イスラム教徒の頭の中

皆さんはイスラム教についてどの程度ご存じでしょうか?イスラム教というとアラブ人というイメージがありますが、アラブと言っても20か国以上あり全てイスラム教ということでもなく、全体の80~90%がイスラム教徒(ムスリム)だそうです。イスラム教も大きく2つスンニー派とシーア派に分かれ、スンニー派の一部がイスラム過激派となっており、ムスリムの1%にも満たない過激派の活動が大多数のスムリムのイメージとして定着してしまっています。

この本では、結婚などの女性の事情とビジネスなどの男性の事情が多く書かれています。イスラム教はお酒を飲まない。一夫多妻制。未婚の女性は顔をベールで隠し、結婚は一種の商談でマハルという結婚金をいくらにするかということから始まるらしいです。女性は未婚だと半人前と判断され、結婚して子供を産んでそして男の子を生んで一人前とされるのだそうです。男性は4人まで妻を持つことができ、妻と子供を扶養する義務を持ちます。妻が多くいて(マハルの支払は多額なので多いほど裕福)子供も多くいる事(特に男の子を多く持つこと)が男として生殖的にも社会的にも出来る男とされるのだそう。

驚きエピソードが書いてありました。一人しか妻を持たない社会的地位が高い男が今のままで満足なのでということで1人しか妻を持たなかったら、その妻が「夫は第二の妻をもらうべき」と訴えを起こしたそうです。理由は第1に子供の問題。夫は地位が高いのでより多くの男子をもうけなければないが出産に伴う女性の苦労は並大抵ではない。自分としては2~3人の子供を産むことが理想なのだが、夫はもっと多くの子供を持つべきなので、他の妻を迎えもっと子供を産ませたら良いという。2つ目の理由は話し相手となる友人がほしい。外部の人との交際もままならないのだからせめて内部に自分と対等に付き合える友人がほしいという。3つ目の理由は夫ほど地位のある者のテントに妻が1人しかいないのは威厳を損なうし、一切の家事が1人の妻にのしかかっている状態は妻にとっても夫にとっても不自然だからとのこと。判決の結果は、夫はラマダーン(断食月)の終わりに第二の妻を迎えよ。ということでした。

妻からそんなことを言い出すなんて日本人にとってはビックリ発言ですね。でも夫は妻を迎えたら、どの妻にも平等に扱い扶養する義務が生じます。ですから未亡人が生じにくくなり、子供が産めない女性や他に妻がほしくなった夫からも別れなくてすむ未亡人救済制度とも言われています。日本のように不倫が盛んになったりすることもなく、愛人や妾などというのもなくなるある意味健全に社会的に保障されて妻という座に居続けられるということです。

その他にもアラブ商法は得して得とれ。という精神だったり、神にさえ嘘をつかなければ人に嘘をついても良いとか、返事はYES。できるとしか言わないがその努力はしない。とか、なかなかビジネスでは手強そうです。なんか日本人が考える常識はイスラム教にしてみれば常識ではないという事が良く分かった本でした。