相続税法66条4項の考え方

相続税法66条4項はいわゆる「みなし贈与」の規定です。この概念は広いのですが、なかなか理解しにくい規定です。一つ例を挙げるとすると、下記のような例があげられます。

<例>
Aは資産家ですが、将来の相続税が心配でなりません。そこで、持分の定めのない社団医療法人を設立しそこに10億円の寄付行為を行います。事業年度の中途ですと、10億円は法人の所得として課税されますが、設立時だと課税されません。それをつかって無税で医療法人を設立し、Aの子供に理事長になってもらい無税のまま財産を実質的に相続させるというスキームがありました。持分の定めのある社団医療法人ですと、いずれ出資額の10億円に含み益が追加され相続税が課税されることになりますが、持分の定めのない社団ですと、持分がそもそもないのですから、どこでも課税されない。つまり、無税で実質的に相続財産が相続人に引き継げることになります。この無税スキームをつぶしたのが相続税法66条4項の規定です。上記の場合には10億円をもらったのは医療法人であってAの子供ではないため(実質的にAの子供がもらったようなものですが…)その医療法人を個人とみなして贈与税が課税されることになります。相続税法施行令33条に贈与税が課税されない要件が掲げられていますが、親族要件1/3以下など厳しいものになっております。