自己株式の売買

カテゴリー税務では最近、中小企業の株式を中心に株の売買等があった場合の様々なケースについてお話してきました。今回はそのA会社の株式をそのA会社が買い取った場合について考えていきます。A会社の株をA会社が買うという行為を自己株式の取得といいます。その場合その取引は売買取引ではなく、資本等取引となり、譲渡益等を把握する必要はありません。(低額譲受による受贈益も認識しません)

売主は株式の譲渡益に対する課税のほかに、みなし配当の課税もあります。この場合にはその配当について源泉所得税を徴収する必要があります。ただし、相続によって取得した株式を相続税の申告期限から3年以内に発行会社に譲渡した場合には、みなし配当課税がありません。これは譲渡所得になります。

A株式会社の発行した株式をA株式会社が買う行為を自己株式の取得といいますが、では誰がその株を売ったのかというとA株式会社の株主ですね。その株主が法人か個人かによって注意点が異なります。個人株主が売った場合はみなし譲渡所得課税(所法59)に留意しなければなりません。この件は前回の税務のブログを見てください。法人株主が売った場合には、低額譲渡による寄付金認定に注意しなければなりません。

いずれの場合もその時価は、売買実例があれば実例価格によって、なければ所得税基本通達59-6または法人税法基本通達9-1-14によって時価を算定します。