池井戸潤氏の小説を映画化したものです。池井戸氏の作品は映画を観る前に読んでしまっている作品が多かったのですが、この小説は読んでいなかったのでラッキーでした。最初に小説を読んでいると内容も分かるし自分自身が作った人物像のイメージがあるので、そのイメージとかなりかけ離れていたりするとちょっとがっかりしたりします。小説も映画も観ると二度おいしいという利点もありますが、映画を観る時、新鮮でないという欠点もあります。こちらは小説を読んでいない分新鮮でした。
池井戸氏の作品は銀行員が登場する小説が多いですが、これは銀行内部の事を描いているので作者的にはドストライクなのでしょうか。それにしても銀行内部は善人少数派でほぼ悪人の塊のような内容でした。銀行勤務時代何かあったのかと思わせるほど、悪人だらけでちょっと笑ってしまいました。また、銀行からお金が無くなった謎を探るというミステリーかと思いきや全て映画を観る側は分かっていて、登場人物だけが分からないという通常とは逆な攻め方をした映画でその点も斬新でした。
謎を解きながら観るというのがミステリーの醍醐味ですが、この映画は、裏は始めから明かしていて、お金を無くしたとされる営業マンと盗んだとされる窓口係だけが善人であとは悪人という一見悪人が実は善人で、善人とみられる人が悪人という、その部分が逆にミステリーなんだと思いました。ミステリーの見方を変えてくれた映画でした。小説もこのような作りになっているのかしら?と気になってしまい小説も読んでみたくなりました。