医療法人形態のうち出資額限度法人とは?

出資額限度法人とは持ち分の定めのある社団医療法人のうち定款のおそらく第9条あたりに「社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として払い戻しを請求することができる。」という文言と、おそらく第34条あたりに「本社団が解散した場合の残余財産は払込済出資額を限度として分配するものとし、当該払込済出資額を控除してなお残余財産があるときは、社員総会の議決により、○○県知事(厚生労働大臣)の認可を得て、国若しくは地方公共団体又は租税特別措置法第67条の2に定める特定医療法人若しくは医療法第42条第2項に定める特別医療法人に当該残余の額を帰属させるものとする。」という文言が記載された医療法人です。

簡単に言うと、1000万円出資して医療法人を設立して数十年経って、その出資の評価が1億円になっていたとしたら、通常の医療法人であれば、社員(民法上の社員です。従業員ではありません)を辞めるときは1億円の払戻請求権が生じるのだけれど、敢えて1000万円しか払い戻せないことを定款で定めて、残りの9000万円は国やそれに準ずる医療法人に帰属させるということを定款に定めた法人なのです。

なぜ、そのようなことを定款に定めたのか?自分が不利になるのに?と思われた方もいたことと思います。

これは以前大きな精神科病院などを中心として広まった定款変更で、こうすることによって、相続税の評価が出資額となるのではないか?と考えられたからです。平成19年までこのことについては、はっきりしなかったのですが、出資額限度法人であっても、特定医療法人並みの公益要件を備えていないと、通常の医療法人社団とおなじ時価評価となるということが明らかにされました。