医療法人は営利か非営利か

医療法人は、公益法人より公益性がないけれど、株式会社などの営利法人より公益性はあるという状態が永いこと続いています。業務に制限があるという点で公益法人に近く、課税上は株式会社に近い(ただし事業税・消費税は例外)という特徴があります。このように複雑な状態が半世紀以上も続いているため、医療法人は分かりにくい・難しいという概念を持ってしまった方もいます。

医療法人は営利でしょうか?それとも非営利でしょうか?

医療法では医療法人は非営利であると規定しています。それは医療法第54条 医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。という条文に表れています。株式会社は株主に対し配当金という株主利益還元方法がありますが、医療法人はそれを禁止しています。
だからといって、非営利であると言い切れるでしょうか?平成19年の医療法改正時に株式会社が医療業務に参入できるか否かが吟味されたことがあります。その時に厚生労働省が示した答えが医療法人は非営利なので営利法人である株式会社は参入できない。というものです。その際、医療法人は確かに医療法で剰余金の配当が禁止されており、毎期の配当は行っていないが、社員退社時や解散時は時価での払い戻しが実際に行われてきた経緯があり、これは毎期の配当ではないが、毎期の配当を積み立てていて退社時等に一括して支払ったのと変わりがないではないか?という疑問がぶつけられました。つまり、実質的な配当が行われていて、剰余金配当禁止規定は形骸化しているのでないか?という意見です。

そこで、平成19年4月の医療法改正では、退社時に時価払戻しができる組織形態である「持分の定めのある社団医療法人」の新規設立を禁止し、税務上も時価払戻が不可能な「持分の定めのない社団医療法人または財団医療法人」でしか新規設立ができなくなったのです。