をすれば支払った以上の効果もあります。「ふるさと納税 特典」と検索するといろいろ出てきますのでおためしあれ。。

注意点は下記3点
1.確定申告をする必要があります。
2.寄付金をした地方自治体からふるさと納税の領収書をもらう必要があります。
3.特産品を貰う場合は時価で年間50万円を超えると一時所得で課税されます。(他の一時所得がある場合はそれも合わせたところで50万円以上で課税です)

CFPは仕事になるか?

2011年10月1日現在CFP認定者は17,869人、AFP認定者は153,240人います。AFPより上位資格であるCFPの方が人数は少なくなっています。よく聞かれることは「FPの資格ってためになるの?」というのと「FPの資格って仕事があるの?」です。

前者の回答は必ず「ためになるよ。」と答えています。後者の質問には「お金になるかどうかって事?」と聞くようにしています。ためになるかどうかと聞かれればためになります。CFPのブログ(2011年2月8日)でもお話ししましたが、CFPの知識はお金に関する知識が広く浅くもれなく吸収できるとことに良さがあります。ですから、ためになるのです。

では、お金になるか?ましては独立できるか?この資格で飯が食えるか?となると、自信を持ってYesと言えないのが現状です。CFPの資格だけでまれに独立して活躍している人もいますが、どちらかというと私のようにW資格を有する人が多いのではないでしょうか。金融機関や保険会社で働く人は、AFPを取得し、その次にCFPを取得するのを会社が奨励しているのが多いと聞きました。

私はCFPの他に税理士資格を有していますが、どちらがお金になるかというと圧倒的に税理士資格です。税理士は税務に関して独占業務を有しており、税理士以外の者が他者の税務申告書を作成することは、法律で禁止されています。それに比べ、CFPはこれといった独占業務がないし、税務の様に差し迫った問題点ではないので、仕事の量が限られます。だからと言って全く仕事がないかというと、そういうこともなく、私の場合はCFPと税理士の両方の資格を有するということで、原稿の執筆依頼がきました。CFPの知識は原稿や講演を通して依頼されることが多いような気がします。また、会社に勤務する人にとっては、資格手当の対象となることも多いようです。