海外資産がある所得税

先日、ゼミの仲間から「海外に転勤になったけれど、国内に不動産がある。これを貸したら税金がかかるの?」と質問されました。そこで、今回は海外資産を有していたり、海外に住んでいるけど国内に資産があったりする人のために、そもそも課税されるのか?ということを観点にお話しします。

まず、納税義務者は3つのカテゴリーに分類されます。
①居住者(非永住者以外の居住者)と②居住者(非永住者)と③非居住者です。
まず、居住者ですが、国内に住所があるか1年以上居所がある個人となります。居住者はさらに①と②に分かれますが、②の非永住者は日本国籍がなく、過去10年以内に国内に住所又は居所があった期間が合計5年以下である人をいいます。①は②以外の居住者です。非居住者とは居住者以外の個人をいうので、「国内に住所があるか1年以上居所がある個人以外の人」ということになります。

課税の範囲ですが、①の居住者(非永住者以外の居住者)は全ての所得です。これは、国内源泉所得だけではなく、国外源泉所得も課税対象となることがポイントです。②の居住者(非永住者)は国内源泉所得と国内払いの国外源泉所得が課税対象となります。従って国外払いの国外源泉所得は課税の対象とされません。③の非永住者については、国内源泉所得のみが課税の対象となります。詳しくは国税庁のホームページ↓を参照下さい。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2010.htm

海外で所得が発生する場合(海外投資も含みます)は、その国と日本が租税条約を結んでいるか否かが重要になります。これは所得税法より優先されるもので、日本で租税条約を結んでいるのは平成23年11月17日現在64カ国の国と締結されています。
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/joho_kokan/01.pdf
従って国ごとにその内容を調べる必要があります。

平成24年度の税制改正大綱案で海外財産を5,000万円以上有する居住者は国外財産調書を提出することを義務付ける改正案があります。適用時期は平成26年1月1日以後ですが、提出しないと罰則規定等もあるので注意が必要です。