折れそうな心の鍛え方


昨年は東日本大震災などがあったりして多くの命や大切なものを失った方も多いのではないでしょうか。新年になり気持ちを新たに何とか奮起しようと思うけれど喪失感と脱力感に苛まれなかなか現状を抜け出せないで居る方に読んでいただきたい本です。

この本では、「人は自分で越えられる悩みや落ち込みしか抱えない。」と言っています。例えばお金の失敗といっても3億円なくすことができる人は限られているし、3000人もの部下を全滅させたという人は少数です。そう「自分のキャパを超えない範囲の不幸しか、自分には訪れない」のです。

底が見えないプールをずぶずぶず沈んでいくのは根拠なき不安と同様におそろしいものだけど、「絶対に底はある。しかもそれは自分の耐えうる底なのだ」と思っていれば、潔く沈んでいくことができると言っています。

では具体的にはどのように乗り越えればいいでしょう?松の木ではなくマングローブの様に生きろと言っています。私も昨年マングローブを見ましたが、水際にタコの足のような根が沢山張り巡らせた不思議な植物でした。台風がきたときに松のように一本が巨大でずば抜けた樹木ではなぎ倒されるけど、マングローブは1本1本は弱い木です。でも弱い木が多少は風にたわみながら寄り添って生えている方が嵐に耐えて生き延びることができます。

一発逆転を狙わずやれることは全てやる総力戦で、小さなガス抜きをすることが大事らしいです。
1.時間の経過
2.自分の状況を客観的に見る
3.周囲の力を借りる
4.できるだけたくさん泣き、笑う事に罪悪感を抱かない
5.多少でも代償を求めること
6.解決すること(向き合う事)

この中でも最も大事なのは3の周囲の力を借りることみたいです。話を聞いてくれる人の力を借りて、毒を吐き出すということが一番効果的だと言っています。本当にどん底の時は誰にも何も言えず、心の中でどんどん不安感や喪失感が溢れてきます。それでも周りの信頼できる人に少しでも話すことができるようになったら進歩だと思うのです。

最後の章で「大人たちよ、映画を観てもっと泣こう」という章があります。泣ける映画を見るのは心のデトックス効果があり極めて効果的みたいです。どのような映画で泣けるのかはその人の感性によって多少違うと思いますが、泣ける映画も紹介しています。

私は先日、マイウェイという映画を観ました。登場人物は皆自分の意志とは別に行動を制限され、心も踏みにじられ、生と死の狭間で何年も劣悪な環境の下生きていました。私は毎日お風呂に入り、体も行動も制限されていないし、自分でも天職だと言い切れる素敵な仕事を持っている。これ以上何を求めるのだろう?欲張りにも程があると思いました。映画はたった2時間で自分のキャパを超えた体験をさせてくれます。これからも多くの映画を観ていこうと思いました。