退職金と弔慰金の税務上の取り扱い

退職金はご存知の通り退職に起因して会社などから支払われる金品です。退職金に関する税金については知っている人も多いと思いますが、もらった金額から退職所得控除額というのを控除することができます。退職所得控除額は勤続年数によって控除できる額が変わっていき、勤続20年までは1年につき40万円、20年を超えると1年につき70万円控除できます。ですから勤続18年ですと40万円×18年=720万円となり、勤続25年ですと40万円×20年+70万円×5年=1150万円となり、それ以下の退職金の場合、税金はかからないということになります。もしそれを超えてしまってもさらに2分の1をした金額のみ課税対象となりますので、退職所得は他の所得に比べかなり優遇された所得となります。これは生きたまま退職金をもらう場合です。

では、死亡による退職金の場合はどうなのでしょうか?死亡による退職金は上記による税金とはかなり違います。上記は本人が退職金を受け取りますが、死亡してしまったら受け取れませんので、退職所得(所得税)の範疇ではなく、相続税の範疇となります。相続税の場合、もらった退職金は遺族に渡されますが、それが丸々相続税の課税対象となるわけではなく、非課税限度額というのが設けられています。それは勤続年数などにかかわらず、法定相続人の数によって決まっています。500万円×法定相続人の数が非課税限度額です。ですから法定相続人が、妻と子供2人の場合、合計すると3人になりますから500万円×3=1500万円までは相続税の課税対象となりません。それを超える金額のみ相続税の課税対象になります。

そのほかに弔慰金というのがあります。これは遺族に対して会社などが支払いますが、こちらについても非課税限度額があって500万円×法定相続人の数となります。退職金と弔慰金はそれぞれが別に非課税限度額を設定できますので規程等を整備してうまく活用していですね。