前回、相続税法66条4項の考え方でお話しした持分の定めのない社団や財団に寄付したら必ずみなし贈与の規定が適用されるわけではなく、相続税法施行令33条3項の要件に該当すれば、みなし贈与は課税されません。次の要件がみなし贈与が課税されない4要件です。
1.その組織運営が適正であるとともに、親族等の割合が1/3以下とする旨の定めがあり、かつ、実行すること。
2.法人に財産を贈与した者や役員やその親族等に対して特別の利益供与を与えないこと。
3.定款等で解散した場合に残余財産が国等に帰属する旨の定めがあること。
4.その法人に法令違反や帳簿書類に仮装隠ぺい行為がないこと。
1番目の基準と3番目の基準は主に形式基準であり形式を満たすことによってクリアされる要件です。4番目の要件は例えば社会保険診療報酬不正請求(法令違反)や税務上の重加算税案件(仮装・隠ぺい)にあたります。2番目の要件が一番争いが多い、特別の利益供与の問題です。この一般的な考え方は通常、従業員に行わないような行為を特別な人だけに行うことをいいます。ですから、福利厚生規定で従業員に行っている行為であれば、役員等に対して行っていたとしても特別の利益供与に該当しないこととなります。