厚生労働省税制改正要望(医療法人関係)

平成24年度の税制改正において厚生労働省は様々な要望(医療、年金、たばこ、雇用、子供等)を出しています。その中で特に医療法人に重要な要望は以下5つです。①社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置の存続 ②医療継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の創設 ③社会医療法人に対する寄付に係る寄付金控除等の創設 ④研究開発税制(増加型・高水準型)の恒久化 ⑤社会保険診療等に係る消費税のあり方の研究

①は医療法人は株式会社等に比べ事業税が少ないです。なぜならば社会保険診療報酬は事業税法上非課税となっているからです(法人税法上は課税です)。また、医療法人は特別法人なので普通法人(株式会社等)より400万円を超える所得については税率が少し優遇されています。これを廃止する動きが一部でありますが、存続させるべきという意見です。私の意見も同様です。ただでさえ民間医療法人は公的医療機関に比べ税金の負担が多く同じ土俵で戦っていないのです。これ以上公的医療機関に差をつけるのは不遇すぎます。

②については、持分あり社団医療法人の出資者に相続が起こった時に3年以内に持分なし社団医療法人に移行すれば、出資にかかる相続税が猶予されることを要望するものですが、これが通ったところで相続税法第66条4項のみなし贈与の問題は消えません。医療法人は事業承継税制の対象外なので、今後も相続に関しては問題が山積みです。

③と④については当然の要望です。こちらは要望しないと認められないので自己主張が大切です。

⑤については、消費税創設以来の医療法人消費税損税問題の見直しです。今後税率が上がってくるのでますます重要な問題となります。社会保険診療報酬を課税にすれば損税問題はなくなりますが、おそらく医療法人の不満は増えると思います(消費税の納税額が増えるから)。社会保険診療報酬について、非課税ではなく0%課税か免税にすれば、条件としては1番良いのですが、これも難しいでしょうね。免税は今のところ輸出免税等しかありませんので、そこに医療だけいれるのはどうかと思います。0%課税というのは今のところありませんが、次の消費税改正で入れることができれば医療法人にとっては安泰です。