医療法人の出資の評価

医療法人は医療法によって配当が禁止されているため、含み益が法人内部に蓄積される傾向にあります。従って理事長に相続が発生した場合、多額の相続税が発生する可能性があります。平成19年以降この出資の評価が必要な持分の定めのある社団医療法人の新規設立はできなくなりました。従って将来的には医療法人の出資の評価で相続税に悩む医療法人も減るのでしょうが、平成23年3月31日現在で医療法人の総数は46,946法人、そのうち相続税評価が必要な持分の定めのある社団医療法人は42,586法人です(厚生労働省調べ)そう考えますとまだまだ90.7%の医療法人が相続税の心配が必要であり、私が知っているだけでも、数千万円の出資金が何十億円もの出資評価になっている医療法人が多数あります。

相続は突然やってきます。突然でなくても相続開始前3年以内の贈与は相続税額に加算されますので注意が必要です。医療法人は現在、事業承継税制の対象にはなりませんので逃げ道がありません。

出資の評価が無税になるためには特定医療法人への移行が有効ですが、特定医療法人への移行は多くの要件をクリアしなければなりません。できれば特定医療法人への移行を進めたいところです。しかし、それができない場合、例えば赤字で評価が下がった時に事業承継人に出資持ち分を譲渡することや、課税されるのを覚悟して持ち分の定めのない社団医療法人へ移行するなどが考えられます。どうすればよいのかは、その医療法人を将来的にどうしたいのかという考えによって変わってきます。ただ、無計画に相続の発生を待つのではなく何か準備しておくのは大事だということです。